やはり俺の学園都市生活はまちがっている。   作:鴇。

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ヒッキーがヒッキーらしくないことして、
御坂は御坂らしくして、
小町は小町らしく、
雪ノ下は雪ノ下らしくなく……




間違いは繰り返す。

第30話

 

 

 

 例えば、本当にリアルな夢で、人が目の前で死ぬ夢を見たとしよう。

 翌日、その人と出会い、その人がもう1度死ぬとしたなら。

 

 

 俺はどうするのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 少女のちぎられた足は弧を描いて空を舞う。

 

「アハギャハッ!!」

 

 脳が割れるかと思った。衝撃的な光景に怒りや恐怖だけでは収まらない感情の波が自分の全てを飲み込んだ。

 

 時がゆっくりと進んでいるようだった。切断された足がゆっくりと舞い、物理法則に従い弧を描き、地に落ちる。

 

「おい、一方通行」

 

「この場合実験はドォなるンですかァ?」

 

 一方通行のとぼけた声が聞こえる。

 

 その声を聞きながら、一歩一歩一方通行に近づいていく。

 

「あァ? 怒ってンのかァ?」

 

 一方通行はそういいながらミサカを軽く足で触れる。

 行動の小ささに対してミサカの体は大きく飛び上がり八幡のもとへ飛んでくる。

 咄嗟の事に慌ててミサカをキャッチし、息があるか確認す

「ァはッ!!」

 

 一方通行がいつの間にか接近し、その魔手を眼前に伸ばしていた。

 

 一方通行は力の方向を反射、及び操作の能力者。その総量については分からない。ただこれまで無敗である以上、限界に届いた人間はいない。

 

 端的に言って最強だが、さっき水波に言われた力、障壁があれば一撃で死ぬほどのダメージは負わない。あれは物理保護などそんなやわなものではなかった。

 

相手の拒絶、世界の現象に対する冒涜。

 

 先程までは意識できなかった孤独の力を意識して確信する。

 

 例外はない……だが。

 

 直後、視界が赤に染まる。

 

 

 眼前に伸ばしていた手は振り下ろされ、ミサカに触れた。

 

 爆散した肉片が体を叩きつける。

 

 

「ぁ……あ………………ぁ……」

 

 

 頭の中が真っ白になった。何が、どうなって、は? 意味が、分からない。誰が? 何で?

 

 もう、何もわからない。

 

 以前シスターズを見殺しにした時と比較にならない感情の奔流を感じていた。

 

「あ……」

 

 

「一方通行ぁぁぁぁぁぁああああ!!」

 

 

 

 

 声が、『聞こえた』

 自分以外の声が、聞こえた。

 

 誰の声か、確認するまでもなかった。

 

 シスターズとよく似た、けれど色があり心の乗ったダミの入った声。

 

 学園都市に来て一番初め出会った、学園都市第3位の異能者。

 

 

――オリジナル、御坂美琴だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________________

 

 時刻は午後8時前、兄が帰ってこない、メールも返ってこない。いくら遅くても午後7時には今日は遅れると短い連絡があったものだ。

 

 そもそもだ。比企谷小町は兄の様子に少なからず違和感を覚えていた。

 

 普段からおかしいといえばおかしいが、学園都市に来てからは違う意味でおかしい。何か焦っているように見えるし、不安そうにも見える。

 証拠は、と聞かれれば何も無いけれど、あんなんでも兄妹だから。としか言えないがそんな気がする。

 

 

「雪乃さん、お兄ちゃんから何か聞いてたりします?」

 

「いえ……何も、ただ、何かあったのは間違いないようね」

 

 雪ノ下が携帯端末を操作してあるメールを開き見せてきた。

 

「『ヒッキーがなんかしんどそうだったから、ゆきのんちゃんと見ててあげてね!』……由比ヶ浜 結衣さんですか……お兄ちゃん意外と人と関わってるんですね……」

 

 由比ヶ浜……何か聞き覚えがあるような気がする。

 

「ええ、なんでも事件に巻き込まれた時に比企谷君に助けてもらったらしいわ」

 

「まっさか〜」

 

「……」

 

「え? マジ? お兄ちゃんが?」

 

「ええ、マジらしいわ」

 

「変わっちゃったんだね……お兄ちゃんは……じゃなくてですね! やっぱり何かあったんじゃないですかね、これ」

 

「そうね」

 

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 

「そうね、って!? 小町お兄ちゃんだけでなく雪乃さんまで心配になってきたよ……」

 

 オヨヨ……とわざとらしく泣いた振りをする。

 

「そうは言ってもどうすることも出来ないじゃない」

 

「ふっふーん、安心してください!! ジャジャーン!! GPSロガー!!」

 

「……犯罪よ……?」

 

「兄妹だから大丈夫」

 

「けれど」

 

「兄妹だから」

 

「あなたがいうなら……」

 

「というわけで経路、今いる場所を見てみましょう」

 

 学園都市に来る前から携帯のバッテリーに仕込んでおいたものらしい。

 小町は説明しながら携帯を取り出す。

 

「とりあえず今いる場所は……っと」

 

「第九学区、ここは、資材置き場かしら?」

 

「……? なんで?」

 

 バイト? いや兄がこの暑い日に外でバイトするわけない。したとしてももっと早くに帰って来れるようにするだろうし、それでも途中でバックれるはずだ。

 

「小町さんの読みは当たりだっかもしれないわね」

 

 その言葉によって二人の緊張は確かなものになった。

 

「……すぐに向かいましょう」

 

 

 

 

 と言ってもだ、寮も資材置き場も同じ学区だからといって近い訳では無い。学園都市最大面積である第九学区は割と普通にでかい。徒歩で行っても30分近くかかる。軽く走ったりで20分がいいとこだろう。

 

 

「……ところでなんでGPSなんて比企谷君に付けているのかしら?」

 

「そうですねー、うーん……別に深い意味は無いです、単に心配だっただけですね」

 

「何か昔にあったの?」

 

「いえ、特に……あ、交通事故がありましたけど、大した怪我はしなかったですし、なんか誇らしげではあったから特に心配しなかったです」

 

「…………」

 

「え、どうしたんですか?」

 

「いえ、何も無いわ、交通事故ね……きっと運が無かったのね」

 

 

「いえいえ! 運は確かになかったかも知れませんが、度胸と優しさ? ……かなにかそれっぽいものがあったんですよ」

 

「そうなの?」

 

「お兄ちゃんの唯一誇れるところかもしれないくらいですけど、轢かれそうな犬を助けたらしいんですよ」

 

「……信じられないわね」

 

 苦笑しながら雪ノ下は言った。

 

「ええ、そうなんですよ……後でその飼い主の女の人もお礼に来てくれて、でも兄は入院中でして、そうだ!!!!そうですよ!!」

 

「突然大きな声を出さないでくれるかしら?」

 

「その時の女の人が由比ヶ浜さんです!! あぁー、すっきりした……」

 

「…………そう」

 

 なんだろう、先程からやたらとリアクションに新鮮さがないようにみえる。

 

「結構ドラマチックですね、同じ高校で会えてないとは聞いてたんですが、学園都市で出会うことになるなんて……しかもそこでまた助ける……まぁお兄ちゃんの方は気づいてないでしょうけど……」

 

「全然ダメじゃない……」

 

「うちの兄らしいですよ」

 

 さっきからやたらリアクションに活きのない雪ノ下に小町は笑って返した。

 

 





というわけでどうでしたでしょうか、
受験勉強のやる気スイッチが入った受験生です!

入ってんのに何してんだよ?
クロスオーバー書いてんだよ。

まぁ息抜きということで。

シスターズ編は40話には100%終わってると思うんですけど、はてさて夏休み中に終えられるのか、といえばですね、多分無理ぃ……では!

この夏は暑いそうですね。ポケモンGOが熱い。(田舎人)

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