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佐倉さんが私に姿を見せなくなってから、数週間が経過した。
あの相談を受けて少し経ってから、彼女はなんの音沙汰も無くなった。
キュゥべえに聞いても、『本人が拒否している』だの『僕はあくまでも中立だからね』だのと、なにかと理由をつけて教えてはくれなかった。
思えば、あの相談の時、佐倉さんは何でもないと言っていたけれど、それが嘘なのは一目瞭然だった。
あの時は、彼女の意思を尊重して深く追及はしなかった。
しかし、彼女の性格上、なにもかも抱え込んでしまう気がするし、ここまで音沙汰がないと不安になってしまう。
もし、彼女がなにか無理をしているのなら力になりたい。
そこで、私は彼女の家に行って直接調べることにした。
「たしかこの辺りに...あった」
それほど多くは訪れていなかったので、地理には不安があったが、なんとか辿りつくことができた。
とはいえ、いきなりやってきて『あなたの悩みを解決してあげるわ!』などと佐倉さんに言っても、彼女は隠し通してしまうだろう。私だってそうする。
どうすれば聞きだせるか、悩んでいたその時
「―――――――――!!」
教会の中から、怒声が響き渡った。
聞こえる声は三つ。
一つは、なにやら怒鳴り散らしているような、男性の声。
一つは、それに対して反論しているような、女性の声。
最後の一つは、今にも泣き出しそうな、少女の声。
喧嘩でもしているのだろうか。
仲の良さそうな家族でも喧嘩はするだろうから、珍しくはあっても、不思議なことではない。
だが、それにしては異様だ。
うまく言えないが、喧嘩の域を超えて、今にも殺しにかかりそうな...
やがて、一切の声が止み、教会は静寂に包まれた。
流石におかしいと感じた私は、すぐに教会の扉を叩いた。
「ごめんください。巴マミです。なにかあったんですか?」
だが、返事は無し。扉を更に強く叩く。更に大声で呼びかける。それでも返事は無し。
今のいままで言い合ってたのだから、寝ているなどあり得ない。
ならば、仲直りをした安心感から聞こえていないのか?それでも、ここまでして聞こえていないのは考えにくい。
まさかと思いソウルジェムを確認するが、しかし反応はないため、魔女も使い魔も関係がないようだ。
「...仕方ないわね」
腹を括り、ドアノブを握る。
ただの杞憂で終わればそれまでの話だ。
幸い、扉には鍵がかかっていなかったため、すんなりと開けることができた。
―――もし、私の決断があと数分でも早ければ、もっと素敵な未来があったのかもしれない。