思ったより早く分岐入りましたぁ!
あいつの登場です。どぞ
第6話
翌朝七月十八日。
雪ノ下と俺は朝ごはんを終え。
学校へ行こうという話が幕を開く。
当然俺は行きたくないの一点張り。
というか、そもそも、突然行ったら迷惑なのではないか?
何も知らされて無いということは、相手から連絡があるということではないのか?
そういう感じの事を雪ノ下に言ったらその刹那。
もうコメディだろこのタイミング…
プルプルプルプル……
電話がなった、学生寮の。
……あー、やな予感。というか、そう言う事なんだろ?
「……はい、もしもし、比企谷です」
なんとも臆病そうな、しかし億劫そうでもある声が出てしまった。簡単に言えばコミュ障特有のアレだ。
「おー、私はとある高等学校の平塚だ。外の生徒が転校してくるらしいから楽しみだったぞ! だが声からして君は腐ってるじゃないか。はっは! 何、悪口じゃない、軽口だ! だからとりあえず学校に来い。案内してやろう。あ、そうそう」ガチャッ
「寝るか」
ってか、初対話がこれかよ、いきなり腐ってるとかなんなんだよ……ほんとに教師か?
疑わしげに雪ノ下がこちらを見てくる。
「なんの電話だったのかしら?」
……なんか浮気問い詰められてるみたいだわ、そもそも俺結婚できるのかな……
いや、さっきの人に思考飲まれすぎだろ。
「ん? あぁ、いや、間違い電話だ。」
プルプルプルプル……
ツーツーツー…
いやだ、学校なんて行きたくない、俺は絶対に屈しない!
そもそも専業主夫志望の俺は学校なんて行かなくても何も問題ないのだ。俺は悪くない。男女平等社会がそれを応援しているじゃないか。
プルプルプルプル…ガチャッ
「はい、こちら比企谷です」
「いや、お前何出てんだよ!!!」
「はい、はい、えぇ、すみません、では変わります」
終わった……もう俺の人生は終わったも同然だ……
「おい、さっきの女は誰だ、不純異性交遊は教師として認めるわけにはいかん、私ですら結婚してないというのに……」
この教師生徒に何言ってんだよ。結婚してないとか、わざわざいうなよ……しかも開き直った感じじゃなくて辛そうに。これが結婚ガチ勢か、結婚ガチ勢ってなんだよ……
「猫ですよ猫、拾ってきた猫が受話器を蹴飛ばしたみたいで」
そういえば、まだ名前つけてないな……カマクラとかどうかな! いや、実家の猫の名前といっしょだし… 雪ノ下に決めてもらうか。
「ほぉぉ? へぇぇ? 随分と可愛い猫がいるもんだな、お前の家には。しかもその猫はしゃべるのか……そうかそうか、さらには比企谷……と自分の苗字でもないだろうに返事を……随分と躾のなってる猫じゃないか。なぁ? 比企谷」
は、はぃ……
声が出なかった……
だってこの教師おかしいじゃん! ほんとに教師か疑うレベルじゃんか! もしかして詐欺……? はははは! そうか! 気づいたぞ! 破れたりぃ!!
そんなこんなで、とある高校付属中学校に行かなければならなくなった。(諦めた)
でもまぁ、案内とか、それだけだろ……だよな?
「ってことで、行くか……」
「都合が良かったわね」ニコッ
まぁこいつ自分の苗字じゃなくすぐに俺の苗字で電話に出るとかやりよるわ……
そんなことよりこいつ学校好きなの?ありえねぇ……
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嫌だ嫌だ嫌だ。今ならガキみたいに駄々こねるまである。いやない。雪ノ下に殺されそうだし……
そんな俺に打って変わって堂々と校門をくぐってゆく雪ノ下。怖くねえのかな……俺なら理由があるからまだしも……学校っていうのに私服だというのもなんか場違い感があって居心地が悪い。
最初から全員私服だったらいいんだ! みんな違ってみんないいって言うだろ! そんなことになりだしたらまぁ俺は中2病全開なコスプレをしてしまうのかもしれない。
いや、あの時の俺はもういない。なんであんなことしたんだよ、中学時代の俺ェ……
「何を校門前で悶えてるのかしら……気持悪い。」
……それはキツイっす雪ノ下さん…まぁ全面的に俺が悪いから何も言わないでついていくんだけど。
というか、普通こういう場合って俺がリードするよね? 違うの? あぁ、雪ノ下だから? 雪ノ下だからいいよね!
俺がグダグダしているうちに雪ノ下はさっさと校舎へと入っていく。
「お前早えよ、感慨とかねえの?」
感慨という事にした、過去の思い出に浸るのも感慨の一種だろう。そうだよね?
もっとも、学校でのいい思い出など微塵も無い。
「私はまだ関係がないから」
「分かってんなら、お前が急ぐなよ……」
いや、マジで、割と学校を楽しみにしてるんでしょこの子……
「あなたが急がないからよ」
お前が急いだら俺も急ぐとでも思っているのか?
フッ……あぁ、その通りさ……
かっこよくねぇ……
まぁ仕方ねえよ、コイツのリーダーシップ的なのがスゲエからな……
すごすごとついて行く。俺からなんか腐つ腐つと湧いているが、学校の生徒と鉢合わせたら通報されそうだ。自覚しているのもどうかと思うのだが、自覚していないと本当に通報されるから生存本能と言って差し支えない。
こういう時は絶対と言っていいほどに起きて欲しくない事象がネタのように起きるのだ。例えば正面からイケメンが歩いてくるとか。
「おはようございます」
「あ、お、おはようございます」
「おはようございます、職員室は…何で葉山くんがここに…」
そう、こんな風に……まぁ当然俺はと言えば、サラッとしれっと答えることもできずにこうなるのだが……しかし雪ノ下は……どういう状況なんだってばよ……
「え、なに、運命の再会?」
マジで、どないしたん……教えてくれ、なんなんや……
「……雪ノ下さん……」
無視か……おいイケメン、サラサラとか、キラキラって効果音が出そうなイケメン、教えろください。
「まぁ、今は何でもいいわ、職員室はどこかしら?」
「あぁ……二階だよ、階段上がって廊下に出たらすぐにわかると思うよ」
「ありがとう、では行きましょうか比企谷くん」
「ん、もういいのか」
「ええ、ただの知り合いよ」
俺にはこの2人が旧知であることはすぐに理解できた。しかし旧友だとは全く思えない。むしろ距離感だけなら初対面の人間より遠いのではないのか? 知り合いを、ただの、と形容するのもやはりおかしい。何かあったのだろう。
少し知りたいと思ってしまう。しかし踏み込む理由も権利も資格も実はそこまで興味もない。なら聞かなくていいだろう。聞かない理由の方が勢ぞろいなんだから。
しかしモヤモヤとするのは強がりで鎮めた。興味すらない、そう言う事にした。
少し、雪ノ下の表情が曇っている気がする。それを横目に追い越しながら職員室へ向かう。
葉山隼人ぉぉぉ!
俺ガイル原作キャラをほとんど出す方へシフトしましたので、お楽しみを