自分の事をNTRエロゲの竿役だと思っているおじさんVS幼少期から光源氏(動詞)されたが嫌いになるわけないシスター   作:心理的継続性を持つおじさん

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うっかり原作崩壊編おわりぃ!


うっかり原作崩壊編:今回の顛末を話そう。蝶が羽ばたいただけでは説明つかないほどの大惨事について

 さて、今回の顛末を話そう。

 蝶が羽ばたいた(バタフライ)だけじゃ説明できない大惨事(エフェクト)を。わかりやすいように(正史と書くとまるで聖女ちゃんがNTRされることが正しい史実と思われそうなのでここでは)IF世界線と比較して見ていこう。

 

 まず、前提として。IFの帝国編、物語の醍醐味はというと存在しないとされる秘密の皇帝(十四の言葉ではない)が聖女様をNTRするのだ。もちろん、この秘密の皇帝はIFの魔王(聖女ちゃんではない)が据えた傀儡である。キーウィは所謂裏ボス、黒幕としての役割が強い。もちろん、キーウィルートはあり数少ない百合NTRルートとして親しまれている(?)

 

 だが現実問題そうはならなかった。秘密の皇帝は未だ秘されたままであり(選ばれていないだけともいう)キーウィ百合ルートは消滅した。後者で言うとおじさんは百合の間に挟まるおじさんということで万死に値するかもしれないが、それを言うなら正shゲフンゲフン、IFでも騎士はいらない子にされていたのでその扱いは押して計るべし。

 

 兎角、おじさんは百合の間に挟まる男となった。此処だけ聞くと語弊を招くかもしれないが、二人の矢印はおじさんに向かっているので絵面はハーレムであり、事実は二つの爆弾を抱えられて隔離された哀れな職員Bだ。

 

 爆弾は一先ず置いておき、IFの世界線では奴隷問題が主軸となる。この奴隷問題については社会問題にもプレイ的な意味でも含まれている。エロゲーによくあるプレイに踏み込みながらも、賢者タイムで急に冷静になったんかと思うくらい社会的問題にも焦点を当てているのだ。

 

 奴隷は善か悪なのか。エロゲーに必要ないと思われるだろうが、このエロゲーにおいては大体プレイの後に挟んでくるのでヌキが目的の人はそこを飛ばせばいいし、社会情勢に目を向けることができる賢者共は意外にも多い。

 エロゲー販売サイトやSNSではエロの感想と共に社会情勢に触れている者も多いためにエロゲ賢者の議定書と呼ばれている。元ネタは『シオン賢者の議定書』であり、偽書として悪い方向で有名なものだ。エロゲープレイヤーが真面目に語ってる様を偽書扱いするそのセンスは評価されているものの、元ネタの背景が背景だけに大炎上した忌み名でもある。

 

 プレイについて話すと聖女ちゃんが奴隷扱いされて、奴隷の刻印を入れられたり、調教されたり、心を折られるような仕打ちをされたりと大体よくあるプレイだ。騎士が助けに来た時にはもう遅く、完璧な堕ちっぷりに劇的ビフォーアフター呼ばわりされている。迫真の犬の鳴真似は本物に迫るほどで『ワンワン』などではない『バウッ、ワゥッ、ウ"ゥ"』というモノホン染みたの声で吠えるのだ。エッチではなく尊厳破壊に注力しているといえよう。

 

 もちろん(?)犬になってしまったので本物の犬とのプレイだってある。魔王(聖女ではない)のパゥワーで子犬を生まされるルートもある。だてに凌辱物エロゲーの☆4.3評価はもらっていない。なお残りの0.7は百合過激派とヌキの後に挟まる社会問題提起(賢者タイム)の批評である。

 

 

 さて、長々とIFの世界について語ったがそれらと照らし合わせてみるとどうだろう。

 

 

 まず、魔王(聖女ではない)が居ない。よって存在しない皇帝は存在しないままだ。

 次にキーウィが暗躍するはずだった色々はおじさんのラーメン血液によって破壊された。寧ろ、おじさんが帝国で暗躍しようとしている。

 最後に聖女ちゃん様が暴走して帝国のお偉いさんに手を挙げたばっかりに両国の国民感情は最悪なものに……

 

 ならなかった。

 

 なぜか、キーウィもとい不死吸血鬼擬きが耄碌したと思われたからだ。

 それはそうだろう。あの場にはキーウィ以外の役人方は居て、双方の役人達がキーウィの発言を聞いている。キーウィの力があればその場にいる役人共の口を永久に塞ぐことも容易だが、それをしてしまうと必然的におじさんも永久に口を塞がれることになる。もちろん、マウストゥマウスであるなら致し方ないと嬉々として塞ぎにかかるが、残念なことにマウストゥナイフだ。このマウストゥナイフは決して世紀末モヒカンがナイフを舐めるようなものではないことを記載しておく。

 

 そんなわけで隠蔽工作が出来なかったためについにキーウィが耄碌したのだと思われたのだ。1世紀以上生きているが耄碌しないわけがないのだ。寧ろ、よく1世紀保ったなとさえ思われる。ここから先、キーウィは黒幕ではなくご隠居さん扱いされていくことになる。国の有事で責任者が意見を求めに向かって、小難しいことで煙に巻きつつ真理を突く役割だ。

 

 ようやく介護施設にぶち込める。役人たちは意気揚々だった。もちろん介護施設ではないのだが、それでも1世紀以上政治のトップの椅子に座り続けていたのは役人達にとって苦々しいものだったのだろう。いつまでたっても免許返納しない高齢者を見る目をしていた。それがようやくちょっとした事故を起こしたもんだから、これを機に免許返納しよう!と一転攻勢に掛かっているのだ。うまくいけば介護施設に入れることだってできるかもしれない。

 

 キーウィは嫌われていたのかというとそうではない。逆に好かれ過ぎたのだ。長年政治のトップに居座り、国を動かしてきた英傑をどうやって嫌いになれというのだ。ただ、居座りすぎた。長く就きすぎたのだ。

 帝国の役人達にとっては『もういいでしょう!もう働かなくていい!貴女が働いてしまうと下の者が休めないんです!』というようなことになっている。実際、トップがずっと働いているようなものだから、下が休む暇なく働いており、帝国における役人というのはブラック職だと認識されている。

 

 帝国のお城は不夜城だ。役人たちの命の灯が帝国の夜をずっと明るいものにしている。そんな彼ら彼女らはずっと求めてやまないものがあった。

 

 休みが欲しい。切実に。

 

 倒置法を使ってしまうほどに切望する休日を前に帝国の役人たちは一致団結した。たった一回転倒しかけただけというのに、一斉に介護施設に入ろうと言ってくる愛すべき子供達(帝国役人達)にキーウィは成長と、ちょっとした恨みを抱えて隠居することになる。まだ働けるというのに老人を追い出して楽しいのかと。

 

 ただ、いつまでも年のいった者が居座ると会社の気風が変わらず苦難するように帝国は変革の時期を迎えたかった。そのためには1世紀以上前の気風を通し続けてきたキーウィに外れてもらうしかなかったのだ。ようやく休むことができる。そんな意識が9割を占めている事には目を瞑っておく。社会は本音だけでは回らない。だからこそ建前が必要であり、根回しと呼ばれるものが横行する。それは社会を円滑に回すために必要なものだ。

 

 利害の一致で敵同士が協力するという熱い展開は、その実休みの為という理由を伏せればかっこよく映るように。

 

 このようにキーウィが暗躍する未来はなくなり、原作は崩壊した。キーウィの助けなしで世界を支配しなければいけない魔王(断じて聖女ちゃん様ではない)のハードモードが決まったが、それは預かり知らぬ話であるため割愛する。

 

 話を戻そう。一方、キーウィにとって嬉しいこともある。

 

「ねぇ、今日はお散歩に行こう。今日は綺麗な満月らしいからね」

 

 隠居するという事は、おじさんにダル絡みしやすい立場になったという事だ。あの後、聖女ちゃん様に蛇蝎の如く嫌われたが、定年というには長すぎる仕事を退職したのもあってキーウィは暇で暇でしょうがなかった。そのため、おじさんの領地に旅行と称して遊びに行くのは時間の問題だったのだ。

 

 だが人生そう上手くいかないものである。

 

「……キーウィ殿。私は今貴女と聖女メレアで倒壊した施設の再建に忙しいので帰ってはもらえないだろうか」

 

 おじさんは遠慮を捨てていた。

 この御仁は素晴らしく“邪魔”だとおじさんらしくない認識をしていた。良い見方をすればおじさんの懐に飛び込めたキーウィの勝利であるが、果たして野犬=キーウィの認識が良いものかどうかは検討に値するだろう。野犬とて可愛い仕草をすることもあるが、野犬は野犬だ。狂犬病の怖れがある。実際に噛まれたら吸血鬼になりそうだなと思いながら血を吸われているので密かに健康診断を増やしているのは内緒だ。吸血鬼菌がないとは言いきれない。もしかしたらウィルスかもしれない。もちろん、特効薬などないのだが検査をするのとしないのとでは安心力は段違いである。その過程でストレスで異常進化を遂げた胃腸に愕然とするのはまた別の話だが……。

 

「ガルルルル」

 

 一方、人を捨て犬と化している者はもう一人居る。我等がヒロイン聖女ちゃん様だ。IF世界線でモノホンの犬さながらの威嚇をする聖女ちゃん様は非常に珍しいことに人でありながら犬として高いポテンシャルを持ち合わせている。犬に即調教されるということはそれだけ犬適性が高いという裏返しだ。その隠された才を遺憾なく発揮した聖女ちゃん様は現在、魔法によって犬耳と犬尻尾を生やしている。

 

 思い込みが人間を変えるように、自分はおじさんの"愛”犬であるという強烈な自負が魔法による自己変化を引き起こしたのだ。尤も、たまにいきすぎて本物の犬になってしまうことはご愛敬であれ(強調)(圧力)(誤字ではない)。

 

 この時、変化する犬種は様々だがその多くはチワワであることが多い。カッコいいところを見せたいときはウルフドッグになるのだが、たまに柴犬やゴールデンレトリーバーになる。その時の心情が犬種に反映されるようになっているのだ。

 

 そんな摩訶不思議生物と化している聖女ちゃん様(犬)と隠居吸血鬼擬き(野犬)に囲まれたおじさんはその両手を噛まれてデスロールをカマされている。デスロールは別にワニだけの特権ではないのだと知らしめるように。おじさんの両手を掴んで、全力で左右に振り、千切れやすくしたところをデスロールする様は人に寄り添う生物としてのプライドを疑う必要があるだろう。

 

 お手を指示、持ってかれた、両腕を

 おじさん、心の一句

 

 全力でペケを付けられるような一句を詠んでしまうほどに窮地に陥ったおじさんはおざなりに飼うことを了承した。子供が持ってきた子犬を見捨てられないからとおざなりに世話することを認める親のように、どうせ世話をするのは自分だろうなと思いながら、家族が買ってきたペットに『ちゃんと世話できるの』と問いかけるように。

 

 もちろん、両腕を持ってかれたというのは比喩表現ではない。現に今、おじさんは大変ワイルドな服装になっており、具体的に説明すると両袖を千切られてノースリーブになっているという大変ファビュラスな恰好をしている。

 

 試しに「ワイルドだろぉ?」と言ってみたが若い子には通じなかったし、そもそも世界からして別だった。おじさんのネタはどの世界でも通じないものなのか……。しんみりしているおじさんだったがそれ以前の問題だ。まず、地球にてス〇ちゃんを履修する必要がある。

 

 閑話休題(それはさておき)、現状を端的に説明するとだ。二匹の犬は自分こそがごしゅに愛される存在だと主張しながら部屋にティッシュをばら撒き、クッションを八つ裂きにして撒き散らす部屋の惨状を見たおじさん。

 

 言語は大変便利なもので今のおじさんの気持ちを一言で表せる言葉がある。

 

 骨折り損のくたびれ儲け

 

 入念に準備を重ねたはずなのにすべてを台無しにされ、それなのになんだか有耶無耶にされた上、二匹のじゃじゃ馬ならぬじゃじゃ犬を押し付けられたおじさんは徒労の二文字を頭から追い出せなかった。おじさんとて社会人だ。準備の8割が無駄に終わる経験も一度や二度ではない。だが、準備の9割を無駄にされた上、なあなあで終わらせられると対応がおざなりになるのも無理はなかった。

 

 事の顛末としては耄碌したキーウィの発言に切れた聖女様のご乱心ということで双方に非があるとされ、引き分けになった。もちろん、おじさんが皇帝になるという話もなかったことにされた。ハッタリで言った事なのでそこだけはホッとしたがそれ以外の様々な交渉はすべて白紙になった。

 

 おじさんはノースリーブのままFXで有り金全部溶かしたような顔をしている。その両腕は犬二匹に噛まれ、本当に、物理的に、腕を持ってかれようとしているのに虚無顔のままだった。

 

 おじさんが裂けるチーズにならないように両側から光学迷彩した魔物達が中心へ押し込んでいるが、そろそろ限界だ。両腕が脱着式になってしまう前におじさんを呼び戻さなければいけない。

 

 しかし、心ここにあらずといった表情のおじさんが帰ってくるのはまだ掛かるだろう。終いには腕が嫌な音を立て始めたことに気付いた魔物達は全力で腕を押し戻そうとする。

 

 赤組(キーウィ)が勝つのか、白組(聖女メレア)が勝つのか、綱(おじさん)が切れるのが先か、救護班(魔物達)が耐え凌ぐのか。

 

 綱引きだというのに驚異の四つ巴になったこの人間綱引きは未だ始まったばかりだ。なお、おじさんの耐久力は考慮しないものとする。

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