最後に残った道しるべ   作:ジジイキャベツ

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灰色の空を見上げて

――――――――――――――

 

 

「教祖様が死んだ」

 

「なぜだ?」

 

「殺された」

 

「誰に?」

 

「わからない」

 

「この前教祖様は魔女を見せてくれた」

 

「そうだ、きっと魔女に殺されたんだ」

 

「探そう、魔女を」

 

「「「みんなで探そう」」」

 

――――――――――――――

 

「うっ...」

 

痛みと共に意識が覚醒する。

瞼を開くと、そこには白い天井が広がっていた。

 

「目が覚めたかい?」

 

こちらの顔を覗き込んでくる白衣の初老の男へと視線を合わせる。

 

「ここは...」

「病院だよ。教会に重傷人がいるって通報があったんだ」

「教会...っ!」

 

思い出した。あたしは、マミさ...あいつにやられて、父さんたちも...!

 

「と、父さんは!?母さんは!?モモは!?」

 

跳ね上がるように上半身が起き上がり、医者の肩を力強く掴む。

 

「お、落ち着いて...」

「早く教えろ!どうなんだ!?おい!?」

「落ち着いて!」

「いいから教えろ!」

 

わかっている。あいつは確かに自分の口で『殺した』って言ったんだ。

 

だから、みんなはもう...

 

 

「うへへ~おねえちゃん~」

「そ、そこに...」

 

呑気な声音で寝言を漏らす妹に、あたしはあんぐりと口を開けてしまった。

 

 

 

 

世間では、あたしたちは強盗事件の被害者として扱われている。

 

一命を取り留めた母さんとモモがそう証言したらしい。

 

医者が言うには、母さんとモモに大した怪我はなかったらしく、むしろあたしの方が何倍も重傷だったらしい。それでも、普通の人でも一生は残らない程度だったらしいが。

 

ただ、父さんだけは助からなかった。

 

死因は、幾分かの失血と、大きな衝撃を受けたことによるショック死。

 

多分、あいつが殺したというのは本当だろう。

 

あいつは、父さんを殺したやつなんだ。

 

なのに、あたしは居場所も手の内も知り尽くしているあいつを殺しに行く気にはならなかった。

 

もし、この訳の分からない気持ちにケリをつける方法があるとすれば、それは...

 

 

 

「母さん、身体は大丈夫?」

 

母さんの病室へ向かい、調子を尋ねる。

 

「ええ。元々大した怪我じゃなかったみたいだから」

「そっか。よかった...」

「......」

 

沈黙が訪れる。

 

母さんは気まずそうに、あたしから目を逸らす。

 

あたしはあたしで、いつ切り出そうか迷っていた。

 

だが、もう覚悟を決めるしかない。

 

「母さん、教えてくれないかな。あの日、何があったのか」

 

今度こそ、自分の罪と正面から向き合うために。

 

 

 

 

見た目には、大分酷い怪我のようだったが、そこはやはり魔法少女。

 

回復魔法は得意ではないが、ものの三日ほどで傷は治ってしまった。

 

入院費もバカにならないため、あたしたちは早々に退院させてもらうことにした。

 

それでも、しばらくは今あるお金でやりくりするしかない。

 

これからは、生きるだけでも大変な試練となるだろう。

 

でも、その前に

 

「...ごめん、二人とも。先に帰ってて」

 

「...ええ。夕飯の支度をして待ってるからね」

 

「行ってらっしゃい、おねえちゃん!」

 

「ああ、行ってきます」

 

ケリを着けなければならない。

 

あたしの、魔法少女としての罪に。

 

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