ゼロの人魚姫   作:北町スイテイ

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第19話「ごめんね」

~さやか~

 

 

 

息が苦しい・・・

 

肉体を得たことの弊害なのか、あたしとオクタヴィアは同時に表層に存在できなくなっていた。

表にオクタヴィアがいる間、あたしは心象の底に沈む。それは本当におぼれている感覚によく似ていた。意識はオクタヴィアの中にあるのに、一つ向こうの映像を操作してる感覚。

ゴーレムが破壊できたことを確認してあたしは再び表層に手を伸ばす―――

 

 

「っ……!! はあ、はあ!」

 

表に出た瞬間、長い間空気がなかったかのような錯覚に陥る。今回は火力不足も考えて穢れをあえて増やしたが、その影響かずいぶん体が重い。

 

「サヤカ!!」

 

ルイズが駆け寄ろうとしてキュルケに止められるのが見えた。

 

「るィズ」

 

うまく声になっていなかった。まだ少し意識があちら側だったか・・・

顔を上げると皆がお互いをにらみ合ってる状態だったが、意識のほとんどはこちらに向いているのが分かった。

 

『おいおい、そんなところで睨み合ってても、何も進まないんじゃないか?』

 

しらない声にはっとすると、それは道中フーケが持っていた剣だった。どうやらこの世界にはしゃべる剣もあるらしい。

その剣がお前たちは仲間じゃないのかと聞くと

 

「友達よ!」

 

ルイズが反射的に答えていた。

そんな反応されるなんて思わなくて、あたしは涙が出そうだった。

それからルイズはあたしの方に来ようとしたけど、動けないようだった。

よく見ると手も足も見てわかるほどに震えている。当たり前だ、あんなものを見たのだ、怖いに決まってる。でもルイズは優しいから、きっとそんな自分を許せないだろう。

 

「ごめんね」

 

申し訳なかった。怖がらせるつもりはなかったし、あたしがもっと強ければこんなことにはならなかった。

いろんな言い訳をしたけど、強がってみたけど。覚悟していたつもりだけど、やっぱり嫌われるのはつらかった。

 

「ルイズが怖いようならあたしは―――ってうわあ!」

 

いつの間にか目の前に来ていたルイズに、タックルのような勢いで抱き着かれた。

反社的に抱えようとしたが、今はまだオクタヴィアから戻ったばかりだから力の加減が難しくて左右に開くだけになった

 

「ばか!」

「えぇ!」

「ばかばかばか!バカサヤカ!」

 

突然の罵声もおとなしく聞くことしかできない。

 

「ごめんさやか」

「・・・」

 

謝るのはあたしの方だ

 

「あんたの事、一瞬でも疑った、怖いと思った。あんたは私を助けてくれたのに」

 

そんなの当り前だ。あんなもの、怖いに決まってる。

 

「だからごめんなさい」

 

謝らなくてもいい。あたしは本当にゆっくりとルイズに触れる、壊さないように慎重に・・・

 

「ルイズ・・・あたしが怖い?」

 

ルイズは最初息が詰まったようだったが口を開く

 

「怖いわ」

 

ずきりと心が痛む

 

「そっか、正直に教えてくれてありがとう」

 

でも、隠したりごまかしたりせずに、まっすぐにあたしを見てくれる

だから、彼女になら話してもいいと思った。もう一人のあたしを、ばかで臆病な意気地なしだったあたしのことを、話してもいいと思った。

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