今回もいつも通りのテンポで進みます。
楽しんでもらえたらうれしいです。
ごめん予約日間違えてた...
~ルイズ~
私にとってサヤカはただの使い魔なんかじゃない。
私を認めてくれる大切な友達。
サモン・サーヴァントが終わって最初の授業、その授業で私と同じようにサヤカを馬鹿にする生徒と喧嘩になったのは、避けられないことだったんだと思う。「そこまで言うなら、主人としての君の実力を見せろ」といわれて結局大失敗、私だけじゃなくてサヤカまでおとしめてしまった。
そんなサヤカが貴族ともめているという話を聞いたのは、部屋の掃除も終わり掃除用具を戻しに行く途中だった。
大切な私の友達。そんな友達が傷つけられる。そう思うといてもたってもいられなかった。
何とかその場を収めようと急いだけれど、結局サヤカはギーシュとの決闘を決めてしまった。
「ルイズ、心配しないで。あいつの言う通りってのは癪だけど、このさやかちゃんを信じなさい」
信じなさいって!
あんたにもしものことがあったら、私は後悔してもしきれない。
そんな言葉をかけようとしたけれど、サヤカの目を見た私はその言葉を飲み込んだ。
サヤカの空のような海のような色の瞳が私をまっすぐみる。
きっとサヤカは何を言っても止まってはくれない。
そんな確信をするのには十分な力がその瞳にはあった。
私には止められない―――
私は渋々身を引くことにした。最悪の事態になりそうになったら、無理やりにでも間に入ろう。そう思っていた。
でも、そんなことをする余裕なんてすぐになくなった。
突然サヤカがマントを空中から出すとあっという間に着替えていた。
その姿は今まで見たどんな騎士よりも凛々しくて、まっすぐにギーシュを見つめるその瞳には、正義しか見えていなかった。
そんな姿がとても・・・とても・・・
「きれい・・・」
素直にそう思った。
~さやか~
「これにて一件落着かな。あとは君が女の子に謝るだけ」
「あ、ああ・・・」
ギーシュは呆けた顔であたしを見上げた。
あたしは変身を解くとルイズのほうに歩きだした。
「ま、待ってくれ!」
「今度は何?」
まだやるか! と意気込んだあたしだったけどどうやら違うらしい。
「もう一度、もう一度君の二つ名を教えてくれ!」
え・・・といやな声が出てしまった。何度も言うのは何だか恥ずかしい。さっきは勢いで言ってしまったが、なんだ二つ名って、マミさんじゃあるまいし、そんな恥ずかしいこと何度も言えるわけないじゃん!
「たのむ!」
しかし、思い直すとむしろ恥ずかしがってるほうが恥ずかしいのではないだろうか? ここはもういっそ吹っ切れたほうがいいのでは? 幸いこの世界では二つ名を名乗るのは普通のことっぽいし、むしろ突き抜けていくのがいいような気がしてきた。
「しかたないなあ」
あたしはもったいぶった後に、それはもう人生で1,2を争うほどのキメ顔で言い放った。
「あたしの名前はサヤカ・ミキ! 二つ名はオクタヴィア。オクタヴィアのサヤカよ!」
「オクタヴィア・・・なんて誇らしい響きなんだ!」
そんな大したもんじゃないけどね・・・
そんな言葉は結局口にはしなかった。わざわざ説明する義理もないし。
「そんなことより、早く謝っちゃいな、こんなことしてる間にも女の子は泣いてるんだよ。こんなところで油売ってる暇なんてないよ。ほら、さっさと行った行った」
「そうだ、僕はなんてことをしてしまったんだろう。早く彼女たちの涙を止めなくては!」
いそいそと立ち上がるギーシュそのままルイズの前まで来ると片膝をついた。
「ミスヴァリエール、今までの数々の無礼、本当に申し訳なかった―――」
「ちょ、ちょっと! 急に何よ、調子狂うじゃない・・・」
「まあまあルイズ、こいつも反省してるんだしさ、受け取ってあげなよ」
「君が僕を許せないのはわかる。だがどうか許してほしい。僕は魔法ができない君を見て馬鹿にすることで、弱い自分をごまかしていたんだ。そうすることで自分のプライドを守ってた。今日彼女にコテンパンにされて、ようやくそれに気づいたんだ」
どうやらギーシュは本当に心を入れ替えたらしい。言い方は相変わらずキザったらしいけど。それが本心からの言葉だというのは伝わってきた。
「だから同時に感謝させてくれ、ミスヴァリエール。そしてミスサヤカ、僕の目を覚まさせてくれてありがとう」
「・・・わかったわ。その謝罪受け入れる」
「ありがとう・・・」
そう言ってもう一度深く頭を下げたギーシュは、見物をしていた野次馬の中に消えていった。
「じゃあ、あたしたちも行きますか!」
「そうね、あんたにはいろいろ聞きたいこともあるし、早く部屋に戻りましょう」
「あはは・・・・」
まあそうなるよね。
隠すことでもないし、ある程度ルイズに話してしまってもいいかもしれない。そう思い部屋に向けて足を踏み出したが。
「ミスサヤカ、ミスヴァリエール。学院長室まで来てください」
どうやらそうもいかないようだ。
そこにはコルベール先生(ルイズから聞いた)が立っていた。
あたしはどう言い訳しようか考えながらコルベール先生の珍妙な頭部を見つめるのであった。
ところ変わって学院長室。
コルベール先生は学院長の指示ですでに外に出ていた。
「ほほほ、君が噂の使い魔じゃな?」
「はい、まあ・・・」
「ちょっとサヤカ! 学院長先生の前よ、シャキッとしなさい!」
「はーい」
「よいよい」
「ですが学院長・・・」
まだ何か言おうとしていたルイズを手で制すると、学院長はあたしのほうを見て話し始めた。
「先ほどの決闘、申し訳ないと思ったんじゃがのお、少し覗き見させてもらったんじゃよ」
どうやらさっきの変身や魔法を見られたらしい。
「先ほどのは、魔法・・・でいいのかの?」
「一応そういうことでいいと思うよ・・・思います」
「ほう・・・」
学院長は少し考えるそぶりを見せると、「おかしいのぉ」と言う。
「わしの見る限り、使い魔殿の使う魔法は我々が使うものとはずいぶん違うように見える」
「はあ・・・」
「それにサヤカ殿は貴族のような雰囲気も感じない。間違いないじゃろうか?」
「・・・はい」
この人は怖いなとあたしは思った。このままでは知られたくないことまでうまく聞き出されてしまう。そう思ったあたしは、そうされる前に自分から話すことにした。
「学院長の言う通り、あたしの使う魔法はこの世界のものではありません」
「この世界・・・というと、君はこの世界の住人ではないということでいいのかの?」
「その通りです」
「ちょっとサヤカ! 言っちゃっていいの?」
「いいよいいよ、隠したところで何か得することもないし」
「そうだけど・・・」
「なるほどのお」
学院長はまた考え込むような顔をした。
「それであたしをどうしますか?」
きっとあたしの処遇についてどうするか悩んでいるのだろうなあ。
あたしから見てもあたしの存在ってきっとめんどくさい。
この国は魔法至上主義だし、そんな中にわけのわからない魔法を使うあたしだ。
下手したらこのまま国に突き出されてモルモットなんてこともあり得る。
しかも自慢じゃないがあたしは魔法少女ってことを抜きにしても回復力には相当な自信がある。きっと死ぬことなんてできないだろう。
もしそんなことになったらルイズと一緒に逃げてしまおう。あたしだけの旅はきっと寂しいし、ルイズだけをここに置いていくのも心配だ。
うん! それがいい、そうしよう。
「どうもせんよ」
しかし学院長の言葉はあまりに意外で。
一瞬何を言われたかわからなかった。
「え?」
「今回君らを呼んだのは、使い魔殿が広場で使った魔法に、わしが、個人的に興味があったから聞いただけじゃよ。それをどうこうしようなんぞ考えておらんよ」
そう言う学院長の顔はとても嘘を言ってるようには見えない。
きっと本心だ。
「そう、ですか・・・」
「話はこれだけじゃ、もう戻ってよいぞ」
結局その後何かあるわけでもなく、無事に部屋に戻ることができた。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
感想や反応、とても励みになります。
また次回も投稿予定なので、よければお付き合いください!
次回 第10話「あたしはね、インキュベーターと契約した魔法少女」
ギーシュ
名前:ギーシュ
正式名:ギーシュ・ド・グラモン
出身:トリステイン
年齢:17歳前後
性別:男性
立場:貴族・土のメイジ
トリステイン魔法学院の生徒で、
名門グラモン家の出身。
土属性の魔法を操り、
主に「ゴーレム」を使った戦闘を得意とする。
華やかな振る舞いと軽薄な言動が目立つが、
本来の歴史では、
命が懸かる場面では逃げずに戦う人物でもある。
初期には虚勢と見栄が先行し、
自尊心を守るために軽率な行動を取ることも多い。
しかし敗北や挫折を経験することで、
「貴族であること」の意味を少しずつ学んでいく。
戦闘能力は突出してはいないが、
仲間と連携した際の安定感は高い。