最後に残った道しるべ   作:ジジイキャベツ

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武旦の魔女

クラスの子から噂を聞いた私はその放課後、私はすぐに佐倉さんの教会へと向かった。

教会は、以前の面影はまるでなく、外装だけでなく内装も荒らされつくしていた。

 

ソウルジェムの反応を辿ると、やはりそこには結界の入口が。

 

「...やっぱり、魔女がいるわね」

 

佐倉さんがここの魔女を放っておくはずがないが...まさか...!

 

(いえ、きっと...きっと、モモちゃんたちと逃げてくれているはず!)

 

きっと、魔女が思ったよりも強く、仕方なしに一時撤退しているだけだ。

私に連絡が無いのは、彼女が電話を持っていないだけだ。

 

そんな無理のある推論を信じ込むように己に言い聞かせ、私は結界へと足を踏み入れる。

 

「待ってて佐倉さん。すぐにこの魔女を倒してここを取り戻すから...!」

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

「っ...!?」

 

結界の中に入った私を迎えたのは、立ち込める霧と、充満する異臭だった。

 

(なによここ...こんなの初めて...!)

 

臭いに耐えながら、ソウルジェムの反応を辿っていく。

 

そして、私はこの異臭の原因を見た。見つけてしまった。

 

幾多にも積み重なる人間の胴体。

枯木に突き刺さった腐りきった頭部や手足。

床や壁に張り付いた、既に乾ききっている大量の血痕。至るところ・物にぶちまけられた内臓の一部。

そして、私の足元に転がる、腐りきった人々の遺体。

 

「ぅぷ...!」

 

結界の中で人の死体を見るのは初めてではない。

だが、それでもここまでの有り様は見たことが無い。私は、たまらず嘔吐してしまった。

 

(いったいなんの目的でこんな...)

 

気持ちを落ち着かせ、回廊を進んでいく。

 

武士のような使い魔が端に並んでいるが、私を攻撃するどころか、行く手を阻む素振りすら全くみせない。

 

不思議には思ったが、無用な戦いを避けられるのなら好都合だ。

 

使い魔を顧みず、そのまま奥へ奥へと進んでいく。

 

そうして、私は結界の主と対峙した。

 

主は、長槍を片手に華やかな赤い衣装を身に付けた細身の人型で、頭部は蝋燭に灯された火になっており、白馬にまたがってこちらを見つめていた。

 

 「あなたが彼らを...?」

「......」

「...聞くまでもないわね」

 

マスケット銃を構え、魔女に放つ。

 

しかし、魔女は幻のように姿を消し、私の弾丸は空を切った。

 

私の右方向から槍が突き出されるが、それを寸でのところで気付くことができ、紙一重でかわす。

 

「この...っ!」

 

魔女へと向き合ったとき、私は"それ"と目があった。

 

 

 

魔女の背後に佇むひとつの長方形のテーブル。

 

一番奥には、神父の服装をした男性が座っている。

 

左右に、モモちゃんと佐倉さんのお母さんが別れて、互いに向かい合って座っている。

 

そして、席はあとふたつ。

 

一つは空席。もう一つ、うなだれているかのように座っているのは...

 

 

「佐倉さん!」

 

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