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マミさんの弟子にしてもらってから、ひと月ほど経った。
あたしの実力は、会ったばかりとは比べものにならないほど上達していた。
模擬戦の失敗が減ったり、マミさんの合図が無くても動けるようになったり。
そして、あたしの実力に比例して、マミさんとの連携も格段によくなっていた。
マミさんとあたしのコンビだったら、向かうところ敵なし!心から、そう思えた。
だからか、自然とこんなことを口走っていた。
「今のあたし達ならさ、ワルプルギスの夜だって倒せるんじゃないかな」
「ワルプルギスって...あの?」
「そう。魔法少女の間で噂されてる超弩級の大物魔女。こういっちゃ大袈裟かもしれないけど、あたし達だったらそんな大物の魔女だろうと目じゃないって。世界だって救えるんじゃないかって...そう思うんだよね」
「...ふふふっ、随分大きくでたわね」
「調子に乗りすぎ?」
「そんなことないわよ。目標は大きい方がいいんじゃないかしら」
「でも...本当にそうかもね。私達だったらきっと倒せると思うわ」
「もしいつか、本当にワルプルギスの夜がやってくる時が来たら...一緒にこの町を守りましょう」
「うん!」
こんなことは、戯言なのかもしれない。
でも、いつかは実現できたら、それはとっても嬉しいなって。
そんな甘い幻想をあたしは夢に描いていた。
夜、教会
魔女の反応を感じたあたしは、妹を起こさないようにベッドから飛び起きた。
反応の場所を追うと、そこは見慣れた場所。この教会の大聖堂だった。
扉に近づくと、鼻孔をつくような匂いが漏れてきた。
意を決して扉を開けてみるとそこには...
「俺たちには神様の教えなんて必要なかったんだ。そんなものに頼らなくても簡単に幸せになれる方法を知っているんだから」
「ええ、その通りですよ...」
生気を失くした虚ろな目をした父さんの信者たちが、聖書を中央に集め、それに大量の灯油をかけていた。
そんな信者たちの背後で踊る魔女に使い魔。
今まさに、魔女による宴が始まろうとしていた...
信者の一人が、マッチ箱を取り出した。
大量の灯油に火をつけたらどうなるか...そんなこと、考えるまでもない。
「させるかっ!」
あたしの魔法は幻惑の魔法。
そいつを使って、マッチ箱や聖書をお菓子に変える。
とはいえ、所詮は幻惑。そのままマッチを擦られれば何の意味もないが、一瞬だけでも気を惹ければそれで十分。
「いただき!」
あたしは一気に駆けだし、信者からマッチ箱を奪いとった。
魔女が、餌場を荒らされたことに気付き、あたしに攻撃を仕掛けてくる。
「魔女なんかに、こんな場所で好き放題させてたまるかよ」
それに対して、あたしは分身の技、『ロッソ・ファンタズマ』で対抗する。
「父さんの教会も、家族も、みんな...」
分身たちが魔女に消されていく。
その間をぬって、あたしは魔女に接近し
「あたしが守るんだから!」
槍で、魔女の身体を貫いた。
グリーフシードが床に落ち、魔女の魔力が消え失せた。
「...厄介なもの残されたな」
床に転がる気を失った信者たちと大量の灯油まみれの聖書。
こんなことが世に広まれば騒ぎになるに違いない。
(でも、夜明けまでには時間はある。それまでに片付けておけば...)
この時のあたしは、ひどく迂闊だった。
焦っていたのかもしれない。
魔女を倒せたこと、操られたみんなを助けられたこと、マミさんがいなくても一人で戦えたこと...
その事実に少しばかり気を抜いていたのかもしれない。
理由はどうであれ、とにかくあたしは迂闊だったんだ。
だから気付けなかった。
父さんが、すぐ傍にまできていることに。