仮面ライダーアルタ   作:ボルメテウスさん

82 / 82
アギトの謎

大学の近くにあるつる子先輩のアパート。すっかり夜も更けて、窓の外は静まり返っている。彼女は閉館後の図書館からここへ移動していた。机の上には開かれたノートパソコンと、付箋だらけの資料の山。どうやら俺が出ている間も、ずっと調べ物を続けていたらしい。

 

「おかえりなさい、結城くん。ご無事で何よりですわ」

 

「ただいま戻りました。それより先輩、聞いてほしいことがあります」

 

俺は椅子に腰掛けると、港で見たことをありのままに話した。見たことのないアギトがいたこと。その姿は黒と深緑の生物的な装甲で、背中から橙色の翅のような器官が伸びていたこと。金色の角に巨大な赤い複眼を持っていたこと。そして、二体のアンノウンをほとんど一方的に倒してしまったこと。

 

「…そして、そいつは俺に気づいて、『退け』と言いました。まるで、俺もまた排除すべき対象かどうか、値踏みするような目でした」

 

つる子先輩は、俺の話を黙って聞いていた。そして、俺が言葉を終えると、ゆっくりと眼鏡を押し上げる。

 

「なるほど…外見的特徴からして、それは明らかに津上さんのアギトとも、芦原さんのギルスとも違いますわね」

 

彼女はノートに何かを書き込みながら、思考を整理するように言葉を紡ぐ。

 

「黒と深緑の装甲、金色の角、赤い複眼、背中の翅のような器官…これは、別の系統のアギトである可能性が高いですわ。でも、問題はそこではありません」

 

つる子先輩は顔を上げ、俺の目をじっと見つめた。

 

「結城くん、そのアギトからはどのような印象を受けました?」

 

「…危険だと思いました。アンノウンとも、津上さんとも違う。もっと、根本的に他者を許容しないような…排他的な意志を感じました」

 

「排他的…なるほど」

 

つる子先輩は深く頷くと、机の上の資料を一枚手に取った。警察の未確認生命体関連の報告書のコピーだ。

 

「私の仮説、確信に変わりましたわ」

 

 

「アンノウンが狙うのは、『アギトになる可能性を持つ人間』。これは間違いありません。でも、その『アギト』は一つではない。津上さんのアギト、あなたのアルタ、芦原さんのギルス、そして今あなたが見た新たなアギト。これらはすべて、同じ力の異なる枝葉、あるいは異なる進化の形なのではないでしょうか」

 

「同じ力の…異なる形」

 

「はい。アンノウンは、そのすべてを管理しようとしている。あるいは、特定の形以外を排除しようとしている。あの鯨のアンノウンが言った『進化』という言葉、そして今回の新たなアギトの出現。これは偶然ではありませんわ。何か大きな流れが、動き始めている」

 

つる子先輩は、眼鏡の奥の瞳を輝かせて言った。

 

「結城くん。あなたたちの戦いは、おそらくこれからもっと複雑になります。敵はアンノウンだけではないかもしれない。アギト同士の対立も、視野に入れておく必要がありそうですわ」

 

俺は彼女の言葉に、港で感じたあの悪寒を思い出していた。あのアギトは、俺をどう見ていたのか。敵か、味方か、あるいはただの邪魔者か。

 

いずれにせよ、あの赤い複眼が俺を認識した以上、次に会う時はただでは済まないだろう。

 

「ありがとうございます、先輩。少し、考えてみます」

 

「ええ。でも、今日はもう休んでくださいまし。疲れている顔ですわよ」

 

そう言われて、俺は初めて自分の身体が悲鳴を上げていることに気づいた。トリニティフォームへの変身は、やはり相当な負担だったらしい。

 

「そうします。おやすみなさい」

 

「おやすみなさい、結城くん」

 

俺はつる子先輩の部屋を辞し、夜の静けさの中を歩き出した。月明かりがやけに明るくて、自分の影が異様に濃く見える。新たなアギト、アンノウンの目的、そして進化という言葉。

 

すべてが繋がる時、俺はその先で何を見ることになるのだろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ゼンレスゾーンクウガ(作者:アルティメットルパン三世)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

1999の技を持つ冒険家の男 五条悠介は九郎ヶ岳遺跡で発見された古代のベルトをその身につけ戦士クウガになった。▼現世に甦り、猟奇的殺人をする古代の戦闘民族グロンギ達から人々の笑顔を守る為悠介は2000番目の技としてクウガに変身し奴らとの死闘を繰り広げた。▼それから一年、最後のグロンギであるン・ダグバ・ゼバと九郎ヶ岳での一騎討ちの末に悠介はダグバを倒すも深刻な…


総合評価:379/評価:7.07/連載:51話/更新日時:2026年07月23日(木) 19:00 小説情報

転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜(作者:台風200号)(原作:ガンダム)

気がつけば、そこは『機動戦士ガンダムSEED』の世界だった。▼だが――転生したのはコーディネーターでも、英雄でも、パイロットでもない。▼よりによって「オーブのアスハ家三男」という、政治と陰謀の渦中に放り込まれる地雷原のド真ん中の最悪のポジションだった。▼未来を知る者として、タイガ・ウラ・アスハは決意する。▼――オーブを守る。▼――プラントの滅びを見届ける。▼…


総合評価:2270/評価:6.89/連載:230話/更新日時:2026年07月30日(木) 07:15 小説情報

酒寄さんちの次男くん(作者:へそ天ペロリスト)(原作:超かぐや姫!)

 かぐやが月で引継ぎ用に作成したロボットが追っかけてきて、かぐやが囲ってた酒寄双子の片割れにガチ恋してしまったので時間逆行して掻っ攫ったお話。▼ もしくは自身の知らない輪廻に宇宙猫してたら自身の娘みたいなものに泥棒猫された事実に気が付くかくやとヤッチョを尻目に堂々といちゃつくお話。▼ 超かぐや姫!の“超”担当こと酒寄彩葉もしくはいろPに双子の兄(転生者)を生…


総合評価:3781/評価:8.8/短編:10話/更新日時:2026年07月11日(土) 21:31 小説情報

白亜紀からこんにちわ(作者:VISP)(原作:超かぐや姫!)

白亜紀に転生してしまったとある転生者は発狂した後にチートはそのままに完全に人外へと変じてしまった。▼得たチートはあの怪獣王ゴジラのボディ。▼古代の地球で生き続けるある日、永い時を生きる彼の元に怪しげなタケノコが現れてから本当の物語が始まった。▼徒然なる中·短編集より独立しました。


総合評価:5789/評価:8.77/連載:44話/更新日時:2026年07月17日(金) 00:41 小説情報

うわっ、前からタケノコが!!(作者:七夕ナタ)(原作:超かぐや姫!)

▼ 激闘のオンパロス編終わったヤッター!▼ 永劫回帰は強制参加!ハピエンにするまで終われまてん!もこれにて終了!▼ ▼ そんな旅を終えて、癒しを求めて臨時休暇という名目で列車を飛び出したナナシビト。果てのない宇宙へバカンスにでも行こうと意気込んでいたら、銀河を爆速で飛行する『光るタケノコ』に宇宙船が狙撃された一般通過転生宇宙人のお話。▼


総合評価:9011/評価:8.98/連載:19話/更新日時:2026年07月30日(木) 10:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>