地獄の黒鬼 咆哮す   作:町コアラ

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久々更新です
シグナムの話とかは大きく修正したいことが出来たのでまたいつか直してあげます
あとシグナムの話でなのはたちを名前呼びに変わってるって前書きに書いてましたけど後々名前呼びイベント作るのでいい年こいていまだに苗字よびです



ティアナ・ランスターは染まってく

「やはりお前には才能がある。俺の見込んだ通りだ。フォワード内で俺からこれを受け継げるのはお前しかいないだろう…」

「うぅ…」

 

 私、ティアナ・ランスターです。現在薄暗い部屋で、黒鬼と二人きりで」火照った体を落ち着かせています

 

「素晴らしい。煽りカスの才能がな!」

「やだあああああ!!!!」

 

 なんでこうなったんだろう

 

 逸って無理をしようとして窘められて、そのあとフォローということで自身を含めた無理をしたことによるしくじり先生たちのデータ六課を送ってもらったり(元々後輩たちが無理しないようにコネを使って集めていたらしい)その中になのはさんたちが知らない怪我事案があったということでOHANASIのために引きずられていくタケミチ(反面教師)さんを見てフォワードチームは絶対に変な無茶をしないことを心に決めた

 

 

 

 少し私の話になる。私の兄は優秀だった。執務官になる夢だってただの夢で終わらないくらいには強かった。だけど、それでも、台無しになってしまった。追跡していた違法魔導士に重傷を負わされて以来、魔導士として戦うことはもう出来なくなってしまった。

 

 頭では分かっている。救援に来た黒鬼(あのひと)が間に合わせられたからその程度で済んだのだ。兄自身も命があるだけよかったと言って普通に就職してとっくに次の道に進んでいる。だけど当時の私は悔しかった。兄の上司の1人の心無い発言がいまでもトゲとして残る位に、例えその発言をした人が黒鬼によって潰されたと知っていても。

 

 そう、黒鬼だ。本人は数多く助けたうちの1人のその家族としてしか認識していないだろう、だけどあの人の存在が魔導士としての私の人生にずっと絡みついていた

 

 くだらない意地、実際そうなんだろう。それでも兄の技は通用すると、私が執務官になること、黒鬼を超えることで私自身が証明したかった。だけど私は凡才だった。空戦適正もなく、士官学校の入学試験にも落第それでもここまで来たけれどその過程で耳に入ってくる黒鬼の活躍

 

 綺麗なヒーロー像では無かった。犯罪者を穴倉から首根っこ掴んで引き釣り出し、陰謀に巻き込まれたことも片手じゃ足りないが自身を呑み込もうとした闇はその腹を内側から食い破って返り討ち。その暴れっぷりで悪を物理的に粉微塵にしていた。もちろん首謀者は生かして捕えているのが基本であるが何処ぞの再生能力持ちを備えた生物兵器軍を復活させた犯罪*1では1人で灰に還した話は有名だ。一般人からは恐れられるのと同時に理不尽に対する理不尽、暴虐に対する暴虐、一方的に狩る側と思い込んでいる犯罪者にお前の番だと突きつける。民衆の怒りや悲しみ苦しみを元凶にのし付けて叩き返すその在り方は局員からも根強い人気があった。

 

 うらやましかった。私にもあの怪物のような力や才能があればよかったのに何度もそう思った。起動六課が黒鬼の所属する隊と連携することを聞いた時には正体を知れると思っていた

 

 しかし、兄の件以来に会った本人と言えば一言で言えば普通。

 

 タケ兄、アニキ、お兄さん、フォワードの面々も功績によってではなく、その内面を慕っていた。

 

 いい人だった。気さくで、ノリも良くて、勝手に抱いていた戦闘マシンというイメージは崩れ去ってしまった。

 

 だから私一人だけの秘密特訓*2と聞いて舞い上がって受けてしまった結果がこれだ

 

「なんですか煽りカスの才能って!?」

「でも楽しかったろ?調子こいたバカ共がちょっと煽ればいいように踊るの。なんで俺が単騎で多くの犯罪者を相手どれるかってのの答えの1つがこれ、一般人を巻き込むようなバカほど痛いとこ突かれりゃ顔真っ赤にして突っ込んできたりするもんさ」

「ヘイトコントロールとかでいいじゃないですか!なんで煽りカスなんですか!?」

「だってこの世界で大それたことするやつ程家族のためやら死んだ大事な人のために準じてとか神妙な顔しながらバカやるもんさ」

「っ!」

 

 見せてもらったタケミチさんの戦闘の映像でも確かにそうだった。

 

「他のフォワードの面子じゃあ、相手の事情によっちゃ同情が勝って演技でも煽れ無くなるだろう、何ならどうにか説得を試みるだろうな」

「それを出来るのが私…」

「犯罪の被害の経験がある局員は割と多いがその思考は守る事、被害者に寄り添う事は出来ても加害者を踏みつけることが出来る奴はあんまいない、事情は事情、今やってる犯罪は犯罪、それはそれとしてで時に周りから残酷とすら言われることすらできる人材はホントに貴重なんだ」

「それ、褒められてる気になりません」

「誉めてるよ。だってそういう説得に行く奴らをバカだとは思わんだろお前は、そんであいつらもお前がそういう事しても、『え~容赦ねえ~』ってポーズはしても本当に見限るとかはしない。そういう周りの環境を作れるって意味でも才能があるって話さ」

「うー、なんだか言いくるめられてる気がしますけど…まあいいです。敵も味方も好きに動かせるようになれば、あの子たちもより安全に仕事が出来るってことですもんね」

「そゆ事。未来の執務官なら人を動かすことも覚えなきゃな」

「じゃあ…頑張りますよ。多少の泥くらい被ってやります!」

「その意気だ。しかし当然ながら厳しい道だ色んな意味でな覚悟はいいか?」

「…ごくり」

「まずは…俺が纏めた罵倒語から覚えるか」

「うわ、そんなの纏めてるんですかって分厚い!!」

 

 辞典ぐらいあるものを学ぶことになった…少し後悔してきた

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「…それで?ティアナはどうだったタケくん」

「ん、まあ軽傷かな?犯人に対する憎悪で暴走みたいなことはなさそうだ」

 

 しばらく後、宮園武道と高町なのはは六課の休憩室で茶をしばいていた

 

「タケくんも大変だね、元犯罪被害者やその遺族の局員の子たちを煽りカスにすることで暴走しない程度にガス抜き出来る役割を作るなんて」

「なんで上に通ったか自分でもわからん」

 

 局員には元犯罪被害者やその遺族がいる。なんなら復讐のカモフラージュとして入局する者もいるし、普段は人々を守ることを第一にしていても何かの拍子にプッツンなんてこともある。そういう者たちの中から適性を見抜いて犯罪者を手玉に取る手段を提示して暴走しないようにする。それもまた黒鬼の役目であった

 

「普段から犯罪者をコテンパンにしてるタケくんから教わるってところも説得力になってるんだろうね。頑張ってね黒鬼さん」

「へいへい、ホントは綺麗に育ててやれればそれが一番なんだろうが…」

「世知辛いね…」

 

 2人はそろってため息をつく。教える側も大変なのだ

*1
古代ベルカ産

*2
もちろん許可済み

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