魔法科高校の魔法勇士〜科学魔法の常識をガチ魔法でぶん殴る!〜 作:ヴィルヘルム星の大魔王
日曜日の朝、リビングに続く階段をドタドタと慌てて駆け降りていく足音が聞こえる。ガチャリとドアノブが開き、少年の第一声が部屋に響いた。
「海姉、爺ちゃん、婆ちゃん、おはよう!あれ、父さんと母さんは?」
「おはよう。維吹、寝癖付いてるよ」
「維吹の分も用意するからね」
「お父さんとお母さんは、まだ寝てるよ」
寝起きである維吹の髪型を見て、寝癖を指摘するヒカル。麗は、台所へ向かい、維吹の分の朝食を用意し始めた。そして、食パンを齧る姉の海香。椅子に座った維吹は、祖母が用意したトーストを手に取り、苺ジャムを塗る。パンを一口齧り、コップに注いだ牛乳を口に含む。
「「大変!大変!大変―!」」
「ぶふっ!?」
「ちょっと、維吹汚い!」
「おやまぁ、珍しいお客さんね」
「ナイとメア?朝っぱらからどうしたんだ」
維吹は、扉を開ける音に驚き、牛乳を吹き出して咳き込んだ。海香は、行儀の悪い弟の行動を非難しながらも背中を優しく摩る。麗とヒカルは、突如来訪してきたナイとメアを訝しむが、彼女達の慌てている様子に只事ではないと感じ取った。
「今すぐ、皆を呼び寄せて!一大事!」
「スフィンクス様からの伝言よ!」
ナイとメアは、父の海誠、母の紅香、曾祖母の勇も交えて、小津家のリビングでインフェルシアの現状を説明する。事の顛末を聞いた維吹は、インフェルシアでの内部争いに疑問を浮かべた。
「冥獣人が地上に再侵攻を始めた!?爺ちゃん達と仲直りして、どっちも平和になったんだろう?」
「確かに、インフェルシアは心を入れ替えたわ。でも、冥獣人…正確には、はぐれ冥獣人が、スフィンクス様が率いる新生インフェルシアに反発して、新勢力を作ったの」
「昨夜、スフィンクス様は敵に襲われたわ。命に別状はないけど、これからが厄介」
上司が反逆者のせいで危険な状態に遭い、心労で気分が著しくない二人。それを見かねたヒカルは、事態収束を早めるべく、スフィンクスからの伝言を問い質した。
「二人とも、気分がすぐれない中、申し訳ないが、そのはぐれ冥獣人の名は分かるかい?」
「ええ、はぐれ冥獣人の名は、サー・ロクネ。アンデット族の首長にして、死霊操術の使い手。ずる賢い性格で有名よ」
「スフィンクス様の手元に置かれたメッセージに、こう書かれていたわ。〈サー・ロクネ、インフェルシアを離反し、ヘルグレイブを新興する〉って」
ヘルグレイブと呼ばれた組織名に、ヒカルと勇の顔が険しくなる。直訳通りの組織ならば、非常に厄介だ。
「ヘルグレイブ…地獄の墓」
「サー・ロクネ。死霊術の使い手か。冥獣人や冥獣を蘇らせることで戦力を増強しようと企んでいる場合、かなり厄介なことになる」
朝から繰り出される難しい話に、維吹の頭は混乱状態となり、頓珍漢な回答をする。
「で、その…ヘルグレープってのが、俺達やインフェルシアと敵対しているのか?」
「ヘルグレープじゃなくて、ヘルグレイブよ」
「グレープでもクレープでもないからね?」
維吹は、地獄の墓を地獄の葡萄と言い間違え、ナイとメアが訂正する。話が脱線しかけたが、約九十年ぶりに脅威が迫り、地球の未来は一家庭に託された。
その頃、瘴気が充満し、知恵無き冥獣が蔓延るアンデット族領の城館では、着々と進行準備が進められていた。城館にある広大な部屋には、不気味な文字で構成された巨大な魔法陣が彫り込まれていた。サー・ロクネは、魔法陣の前に立ち、杖を突きだす。
「メーザシラ・ヨミルド」
ロクネは、屍人蘇生の呪文『メーザシラ・ヨミルド』を唱える。魔法陣の周囲に黒い稲妻が走り、一体の冥獣人が出現した。その冥獣人の周りには、パラパラと砂粒が舞い落ちていく。ロクネは、床が汚れることを危惧しながらも、冷静に目の前の冥獣人へと話しかけた。
「私はお前の新しい主だ。冥獣人ザントマン一族の者よ」
大きな袋を肩に担いだ怪人は、ロクネを見るや否や、床に片膝を突き、頭を垂れた。
「ロクネ様、お初にお目にかかります。ザントマン一族のサンドールでございます。サンダールではありませんので、お間違いなきよう」
「うむ、砂漠の死神と呼ばれる貴様の力は、我等ヘルグレイブの初侵攻に相応しい。サンドール、貴様には一番槍として地上界を侵攻し、人間からの絶望を集めてもらおう。絶望による悲鳴こそが、冥獣人の力の礎となるからなぁ」
「なんと!私如きが重要なお役目を頂けるとは!このサンドール、誠心誠意を尽くし、人間どもを絶望の底に落とし込んで見せましょう!」
「ふふふ、そう自分を卑下するでない。お前の働きに期待しているぞ」
「はっ!では、私はこれにて」
サンドールは、ロクネがいる部屋から退出し、地上界へと侵攻を始めた。サンドールが部屋の扉から出る際、砂粒が道となり、床が砂で汚れていく。
「はぁ、せめて掃除していけ」
ロクネの呟きは、静かに掻き消えた。渋々、自ら箒と塵取りを用意し、清掃を始めるロクネだった。
同時刻、ナイとメアからインフェルシアの現状を聴いていた小津家一同のマージフォンに、インフェルシアの反応を知らせるメッセージが届いた。
「冥獣人反応!?」
「行ってくる」
「ちょっと、維吹!?」
「維吹と海香だけでは心配だ。ボクも行ってくる」
マージフォンの画面を見た維吹は、即座に玄関を飛び出した。弟の行く先を理解し、彼を止めようと追いかける海香。ヒカルは、孫二人が危険な目に遭わないよう、二人の跡を追いかけた。
冥獣人反応から数時間前、千葉の館山にある砂丘に、二人のカップルが訪れていた。アベック柄のシャツに身を包み、仲睦まじい様子を見せている。女は、彼氏の腕に体を抱き寄せながら、砂丘にまつわる都市伝説を口に出した。
「ねぇ、ここって、最近神隠しに遭うって噂の砂丘だよね?」
「あはは、それってただの噂でしょ。大丈夫、何があっても僕が君を守るから」
「やだ、たくましい」
イチャイチャと愛し合う二人。しかし、そんな幸せな時間も長くは続かない。
「きゃっ!?あ、帽子が!」
「取ってくるから待ってって」
砂上から風が吹き、女の被っていた帽子が飛ばされていく。男は、砂上に落ちた彼女の帽子を手に取り、砂埃を手で払った。
「お待たせ、あれ?いない?ミチコ~?」
男が振り返ると、彼女の姿は消えていた。声を掛け、辺り一面を探るも、人の気配すら感じない。カモメが鳴き、風が砂を運んでいるだけだ。彼女の名前を呼び、辺りを出歩くも見つかる気配がない。少し休憩しようと立ち止まった瞬間、足元の砂が流砂となり、人間がすっぽりと入りそうな砂穴が現れていた。所謂、蟻地獄である。
「う、うわあああああ!!」
男は、悲鳴を上げながら蟻地獄に引きずり込まれ、砂の中へと消えていった。館山の砂丘には、帽子だけがぽつんと残った。
東京都にある警視庁本部庁舎、そこでは一人の男が昼休みを楽しんでいた。
「偶には、即席麺も良いよなぁ」
「千葉警部、お食事中にすいません!」
「あっつ!?稲垣ぃ、声がでけぇよ!」
「あ、すいません!今日は、カップラーメンでしたか!食事をしながらで良いので、新たな報告を効いて下さい!」
昼飯を咀嚼しながら、部下からの報告を耳にする男警察官。報告を聞く中で、一つの疑問点が浮かび、稲垣に問いかけた。
「館山で行方不明事件?稲垣、それは千葉県警の管轄だろう?」
「俺も違和感を覚えましたが、先日から捜査中の東京都で起きた強盗事件ありますよね?ですが、千葉県警より応援要請が着ているのですよ」
デスクでカップラーメンを啜る男は、千葉寿和。剣技系魔法師の名門千葉家の出自であり、エリカの腹違いの兄でもある。彼は、魔法師絡みの事案や反社会的勢力の摘発を主に仕事とする荒事専門の魔法師兼警察官だ。だが、普段は警察官として通常業務に従事している。ぼんやりとした顔つきで、軽薄そうな見た目であるが、愛刀雷丸を片手に、敵船を真っ二つにするほどの力量を持つ。彼の前にいる部下の稲垣は、クリップに纏められた書類を片手に、上司である千葉寿和へ報告している。
「ああ、二日前に起きた銀行強盗事件で、犯人の強盗団を追跡していた警察官からの応答が途絶えたんだよな?」
「はい、その現場には警察官二名の制帽に加え、現金一億円が積まれたトランクケースが残されていました。そして、妙な事に、小さな砂山が六つ程あったとのこと、近くに公園はありませんでした」
「砂山か。誰かの悪戯という可能性もある。件の強盗団は、全員が元魔法師だ。向こうは、魔法師絡みの事件として俺らに要請したのか。もし、強盗団の奴らが海外に高飛びされるとあれば、百家が動き出すだろう。最悪の場合、十師族の介入も考えられる」
「それは、何としてでも避けたいですね」
日本の魔法師の抑止力でもあり、一部治外法権の権利を持つ十師族が介入するとなれば、警察は彼らに大きな借りを作ることになる。それは、非魔法師が大半の警察組織からすれば避けたい事態だ。
「砂か。今、巷で話題になっている砂の怪物が関与しているかもしれないな」
「最近出始めた噂ですよねソレ?そんなのオカルトじゃないですか?真面目に考えてくださいよ」
「魔法を扱う魔法師がオカルトを否定したらお終いだろうがよ」
警察は、犯人の手掛かりを一向に掴めないまま、捜査が難航していく。魔法という特殊能力を扱う魔法師兼警察は、行方不明事件に頭を悩ませていくのだった。
都内にある広場の一角は、一体の怪人の出現により、阿鼻叫喚に包まれていた。
「ば、化けもウァ」
「砂に還れ」
道行く一人のサラリーマンに狙いを定めたサンドール。サラリーマンの男は、怪人の出現に悲鳴を上げるも口を塞がれてしまい、爪先や手がボロボロと砂となって崩れていく。サンドールが握力を込めた瞬間、男の身体は完全に砂となってしまい、絶命した。
調子に乗ったサンドールは、車、電柱、標識、郵便ポスト、ビルと手当たり次第に砂化させ、人々の絶望を集めていく。
「悲鳴を上げる間もなく、殺されていく命。死の間際に見せる絶望が、オレの心を昂らせる!もっとだ!オレの、オレによる、オレの為の砂漠世界を作ってやる!」
両掌に砂の塊を生み出し、次なる獲物を狙い定めようとしたその時、
「そこまでだ!冥獣人!」
「ン?誰だ!」
黒いローブの人間三人が、サンドールの凶行を阻止した。
「人払いの魔法で、魔法師でも認知できないようにしたよ」
「流石、ヒカル爺ちゃん!」
「お前が、インフェルシアを裏切った冥獣人だな?」
「ほぅ、良く知っているな。オレは、冥獣人ザントマンのサンドール。サー・ロクネ様の手によって蘇った砂漠の死神だ!」
ボロボロの袋を肩に乗せ、気味の悪い髭とゴツゴツとした黄土色の身体が特徴のサンドール。
「あれが、本物の冥獣人」
「すっごい不気味…気持ち悪い」
初めて見る冥獣人の姿に、思わず身構える維吹と海香。それを見たヒカルは、左手を横に出し、前に飛び出た。
「二人とも、ここはボクに任せて逃げるんだ!」
二人の前に立ったヒカルは、グリップフォンとマジチケットを構え、戦闘の準備をする。しかし、維吹と海香は、ヒカルの横に並び、マージフォンを取り出した。その様子に、ヒカルは困惑した顔を浮かべる。
「ゴメンね、お爺ちゃん。私、戦うのは怖いけど、何もしないで指をくわえているよりはマシ!」
「俺たちは勇敢な魔法使いの孫だ。とっくに覚悟はできてる」
海香と維吹の言葉に勇気を感じ取ったヒカル。ならば、その勇気に応じて、手を差し伸べるのが自分の最善だと理解した。
「わんぱくな孫を持つと、苦労するよ。でも、それでこそボクの生徒だ」
ヒカルは、グリップフォンにマジチケットを差し込み、グリップを押す。続いて、維吹と海香は、マージフォンをワンドモードに形態変化させる。そして、1・0・6のテンキーを入力し、三人で変身呪文を唱えた。
「「天空聖者よ、我らに魔法の力を!魔法変身!マージ・マジ・マジーロ!」」
「天空変身!ゴール・ゴル・ゴルディーロ!」
〈マージ・マジ・マジーロ!〉
三人の足元に魔法陣が出現し、維吹の背後にはグリフォン、海香の背後には、ローレライの幻影が幻視可される。ヒカルは、本来の姿であるサンジェルを経由して、全身がマジスーツで覆われていく。
「輝く太陽のエレメント!天空勇者マジシャイン!」
太陽を司る天空聖者サンジェルこと、黄金の魔法使いマジシャイン。
「揺蕩う水のエレメント!青の魔法使いマジブルー!」
麗と同じ水のエレメントを受け継ぎ、天空聖者アクアジェルと契約を交わした青の魔法使いマジブルー。
「眩く金属のエレメント!銀の魔法使いマジシルバー!」
銀色に煌めくマジスーツに身を包み、天空聖者ミラジェルと契約を交わした若き魔法使いマジシルバー。
『溢れる勇気を魔法に変える!魔法戦隊マジレンジャー!』
ここに、青・金・銀の魔法戦隊が結成された。新生・マジレンジャーの誕生である。
三人の名乗りを最後まで見ていたサンドールは、掌から砂を生み出し、地面に落とす。地面に落ちた砂がサンドールの周囲に湧き上がり、人型へと形作られていく。その姿形は、インフェルシアの下級戦闘員ゾビル兵に似ていた。サンドールは、戦闘員のゾビル兵に攻撃命令を下す。
「サンドゾビルよ、魔法使い共を殺せ!」
『ギョガギャ~!』
召喚されたゾビル兵は、マジブルー、マジシルバー、マジシャインへと散開し、攻撃を始めた。シルバーとブルーは、攻撃を避けながら、各々が戦いやすいフィールドへと移動する。
「マジランプバスター!」
マジシャインは、マジランプを三回擦り、黄金のエネルギー弾を放つ。被弾したゾビル兵は、前のめりに倒れた。そして、左右から鉈で斬り掛かるゾビル兵の剣筋を見切り、マントで二体の視界を塞ぎ、回し蹴りと零距離射撃をお見舞いする。背後から襲ってくるゾビル兵の気配に感付き、二発のマジランプバスターを発射する。攻撃を受けたゾビル兵らは、前方回転で地面へと落下した。
「どうやら、まだ戦えるみたいだね」
九十年ぶりの戦闘ながらも、衰えを見せないマジシャイン。その頼もしい姿は、ゾビル兵の警戒を強めた。
一方、マジブルーは噴水がある場所でゾビル兵と戦闘していた。彼女のエレメントは、水と関係が深い場所でこそ真価が発揮される。マジスティックの刃でゾビル兵を斬り付けながら、口頭で呪文を唱えた。
「マジカ!」
マジブルーは、攻撃呪文のマジカで水流を発生させた。水流に呑まれていくゾビル兵、砂で形成された身体構造故か、ドロドロになって崩れ落ちていった。地味にグロテスクなやられ方に、海香はヒッと小さな悲鳴を上げる。
「でも、水があるなら、私の独占場よ!さあ、どんどん掛かってきなさい」
水場という環境のお蔭か、調子を取り戻したマジブルーは、マジスティックを構え直し、鉈を振り上げたゾビル兵達へと走り込んだ。
階段がある広場で戦っているマジシルバー。シルバーは、マジスティックを剣状態のマジスティックソードに変化させ、袈裟斬り、斬り上げからの右回し蹴り、三位一体の鉈攻撃を刃で防ぎ、力強く押し上げて一文字斬りで斬り伏せていく。
『ゴバラァ!!』
五体のサンドゾビル兵は、マジシルバー目掛けて口から光弾を射出する。攻撃に気付いたシルバーは、マジスティックを胸上に翳し、呪文マジマジカを唱えた。
「マジマジカ!シルバーリフレクト!」
魔法力で生み出された一枚の魔鏡が、シルバーの眼前に具現化される。多数の光弾が鏡面に反射し、攻撃を仕掛けたゾビル兵の元へ跳ね返る。倒れたゾビル兵の後方から、新たなゾビル兵の群れが襲い掛かろうとしていた。マジシルバーは、戦闘の恐怖を微塵も感じない態度で、次の呪文を唱えていく。
「ボールに変われ!ジルマ・マジーロ!」
ジルマ・マジーロの呪文でゾビル兵は、身体を球体状に変化させた。
「そして、ジーマジカ!シルバーミラー!」
ジーマジカを唱え、ゾビル兵の集団を囲むように、前後左右、斜め、真上へと複数のマジミラーを発生させた。ゾビル兵ボールを足で押さえたシルバーは、右足を大きく後ろに振り上げて、強烈な蹴りを叩きこむ。
「必殺、シルバーシュート!」
シルバーによって蹴り出されたボールは、一体のゾビルの顔面に直撃する。その反動で、ボールが跳ね返り、マジミラーにぶつかる。マジミラーの反射する性質を利用した縦横無尽の軌道で襲い掛かるボールに、ゾビル兵らはただひたすらに打ちのめされていくばかりだ。三人の闘いを見物していたサンドールは、シルバーの戦闘センスに関心を抱く。
「存外にやるではないか。だが、オレ様はそう甘くないぞ!
サンドールが放った砂の激流が、マジシルバー達へと向かう。マジブルーは、目の前に迫る砂の波をもろともせず、水の壁を形成した。
「砂には水よ!ジーマジカ!ブルーウォール!」
砂の波と水の壁がぶつかり合い、水分を含んだ砂が地面に残る。マジブルーは、即座にマジスティックで斬り掛かるも空振りで終わった。周囲を注意深く見渡すも、サンドールの姿が何処にも見当たらない。
「嘘、消えた!?キャアッ!?」
「姉ちゃん!」
「海香!」
いつの間にか、マジブルーの背後に立ちまわっていたサンドールは、砂状の剣を振り翳し、背中に一閃。マジブルーは、苦痛の声を漏らした。
「少しは考えたようだが、オレの攻撃を防いだことだけは誉めてやろう!!」
「よくも姉ちゃんを!うおおおお!」
「よせ、維吹!」
姉が剣撃を受けたことに激昂するマジシルバー。マジシャインの制止を振り切り、マジスティックソードでサンドールへと斬り掛かる。怒りで乱れていく太刀筋をひらりと躱していくサンドール。しまいには、刃を手で掴み、砂化でじわじわと崩壊させる始末。
「まだまだお子ちゃまだな。この攻撃でヤラれるサンドールではない!サンドスラッシュ!」
「うわあああ!?」
左手で砂剣を具現化させ、X状の斬撃でシルバーを吹き飛ばす。背中から転がるシルバーの変身は強制解除させられ、生身の姿へと逆戻りした。
「さて、他の場所でも人間共の悲鳴を集めるとするか。次は、塔を壊してみるのもまた一興かもな。フハハハハ!」
「うぐっ、ま、待て!」
維吹の叫びを無視し、無慈悲な高笑いで砂の中へと消えていくサンドール。怒りで攻撃がブレ、敵に隙を見せてしまった維吹は、悔しそうな表情で地面を叩く。弟の後ろ姿を見た海香は、自分のせいで、と悲痛な顔を浮かべる。ヒカルは、怪我をした彼女を肩で支えながら、一時撤退を宣言した。三人は、一度家へと戻り、態勢を立て直すのだった。
主人公の色は、銀色となりました。この配色は、構想段階から決まっていました。