羂索と予言の書を持つ女子高生   作:ペロロペ

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分岐点。ここの結果によってルート分岐する。
ちなみに今の時系列は原作よりも2日早い、11月14日。


羂索、天元を取り込むために薨星宮へ攻め入る《後編》

 

 

 脹相の《穿血》によって頭を貫かれた羂索。

 確かな手応えを感じた脹相は母と兄妹を思い瞳を少し潤ませ、乙骨は倒れて眠ってしまいたい衝動を抑え反転術式で傷だらけの体をゆっくりと治していた。

 九十九は念の為に《星の怒り》によって《凰輪》に仮想の質量を纏わせ、羂索の遺体の原型が無くなるほど叩き潰した。

 羂索が死後の保険を残していないわけがないという嫌な信頼がある故の行動だが──

 

「……妙だ」

 

 違和感。最初にそれを感じたのは昔から羂索を知る天元と《凰輪》で羂索の遺体を叩き潰した九十九であった。

 

「聞こえているか、九十九由基」

「あぁ。脹相の《穿血》で頭を貫いた後、念の為に遺体を術式を使って念入りに叩き潰したんだが。……一つ聞きたい。《呪霊操術》を持つ術師が死ぬと、制御下にある呪霊はどうなる?」

「術師の制御を外れ呪霊は暴走する──はずだが、術者によって術式の仕様は微妙に異なるケースもある。だが、あの子が死後の保険を掛けていないとは思えない。まだ、何かあると考えた方が──」

 

 《呪霊操術》の術式を持つ術師の死後、制御下に置かれていた呪霊は暴走する。長い時を生きる天元は実際にそうなった《呪霊操術》の術式を持つ術師を知っているが、術式の仕様は個人によって微妙に異なるケースがあり、必ず暴走するとは言い切れない。

 羂索の腕があれば《呪霊操術》のポテンシャルを最大限に引き出し完璧に制御下に置いている可能性もある。故に天元は暴走すると断言する事が出来なかったのだが、その問いに答えたのは()()()()()()()()だった。

 

『残念ながら、君達が殺したのは()()()()()だ。まさか破壊されるとは思わなかったが、コピーであるという自覚があるが故に次があると思い込んで慢心していたのかな?』

 

 突如九十九達の耳に、()()()()()()()()()()()()死んだ筈の羂索の声が聞こえてきた。

 

「──天元! 奴はどこにいる!(死んでいない、いやコピーだったか!? くそ、まずは本体がどこに潜んでいるか把握しなきゃ秒で全滅するぞ!)」

 

 九十九達に落ち着いて羂索から齎された情報の真意を判断する時間はなく、目視や呪力で感知ができず羂索の位置が分からなかったため、空性結界の主である天元に急ぎ探らせる。

 

「馬鹿な。空性結界内に反応は……」

 

 遺体があった血溜まり以外、空性結界のどこにも違和感がなく、ただ羂索の声だけが聞こえる。

 それは空性結界の主である天元も例外ではなく、声が聞こえるだけで肝心の羂索の姿を捉える事が出来なかった。

 

「お前でも捉える事ができないのか!?(遠隔からの操作で、コピーを操るオリジナルが空性結界外にいる可能性もあるのか? だが、この声は一体どこから──)」

 

 九十九は天元自身を信頼はしていないが、結界術の腕は自身よりも上だと認めている。そんな天元が、自身の創り出した結界内に潜んでいる人間1人を捉える事が出来ていない事実に驚きを隠す事ができなかった。

 

「どこに居る加茂憲倫! 隠れてないで出てこい! 俺が何度でも殺してやる!!」

『さて、術式の開示も兼ねた説明をしておこうか。さっきも言った通り、君達が殺したのは私ではない。私の存在を()()()()()()()()()()()()()。まぁ、コピーの維持条件を知る身としては複製体と言うよりかはドッペルゲンガーの方が近いのかな?』

「……なぜ、今になって術式の開示を?(いや、そもそも何故コピー単独で攻めてきた? 奴の実力は私達を纏めて相手できるレベル。私の術式の情報が足りなかったから? 肉体を入れ替えたばかりだから? ドッペルゲンガー……奴の言う事を信じるなら、縛りでオリジナルが一緒に居られないとかか?)」

 

 脹相の怒声に、羂索は術式の開示を兼ねた説明で答える。

 九十九は何故コピーがいる時ではなく、コピーが居なくなってから術式の開示をするのか疑問に思うも、憶測ばかりが増えていき、答えは直ぐには出なかった。

 

「天元様、空性結界の外にいる可能性は!」

 

 九十九が考えていた可能性に乙骨も辿り着き、天元に尋ねる。

 リカの体内に格納していた刀を取り出して構えているが、呪力量は残り2割ほど。肉体の傷は反転術式で回復したが、リカとの完全接続は既に切れ、なんとか気力を振り絞り羂索からの攻撃に備えていた。

 

『コピペできるのは、肉体の情報・身に付けているモノetc。まぁ、コピー元の情報の全てを再現できると思ってくれ。例えば私の場合だと、《呪霊操術》で捕獲している呪霊や《再編領域》などコピペした時点のオリジナルと同じものを扱える。それも性能が落ちる事なくね。ただし、1個体につきコピーできるのは1体のみだ。まぁ、一部の情報だけをコピーすることも不可能じゃないけどね』

「いや、薨星宮どころか高専周辺にも姿がない。何らかの術式を使い空性結界内に隠れているとしても、呪力を使っている以上、私に分からないはずが──」

 

 薨星宮・高専周辺も含め、天元の支配下にある結界内のどこにも羂索の反応はない。例えどんなに小さな小動物でも、呪力さえあれば見落とす事はあり得ない。

 唯一の例外は呪力から完全に脱却した存在だが、羂索が自身のコピーを創り出していた以上その可能性は無いと考えていいだろうし、呪力が完全に無くなれば術式によって肉体を乗っ取っている羂索は死んでしまうだろう。

 

『破格の能力だが、まともに運用するには幾つか縛りが必要でね。①対象のデータが多い程時間がかかる。私の場合はこれから言う4つの縛りを持って2週間まで短縮したが、何の縛りも無しでやれば術師で十数年、普通の人間をコピーするのにも4〜5年は掛かるだろうね』

「天元、私達を空性結界から出す事はできるか!(術式の開示。本当なら攻撃して止めるべきなんだが、喋っている奴が何処にいるかは分からない。ならいっそのこと空性結界の外に逃げるべきだ。勘だが、このまま空性結界にいるのはマズイ気がする)」

『②オリジナルはコピーに命令が出来ず、オリジナルの思考をトレースして自立稼働する。ちなみに呪力で作られたコピーのせいか、オリジナルより口汚くて、暴言が多い傾向があるね』

「可能だが、どうするつもりだ?」

「何処にいるのか分からないなら、もうどうしようもないだろ。なら、私の《星の怒り》の最大出力で、空性結界の周辺ごと全部をまとめてぶっ潰す」

『③コピーはオリジナルを視界に入れてしまうと自壊して、ついでにオリジナルも死ぬ。まるで対消滅するように消えてしまうから接触するなら注意が必要だね』

「……すまない。いつの間にか空性結界がハッキングされていたようだ。少しだけ時間をくれ」

「クソが……っ! 急げよ、天元!(気付かれない間にハッキング。羂索の結界術の腕が天元よりも上なのは誇張でも何でもなかったわけか。だがこれでハッキリとした。羂索のオリジナルは()()この空性結界内かその近くに潜んでいる。じゃなきゃリアルタイムで結界のハッキングなんて出来ないだろう)」

『④コピーが存在している間、コピーは必ず観測されていなくてはいけない。観測されていなければ存在を証明できず、1秒も待たず自壊して、ついでにオリジナルも死ぬ』

「私達の話を聞いていながら呑気に術式の開示とは。余裕が過ぎるんじゃないか?(なんだ、この違和感は。お喋り好きそうな性格だと思ったんだが、術式の開示を機械みたいにずっと喋ってるだけ。何かの縛りで、術式の開示を強制されている?)」

『⑤コピーが破壊された後はコピーを破壊した相手へ10分以内にコピー元のオリジナルがコピーを創る際の()()()()()全てを開示をしなければならず、達成できない場合はオリジナルは死ぬ。因みにオリジナルがコピーを殺すことは出来ないし、一度破壊されるまでは消すこともできないから。正直なところ君達がコピーを破壊してくれたのは結構助かったよ』

「──そういうことかっ!(くそっ、やはり最適解は天元に頼んで空性結界から離脱することだったか。10分という時間制限は、空性結界のハッキングを成功させる自信があったから! 特級2人を相手にして博打も良いところだ──と言いたいが、成功しちゃってるし。私達、そんなに舐められていたのか? いや、コピーを破壊させるために敢えて私達にぶつけたのか? ──まぁ、そこはどうでもいいか。いざとなったら()()()を使うことも考えなきゃかもな。……メチャクチャ嫌だけども!)」

 

 特級2人を相手取るのに博打みたいな縛りをしたコピーで羂索が薨星宮へ攻めて来た理由は九十九の考え通りコピーを破壊させるためでもあったのだが、オリジナルの羂索はコピーを破壊される可能性は低いと見ていたため、破壊してくれたらラッキー程度にしか考えていない。

 

『以上の縛りを履行し、私は《再編領域》や《呪霊操術》などの膨大な情報を持つコピーを2週間まで短縮したわけだが──私のコピーを創る場合は、なんの縛りもなしでやれば数十、もしかしたら百年ぐらいは余裕で掛かっていたかもね。これだけ聞くと使い勝手が悪いように聞こえるけど、それに見合うメリットもあるんだ。一度破壊されたコピーは術式のストレージに保存されるんだよね。そしてパソコンと同じで、例えコピーが破壊されようとストレージから()()()()復元が可能となる』

 

 九十九達の想像を超える最悪な情報が羂索自身の口から齎され、術式の説明が終わる。

 凡百の術師ならば、自身のコピーをいくら出そうと術式はコピーを創る一つだけ。手数が増えるメリットがあるが、オリジナルと共闘する事が出来ない上に命令する事も出来ない。縛りを使わなければコピーするのにも十数年掛かる。一度コピーすれば何度も復元できるが、前提条件が厳しい割にメリットが薄い術式、と評するのが妥当だろう。

 だが、《再編領域》と《呪霊操術》を持つ羂索のコピーが何度も復活する事が可能ならば? 

 

「……いや、まだだ」

 

 敵対者からしたら悪夢でしかないだろう。

 

「させん!」

「──いや、攻撃は無意味だ! それよりも天元! いつまで時間を掛けるつもりだ! 早く私たちを空性結界から出せ!(何回も復活可能とか、本当何の冗談だ! オリジナルが今いるこの瞬間、纏めて殺さなきゃ勝ち目が本当に0になるぞ!)」

 

 何もない虚空から羂索の新たな体が生成されていく。

 脹相はコピーが形を成す前に攻撃するが、放たれた血の刃は触れることもなくすり抜ける。

 この術式によって復元されるコピーは完全な形を得るまでは形を持たない。故に、形を成す前に物理的な破壊を齎すことは不可能なのだが、それを知るのはの羂索のみであり、縛りの説明をする必要はあっても術式の詳細まで開示をする必要がないため、羂索が九十九達に教える義理もない。

 

 現状取れる九十九達の最善手は空性結界から脱出し、九十九の最大火力で何処かに潜んでいるオリジナルごと纏めて殺すこと。

 オリジナルが存在する限りコピーが無限湧きする可能性があるのならば、この方法以外に九十九達の勝ち目は絶対にない。

 

『少し関係ない話にはなるけど、呪霊にもこの仕様は適応されてね。この術式の仕様と別の術式を併用して使うと呪霊をねずみ算式で倍々にすることが可能になるんだ。私の構築した呪霊生産工場の根幹システムとして大いに役立ってくれてるよ』

「──まだだ。もう少し待ってくれ」

『実は《死滅回遊》に放り込んでいる呪霊の大半はその工場製なんだ。ま、コピペの時間に関しては縛りを使って、時間による劣化がない呪霊だからこそ出来るズルをしたんだけど、本当に関係ない話だから説明はしないよ』

「九十九! ここからどうするんだ! 奴のコピーの方が早いぞ!」

「脹相、乙骨君よく聞け! ひとまず、この場から逃げなきゃ話にならない! 天元の準備ができるまで耐えるぞ!」

『③④⑤の縛りに私が追加した()()()()()()()()()()()()()()()()()()はあくまでもコピペ時間の短縮のためだから、今後は不要になる。因みに、コピーはインターバルを挟まず何回でも術式のストレージから復元可能だ』

「──では、コピーの私ともう一戦してもらおうか」

「……くそっ。泣けるぜ」

 

 羂索のコピーが再び空性結界内に現れた。

 

「《百斂》・《穿血》」

 

 第二ラウンドの戦いは脹相の《穿血》から始まったが──

 

「芸がないね。そして──」

「なっ!」

「もう《模倣》は使えないのかな?」

 

 羂索は《穿血》を最小限の動きだけで躱し、体勢が少し崩れたところを狙って乙骨が刀を振り下ろすが、いつの間にか繰り出していた少女型の呪霊がそれを防いで刀をへし折った。

 

「じゃあね」

 

 少女型の呪霊の火を操る術式により顔面を守るため前に出された乙骨の両腕は消し炭にされ、トドメに顔面を焼こうとするが、乙骨の危機に現れたリカが間に割って入り盾となった。

 

「一応聞くけど、まだやるかい? 正直なところ、私に勝てるとは思ってないだろう?」

 

 両腕を消し炭にされた乙骨は既に意識を失っており、この戦いに再び参戦することは出来ないだろう。

 羂索は九十九と脹相に目を向け降伏を促すが──

 

「──クソっ!(非常に腹立たしいが、奴の言う事も正しい。……今の俺に奴を殺し切れるか?)」

「やめると言っても、どうせ殺されるだけだろ?(まずいな。本当にまずい。実質残機無限の相手に正面戦闘を仕掛けても私とお兄ちゃんだけじゃ勝てる気がしない。()()()を使うにしても、私が一度死んだフリをするか、奴をワザと天元の所まで行かせる必要があるが──)」

「いや、正直なところ君達の命にはそこまで興味がなくてね。()()()()()を考えると、むしろ生き残っていてもらった方が今後のためだとも思ってるんだ。先生の()()で死んでないなら、実力は最低限あるってことだしね」

「未来? 貴様は何を言って──」

「天元に頼んで逃げるといい。別に騙して追い打ちをかけるつもりもないよ。なんなら縛ってもいい。今のコピーの私に君たちに殺されたコピーの記憶は引き継がれているけど、君たちが勝てる確率は万に一つもないだろうしね」

「……その言葉に嘘はないな(天元が間に合わなかった以上、やっぱり()()()を使うしかないか。既に仕込みは済んでいるが──クソッ。マジで嫌だが、やむを得ないな)」

「正気か!?」

「私を信じろ、脹相」

「……くそっ(何で俺はこんなにも弱い。もっと、俺に力があれば……っ!)」

 

 九十九の発言に脹相は正気を疑うが、覚悟を決めた瞳で見つめ返され、何も言い返せなかった。

 

「じゃあ、私は天元の所へ向かわせてもらおうか。あ、そこに転がってる乙骨はまだ息があるみたいだし、早く治療してやった方が良いかもよ?」

「待て、その前に縛りだ」

「さっきはあぁ言ったけどさ。別に私は君達を殺しても問題ないんだけど?」

「やってみろよ。けどな、私にはとっておきの自爆技がある。それも、()()()()お前を道連れにするほどの自爆技がな」

「ふーん。嘘なら大したものだけど。──いいよ、私を殺してくれたお礼だ。縛りを結ぼうか」

 

 こうして、羂索と九十九達の戦いは両者が縛りを結んだことで終了した。

 オリジナルの羂索が何処に潜んでいたのか、どのようにして空性結界にハッキングしたのか不明な点は多々あるが、九十九達の敗因は空性結界のハッキングをどうにか出来なかった点に尽きる。

 術式の縛りの説明の段階で逃げる事が出来ていれば九十九達にも勝ち目はあっただろう。

 

 尤も、それは《予言の書》を考慮しない場合だ。

 

 《予言の書》にこのタイミングで羂索が死ぬ記述はない。

 無論、羂索は《予言の書》のことは嫌っており予言を覆す事を目的としているが、()()()()()予言を覆す事が出来ないとを認め、認めた上でその仕様を利用することにした。

 故に羂索は博打染みた縛りをしてコピーを創り、薨星宮に攻め入ったわけだが、《予言の書》を知らない九十九達がそれを知る由もないだろう。

 

「さて、久しぶりのご対面だな。……くくっ、まさかそんな面になっているとはね。宿儺でも意識して肉体を変化させたのか?」

 

 羂索が九十九達と結んだ縛りは3つ。

 

「いや、この変化は私の想定外だ。コピーの君に言うのも何だが、ここ数年で随分と腕を上げたようだね。まさか、空性結界にハッキングを仕掛けられるとは、君の結界術の腕は既に私の上のようだ」

 

 ①コピーとオリジナルの羂索と葛飾美不二は九十九由基・乙骨憂太・脹相の3人に対して11月14日の現時刻から24時間の間、一切の攻撃を禁じる。また九十九由基・乙骨憂太・脹相も同様に今から24時間、コピーとオリジナルの羂索と葛飾美不二への一切の攻撃を禁じる。

 

「あぁ、コピーの情報はストレージに戻ればオリジナルに共有されるから何か伝言があったら伝えておくよ。ところでさ、1つ引っかかるんだけど。私のハッキング、アレ本当は()()()()()()()()()()?」

 

 ②反転術式で乙骨憂太の両腕を治すこと。そして、脹相の兄妹である呪霊達を解放すること。その代わり、九十九由基の術式情報の全てを開示し、《星の怒り》による自爆技を使う事を永久に禁止する。

 ──とはならず。脹相の兄妹に関しては《死滅回遊》の結界内にいる呪霊は好きにしてもいいが、ストックしてある呪霊の解放は普通に断られた。

 

「む、バレてしまったか。《予言の書》を知る君は把握しているだろうが、今のこの状況が欲しくてね。少しばかり演技をさせてもらったよ」

「……やっぱりか。既にお前は()()()()()()()()()?」

 

 ③羂索のコピーとオリジナルは縛りを結んだ後、空性結界へのハッキングをやめ、11月14日の現時刻から24時間の間、九十九由基・乙骨憂太・脹相を結界で閉じ込めるなどの手段を用いて逃走の妨害をする事を禁じる。その代わり、九十九由基は自身の式神である《凰輪》を羂索に譲渡し、左腕を渡すこと。尚、左腕は反転術式によって回復する事を永久に禁じる。

 

「何で分かるのか──は、野暮な質問だな。天元の自我は、既に2()()()()()に塗り潰されている。接続するために進化の進行を待っていたのもあるが、()()()()()()()()のには思いのほか時間がかかってね。君が夏油の姿を変えず、コピーなどの準備をしなければ、まだ自我が塗り潰される前の天元を捕えることが出来ただろうね」

「──天元は最後になにか言ってた?」

「……特に何も?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──九十九。この後はどうするつもりだ? 悠仁達と合流して《死滅回遊》に参加するのか?」

 

 反転術式で両腕を治されても意識までは戻らなかった乙骨を背負う脹相は、左腕を失った九十九に話しかける。

 

「──あぁ、そうだね。だが、今の私達では《救世主(メシア)》には勝てないから、私は私で準備を進めるとするよ。天元から預かっていた《獄門疆・裏》は君に預けておくから、五条悟に関しては君たちに任せた」

「……九十九?」

 

 この伝言を残した後、九十九由基は別行動を取ると言って姿を消した。

 別行動を取る九十九に2人は違和感を覚えるも、《死滅回遊》を一刻も早く終わらせるために、脹相は虎杖達と情報の交換をするため東京第一結界に、乙骨は事前に取り決めていた仙台結界に単身乗り込みポイントを稼ぐ事にし、それぞれ別行動を取ることに決めた。

 

 虎杖達と合流した脹相は《獄門疆》から五条を解放させるために必要な天使と話し《獄門疆・裏》の消滅を頼むも、堕天──両面宿儺を殺す事を条件にされ、脹相がキレる一幕もあったが、虎杖の必死の説得で事なきを得た。

 

 乙骨は1日程体調を整えてから仙台結界に侵入。受肉体の泳者ドルゥヴ・ラクダワラ、《特級呪霊》黒沐死を祓い4つ巴に亀裂を入れる。

 その後は烏鷺亨子、石流龍を撃破。彼ら彼女らの術式を《模倣》しながらポイントを稼ぎ、獲得したポイントを虎杖が追加した泳者間のポイント譲渡のルールによって、伏黒へ譲渡した後、休む間もなく東京第一結界へと向かった。

 侵入してたったの1日で魔境の仙台結界を平定した現代の異能は、羂索との戦闘を経て更に成長していた。

 術式への理解、呪力操作、戦闘IQの向上。まるで黒閃を決めた後のような全能感。

 この異常な成長は乙骨の潜在能力が死闘を経て完全に開花したからか、それとも……。

 

 

 そして、乙骨からポイントを譲渡された伏黒は姉である津美紀を《死滅回遊》から解放するためのルールを追加する。

 しかし、100点を消費して解放されるはずだった伏黒津美紀は受肉体の泳者であり、肉体の意識は既に受肉した平安時代の術師・万のものになっていた。

 万は伏黒から譲渡されたポイントを使い、結界間の行き来を自由にするルールを追加。その混乱に乗じ、虎杖悠仁の肉体から伏黒恵の肉体に受肉した両面宿儺。

 宿儺は天使の片腕を切り落として戦闘不能に追いやり、虎杖と呪力から脱却し禪院甚爾と同じになった禪院真希の攻めを捌き、呪力出力などが著しく下がっている状態ながら終始優位に戦いを進めていた。

 

 しかし、その優位を覆す存在がこの東京第一結界には存在していた。

 

「よくも悠仁の指をもぎ取ってくれたな、両面宿儺ぁ!!」

「今度は、多少他より血の気の多い獣か」

 

 羂索との戦いで己の無力さを痛感し、更なる力を求めるお兄ちゃんが呪いの王・両面宿儺に挑む。

 





人物表

・羂索(JKの姿)
実は最初からコピー。以前言っていた呪霊生産工場のコピペする術式と同じで、コピペの術式を持つ呪霊は結構な数ストックしているため工場の稼働は問題なし。1人1つまでしか出せないが、メタルクウラみたいな感じの絶望感。
オリジナルが何処にいたのか、どうやって声を出していたのか。謎は残っているが、いつか明かされるはず。
コピぺの縛りはかなりの重めだが、死なない事が分かっていたから、メチャクチャ縛りを盛りまくった。でも無敵に思えるコピーには結構致命的な弱点があったりする。
実は真人に両腕がやられてなければ、護衛が付く前に天元の元へ速攻で行き捕獲。ロウかカオスルートに行ってた。

・九十九由基
自爆はやめて奥の手を使った。奥の手とは一体?
しばらくは単独行動。

・乙骨憂太
両腕を炭にされたが、縛りで復活。その後は絶好調で2日(1日は休養と移動)で仙台結界平定。かなり絶好調のようだが……
ちなみに本当は魔虚羅は出せない。ただのブラフだった模様。伏黒から宿儺についての話を聞いている時に、羂索なら通じるかもと思ってこの作戦を実行した。

・脹相
お兄ちゃんパワー不足。流石にまだ今作の羂索には勝てない。宿儺との戦いが始まる。

・天元
色々と不穏。描写されていないが、肉体には欠損している箇所があったそうな……。

・両目宿儺
原作通り伏黒の体を乗っとる。裏梅は来てくれるかな?


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