あの夜、僕は死ぬはずだった。
未確認生命体の騒動に巻き込まれ、河川敷に落ちて、溺れて。
意識が途切れる直前、ただ一度だけ――誰かの背中を見た。
角が二本。
人の形をしていて、人ではない影。
助けられた理由も、名前も知らない。
けれど、その背中を忘れられなかった。
それから二年。
僕は文化人類学を学び、幼馴染みの先輩と遺跡の発掘に参加していた。
過去を掘れば、あの存在に近づける気がして。
だが、遺跡の奥で起きたのは「発見」ではなく、「処刑」だった。
壁に吊るされた死体。
糸に覆われた影。
未確認とは、明らかに違う“何か”。
逃げる途中、拾ったはずの欠片は消え、
代わりに、僕の身体が――変わり始めていた。
人間のままではいられない。
怪物になるには、まだ足りない。
それでも戦うしかない。
あの背中の意味を知るために。
これは、人と怪物のあいだに生まれた、
――その名は、アルタ。
――アルタ。
古い言葉で、「変質したもの」「別の姿」を意味する名。
人が人でなくなり、
怪物が怪物でなくなるとき。

これは、「仮面ライダーであることを問われる男」の物語である。
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