自分の事をNTRエロゲの竿役だと思っているおじさんVS幼少期から光源氏(動詞)されたが嫌いになるわけないシスター 作:心理的継続性を持つおじさん
何がアレって税法改正とか103万の壁とかで税額控除のアレコレのせいで死ぬほど働かされてる!せめてもう1,2か月前に導入して!年末調整とかでただでさえ忙しいのに重なるからいつもの仕事がどんどん後回しになる!
嫌な事を思うと時間が早く感じるのは人間としての一つの機能なのだろうか?
あっという間に過ぎ去ってしまった1か月はおじさんとシスターにありとあらゆる時間選択を迫った。何をして、何をしないのか。膨大な二者択一に追われた二人は改めて人生の短さというのを骨身に沁みて理解することになる。そう、何もかもが足りないのだ。
例えば交通、街道は常に人が行きかう状態になっており魔物が道に寝っ転がるどころか交通整理をするほどだった。狼型の魔物が道からそれた人に吠えることで矯正する姿は牧羊犬そのものだろう。熊が人一人なら抱き上げて圧し折るくらいできそうな腕を振り回して十字路の交通整理をしている。やっぱり仲が悪いのでそこかしこで喧嘩が起きるのだ。それを仲裁するのはあまりにも歪な進化を遂げた鹿さんであり、その独立して浮遊するトラペゾヘドロンのような角を互いの前に突き出すという非常に危ない仲裁をしている。
そんな様相がそこかしこで起きているのだから、運営のトップであるおじさんと主役のシスターはDoTダメージの如く削れていく胃の内壁に耐えながら出来る限りのことをやっていた。それに、シスターさんには魔法と言う力があり、魔法と言うのは夢を見るためのものだから、凡そありとあらゆる事が出来るとされている。持続力に欠ける面もあるが掛け続ければ問題なかった。おじさんとシスターは胃が痛まなかったという夢をずっと見続けているのだ。
「仕入が足りないッ!これじゃあ民の生活すら立ち行かなくなるぞ!」
「プレイス様!服がっ…服がトラブルで届かないって今!」
「衣装がっ!?どんなトラブルだ!?」
「サイズミスだって!」
「魔法でサイズを合わせるしかないだろう…!」
「あ、あともう宿がパンクしかけてるって担当の人が言ってた!」
「もうか!?部屋…部屋ぁ……!」
「魔法!?」
「それしか……ないか……!」
魔法は凡そありとあらゆる事が出来るとされている。夢を見るためのものだから、服のサイズ調整や部屋の増設等お手軽にやってのける。帝国が喉からマジックハンドが出るほど欲しがる能力はいかんなく発揮された。だがしかし、魔法でも解決できない問題と言うのは往々にしてあるものである。
「……はぁ………はぁ…………」
シスターさんはゼイゼイと息を切らし、片手を壁につき、背中に手を当てて数分、動くことすらしなくなった。ここにきて日頃のニートによる体力のなさが響いてきているのである。此処まで働くことは今まで一度もなかったから、初めての8時間労働に肉体よりも精神が悲鳴を上げ始めたのだ…!
魔法は凡そありとあらゆる事が出来る。だがそんな魔法でもどうにもできないものがある。それは精神だ。もっと言うと行使者本人の心を守れるようには出来ていない。疲労やストレスによる胃痛は肉体を騙すことでどうにか出来るものの、シスター本人の心まではどうにもできない。なぜなら、魔法は魔物達が夢を見るためのものだからだ。他者の心を覗いて間接的に夢を見ることは出来るものの、それをどうやって自分も見るのかわからないから生まれたのだ。夢を見るためのものなのに、使う本人の心が夢の恩恵を得られない。夢には基準が必要だから、基準点となる行使者本人だけは変える事が出来ない。
人間が夢から覚めるのは、夢を見るのがとても体力を使うことだからだ。夢はもう一つの世界であり、その中を生活しているに等しい。起きている時でさえ疲れることが多いというのに、夢の中でも生活を続ければ壊れてしまうから、夢を見たとしてもすぐに忘れるように出来ている。容量が足りなくなるのでメモリから削除しているということだ。
上に則るならばシスターは現実に夢という二つの世界をずっと見続けている。それはメモリをドカ食いする行為であり、具体的に言うとオープンワールドゲームを二つ起動した上でタブを大量に開き、音楽を再生しながら編集作業を行うという途轍もないものだ。ファンはひっきりなしに周り、触れば火傷しそうなほどの熱を発している。異音は止まらないし、画面はしょっちゅうフリーズする。大体そんな状態が今である。
人間に再起動等と言う便利な機能はついてない為、こうして人力フリーズで冷却している最中なのだ。
そして、魔法は夢を見るための物であり、夢にはいくつかの種類がある。明晰夢、白昼夢……その中の一つに予知夢というものがある。まるで未来を見たように、夢で見た世界と現実世界がリンクする代物である。
魔法の使い過ぎで処理落ちしたシスターメモリは予知夢を誤作動した。
「ん゛ん゛ゥ!!」
シスター以前に女性が出してはいけない声を出して視界を瞬かせたシスターは数多の世界を観測した。
『ワタシが帝王だッ!下剋上ゥーッ!!』
なぜか自らが帝王を宣言する未来
『……ゴリラ?』
帝国の未来を背負うにはあまりにも野性味あふれる人類の親戚
『通るかこんなもん!』
外聞をかなぐり捨てたおじさんの叫び
『私のー!わーたーしーのー!』
そして、知らない女がおじさんに張りついている姿………
「浮気ィィィー!!!!!」
全てをぶん投げた絶叫、すぐに途切れたのち、
「ふぁっ」
ついに限界を迎えたシスターはバタンと倒れる。もう限界だったシスターは未来の映像がトドメとなったのだ。それが複数ある世界線で起きた出来事なのか、あるいはこの時間軸で全て起きることなのかはわからない。だが確実に言えることがある。
おじさんに危機が迫っている。そして、それはもうすぐそこまで来ているのだ。
シスターが倒れたことによって魔法が途切れた。それによりジクジクと痛み始めた胃をさらに痛めつける要因におじさんは出会っていた。
「ねぇ、良いじゃない?」
肩を組まれ、胸へ円を描くように擽ってくるのは綺麗な女性だ。前世で会った仕事が出来る女社長やバリキャリがこんな感じだったような気もする。半ば現実逃避しかけていた思考を引っ張り出したのは女性の長い爪であった。首筋を撫でるように当てられた爪にヒヤリ、肝が冷えていく。
「い、いやぁ。私は此処を離れる事が出来ない故…わ、わかってくれるだろう?貴殿とも長い付き合いだ」
「あぁ…まぁ、ね?確かにもう…10年?早いね時間は。でも10年経っても未だ部屋にすら入れてくれないのはつれないとは思わないかい?」
「お、男の部屋に淑女がみだりに入るものではない……それに、あまり部屋に入れたくないんだ。わ、わかるだろう?男としてはね」
「器量のいい女は秘密の一つや二つ黙って見過ごすもの…と言うのは古い考えかな」
「い、いや、良い心がけだと思っているよ。秘密は誰しも抱えるものだからね」
「そう、そうかな?抱え続けるのも苦だろう?」
「ひ、秘密だからね。秘密にしておく理由があるさ。それが恥ならな、尚更ね」
「ふぅん…わかるよ。秘密は女を美しくするというからね。尤も、秘密は暴きたくなるものだ。暴かれないように注意しておくといい」
「ご、ご忠告感謝する」
魔性、あるいは
「き、貴殿に会えてとてもうれしいよ、帝国元老院主席殿」
「君との仲だ。名前で呼んでくれ給えよ、それとも私の名前が呼べないのかい?」
「い、いやいや…!とんでもない。キーウィターティス殿」
「久しぶりだね、プレイス」
滲み出た冷や汗によってぐっしょりと濡れた手をとっさに引っ込めようとしたのを掴まれ、ぐいっと女の首元に持っていかれる。肩を入れ込むような体勢になったおじさんは突然の事に踏ん張ろうとしてしかし、異常なほど強い体幹の前に支えられる。
汗で気持ち悪いであろう手をそのまま口元に持っていきキスをする様は大層絵になる姿だが、おじさんにとって恐怖以外の何者でもなかった。
キーウィターティス、本名キーウィターティス・マルクス・ルキウス・マメルクス。皇帝を据える帝国において、執政官という内政の最高権力者を選出する事が出来る……つまりは政治をコントロールする事が出来る強大な権力を持つ元老院、その主席にしておじさんと国境でバチバチにやりあっている領地の出身者であり実質的な統治者でもある。
年齢、不明。生まれた時代、不明。どれだけ遡っても歴史の要所要所で顔を出すことから吸血鬼やそれに類する者ではないかと噂されている帝国きっての女傑。事あるごとに何かしらの理由を付けてダル絡みしてくるシスターとは異なり、別方面でダル絡みしてくる。
嫌に白い頬は血の気が無く、かといって血が通ってないのかと言われればそうではない。寧ろ、血が通うと白に朱が目立つのだ。ちょうど今のように。
ペロリ、紅い舌で唇を湿らせたキーウィターティス……キーウィはその白い頬を紅く染め、譫言のように囁いた。
「それで、いつ血を飲ませてくれるんだい?」
生粋のカニバリストであり、おじさんを二郎系ラーメン扱いするヤバい女である。
本当に申し訳ないけど3月いっぱいまで不定期になるかも……