最後に残った道しるべ   作:ジジイキャベツ

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約束

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もういやだ。

 

パパもママも佐倉さんもモモちゃんたちも、どうしていなくなってしまったの?

 

どうして、私だけ...

 

「もういいんだよ」

 

だれ...?

 

「もう無理して頑張らなくていいの。どんなに努力したって、あなたの頑張りは全部裏目に出ちゃうもの」

 

あなたは...小さいころの私?

 

「あなたが悪いんじゃない。あなたに応えようとしないみんなが悪いのよ。だからこうやって一人だけ取り残されちゃうの」

 

......

 

「でも大丈夫。あなたが独りぼっちにならない素敵な方法を見つけてきたよ」

 

え...?

 

「理想の世界を作ればいいの」

 

理想の...世界...?

 

「理想のみんなは絶対にマミを裏切らないの。佐倉さんのお父さんみたいにマミを傷付けないし、佐倉さんみたいに一時でも離れようとしない」

 

...楽しそう

 

「うん、凄く楽しいよ。時間を忘れてみんなで楽しくお茶会をするの」

 

そう...

 

 

 

私が**になってしまえば、もうこんな辛い目には...

 

 

 

『マミさん』

 

 

 

佐倉...さん?あれ、小さい私は...?

 

『...マミさん。あたしさ、あんたに迷惑ばっかかけてきたよね。何もかも背負わせて、なに勝手におっ死んでるんだと思ってるかもしれない...本当にごめん』

 

そんなことないわ!結局、私はあなたが苦しんでいる時に何も力になれなかった!あなたは悪くない。悪いのは私よ。

 

『...なら、あたしの最後の我儘を聞いてくれるかな?』

 

...我儘?

 

『あたしは、誰にもこんな目に遭ってほしくない。こんな馬鹿は、あたしだけで十分だ。だから...頼む。あたしなんかの為に死なないでくれ。そして、こんな目に遭うやつを一人でも多く止めてくれ』

 

 

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目が覚める。

 

手の中を見ると、そこにあったのは、握り絞められた私のソウルジェムとグリーフシード。

 

私のソウルジェムの濁りは、だいぶ消え去っていた。

 

なにもかもがどうでもいいとごちゃごちゃになっていた頭の中も、随分と綺麗になっていた。

 

これは偶然だろうか。それとも...

 

「...わかったわ、佐倉さん」

 

夢の中身はなぜかハッキリと覚えている。

 

もしも、彼女がそれを望むなら

 

もしも、それが私への罰ならば

 

私は、全てを受け入れるわ。

 

 

 

 

 

数週間後、私は佐倉さんの教会の前にいた。

 

 

「きみも変わったことをするよね。死体は結界に飲まれて消えてしまったというのに。そのうえ、杏子と家族以外にも、あの結界で消えた行方不明者全員のぶんを調査してまで墓をたてるなんてさ。

まあ、正式に建てられたお墓ではないし、端から見れば名前が書かれただけの十字架だから維持費もかからないだろうけどね」

 

キュゥべえは私の気を損ねないよう言葉を選んでいるけれど、その節々からこの行為の無意味さを唱えているように聞こえた。

この子の言う通り、きっとこの行為そのものはなんの意味もないだろう。

死者の魂を弔うにしても、佐倉さんの家族以外の人たちとはなんの面識もない人ばかりだ。

なんの関わりもない小娘一人に悼まれたところで彼らはさして嬉しく思わないだろう。

それにこのお墓も、誰かがこの教会の土地を買い、新しい建物でも立てればすぐに取り壊されてしまう。

...尤も、例の人食い教会の噂のあるようないわくつきの土地に建物を建てるような物好きがどれだけいるかは知らないが。

 

だから、意味があるのはこのお墓自体じゃない。

 

「...キュゥべえ。あなたは怒るかもしれないけれど、私は決めたわ」

「?」

「もう二度と、佐倉さんのようなことは起こさせない。絶対に、なにがなんでも止めてみせる」

 

これは私たちの犯した罪。

ほんの少しの勇気を持てなかった私たちの償わなければならない罪の数だ。

 

 

「それは、僕が契約するのを防ぐということかい?」

「そういうことになると思うわ」

「...そうかい。なに、好きにするといい。それがきみの望む行動なら、僕は咎めはしないよ」

「ありがとう」

 

私はもう迷わない。

 

あなたとの約束がある限り、私はなんだって耐えられる。

 

この命が尽きるまで、戦い続ける!

 

だから...どうか見ていてください、佐倉さん

 

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