私の両親は離婚していた。
私は二人に会いたかった。
だから、お母さんの元を離れてお父さんを探そうとした。
お母さんの元を離れるのは、お母さんが怪しい宗教に
ハマってしまったこともプラスであるかもしれないけどね。
私は物心ついた時から、人とは変わった力があった。
そのせいか、お父さんを探している中で...同じく力を持つ仲間と言って
声をかけてくる人達がいた。
その人たちは、付いてくればお父さんに会えると言った。
渡りに船と思った。もし本当に怪しい組織だったら、逃げ出せばいいし。
実際のところ、その人たちは私に力の使い方と知識を教えてくれた。
ちょっとしたお仕事をすればお金も貰えて、悪くない待遇だった。
そしてお父さんについても。
お父さんは、怪しい宗教にハマってた。
......は。
はは。
両親揃って?
......ふふ。
お母さんは宗教で紹介された人と付き合い始めてた。
お母さんは幸せそうだったから、それでもいいのかなって思ってた。
宗教にのめり込んでも本人が幸せなら...。
お父さんは、仕事の先で宗教にハマって、そっちで家族を作っていた。
みんなで仲良く、楽しそうに。
私は?
私はどこにいるんだろう。
私はどこにもいない。
怪しい組織の人は復讐だとか...何とか言ってくる。
悲しいし、怒りが積もるし。全てを壊してやりたいって、思うよ。
でももう...いいや。
幸い、私には力があるし。
組織の人は言っていた。私たちは皆んな病気なんだって。
でもその病が力を与えてくれるんだって。
私の力はお父さんから遺伝したんだって。
同じ化け物なんだから、離れないでいてくれれば良かったのにね。
私は考える。
この力を、この気持ちをどうするべきなのか。
私も宗教を信じようかな?
それとも私を見捨てた両親への復讐へ、歩き出そうかな?
お酒にタバコ、薬。快楽に逃げるのもいいかもしれない。
そんなのお断りだ。
誰が逃げてやるものか。
私は私だ。
私は自分の怒りと悲しみを誰にも、何者にも渡さない。
利用させない。投げ出さない。全てを抱えて歩いてやる。
仲間を集めよう。
私がこの苦しみから逃げられなくても、私以外の誰か一人でも。
その苦しみと虚無の昔日を変えてあげられるかもしれない。
汚濁に満ちた幼少期からほんの少しでも泥を攫う。
私のために。
私は、私を救うために掌で掴める限りの人を救う。
「梔姫」
「言葉を交わす機会を失った、口無し姫」
「はは...」
「皮肉な名前。」
いつしか少女は大人となり、黒いナイフを手にしていた。
彼女はそのナイフで病を奪い、病を与え、子供を攫って行った。
そしていつしか、彼女は日々をただ眺める事しかできない子供にとって、
痛みしか齎さない希望となっていた。
彼女は希望として現実に現れて、希望を持つ事が苦痛でない事を証明する。
子供は夢を、幸せを、幸福を望んでも良いのだと。
「喜びを運ぼう」
「この子たちが今、幸せであるように」
「それにより子供の私が、報われるように。」