最後に残った道しるべ   作:ジジイキャベツ

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どうして?

「え...?」

 

魔女の幻影が全て消える。

 

残ったのは、動きを止めた一体の魔女だけ。

 

呆気にとられる私をよそに、魔女が距離を詰めてくる。

 

だが、その動きは鈍く、今の私でも武器を捌くことができた。

 

槍をかわし、リボンで魔女の身体を拘束し、もう一度弾を撃ちこむ。

 

ただそれだけ。優雅さも派手な必殺技もなにもない。

決着は、余りにも呆気ないものだった。

 

 

 

「...ねえ」

 

思わずそう問いかける。

わかっている。魔女は人語を解さない。発することもない。

だから魔女が答えを返す筈もない。

 

なのに、私はどうしても聞かなければならなかった。

 

「どうしてあなたは当たりにきたの?」

 

避けなかった、ならまだわかる。

 

でも、この魔女は違う。

そのままなら確実に私を殺せたはずなのに。

明らかに、私の弾丸に当たりに来たのだ。

 

「......」

 

魔女と私の立ち位置をもう一度見比べてみる。

 

私と魔女を直線上に結ぶと、そこにあるのはモモちゃんの遺体。

 

「まさか...」

 

もし、魔女が私を殺すことを優先したら、本体を捉えられなかった弾丸は彼女たちに当たっていた。

 

そこから推測すれば、答えは一つ

 

 

「彼女たちを...護ったの?」

 

 

 

「......」

 

魔女の身体が、霧のように大気に溶けていく。

 

「待って...!」

 

聞きたいことは山ほどにある。

 

手を伸ばし、魔女を掴もうとする。

 

でも、結局それは一足遅くて。

 

魔女は、グリーフシードを残して消え去ってしまった。

 

 

 

 

 

「......」

 

「どうやら、無事に倒せたようだね」

 

今さらやってきたキュゥべえが、結界から戻ってきた私をいつものよう

に労った。

 

「...あなた、知っていたの?」

 

「佐倉杏子のことかい?僕は聞かれなかったから言わなかっただけだよ」

 

「...そう」

 

いつもなら、ここでキュゥべえを怒れるはずなのに、いまはそんな気すら起きない。

 

言葉を返すことすら億劫になり、空っぽになった胸の内は何の役にも立たなくて。

涙すら流せず、ただふらふらと、ぼんやりとした意識で歩いていたらいつの間にか家に辿り着いていた。

 

ご飯を食べることもお風呂に入ることも億劫で、布団を被ることもなく呆然とベッドに寝転んだ。

ぼんやりとあの時の光景を思い返す。

なんでこの子はモモちゃんを護ったんだろう、この子は何を思っていたんだろうとグリーフシードを摘まみ、指の中でころころと遊ばせていると、ほどなくして。

身体は疲れ果てていたのか、どっと押し寄せる倦怠感には逆らえず、いつの間にか私の意識は落ちていた。

 

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