自分の事をNTRエロゲの竿役だと思っているおじさんVS幼少期から光源氏(動詞)されたが嫌いになるわけないシスター   作:心理的継続性を持つおじさん

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ソレは病のように移る。治るかどうかも未知数な難病だ。

「クソッ!」

 

 おじさんは走っていた。

 

 自らの怠慢の証である贅肉が今は酷く恨めしかった。身体は重く、息は上がって口から漏れる。足にたまっていく乳酸が酷く不快で、止まってしまえばもう歩く事すら出来なさそうだったから走り続けるしかなかった。

 

 どんな真面目な人間でも、どんな有用な人物であろうとも一つや二つの欠点はあるだろう。それは別に最初から開かれた恒常的に効果を発揮するような永続タイプではなく、罠カードのように伏せられた、または手札から発揮されることもある。

 

 おじさんは相手の手札誘発『遅刻』を発動された。おじさんの初動は()()()かな日差しによって止められたのだ。それによってものの見事に今日、予定されていた会談をブッチしている。かれこれ十数分ほど過ぎているのだ。これは周囲のおじさんを知る人達にとって非常に珍しいことであった。

 

 しかし、この世に無意味なことがないように、おじさんの遅刻も仕組まれたものであることを先に明言しておこう。おじさんに非がないのかと問われれば口を噤むが、大きな要因はその他にある。それは様々な要因が絡み合った結果であり、それぞれの思惑が悪い形で重なり合ってしまった故のものだ。

 

 まず、シスターが遅刻した。

 

 悲しいことにシスターは朝に弱かった。今回の会談はシスター、おじさん、騎士の王国側と隣国領地を統治しているキーウィとお偉方の帝国側、そして真の意味で共和制を発揮している多民族国家である通称:共和国から選ばれたお偉方達である。

 

 現代地球で言うところの日米首脳会談に近いものであり、それぞれの国で重要なポストに就く人間を集めて色々相談しようというものだ。

 

 しかし、この会談。とても不吉なものとされている。

 なにせ、三国のお偉方が一か所に集まる為、諸共爆破してしまえばそれで国に大ダメージを与えられるからだ。残念なことに今の時代は上層部が利権を貪り、国民がそれなりに損をする形態になっている。そのため、不満の種がなくなることはないし、革命を画策する者は少なくない。

 

 よって一度爆破された事例があるこの三国会談は、国にとって重要なポストに就いているが、テロや爆破されても死なない、あるいは死んでも問題ない人物が当てられるようになった。前者はキーウィやシスター、後者はそれ以外の人物である。騎士くんは一応シスターの護衛である為、序でで殺されることになる。可愛そう。

 

 なぜ一度爆破されてるのに続行されたかというと代替案を用意出来なかったからだ。この時代にインターネットなどという便利なものはなく、話し合いをするなら顔を突き合わせるしかない。

 

 そんな殺されることが決まったわけじゃないが、それはそれで殺される可能性が高いこの会談は参加する全員の足取りを重くした。とりわけシスターは自分自身の堕落もあるのだが、おじさんの身の安全を考えると普通に行きたくなかった。誰だって好きな人を死ぬ可能性がある場所に行かせたくないだろう。

 

 この時、本当に奇跡のような確率でシスターは出る予定の時間1分過ぎに起きるという快挙を成し遂げたのだが、自分自身のだらしなさならば……!と考えたシスターは二度寝を敢行した。

 

 そしていつも通り遅刻したシスターはおじさんの事を考え、とある魔法を行使した。明晰夢だ。詳細は省くが大体神のようになれる魔法である。持続力に欠けるものの基本的に何でもできる。よって、おじさんと序でに騎士くんも遅刻するように睡眠時間を延長させた。

 

 こうすることで王国側の遅刻の責任は全員に分散する。なまじ危険な会談である為に全員がボイコットする可能性もなくはないからだ。可能性は低いが起こり得るくらいの確率である為、一人で遅刻するよりも全員が遅刻した方が事の大きさはそれほどのものなのだと相手に勘違いさせる事が出来る。 

 

「間に合え……!間に合……ぐっ、なぜこういう日に限って!!」

 

 しにそうな顔で全力疾走するおじさんが可哀想なことになっているがもう手遅れだ。いや、見方によってはまだ大丈夫なのかもしれない。王国側のおじさん含む遅刻はシスターによってなされたが、現に参加者全員が遅刻している。オフ会0人どころではない。主催者も居ない。それはもうやってないのと同じだ。

 

 用意された椅子だけが、まるでここに誰か座ってますよというように淋しく佇んでいた……。

 

 次に帝国側、キーウィはドカ食い気絶部に所属しており、往々にしてそのような人間は血糖値スパイクという特性をもっている。そして、昨日はおじさんから直に吸血するという医者ならば真っ青になる行為をしている。

 

 キーウィは吸血鬼ではない。吸血鬼ではないのだが、特異な体質の一つとして人体に含まれるタンパク質を完全に栄養源に分解できるというものがある。本来、人間という生き物は同族の血液を受け入れる構造をしていない。受け入られたとしても相応のリスクや条件を必要とするのだ。だが、それらの一切合切を無視してそのまま栄養にしてしまう力を持っている。

 

 また、キーウィは身体の中に別タイプの血を入れると起きる溶血や腎不全といった症状を原因不明な経緯を得て克服しているため血を吸うよりもヤバいことをし始めた。

 

 そう、静脈注射である。

 

 おじさんから気持ちよく血を吸っていたがいい加減ウザいとばかりに引き剥がされたキーウィは、採血を懇願、帝国で開発された注射器によって採血し、その血を自身の静脈に流し込んでトリップするという悪魔の所業に手を出した。

 

 言葉を選べば中毒者であり、選ばず言うとシャブ中だった。

 

 体内に直にカロリーを流し込んだキーウィはそのまま血糖値スパイクに類する症状を引き起こし、気絶という名の爆睡を決め込んでいる。帝国のお偉方の必死の叩き起こしさえ虚しく棺桶に引きこもっているのだ。ちなみに棺桶に引きこもっているのは引きこもりがカーテンを閉めて光をシャットアウトする奴の究極上位互換だと思ってくれて構わない。

 

 キーウィと愉快な仲間達の遅刻はこのようなものだ。未だに爆睡を決め込んで寝入ってる吸血鬼ニートに顔面土気色で起こしにかかる部下たちはそれはそれは悲しいことになっているが、キーウィにとって小鳥の囀りと何ら変わりなかったので暖簾に腕押し糠に釘だった。

 

 では最後の一国、共和国は一体どんな理由で遅刻したのか。

 

『貴様ァ……!計ったな!?()族のインチキ詐欺師共めェ!貴様の毛皮剥いで首に巻いてくれよう!』

『ハーッ!植物の言葉は何言ってるかわかんねぇなぁ!?光合成でもしてろよマ ヌ ケ が!』

『殺すぞ阿婆擦れッ!!』

『共食いでもして絶滅しろッ!』

 

 悲しいことに共和国は多民族国家だ。もっとかみ砕いて言うとアメリカと大体一緒ということになる。違う点としてアメリカよりも個々のパワーが強く、烏合の衆に近いということだ。

 

 もっとドストレートに言おう。

 共和国は大体戦国時代に入ったアメリカである。各民族は自らがトップを名乗りたいが他が邪魔をして結果的共和制になっている。今日の会議とて未だに代表者が誰かというところでもめており、もう当日にもつれ込んでいるというありさまだ。そして件のテロを主導したのも共和国の者だ。その時の代表者を他国の代表諸共に爆破して失墜させようというはた迷惑なテロなのだ。影で王国の革命を起こしたい組織の支援や帝国の今の政治に不満を持つ人々の手が入ったという話もあるが、主犯は確実に共和国の人間だとわかっている。

 

 ちなみに上記の暴言は()族と()族の言い合いである。()族は昔、牡丹という名前で呼ばれており、牡丹の花言葉は富貴や恥じらいといった意味を持つ。これを悪く言い換えるとデブと恥さらしであり、デブの恥さらしという差別用語になっているのだ。その為、現在で牡丹という言葉はNワードに指定されており、また()族を植物扱いするのもアウト寄りである。大昔、大飢饉で共食いした記録が残っている為最後の言葉は完全にゲームセットだ。

 

 また、()族への阿婆擦れ発言も男を誑かす種族として扱われていた昔を揶揄する差別発言であり、その毛皮が高く売れることから無残に殺される事件が多発したことも揶揄しているというこちらもゲームセッ、ありがとうございました案件である。

 

 そう、両者はカスにカスを重ねたような言い合いをしている。そしてそれが終わることはなく、それを見かねたある人物が重い腰を上げるのだった。

 

「煩いぞ、痴れ者共め……」

 

 赤い肌に額に突き出るは雄々しい角、野性的な出で立ち……端的に言えばパンイチの大男はくだらぬ喧嘩を収めつつ、小さくため息を吐いた。

 

 名をコンゴウ、()の一族に連ねる者であり、原作エロゲーの略奪からのレ〇プという王道コンボをキメるパワータイプ。

 

「プレイス卿……また一杯引っ掛けられんものか。」

 

 この世界ではおじさんのファインプレーもとい干渉によって今や2児のパパであり、最近下の娘が反抗期に入った苦労性のお父さんだ。

 

 そう、父親にとって最も恐ろしい出来事の一つ……『パパの靴下と一緒に洗濯しないで!』の類形を喰らい、無事、致命傷ですんだナイーブな赤鬼である。

 

 この反抗期に突入した娘さんがシスターさんと出会い、人生の師と仰ぐことになるとは露知らず、待機している娘に声をかけるのだった。

 

「やはりパパが行くことになったよ。行こうか」

 

 遅刻しているというのにその堂々とした態度はこれまでの対応が伺えるようだった。膝は擦り切れ、額の角は若干丸くなっている。

 

 とりあえず生の要領で土下座してきた共和国の苦労人は慌てない。おじさんに並ぶ歴戦の社会人の姿がそこにあった。

 

 そして声を掛けた者はシスターに負けず劣らず系統違いの美貌をしていた。

 

 真っ白な髪とまつ毛、雪のように白い肌にはちょこんと2本の角が生えている。()族と(セツ)族の間に出来た白い秘宝、大和撫子を体現したような振る舞いと子供のような無邪気な反抗心を父に持つコンゴウの可愛い娘だ。

 

 だがそれも今までだ。残念ながらこの姿は今日で見納めである。悲しいことにソレは病のように移る。治るかどうかも未知数な難病だ。質の悪い流行病のように掛かり、感染者を蝕み、後遺症を残していく。なまじ、対処療法が個々人によるので手に負えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、ニートは移るのだ。病の如く。

 




Q:なんで新キャラ?
A:パパ友を増やしたかったから……
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