やはり俺の学園都市生活はまちがっている。   作:鴇。

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リメイクPart2でございます。

台本形式を最初から取り払いまして、一話同様。

では。

追記。文法作法とやらの修正


死線での邂逅

第2話

 

 雪ノ下とはぐれた俺はとりあえず周りを見渡して待ってみることにした。

ちなみに現在、時刻こそ正確にはわからないが、午後8時〜9時くらいなんじゃないかと思う。

 そしてこの暗闇に鉄橋がなんとも言えない雰囲気を醸し出していた。リア充がこぞって告白しそうまである。なんだそれ、そんな場所消えてなくなれ。

 

 さすがにこれは卑屈すぎるな、とかどうでもいいこと考えていたのだが、それを邪魔する轟音が夜の街を震わせる。

 

 

 ドガァァァァ

 

 

 

 その音は雷のようにも、ミサイルの爆撃のような音にも聞こえた。ミサイルの爆撃なんか知らんけど。

 

 それほどの爆音。否が応でもその大音響と元に目を向けてしまう。するとそこには先ほどから痴話喧嘩していたツンツン頭の高校生と中学生くらいの茶髪の女の子がいた。

 おそらくどちらも俺より下だろう。

 

 

 そんな男女のルックスなど気に留めている場合なんかでは、とてもではないがなかった。状況としてはシンプル、しかしそれの異常さは誰が見ても明らかだろう。

 

 茶髪の女の子が右手を前に突き出して、その先のコンクリートが融解して、それを見た男子高校生が涙目で女子中学生を見つめているだけなのだから。

 

 

 ん? いや、割と状況複雑じゃねえか?まぁそんなことどうでもいい。

 

 なんでコンクリート溶けてんの……

 

 いやそれともこれ削れてるのか? いや、どっちでもいい。どっちらにしろ、今の轟音の元となる「それ」の破壊力は知れてしまった。

 

 

 

 知りたくなかった……

 

 

 

 ふと、雪ノ下の事を思い出した。今はこいつらの心配よりあいつだ。というかむしろ、追いついてきた雪ノ下がこいつらに絡まねえか本気で心配だ。そこの男子高校生…健闘を祈るッ!

 

 

 いやでも、そもそもなのだが、遅れているのかどうかすら疑わしくはある。もしかしたら先にこの鉄橋を抜けてしまっているかもしれない。いや、お前地図持ってないだろ、どんだけ自由なんだよ、という疑問は残るが。

 

 もうこれ否定だな、無いわ、遅れてるわ。

 

 結論から言えば普通にもうちょっと待ってみる。これが正解だろう。

 

 

 行き違いになるかもしれないしな。

 

 それより、一日目からこんなんで大丈夫かよ…俺学園都市でやっていける気がしないんだけど。能力者ってもしかして俺が想像してたよりも遥かにえげつない出力持ってるの…?

 

 

 

あんな女の子に絡まれたが最後。死ぬまで追いかけ続けられて絞られて死んじゃうのかな、搾っては欲しいけど、いや、死んじゃう、だめ、関わらないようにしよう…

 

 

 だか能力者がどんなものなのか知るチャンスではある。

 

 ならばこれを見ておくというのも悪い手ではないだろう。

 

 

 俺が原石っていう特殊な体質だからなんとも測りかねるが…

 

 結局俺の能力の幻想世界ってのの用途がいまいちつかめない、学習装置(テスタメント)でAIM拡散力場から読み取った能力の概要は刷り込まれているがピンと来ない。

 

ちなみにその概要をまとめると

・自分に対する認識を誤認させる事ができる。

 

・認識させる方式が従来の精神感応系と違い、能力者が直接相手に誤認させるのではなく、能力者が世界にそう在るべきものなんだと認識させる事で周りの人間もそう在るのだと思わせられる。

 

・上記注釈として自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を所持しているが、能力発動時に、世界が「俺」というシュレディンガーの猫を誤観測する(他の人から見ればA点にいるはずの能力者がB点にいる。等と認識する)という性質上、能力者つまり八幡のパーソナルリアリティと世界の在るべき姿が同一化する。故に発動時AIM拡散力場が消える。

 

 

 

 いや、俺の能力複雑すぎね?というか強すぎじゃね?つまり俺は俺を好きなように相手に認識させられるんだろ、あわよくば世界の塗り替えができるんだろ?

無敵だろそれ。いやこれで俺のぼっちライフが快適になるな。隠れれるし。今までも別に意識なんてしてなかったけど…なんで見えないんだよ…ちゃんといるよ、出席させろよ。

 

 想像したら創造に達する…ってことか…逆に想像できる範囲までしか実現できないってのは壁だな。

 

 

 ちなみに練習として今は彼らの諍いに巻き込まれないように、

 

「八幡という人間はこの場に見えない」

 

 という風に誤認させている。

 

 「認識されない」を「認識させる」のだ…なんか矛盾してる気がするが

 

 つまりは「認識される」ことを前提に俺は力を発揮できるのだろう。今までの俺と全く逆じゃねえか。

 

 

 

 

 だが実際気づいてないだけかもしれないのでおっかなびっくり近づいてみる。

 

 し、死にたくねぇ…近づいたら俺死んじゃうんじゃない? さっきから天才とか天災だとか叫びながら火花散らしまくってんだけど…

 

 これが学園都市なのかとしみじみ感じさせられる。(棒)

 

 と、色々考えてると雪ノ下が追いついてきていた。

 やっぱり元来た道を戻らなくて正解だったな。

 

「雪ノ下」

 

 と呼んでみるが、ビクッと肩を揺らして振り返ったがしかし焦点が合わない。寂しそうに、むしろ恐怖におののくような顔で比企谷くんどこに行ったのかしら…と呟いていた。

 

  いや、今呼んだじゃねえか。

何?嫌がらせか何かなの? 昔クラスで無視され続けてたこと思い出しそうになったじゃねえか。

 

 あぁ、そう言えば能力使ってるままだったな、どうせならちょっと驚かそう。

 

 と、どうやって驚かすか考えていると。

 

「ねぇ、あなた達、この辺りで目の腐った高校2年生くらいの人を見なかったかしら?」

 

 話しかけやがったこいつ…むしろ俺が驚かされたわ。

 

 さっきから茶髪の女の子が電撃をドンパチやってたの知ってるよね? 近づいたら運悪ければ電撃モロに食らって死ぬことくらいなんとなくわかるよね?

 

「え? 腐った…? いや、見てないわ。アンタは見た?」

 

「お前がこんなに電撃飛ばしまくってんのに近づいてくるやつなんていねえよ!」

 

 もっともです。

 

「そう……どこに行ったのかしら……私が目を離した隙に……」

 

 いやいや、雪ノ下さんよ、俺が後ろを確認しなかったのは悪いとは思いますがね? はぐれたのは雪ノ下さんですよ?

 

「私も探してみましょうか? 顔の特徴とかありますか?」

 

「目が腐っ「その必要はねえよ。」」

 

 つーかこいつ今目が腐っているって言おうとしたよな?

 

 

「えっ……いた? なぁビリビリ気付いてたか?」

 

「ん……電磁レーダーで気付いてたっちゃ気付いてたけど……見えなかったから……ちょっと、ね。ってか今アンタまたビリビリって呼んだでしょ!」ビリビリ

 

「うわっ、2人に当たったらどうすんだよ!」

 

「……えっ……あ、……」

 

「いえ、当たってないから別に構わないわ。」ニコニコ

 

「だなー微笑ましいなぁー」ニコニコ(イライラ)

 

 何だこのテンプレートなツンデレ。この二人リア充か、やっぱりこの鉄橋消え去れ。

 

 

「仲がいいのは良い事だわ。ね、比企谷君、…………あなたいつからそこにいたの?」

 

「おい、なんで今気づいた風なんだよ。っつか、お前がいつの間にかはぐれてたんだろ」

 

 

「失礼だわ、あなたが迷子になりたいかのように早く歩くからじゃない。」

 

 え、俺のせい? というかお前それもう認めてるようなもんだよ?

 

 

「そんなことは置いておいて早く寮に行かないかしら? 足が疲れたのよ」

 

「お前がはぐれなきゃもうついてた頃なんだよ…」

 

「そう、そんなに近いのかしら助かるわ。」

 

「ちょっと待て、お前その後ろに持ってるのなんだ」

 

「あら、あなたは猫の事も知らないのかしら?やっぱり目だけではなく、頭も腐っているようね。」

 

 

 

「目は認めるが頭は腐ってない、腐ってたら能力者になれねえだろうが。いや、なれねえのか知らんが。」

 

 ふと目の端で何かがギラついた。コイツも猫好きかよ…いや俺も嫌いじゃないけどさ

 

「え、猫? 猫? ちょっと触らせてくれない…?」

 

どんだけ嬉しそうな声をしてんだよ、ウズウズして手がもう伸びてるし…

 

 

「えぇ、構わないわ。」

 

 瞬間、少女が猫を不安げに撫で始める。猫は少し怯えた素振りを見せたが別に知らん顔で雪ノ下の腕の中に収まっている。雪ノ下は雪ノ下で同胞を見つけて嬉しそうだ。

 

「おい、病気とか持ってないだろうな? ってかまさか飼うの?」

 

 

「ええ飼うわ。あと病気は多分大丈夫よ、箱に入ってたから、多分捨て猫よ。」

 

「餌とかどうするんだよ、お金そんなに無いだろ、そもそも寮が動物良いのかもわからんし」

 

「それなら安心しなさい、私がなんとかして見せるわ」フフンッ

 

 なんでこいつ誇らしげなんだよ…

 

 つーか、俺たちが喋ってる間にもずっと猫をナデナデしている。こいつ…好きすぎだろ…

 

 

 

「あの……探してた人も見つかったみたいなんで……いいですか?」

 

「えぇ、もういいわよ、悪かったわね」

 

「え……」

 

 え、もう?みたいな顔をするな、そこの電撃姫。

仕方なさげに引き下がる。

 

 

「じゃぁ、またどこかでお会いしましたら。おやすみなさい」

 

 今日は邪魔が入ったしこれくらいにしておいてやるわ。とか聞こえてきた。

 

 良かった、あの高校生の命は延長されたみたいだ。猫効果か?

 

「俺たちも寮に行くか」

 

「あら、猫のことはもういいのね」

 

「まぁ、なんとか隠し通せばいいだろ、見つかったらその時はその時だ」

 

 そうしてその後は何も会話することなく寮についた。べ、別に緊張なんかしてないし!




面白かったでしょうか?

地の文や、対話を初期より丁寧にしたつもりですが、そのせいでテンポが悪いと言われてしまうと…トホホです。

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