ゼロの人魚姫   作:北町スイテイ

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まどマギ劇場版8月に決まりましたね!!
本当は書いている最中に映画見てさらにプロットを書き換える予定でしたがこのぶんだと、こっちはこっちで完結させることになっちゃいそうですね・・・


第34話「…いいえ。今回の任務に彼女は連れて行きません」

~ルイズ~

 

目の前で笑いながら泣くサヤカを私はただ見つめることしかできない。

 

やがてその景色も溶ける

 

 

 

気がつくと私は小さな私を見下ろしていた。

小舟の中で泣く私、それは昔の私だった。魔法がうまくいかなくて、お父様に怒られた日にはいつもここで泣いていたっけ。

そんな時は決まって誰かが迎えに来てくれた。

 

「誰だっけ…」

 

父様? カトレア姉様? どちらも違う気がする。

 

「―――ルイズ」

 

声が聞こえる。

 

「―――私のルイズ」

 

そうだ、この声。

 

 

窓を叩く音と、風を伴った声に、私はふわりと意識を引き戻された。

 

「ワルド子爵?」

「お目覚めかな?お姫様」

 

目を覚ますと目の前には先程夢で聞こえた声の主、ワルド子爵が居た。

 

「あれ?なんでワルド様が? もしかしてまだ私夢を見てるのかしら」

「もう少し寝かせてあげたい気持ちはあるんだけどね、そろそろ出発の時間だ」

 

その言葉にようやく頭が覚醒し始める。

 

「あ!申し訳ありません、こんなはしたない恰好で」

 

よりにもよって異性に、しかも初恋の相手にネグリジェ姿を見られるなんて、もうお嫁にいけないわ!

 

「いや、私の方こそ済まない。窓をたたいたんだけどね、よほど疲れていたのか起きなかったもので、入らせてもらったよ」

「い、いえ。お気になさらないでください」

「そういってもらえると嬉しいよ」

 

今は何時だろうと周りを見渡すと、まだ外は真っ暗だ。

 

「アンリエッタ様にはあなたが来ると伺っていましたが、こんなに早いなんて」

「アルビオンも切迫した状態が続いていてね、あまり時間をかけると戦争の真っただ中に飛び込むことになってしまうから、できるだけ早く来たんだ」

「そうなのね…」

 

そんな危険な場所に、私はサヤカを連れて行こうとしてるのね。

 

さっきの夢を思い出す。

あんな状態のサヤカをルイズは知らない。

あえて言うなら、フーケのゴーレムと戦ったサヤカが少し近い気がしたが、あんな状態ではなかった

 

明らかにあれは精神に異常をきたしているように見えた。何が彼女をあんなふうにしてしまったのかはわからないが、そうなる可能性があるというだけで、ルイズにはとてもサヤカを戦場に連れて行く気にはなれなかった。

 

「わかりました。すぐに用意を致しますわ」

「私は窓の外で待っているから、準備が出来たら声をかけてくれ」

「はい」

 

ワルドはそう言って部屋を見渡した。

 

「そういえば、君の使い魔は?」

 

言われてやっと気づいたが、そういえば昨夜はサヤカと一緒に寝たはずなのに彼女の姿がない。

 

「あれ?昨日は確かに一緒に寝たんですけど」

「もしかしたら用を足しているのかもしれない。戻るまで少し待とうか?」

「…いいえ。今回の任務に彼女は連れて行きません」

「そうなのかい?」

「はい。今回は極秘任務ですから、人数は少ない方がいいでしょう」

 

本当は連れていく予定だったが、あんな夢を見た後で連れて行くなんてできそうになかった。

だから、今のこの状況は好都合。このままサヤカが帰る前にここを出ようと、ワルドが外に出たのを確認して洋服棚の方へ向かった時だ。

 

「あれ?」

 

服の棚の上に花瓶が置いてある。いつもは窓際のテーブルにあるはずのの花瓶が服の棚の上に。

それが妙に気になった。棚はルイズの身長よりも高いが、椅子を使えば届く。

そう思い椅子を使って覗き込むと

 

「これは…」

 

そこには、以前サヤカが見せてくれた指輪状態じゃないソウルジェムが置かれていた。

 

「なんでこんなところに…」

 

サヤカは、これは大事なものだからと、いつも左手の中指に指輪の状態でつけているのに。

 

「……」

 

その宝石がこんなところにある。何か理由があってこんなところに隠すように置いたんだと思うけど…

もう一度あの夢の光景を思い出した。夢の中でサヤカは、今目の前にある宝石と同じ色の輝きで傷を治したりしていた。今までの戦いも思い返せば青い光…おそらく魔力を使っていた。

 

もしこのままサヤカを置いていったとして、あのお人よしは私のあとを追ってくるだろう。

使い魔だからとか、契約だからとか言って助けに来てしまう。

そうなるくらいならいっそーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルイズ、寒くないかい?」

「はい」

「少しスピードを上げるからちゃんとつかまっているんだよ」

 

そういうとワルド子爵は私を支えている手を引き寄せた。

彼の使い魔のグリフォンの上は思ったよりも狭く、彼に抱えられる形で私は同乗させてもらっている。

 

学園はとっくに見えなくなっていた。

私はワルドの腕をつかんでいない方の手で握りこんでいるものを見る。

 

「それは何だい?」

「……大事なお守りです」

 

その手にはサヤカのソウルジェムがある。

 

「全部終わったら…必ず返しに行くから―――」

 

その声は風の音にかき消された

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