種族も性格も相反する二人が喧嘩しながらも力を合わせるというシチュエーションを自分なりに表現してみました。
「だからこっちの道だって言ってるでしょ!?」
「いいえ、こっちの道が正しいわ!」
「普段から方向音痴のあんたが言っても説得力ってものがないのよ!」
「ああ!?今のは聞き捨てならないわよ!?それを言うならアンタだって味音痴じゃないの!アンタの食事当番のたびにどれだけ一緒に涙を飲んだことか!」
「アタシだってあんたの方向音痴に何度頭悩まされてきたか知ってるわけ!?」
「何よ!?」
「何さ!?」
「あ、あのお二人共、そろそろ落ち着かれては・・・。」
「「黙ってなさい!!」」
「あ、はい。」
天使型のデジモン「エンジェモン」が喧嘩する二人、方向音痴の「エンジェウーモン」と味音痴の「レディーデビモン」をなだめるが、二人の気迫に押されてつい黙ってしまう。
本来なら相反する種族である天使型デジモンと堕天使型デジモンが二人一緒に居ることはあり得ないのだが、二人は同じエリアの出身であり、家族のように育ってきた間柄であるため、このように度々衝突することはあっても別れようと言う発想には至らなかったのだ。
種族柄、二人が殺し合いにでも発展したら危険だと感じた天使型デジモン達の上層部は目付役としてエンジェモンを派遣したのだが、こうもしょっちゅう喧嘩しては目付け役の意味がないのではと思い始めてエンジェモンも、エンジェモンを派遣した上層部も胃が痛くなる。
そんな中で二人が喧嘩してるところに割り込もうとする命知らずがやって来る。
「おうおうおう!なんだおめーら!?ココはオレ達「リベリモンズ」の走り場にして縄張りだって知っていながら土足で踏み込んでんのか!?」
上半身が緑の鬼のような姿で、下半身がバイクと一体化したような姿のデジモン「リベリモン」と、その配下であるバイクのような姿をしたデジモン「マッハモン」が二人の進行方向先を阻むように立ちふさがりながらチンピラのようなお決まりのセリフを言ってくる。
「どうしてもここを通りてえってんなら、おめーらの持ってるもん全部こっちに寄越して・・・。」
「そもそも道案内役はそっちに任せるって言ったのはレディーデビモンの方じゃない!」
「その結果マンモンの群れに突っ込むことになったのは誰のせいだと思ってるのよ!方向音痴もあそこまで来るとはアタシですら予想できなかったわよ!あの時ほど死を覚悟したことはなかったわ!信じて欲しかったら地図の見方を覚えなさいよ!」
「何よ!?」
「何さ!?」
「・・・セラフィモン様。今日も胃が痛いです。」
リベリモン達の言葉を無視してこんな時でも喧嘩する二人と、その様子を見て胃を痛めるエンジェモン。
そしてそんなコントじみた様子を見せられたリベリモン達は頭の血管がブチギレ、配下達に命令を下す。
「バカにしやがって・・・お前ら!突撃だー!!」
『おおーーー!!』
タイヤの回転スピードを一気にマックスまで上げ、エンジェウーモンとレディーデビモンに向かって突撃していくリベリモン達。このまま衝突して吹っ飛ばされると思われたその時。
「「うっさい!邪魔すんな!!」」
エンジェウーモンからは光の矢が放たれ、レディーデビモンからはコウモリ型の大量のエネルギー弾が放たれてリベリモン達を一掃する。
『うぎゃああーーー!?』
「・・・ホント、なんでこういう時だけ絶妙なコンビネーションを見せるのでしょうか。」
リベリモン達を一掃したレディーデビモンとエンジェウーモンは、足元に転がるリベリモンとマッハモンを無視して再び口喧嘩を始めてしまった。
「こ、この野郎・・・!」
「おいおい、随分と情けねー姿見せてくれんじゃねーか。」
「そ、その声は・・・!」
そこに新たに現れたのは、一見すると赤いマフラーを身に纏い、炎を思わせる金の兜を被った子供のように見えるが、その世代は究極体に達しており、両足は大型のタイヤが取り付けられたブーツ―――「風火二輪」を履いたデジモン、「ナタモン」が姿を現す。
「ナ、ナタモン親分!?」
「ずいぶん面白そうな場面が繰り広げられてるじゃねえか。オレも混ぜてくれよ。」
「い、いえ!ここはナタモン親分が手を出すまでも!」
「現に手も足も出ずに叩き潰されてるのは何処のドイツだ?」
「あ、えと・・・。」
「まあいい。最近退屈してたんだ。少しは楽しませてくれよ!!」
そう言ってナタモンは両足の風火二輪のタイヤを回転させ、マックススピードまで上げながら自身の得物である炎を纏った槍―――「火尖槍」を突き出し、2人を貫こうとする。
が。
「邪魔すんなって。」
「言ってんのが。」
「「わかんないのかしら!!?」」
この時2人は白と黒の眩い光に包まれ、溶け合うように融合すると、光が晴れた瞬間そこに二人の姿はなく、かわりに一人の天使が立っていた。 右が白で、左が黒の半分ずつに分かれたツートンカラーの体。同じく白と黒のバイザーで身元を隠し、その背中には12枚6対の天使と悪魔の翼を広げた天使型デジモン。その名は―――。
「「マスティモン!!」」
マスティモンは右腕を突きだして光の矢を形成すると、ナタモンに向けて放つ。
「「ホーリーディザイア!!」」
「おおっと!?」
光の矢が当たる直前にナタモンは避けると、一瞬だけ転びそうになるがすぐにバランスを取り、体勢を整える。
「へえ。さっきよりはかなり強そうだな。面白くなってきたぜ!!」
再び風火二輪のタイヤを高速回転させ、今度は突撃するのではなく、マスティモンを中心に回りながら移動する。
「喰らえ!乾坤圏(けんこんけん)!」
右腕に取り付けられたリングから円環状のエネルギーの刃を複数飛ばし、マスティモンを切り裂こうとするが、マスティモンはそれを避け、続けてくる第二刃、第三刃も避けて躱す。
「もらった!爆迅炎戟破(ばくじんえんげきは)!!」
風火二輪を最大まで加速させつつ、自身にも強力な炎を纏わせながらも火尖槍を突き出し、マスティモンを貫こうとする。
「「カオスディグレイド!!」」
マスティモンは両腕に光と闇のエネルギーを出現させ、目の前でぶつける。すると、相反する力同士が融合し、目の前に巨大な黒い穴が出来上がる。
「へ?」
マックススピードまで上がったナタモンは止まることが出来ず、現れた穴の中に突入してしまう。ナタモンが入った瞬間、黒い穴は閉じられ、ナタモンは異次元の彼方へと飛ばされてしまったのだ。
「ナ、ナタモン親分?」
「「で、まだやる気?」」
「うおおお!てめえら逃げろーーー!!」
「「「アイアイサー!!」」」
リベリモン達がすっかり怖気付いてしまい、全員この場から去ったのであった。
「「・・・。」」
マスティモンが両腕を叩くと、マスティモンの頭上に黒い穴が現れ、そこから異次元の彼方に葬り去られたはずのナタモンが落ちてくる。
「いたっ!?」
ナタモンは尻もちをつき、尻をさすりながらマスティモンと向き合う。
「何で?トドメを刺さねえのか?」
「「刺したところでコッチには何の得もないし、無益な殺傷は好きじゃないのよ。」」
そのセリフを最後にマスティモンは分離し、エンジェウーモンとレディーデビモンへと戻る。
「さあ、さっさと行くわよ。あの走り屋共に邪魔されたけど、スサノオモンに早く会わなきゃね。」
「なら地図を渡して。アンタに任せてるとまた厄介事に巻き込まれそうだわ。」
「厄介事って何よ!」
「さっきみたいなことよ!」
「何さ!」
「何よ!」
「お、お二人とも、落ち着かれては・・・。」
「「アンタは黙ってて!!」」
「あ、はい。」
「・・・。」
エンジェウーモンとレディーデビモンのやり取りを見ていたナタモンは、胸の内が熱くなるのを感じた。この2人についていけば、もっと面白いものが見れるかもしれない。そう思った瞬間、ナタモンは決断した。
「面白いなお前ら!よし決めた!俺、お前らに付いていくぜ!!」
「はあ?なんで急に?」
エンジェウーモンが尋ねると、ナタモンは言う。
「お前らに付いていくと、もっと面白そうなことが起こりそうな気がするんだ!だから付いて行く!」
「そんな急に言われてもね・・・。」
レディーデビモンが呆れた様子で言うと、ナタモンは続けて言う。
「それにお前ら、スサノオモンに会いたいんだろ?だったら案内してやるぜ!」
「それ本当?」
エンジェウーモンが聞き返す。
「ああ。なにせ俺は、この大陸最強の集団にして、スサノオモンに仕える「天帝八武衆」の一人だからな。」
「マジで?」
「ああ、マジだ!」
レディーデビモンの言葉にナタモンは答える。
「さあ、急いでるんだろう?俺が案内するから早く行こうぜ!!」
そう言ってナタモンは先を歩いていき、その様子を見たエンジェウーモンとレディーデビモンはため息をつきながら呟く。
「元気というか、子供というか、強引ね・・・。」
「まあいいんじゃない?スサノオモンへの話しが通りやすくなるなら。」
「おーい!何してんだ?早く行こうぜ!」
「はいはい。今行くわよ。」
エンジェウーモンがそう返して、二人は歩き出した。
「・・・置いていかないでくださーい!!」
プラスでおまけのエンジェモンも含めて。