クロスオーバー作品です。
世界観や設定の都合上、原作とは異なる解釈・展開があります。
本作は美樹さやかが、
別世界に召喚されるところから始まります。
重くなりすぎず、でも軽くも流しすぎない、
そんな温度感を目指しています。
合わなければそっとブラウザバックで。
大丈夫そうなら、少しだけお付き合いください。
自己紹介の後のあたしたちがうまくいくはずもなく―――
「神のカバン持ちい?!あ、あ、あんたね、よくもそんな大それたことが言えるわね!」
「そういうあんたこそ人を誘拐しといてご主人様ぁ?ふざけるのもたいがいにしてよね、この誘拐犯が!」
「きーーー!使い魔の癖に!使い魔の癖に!」
「使い魔じゃありませんー、ちゃんと美樹さやかていう名前があるんですー。あれ?外国だとサヤカ・ミキ?どっちでもいいや」
当然口論になるわけで―――
「だいたいね始祖ブリミルにカバン持ちがいたなんて聞いたことないわよ」
「ブリ・・・なに?聞いたことないんですけどお。あたしは神は神でもまどか様のカバン持ちなの、そんなどこぞの神様とか知りませーん」
「あんた始祖ブリミルを知らないとかどんな田舎から来たのよ」
「むしろあんたどうやってあたしをここに連れてきたのよ」
そんな感じで部屋に戻る道すがらずっとこんな調子。
ただ、彼女との口論でいくつかわかったことがある。
あたしが現れたのはどうやらハルケギニアという国のトリステイン魔法学院という場所だという。
そんな国見たことも聞いたこともない。そもそも魔法学院って、そんなのあったらとっくに有名になってるはずだし。それに彼女いわくハルケギニアは大きい国らしいし、知らないなんて論外らしい。さすがに自分がそこまで馬鹿とは思えない。
これだけ材料がそろえば、何となく察しはつく。
「さやかちゃんついに異世界デビュー?」
実際に口にするとなんてばかばかしいんだろう。
奇跡も魔法もあるっていうけど、一体だれの言葉だっけ?あたしの言葉じゃん。
この世界には不思議なことがたくさんあるっていうけど、不思議すぎるだろう。
まあ魔法少女がいて魔女がいてついでに異世界があっただけ、うん、なにも不思議じゃないわ。慣れってこわいわあ。
「ついたわよ」
そうこうしているうちに彼女の部屋についたようだ。
前もっていいところのお嬢様って聞いてひとみの家みたいなきらびやかな部屋を想像していたがそんなことはなかった。
派手過ぎず地味すぎず、ちょうどいい感じ。まあベッドだけはやけに大きい気はしたが、2人で寝るにはちょうどいいのではないだろうか。
「ちなみにあんたの寝床はそこ」
彼女が指さしたほうを見ると藁が敷いてある。
「・・・冗談だよね」
「・・・仕方ないじゃない!人間が召喚されるなんて思っていなかったんだから!」
「だったら無駄にでかいあんたのベットで2人で寝ればいいでしょ!」
「貴族が平民と寝るなんて聞いたことないわよ!」
「人間を藁の上で寝かせるのは常識なわけ?この国の貴族とやらは変態ぞろいなのかしら?」
「あ、あ、あなた。貴族を馬鹿にしたわね!」
「あんたがあたしを藁の上に寝かせようとする変態ってことは事実でしょ」
「ぐぐぐぐ」
悔しそうな顔をする彼女。
最初はなんとなくあいつに似ている気がしたけど、やっぱり違う。あいつのほうがまだかわいげがあった。
あいつ・・・・・杏子はどうしているだろうか。
あたしがいないとあいつごはんも食べずにお菓子ばかり。食べてるから、早く帰って・・・・
「・・・・」
「なによ急に黙って」
あれ?
この記憶はなに?
あたしは円環の理、まどかといっしょに居て、カバン持ちをやってて―――
あたしは見滝原中学校で、杏子やまどかたちとたちと中学生やってて―――
あたしは杏子のもとに帰らなきゃいけなくて―――
あたしはまどかのもとに帰らなきゃいけなくて―――
そして・・・・
ズキン!!
「いっつ!」
突然の頭痛にあたしは膝をついた。
「ちょっとあんた大丈夫!?」
彼女が肩に手を置くけど、そんなこと気にしている余裕はあたしにはなかった。
「なんで忘れてたんだろう」
あの悪魔のことを。
自覚はなかったが、こっちに来た衝撃で記憶が混雑していたようだ。
おかげであの悪魔の洗脳が解けたのはラッキーだったのかもしれない。
「あんたに感謝しなきゃね」
「・・・本当に大丈夫?変なとこ打ったんじゃないんでしょうね」
「失礼しちゃうなあ。さやかちゃんは通常運転ですよーだ。むしろ今までより絶好調?」
「なに言ってるのよ。大丈夫ならそれでいいのよ」
そういってぷいっとそっぽを向く。
「まあ、せっかく召喚した使い魔がすぐに死んじゃうのも困るし。特別に、特別にベッドを使うことを許可するわ」
いろいろ考えなくてはいけないこともたくさんあるが、ひとまずは今この状況をどうにかするのが先だ。ほむらのことだ、あたしがいない間にまどかに何かするとは思えない。
「ちょっと、ほんとに大丈夫?」
「ああ、ごめんごめん」
どうやらぼーっとしていたらしい。彼女がずいぶん心配そうな顔であたしを見ていた。
彼女のことを杏子と似ていないと思ったが、根本的なところはお人よしってところだけはそっくりだ。
ここに連れてきた張本人ってことで少し冷たくしてしまったけど、これからしばらくは一緒に住むんだし。少しくらい譲歩してやってもいいような気がした。
ひとまずはあいさつのやり直しからかな。
「これからよろしくね。ご主人様」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
第二話はほぼ口論と状況整理だけですが、
この二人が「とりあえず同じ部屋にいる」状態になるまでが
どうしても必要だったので、こんな形になりました。
さやかの記憶まわりについては、
今後もう少しずつ触れていく予定です。
全部を一気に思い出す話ではありません。
更新は気まぐれですが、
続きを書く気はちゃんとあります。
それでは、次の話で。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
名前:ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
出身:ハルケギニア・トリステイン王国
年齢:15歳
性別:女性
称号:ラ・ヴァリエール公爵家三女
トリステイン魔法学院に通う貴族の魔法使い。
属性は「虚無」と呼ばれる希少かつ危険な系統だが、
本人はその制御に失敗し続けたため
「ゼロのルイズ」という不名誉なあだ名で呼ばれている。
魔法の成功率は極端に低い一方で、
精神力と責任感は非常に強く、
一度決めたことから逃げない性格をしている。
本来の歴史では、召喚の儀式によって平賀才人を使い魔として召喚し、
主と使い魔という関係を通じて成長していくことになる。
未熟さと誇り高さ、自己否定と献身が同居した人物。