デジモンポリスメン   作:namco

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今回からロックマンエグゼとのクロスオーバーです。
電脳世界繋がりでクロスさせてみました。
バトルチップを使った戦闘シーンでは、ゲームでの仕様やアニメを参考にしてみたり、自分なりの解釈で効果を表現しようと思います。
実際の効果と違ったらごめんなさい。


パラレルモンの大騒動 ロックマンエグゼ編
電脳世界へようこそ


 最初のパラレルモンの事件から帰還したユーリ達は、ミレイからの連絡を待ちつつも警察官としての任務に当たっていた。

 相変わらずユーリは犯罪者相手に容赦ない追跡を行っており、学生の不良グループや裏社会と繋がりのある政治家、大企業を相手に立ち回っていた。

 そんなユーリを抹殺する為に殺し屋等も雇われた事もあるが、ユーリの仲間が事前に察知し、殺られる前に叩き潰した為に事無きを得たのだ。

 そんな日々が続いたある日、ミレイから連絡が届いたのだ。

 

「パラレルモンの分身の居場所がわかったって?」

 

「ええ。五体のうち一体の潜伏先がわかったわ。」

 

「そいつがいる世界はどんな世界だ?」

 

「この世界と似たような世界。インターネット技術が発達した世界で、人間と人間が作った疑似人格プログラ厶「ネットナビ」が共存している世界。その世界の電脳世界に潜伏しているわ。」

 

「なるほどな。よし、じゃあ早速その世界に乗り込んで・・・!」

 

「慌てないで。向こうに行くにしても、活動するにしても色々と下準備が必要よ?このまま行ったら不審者として向こうの世界の警察組織に捕まっちゃうわ。」

 

「じゃあどうするんだ?」

 

「私に任せて。向こうで活動できるように下地を整えるわ。それまでもう少し待ってちょうだい。」

 

 そう言ってミレイはDD本部の応接室から出て行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――平行世界 日本 デンサンシティ

 

 

 

 ネットワーク技術が発達した世界。人々は、ネットナビと呼ばれる疑似人格プログラムと共に、高度に発達したネット技術の恩恵を受け入れながら、平和で豊かな日常を謳歌していた。

 しかし、この平和の裏ではコンピューターを破壊するウィルスやネット犯罪、そしてネット社会の破壊を目論む犯罪組織が居るという事実も存在する。

 そんな社会で、大規模なネット犯罪から世界を何度も救ってきた一人の少年とネットナビが居た。

 名を、「光 熱斗(ひかり ねっと)」と「ロックマン」。

 二人は、ネットワーク社会を破壊しようとする悪の組織から何度も世界を救っており、最終的には存在するだけで現実世界や電脳世界に破壊を齎(もたら)す電脳獣と呼ばれる強大な敵を倒し、世界に平和を齎したのだ。

 そんな彼も小学校を卒業し、仲間と共に中学生となり、それぞれが思い描く将来の為に勉学に励むのであった。

 

 

 

―――秋原町 熱斗の家

 

 

 

「・・・だぁ〜、終わった〜。」

 

『お疲れ様、熱斗くん。』

 

 たった今宿題を片付け終えて、椅子に身を任せて脱力している少年が居た。

 

「中学に入ってから一層勉強が難しくなったから解くのが大変だぜ・・・。」

 

 少年の名は「光 熱斗」。かつて世界を何度も救った英雄であり、デンサン中学に通う中学生の少年である。

 

『基本をしっかり押さえていれば簡単に解ける問題だよ?さっきの問題も、今日学校で習った所を応用すれば簡単に解けたよ?』

 

 熱斗が使っている机の横に置かれている端末―――「PET」から相棒であるネットナビ、「ロックマン」の声が部屋に響き渡る。

 

「そうは言っても、頭が追い付かないんだよ。あ〜あ、宿題が楽に解ける便利な道具とか無いかな〜?」

 

『そんなものあるわけ無いでしょ。そもそも勉強が難しく感じるのは熱斗くんが普段から真面目に―――。』

 

「あーもー、わかったから。説教はいいから、早くインターネットに行こうぜ!みんなが待ってるって!」

 

『まったく熱斗くんは・・・。』

 

 熱斗はPETを手に取り、自分の机の上に設置しているパソコンに向けてPETを向ける。

 

「プラグイン!ロックマンEXE、トランスミッション!」

 

 PETから赤外線センサーが照射されると、PETからロックマンはいなくなり、パソコンの中に転送されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ウラインターネットエリア 深部

 

 

 

 ここは通常のインターネットエリアと違って、ネット犯罪者や裏社会に身を置く人間やネットナビ、そして凶悪なウイルスが屯(たむろ)する、よほどの用事でもない限り近付こうとさえ思わない無法地帯とも言える危険なエリア。

 その危険なエリアにて、一つの異物が混ざり込み、深部にて強大な存在感を放っていた。

 

「・・・・・・。」

 

 その存在の名はパラレルモン。ユーリ達が倒した本体から生まれた分身の一体であり、その戦闘能力はオリジナルと大差ないが、平行世界への移動が出来ずその世界に留まっていた。

 

「く、くそ・・・!」

 

「デタラメだぜ・・・!」

 

 パラレルモンの足下に転がるのは、ウランインターネットを根城にしているギャングナビだ。裏に入り込んだ異物を排除しようとパラレルモンに立ち向かったが、全員がパラレルモンの圧倒的な力の前に叩き伏せられ、殆どがデリートされてしまったのだ。

 

「力・・・もっと力を・・・。」

 

 足下に転がるギャングナビへの興味を失くすと、パラレルモンは力を求め、ウラインターネットを徘徊するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――インターネットシティ 秋原エリア

 

 

 

「やあ、お待たせ!」

 

「ロックマン!待ってたでガッツ!」

 

「ロック!さっきぶりね!」

 

「お久しぶりですね、ロックマン!」

 

 インターネットシティの一角にて数人のネットナビが集まり、全員が久しぶりに揃っての交流に心を躍らせていた。

 工事現場の重機ロボットのような見た目のガッツマン、ピンクの体色と頭部から伸びる帯が特徴の少女型のロール、そして茶色の体で背中に翼のような装飾が取り付けられた男性型のグライド。

 ここに居る四人のナビは、オペレーターが小学生の頃からの友人であり、中学に入ってから集まるのは難しくなったが、全員がこうして集まるのは久しぶりであった。

 

「・・・ところで皆さん。最近こんな話を耳にしませんでしたか?」

 

「話?」

 

 グライドが話を切り出すと、ロックマンが首を傾げる。

 

「何でも、ウラインターネットにて見たことのない「何か」がうろついていて、ウラを根城にしているギャングナビが何人もデリートされているとの事です。」

 

「怖いわね。」

 

「何でそんな事知ってるでガスか?」

 

 ロールは恐怖に体を小さく震わせ、ガッツマンはなぜ知っているのかを質問する。

 

「綾小路家は、様々な企業と繋がりのある大企業であるが故に、ウラに関する情報も耳に挟むんです。企業の運営には情報収集は欠かせませんからね。」

 

「それで、そのウラインターネットでうろついている何かっていうのは?」

 

 ロックマンが聞き返す。

 

「私も噂程度でしか聞いたことがありませんが、ウィルスともネットナビとも違う強力な存在が突如として現れ、無差別に襲い掛かってナビ達をデリートしているみたいなのです。」

 

「ナビを無差別デリートか・・・。」

 

「多分ですが、その内オフィシャルからもウラには近付かないようにと連絡が入ると思います。ですので・・・。」

 

 グライドはロックマンの頭上に目を向けると、言い放つ。

 

「これまでの事情でウラに入り慣れてるからといって、興味本位で行かないで下さいね熱斗様。」

 

『ギクッ!』

 

 ロックマンの頭上に表示された映像に映るのは、ロックマンのオペレーターである熱斗だった。グライドに指摘されて心臓が大きく動き、バツが悪そうな表情を浮かべる。

 

『やっぱり・・・。』

 

 呆れた声が聞こえたと同時に、ロールの頭上に表示されたのはオペレーターである「桜井 メイル」だ。

 彼女は熱斗の幼馴染で、同じデンサン中学に通う同級生だ。

 

『熱斗の事だからそう考えてると思ったぜ。』

 

『予想出来たことね。』

 

 メイルに続いて、ガッツマンとグライドの頭上に表示されたのは、ガッツマンのオペレーターの「大山 デカオ」と、グライドのオペレーターの「綾小路 やいと」だ。

 全員が熱斗と同じ小学校出身だが、やいとだけは別の中学校に通っているので、こうして全員が顔を合わせるのは久々なのだ。

 

『言っても聞かなそうだけど、ウラインターネットに行くのは止めておきなさい。いくら貴方がウラランカー上位の証を持っているとはいえ、油断すると命を落とすわよ。』

 

 やいとが熱斗に対して忠告をする。熱斗の実力は小学生の頃から知っている。それでも危険地帯であるウラには行って欲しくないのだ。

 

「やいと様の言う通りです。友達として、行くのは絶対にやめてください。」

 

『わ、わかったよ。行かないから・・・。』

 

『ホントにわかってんのかしら?』

 

 モニター越しにジト目で熱斗を見ながらやいとは言う。

 

『まあまあ。熱斗もロックマンも、去年の事件を最後にウラに行く事はもう無いんだから、そこまで気にしなくてもいいんじゃないかしら?』

 

『甘いぜメイルちゃん。熱斗の事だ。面白そうな事があれば危険な事でも首を突っ込む奴だぜ?』

 

「そうよ。ロックマン。いくら熱斗のお願いでも、絶対に行っちゃダメよ?」

 

 デカオのセリフに同意するロール。そしてロックマンに裏に行きたそうな熱斗の命令を聞くなと言った。

 

「うん。わかってるよロールちゃん。」

 

『ひでー言われよう・・・。』

 

 思い出話からこれからの事までの会話を繰り広げているとあっと言う間に時間が過ぎていき、現実世界では夕方に差し掛かっていく。

 

「それじゃあ、また何時かね。グライド、やいとちゃん。」

 

「それでは皆さん、お元気で。」

 

『時間ができたらまた会いましょう。』

 

 そう言って二人はプラグアウトし、インターネットから姿を消した。

 

「私達も行くわ。この後ちょっと用事があるし。」

 

『そうね。そろそろ時間ね。また明日学校でね。』

 

「おうでガス!」

 

「またね、ロールちゃん、メイルちゃん。」

 

 ロールとメイルもプラグアウトし、姿を消す。

 

『いっけね!宿題やるの忘れてた!』

 

「それはイカンでガッツ!早くやらないと明日先生に怒られるでガス!」

 

『すまん熱斗!ロックマン!俺もここで終わるぜ!』

 

「さらばでガッツ!」

 

「うん。また明日ね。」

 

『ああ。また明日な。』

 

 ガッツマンとデカオもネットから姿を消し、この場には熱斗とロックマンだけになった。

 

「僕達もそろそろ終わろっか?」

 

『だな。この後特に予定ないし、明日に備えるか。』

 

 ロックマンと熱斗もプラグアウトし、インターネットから姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ウラインターネット 深部

 

 

 

「・・・・・・。」

 

 パラレルモンは、ウラインターネットの深部にてある物を見つめていた。データ粒子が一ヶ所に集まり形を成そうとしてはいるが、それが出来ずに形成と崩壊を繰り返している。

 普段であればそんな物を見ても何とも思わないが、パラレルモンは不思議と気になり、そのデータ粒子を取り込む事にしたのだ。

 

「・・・・・・!」

 

 パラレルモンはデータ粒子を取り込んだ瞬間、体内に莫大なエネルギーと記録データが駆け巡るのを感じた。

 この世界の事、ネットナビ、電脳世界―――数え上げればキリがない程の情報がパラレルモンの頭脳に記録される。

 記録された情報の中には、さらに興味深いものが存在していた。

 この世界で初めて作られた存在であり、最強の二文字を欲しいがままにしたネットナビ。深い愛情を創造主から受けていたにも関わらず、無実の罪を押し付けられて人間に絶望し、自らの強さを証明するために戦いを繰り返す電脳の破壊神。

 最期は青いネットナビとそのオペレーターによって倒され、残留思念データとして電脳世界を彷徨い、パラレルモンに吸収された最凶のネットナビ。その名は―――。

 

「フォ・・・ル・・・テ・・・。」

 

 最凶の力が、再び猛威を振るう日は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――デンサンシティ 科学省 

 

 

 

「いきなり呼び出して何なんだろうな?パパの用事って。」

 

 祝日が重なって学校が連休となっているある日。熱斗とロックマンは科学省で働いている父、「光 祐一郎(ひかり ゆういちろう)」から呼び出しを受け、祐一郎の仕事部屋へと向かっていた。

 

『わからない。けど、声の調子からして何か重要な件らしいけど。』

 

「もしかして、こないだのテストの成績が悪かった事に怒ってるとか・・・?」

 

『違うんじゃない?悪かったと言っても、最近少しずつ伸びて来て60点は超えてたよね?』

 

「あれは自分でも驚いたよ。勉強が苦手な俺があそこまで点数取れるなんて思いもしなかったよ。」

 

『熱斗くんの努力の賜物(たまもの)だよ。』

 

「っと、部屋に着いたぞっと。」

 

 熱斗とロックマンは祐一郎の仕事部屋に辿り着くと、扉を開けて部屋に入る。

 

「パパ、お待たせ!」

 

『久しぶり、パパ。』

 

「待ってたよ、熱斗、ロックマン。」

 

 部屋に入って熱斗の目に入ったのは、眼鏡を掛けた父である男、祐一郎であった。

 

「パパ。用事があるって聞いて来たけど、どうしたの?」

 

「実はお前達に頼みたい事があって呼んだんだ。」

 

「頼みたい事?」

 

 祐一郎はパソコンを操作して資料を熱斗とロックマンに見せながら説明をする。

 

「最近ウラインターネットで、次々とギャングナビ達がデリートされているのを知っているか?」

 

「うん。こないだグライドからそんな話を聞いたよ。」

 

『ウラに近付くなって言われたよ。』

 

「そうか。それなら話が早い。実はそいつの調査にある程度進展があってな。それをお前達にも話しておこうと思ってな。」

 

『え?いいの?そういう重要そうな事を話して。』

 

「確かに、コイツはオフィシャルが秘密にしておきたい案件だが、お前達も無関係ではないと思って情報を譲ってもらったんだ。」

 

「いいのかよオフィシャル、そんなんで・・・で、俺達も無関係じゃないって、どういう事だ?」

 

「落ち着いて聞いて欲しい。オフィシャルの調査中に、あるナビとよく似たデータが検出されたんだ。」

 

『あるナビって?』

 

「・・・フォルテだ。」

 

「『えっ!?』」

 

 祐一郎の口から出た言葉に、二人は表情を驚愕に染める。

 

「そんな!フォルテは、アンダーグラウンドでの戦いを最後にデリートされた筈だよ!」

 

『うん!僕達がこの手で倒したよ!この目でフォルテがデリートされるのを見たよ!』

 

「もちろん、お前達の言葉に嘘はないってわかってる。けど事実として、フォルテのデータが検出されたんだ。」

 

「もしかして、俺達をここに呼び出したのって・・・?」

 

「そのまさかだ。熱斗、ロックマン。今すぐウラインターネットに行ってその正体を確かめてきて欲しいんだ。」

 

「オフィシャルはどうするの?」

 

「パパが炎山くんを通じて、何とか通行許可をもぎ取ってきた。心配はない。」

 

『わかった。もしフォルテなら、対抗できるのは僕達くらいしか居ないもんね。』

 

「ああ!フォルテを止めるぞ!ロックマン!」

 

『うん!行こう、熱斗くん!』

 

「プラグイン!ロックマンEXE、トランスミッション!」

 

 熱斗は祐一郎のパソコンにプラグインし、ウラインターネットへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ウラインターネット

 

 

 

 ウラインターネットへと到着したロックマンは、辺りの惨状に顔を歪ませながら深部へと走って行く。

 

「凄い破壊跡だ・・・まさか、フォルテが本当に復活したのかな?」

 

『それを確かめる為にこうして調査してるんだろ?ウラは何が起きても可笑しくない。周囲の警戒を怠るなよ?』

 

「わかってるよ・・・はっ!」

 

 ロックマンが腕をバスターへと変形させ、銃口からエネルギー弾を放つと、弾を撃った先にはコンピューターウィルスが存在しており、弾が当たったウィルスはデリートされる。

 

『ウィルスもいるか・・・けど、このくらいの強さならバトルチップは要らないな。』

 

「うん。バスターだけで十分だ!」

 

 そう言ってロックマンは様々な方向にバスターを撃ち、どれもがウィルスに的確に当たって消滅していく。

 

「邪魔だ!」

 

 ロックマンはウィルスをデリートしながらウラインターネットの深部へと進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ウラインターネット 深部

 

 

 

「な、何だ、あれは・・・?」

 

 ウラインターネットの深部へと辿り着いたロックマンは、その目に驚くべきものを焼き付ける。

 重甲な鎧に身を包んではいるが、体と鎧を繋ぐ筋肉の部分が紐のように細い、目が一つしかない頭部を持った人型の異形であった。

 

「・・・・・・。」

 

 謎の存在―――パラレルモンは地に倒れ伏しているギャングナビや、このエリアに生息するウィルスを吸収しており、強大な存在感を放っていた。

 

「あんなの見たことない・・・近くにいるだけで押し潰されそうなプレッシャーだ・・・!」

 

『何だかドリームウィルスっぽい見た目だけど、アレとは全然違う・・・。』

 

『熱斗、ロックマン、アレからフォルテの反応が出ている!』

 

「何だって!?」

 

「・・・・・・?」

 

 ロックマンの会話が聞こえたのか、パラレルモンは吸収を止め、後ろを振り返る。

 

「貴様は・・・?」

 

「喋った!?」

 

「貴様は・・・ロックマン・・・?」

 

「僕を知ってるの?」

 

「記憶を見た・・・フォルテの記憶を見た・・・フォルテが・・・唯一勝てなかった存在・・・。」

 

「フォルテの記憶?どういう事だ?」

 

「私がこの辺りを彷徨っていたら・・・残留思念のデータを見つけ・・・吸収した・・・それと同時に・・・この記憶の持ち主が誰なのかもわかった・・・。」

 

『それが、フォルテの反応の正体か・・・!』

 

 祐一郎はフォルテの反応の正体が、フォルテを吸収したパラレルモンだと理解し、警戒を強める。

 

「君はなぜこんな事をするんだ?」

 

「私が最強となる為・・・全てのデジモンの頂点に立つために・・・食っている・・・。」

 

「デジモン?何だそれは?」

 

 ロックマンはパラレルモンの口から出たデジモンと言う単語について追及するが、パラレルモンは答えることなくロックマンを見据える。

 

「フォルテのデータもかなりのものだった・・・食った瞬間に・・・全身に力が漲(みなぎ)り・・・また一つ強くなったのだと・・・。」

 

『フォルテを、食ったって!?』

 

「フォルテを上回る強さを持つロックマン・・・貴様を食えば・・・私は究極を超えた存在となる・・・!」

 

『そんな事させるもんか!ロックマン!コイツを倒すぞ!』

 

「わかった!熱斗くん、オペレートお願い!」

 

『バトルオペレーション、セット!』

 

「イン!」

 

「貴様も食い尽くし、我が力とする・・・!」

 

 その言葉を合図に、ロックマンとパラレルモンの戦闘が開始され、戦いの火蓋が切られた。

 

「エンドレストランス!!」

 

 パラレルモンは目の前の空間を歪ませ、そこに腕を突っ込み、ロックマンの周辺に無数のゲートを開いて袋叩きにしようとする。

 

『バトルチップ、エリアスチール!スロットイン!』

 

 熱斗がPETにバトルチップを挿入すると、ロックマンにデータが送られ、ロックマンがその場から瞬間移動するかのように消え、パラレルモンの攻撃範囲から逃れる。

 

「む・・・。」

 

 攻撃が空振りに終わると、パラレルモンは視界から姿を消したロックマンを探そうと、単眼をギョロギョロと動かす。

 

「ロックバスター!!」

 

 パラレルモンの背後に回り込んだロックマンは、バスターからエネルギー弾を放ち、パラレルモンの背中へと当てる。

 

「そこか・・・!」

 

 だがパラレルモンは意に介さず、ロックマンの存在を察知すると頭を後ろに向け、単眼から光線を放つ。

 

「うわっ!」

 

 ロックマンはパラレルモンの光線を回避すると、避けられた光線は床に着弾し、爆発と爆風を起こしてロックマンを吹き飛ばす。

 

『大丈夫か、ロックマン!?』

 

「平気だよ!次のチップの転送を!」

 

『バトルチップ、メガキャノン!スロットイン!』

 

 熱斗が次のチップをPETに挿入し、チップデータを受け取ったロックマンは腕が赤いキャノン砲に変化させ、砲口をパラレルモンに向ける。

 

「なるほど・・・そう使うのか・・・。」

 

 ロックマンの腕の変化を見ていたパラレルモンは何かに気付くと、腕を突き出し、突き出した腕を変化させる。

 

「メガキャノン!!」

 

 ロックマンは腕のキャノン砲から砲弾を放つと、パラレルモンに目掛けて飛んでいく。

 だが―――。

 

「リフレクメット。」

 

 工事現場で被るヘルメットのような盾に砲弾が着弾し、威力を保持したままロックマンへと跳ね返った。

 

「ぐあっ!?」

 

『ロックマン!?』

 

「面白い・・・今まで食ってきたウィルスとやらのデータはこうして使うのだな・・・。」

 

『まさかバトルチップを使うなんて・・・!』

 

「野生のウィルスもたまに使ってたけど、まさかあいつも使うなんて!?」

 

「メテオアース。」

 

 パラレルモンが体内に取り込んだウィルスのデータを使用すると、上空から炎を纏った隕石が出現し、ロックマンへと降り注ぐ。

 

「うわあああ!?」

 

『ロックマン!バトルチップ、リカバリー!スロットイン!』

 

 ネットナビのプログラムを修復するチップデータを転送すると、ロックマンの傷付いた体が修復され、正常な状態へと戻って行く。

 

「ありがとう熱斗くん。」

 

『もう油断するもんか!ロックマン、クロスシステムだ!』

 

「わかった!」

 

『クロスチェンジ!エレキクロス!』

 

 熱斗がプログラムを転送すると、ロックマンの姿に変化が起きる。

 青い体は黒に変化し、胸部には黄色の装甲と、背中には電力を増幅させるコイルが取り付けられ、変身が完了する。

 

「サンダーボルト!」

 

 形状が変化したバスターから電撃を放ちパラレルモンへと向かって行く。

 

「グッ・・・!」

 

 電撃が当たった瞬間、パラレルモンは強烈な電撃によって一時的に機能が麻痺し、隙を晒す。

 

「効いてる!熱斗くん!」

 

『バトルチップ、スーパーバルカン!ホワイトカプセル!スロットイン!』

 

 ロックマンの腕にガトリングガンが装着され、回転する銃口から弾丸が撒き散らされる。

 

「が、あ・・・!」

 

 スーパーバルカンを転送する際、相手の動きを麻痺させるホワイトカプセルも同時に挿入した事で、麻痺機能が追加された弾丸がパラレルモンを襲い、全ての弾丸を受ける事になった。

 

「グググ・・・ガガ・・・!」

 

「熱斗くん、効いてるよ!このままトドメを!」

 

『任せろロックマン!プログラム・アドバンス!ソード、ワイドソード、ロングソード!トリプルスロットイン!』

 

 熱斗はパラレルモンにトドメを刺すべく、切り札を使う為に決められた種類のチップを決められた順番でPETに挿入する。

 すると、PETの画面には先程ロックマンに転送したチップデータが表示され、その三枚のデータが一度分解され、再構築されると、まったく新しいチップデータが生み出されて改めてロックマンへと転送される。

 

「プログラム・アドバンス!!」

 

 ロックマンの手の中に光り輝く剣が形成され、それを強く握り締めると、光が天を貫かんとばかりに何処までも伸びていく。光が限界まで伸び切ると、ロックマンはパラレルモンに向かって一気に振り下ろす。

 

「ドリームソード!!」

 

 膨大なエネルギー量が迸(ほとばし)る光の剣が、パラレルモンの身体を肩から脇腹に切り裂くと、真っ二つに割れて地へと仰向けに倒れる。

 

「gu・・・ガ・・・a・・・。」

 

 ノイズ混じりの断末魔を上げながらパラレルモンは機能を停止し、データ粒子へと変換されてデリートされたのであった。

 

『やった・・・やったぜロックマン!』

 

「うん!やったね、熱斗くん!」

 

 パラレルモンが消滅したのを確認すると、ロックマンと熱斗は喜びを顕にし、脅威が去ったのだと認識する。

 戦闘態勢を解いたロックマンは熱斗が映っている頭上のモニターに向かって言う。

 

「熱斗くん、プラグアウトお願い。」

 

『ああ。』

 

『ちょっと待ってくれ二人共。』

 

 熱斗がロックマンをプラグアウトさせようとした所、祐一郎が待ったをかけた。

 

『どうしたんだよパパ?』

 

『可笑しいんだ。奴の反応が消えていない。』

 

「え?でも、今目の前で消えて・・・うわっ!?」

 

 ロックマンがこれ以上言葉を紡ぐことはなかった。何処からか伸びてきた腕がロックマンを捕らえ、その腕の持ち主の目の前へと引き寄せられたからだ。

 

『あの腕って、奴の!?』

 

「油断・・・したな・・・?」

 

「何故だ!?お前はさっきデリートしたはず・・・!」

 

 ロックマンがパラレルモンの手の中で藻掻きながら問う。すると、パラレルモンは意味深な答えを出す。

 

「この場合は・・・こう言うのであったな・・・忍法・・・変わり身の術・・・と・・・。」

 

「っ!?まさか、バトルチップのカワリミ!?」

 

 ロックマンが倒したと思ったパラレルモンは実はカワリミの効果で生み出された偽物であり、本物は別の場所に移動していたのであった。

 

「透明になるこの力もいいな・・・戦略が無限に広がる・・・。」

 

『カワリミを使った後、インビジブルで隠れていたのか!?』

 

「今度はコチラの番だ・・・ヒートボディ!」

 

 パラレルモンが全身に炎を纏わせると、腕の中にいるロックマンはその炎に焼かれてダメージを受ける。

 

「うわああああ!?」

 

『ロックマン!?』

 

「ゴーレムパンチ!」

 

 腕を硬い岩石の拳に変化させると、ロックマンを強く握り締めたまま地面へと叩き付ける。

 

「ぐああ・・・!」

 

『ロックマン!』

 

「ふん!」

 

 陥没した地面から腕を引き抜くと、パラレルモンはロックマンを投げ飛ばし、地面に転がす。

 

「試してみるか・・・ヘルズローリング!!」

 

 腕の中に闇の力を凝縮したエネルギー状のリングを出現させると、パラレルモンはロックマンに目掛けて投げ付ける。

 

『まずい!バトルチップ、インビジブル!スロットイン!』

 

 熱斗がロックマンにチップデータを転送すると、ロックマンの体が透明になり、迫って来た闇のリングをすり抜けて回避する。

 

「今のはフォルテの!?」

 

「言った筈だ・・・フォルテのデータを食ったと・・・シューティングバスター!!」

 

 今度は腕をバスターに変化させると、銃口から多数のエネルギー弾が雨のようにばら撒かれ、インビジブルの効果が切れたロックマンに命中する。

 

「くっ!」

 

 一発一発の威力は大したことはないが、それが連続で当てられるとダメージが蓄積していき、ロックマンの体力がどんどん減っていく。

 

『バトルチップ、リカバリー!ドリームオーラ!スロットイン!』

 

 ロックマンの体力を回復させ、強固な守りを持つ黄金のオーラを纏わせると、パラレルモンから放たれるエネルギー弾はオーラの前に打ち消される。

 

『ロックマン、今の内に体制を立て直すんだ!』

 

「うん!」

 

「無駄だ・・・スーパーキタカゼ!」

 

 パラレルモンの背後から強い風が吹くと、ロックマンの纏っているオーラが剥がされ無防備の状態となる。

 

『そんな、スーパーキタカゼまで持ってるのかよ!?』

 

「道端に落ちていたのを拾った・・・カオスナイトメア!!」

 

 パラレルモンは闇の力を凝縮した巨大な球体を生み出すと、ロックマンに向かって投げ付けた。

 

『ロックマン!避けろ!!』

 

「くっ!」

 

 熱斗が避けるように指示を出し、ロックマンはその場から離れる。闇の球体がロックマンの近くに着弾すると、現在戦っているエリアが大きく揺れる程の大爆発を起こす。

 

「ぐああああ!?」

 

 直撃こそしなかったものの、大爆発の余波で吹っ飛ばされたロックマンは地面を転がり、地に倒れ伏す。

 

「ぐ、うう・・・!」

 

『しっかりしろロックマン!立つんだ!!』

 

 これまでの戦闘で積み重なったダメージがロックマンの体を蝕み、立ち上がるのが難しくなってしまう。

 

「貴様の力・・・私が貰う・・・。」

 

 パラレルモンは両腕を地に着け、前のめりになって頭部を突き出し、その身を砲台と化して単眼にエネルギーを充填し始める。

 

『仕方ない!ロックマン、プラグアウトを・・・!』

 

「逃がさん・・・!」

 

 熱斗がロックマンをプラグアウトさせようとしたところ、パラレルモンは目を怪しく光らせ、ロックマンの体に纏わりつかせた。

 

「っ!?プラグアウト出来ない!?」

 

『何でだ!?』

 

「私が貴様と・・・そこの人間との間に出来ている繋がりを・・・遮断した・・・もう逃げられん・・・。」

 

「そんな!?」

 

『ロックマン!逃げるんだ!!早く!!』

 

「貴様の力・・・貰い受ける・・・アブソーベント・バン!!」

 

 エネルギーの充填が完了した単眼から極太の光線が放たれ、ロックマンに向かって飛んでいく。

 

『やめろーーーーー!!!』

 

 パラレルモンの必殺技、アブソーベント・バンがロックマンを飲み込もうとしたその時―――。

 

「ライトオーラバリア!!」

 

 突如としてロックマンの目の前に黄金の障壁が発生し、パラレルモンの光線を防いだのであった。

 

「む・・・?」

 

「た、助かった・・・?」

 

『一体誰が・・・?』

 

 今起こった出来事に誰もが疑問符を浮かべると、その正体を探ろうと辺りに目を向ける。

 

「危ない所だったな。」

 

 声が聞こえる。ロックマン達は聞こえてきた方向に目を向ける。

 

「ここからは俺達に任せてくれ。」

 

 そこには黄金に輝く鎧を身に着け、全身に光のオーラを纏った竜人が宙に浮いており、ゆっくりと地に足を付けると、パラレルモンに向かって歩き出す。

 

「ようやく見つけたぞパラレルモン。お前はこの世界には居てはいけない。ここで消えて貰うぞ!」

 

「邪魔をするな・・・。」

 

「ユーリ、サポートを頼む。」

 

『任せろ!思いっきりぶっ飛ばせ!』

 

 黄金の竜人―――マグナモンは地面を思いっ切り踏み締め、力強く蹴り出すと、ジェット機が飛んだかのようなスピードでパラレルモンに近付き、電撃を纏った拳でパラレルモンを殴り付ける。

 

「ぐっ・・・!?」

 

  マグナモンに殴り飛ばされたパラレルモンは、地面を砕きながら転がって行き、やがて止まる。

 

「凄い・・・!」

 

『俺達が苦戦してた奴をこうもあっさりと・・・!』

 

 ロックマンと熱斗はマグナモンの強さに驚愕し、パラレルモンが一方的にやられているの見て開いた口が塞がらなくなる。

 

「プラズマシュート!!」

 

「センシャホウ!!」

 

 マグナモンが放ったボール状のプラズマ弾を、巨大な大砲に変形させた腕から強力な砲弾を放ち、大爆発と共に相殺させる。

 

『アイツ、あんな技持っていたか?』

 

「恐らくこの世界で手に入れたんだろう。これまでの戦法とはまるっきり違う。」

 

『なら、その戦法ごと叩きのめすまでだ!行くぜマグナモン!!』

 

「ああ!!プラズマシュート!!」

 

「バルカン!!」

 

 マグナモンはプラズマ弾を再び生成し、パラレルモンに投げ付けつつも接近していく。それに対してパラレルモンは、腕をガトリング砲に変化させ、弾丸をばら撒いてプラズマ弾を撃ち落とす。

 

『サポートコマンド、スピードアップ!!』

 

「マグナムマシンガンパンチ!!」

 

 ユーリからサポートプログラムを転送されると、マグナモンは移動スピードが上昇し、その勢いに乗ってパラレルモンを連続で殴り付ける。

 

「ぐおっ・・・!?」

 

「でりゃぁ!!」

 

 最後に力一杯殴り付けてパラレルモンを吹っ飛ばし、地面に倒れさせる。

 

「おのれ・・・!」

 

『マグナモン、トドメだ!!』

 

「エクストリーム・ジハーーード!!」

 

 デジメンタルのパワーを100%解放し、鎧から黄金の光線をパラレルモンに向かって放つ。

 自身に迫って来る光線を回避するべく、パラレルモンは体内に吸収したバトルチップの一つを使用する。

 

「・・・エスケープ。」

 

 戦場から離脱する効果を持ったチップを使用すると、パラレルモンは姿を消してマグナモンの放った光線を回避し、戦場から離脱した。

 

「逃げられたか・・・。」

 

『クソっ!せっかく見つけたってのに!!』

 

「落ち着けユーリ。少なくともこの世界から逃げる事はないとミレイが言ってただろう?なら地道に探していけばいいさ。」

 

『そうは言うが、このインターネットにしても現実世界にしても、広すぎてどこ探せばいいかわからねえぞ?』

 

「だからこそ、ミレイが協力者となるデジモンを何体か派遣してくれただろう?仲間も後から来るんだ。そう焦るな。」

 

『・・・そうだな。焦っても仕方ねえか。』

 

 ユーリとの会話をそこで終えると、マグナモンはロックマン達の方を向いて声を掛ける。

 

「お前達、無事か?」

 

「う、うん。君のお陰で助かったよ。君は?」

 

「俺の名はマグナモン。言っても信じて貰えないだろうが、ココとは違う世界から来た。」

 

「違う世界・・・?」

 

「俺達はあのデジモン・・・パラレルモンを追ってこの世界にやってきた。詳しい話をする為の場を設けたい。構わないだろうか?」

 

「どうする?熱斗くん、パパ。」

 

『うーん、さっきの様子からして敵じゃなさそうだし、いいと思うけどな。パパは?』

 

『そうだな。詳しい事情を知る為にも、お互いの情報交換が必要だな。わかった。話に応じよう。』

 

「ありがとう。俺のパートナーが今からそちらに向かう。少し待っていて欲しい。」

 

『わかった。待ってるぜ。』

 

 その会話を最後に、マグナモンはウラインターネットから去り、辺りには静寂が残された。

 

「何だか色々あって混乱するよ。」

 

『電脳獣の事件以来だな。こんな大事に巻き込まれるのは。』

 

『パパも色々と情報を整理する必要があるな。ロックマン、一先ずプラグアウトしてくれ。さっきの戦闘データを取ると同時にメンテナンスも行うよ。』

 

「わかった。ありがとうパパ。熱斗くん、プラグアウトお願い。」

 

『わかった。』

 

 ロックマンもウラインターネットからプラグアウトし、その場から誰も居なくなった。

 異なる電脳の世界にて邂逅を果たした二人の電子生命体。

 この出会いが意味するのは希望か混沌か、それは神のみぞ知る。

 パラレルモンを巡る世界を超えた戦いが今、再び幕を開ける。

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