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(愛について…? やはり… )
待っている間、二人が移動した方角からは、明らかに戦闘と
それなのに、激しい戦闘の後にも関わらず、二人の服には
考えられることは脱いで戦っていたということ……
森の中…
全裸の男女…
激しい戦い…
ここから導き出される結論は―
(まぐわっていたな、これは… )
どうやら、レインとレーネは恋人関係のようだと当たりを付ける。それにしては、レインの態度が素っ気ないので、そこまで深まっている感じはない。しかし、レーネの方はぞっこんのようだ。
会ったばかりだと聞いていたが、なかなかどうして関係が早い。
レインは二十歳前後の年齢だと聞いていたが、随分と性に奔放なのだなと感心する。
自分は三十を過ぎて、四十に近づいたこの歳まで、未だにそのような行為をしたことがない。決して遅いわけでもないのだが、時代の流れを感じるものだ。
(今のこの年代は、こういうものであろうか? )
おまけに行為に及ぶ度、あそこまで魔力を発散させることが信じられない。あれでは街の中で致すわけにもいくまい。魔境の中で行うのも納得のことだ。
エイリスの目には、レインが物凄く豪胆な人物に写る。この歳でこのような行為を普通に行っているのは、流石というか何というかだ。
(これが九ツ星狩人…いや、レイン・シス・プラムゼフレルドか… )
最初に接触した時も、恐るべき力を秘めた人物として写っていたが、想像以上だ。
(何人も愛人がいるのだろうな… )
実は少し気になっていた。しかし、そう言うことであれば、自分に出る幕はないのかも知れないと、内心で少々肩を落とすエイリスであった。
だが、落ち込んでばかりもいられない。
「しかしながら随分と激しかったな。いつもああなのだろうか? ここにまでしっかりと伝わってきたよ… 」
ふと、もしや街の中でもこんな調子なのかと思い、婉曲に聞いてみることにした。そうであるならば、領主の娘として釘を刺しておかなければならない。
(そう言えば、店がどうこう言っていた… 漏れないように地下で行うとかあるんだろうか? )
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やはり伝わっていたか… あれだけの戦いだったからな、ここまで届いていても、しかたがない。
不安にさせてしまったよな… 申し訳ない
しかし、アイツと戦っていたとは言えない。
どうしたものか…
「レーネと戦っていたのは事実だが、そこまで本気では戦っていないぞ。あくまで平和的に…友好を深めるために競い合っていたと言うか…まあ、なんと言うか、あくまでそう言った競技をな… 」
途中から自分でも何を言っているのかわからなくなってきた。難しいな…。いい嘘が思いつかない。言えないことが多すぎて何の説明もできないし…。
「そうねぇ… 」
困っていたら、レーネが何かを言い出そうとした。俺のフォローになるのか、それとも?
「いつもだいたい、あんな感じじゃあないかしら? 激しくなるわよぉ、極限までね… 男同士の戦いですもの 」
「男同士っ!? 」
「おいっ! 言うなっ! 」
アレの存在を持ち出すのは駄目だろっ! そう言う約束…は…してないな…でも、空気を読みなよっ! 空気っ! 察してよねっ!
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(男同士…だと… レーネは男なのか!? )
外見は女性にしか見えない。声も女性のものであるように聞こえる。魔力は……改めて見ても良くわからないが、女性にしか見えない。しかし、本人が男性というならば、男性なのだろう。
エイリスはそう結論づけた。となればレインは…
(男色家…なのか……? )
珍しいことではあるが、まったくいないわけでもない。公にしたがる人間はいない。しかし、判明したら判明したで、そう言う人もいるんだな…ぐらいの扱いだ。
理解される程ではなくとも、趣味の一つとして認知される。エイリスにとってはそう言う認識だった。
(あまり触れるべきではないんだろうな… )
だが、そう思えばそう思うほどに、興味が湧いてくる。
(少しだけなら… )
婉曲的に、それとなく聞いてみることにした。
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「おっ…男同士の戦いとは、どういうことだろうか? 」
ほらっ、言わんこっちゃない。急に変なことを言うから、そりゃあ気になるよな…
存在しないものが突然、話に出てきたら引っかかって当然だ。
妙に、うわずった声が気になるが…
どう答えるか?
「男みたいに勇敢に戦っていたよ… レーネは 」
「あら? わたしがガサツっていいたいのかしらぁ?」
「いや… そう言うことじゃなくてな… 」
話を合わせてくれっ…
でも、そんな聞き分けのいいやつではないな。無駄かぁ… むしろ、嬉々として引っかき回してくるタイプだったわ。信用ならない。
「しっかり女として見てもらいたいわぁ。あなたには… 」
腕を絡め、しなだれながら、そんなことを言ってくる。
心にもないことを…
危険なニオイしかしないな。今も突然刺されそうな怖さがある。
「おいっ、ひっつくな… 離れろっ 」
「ええ~、なんでよ… わたしとあなたの仲じゃない 」
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(女として見てもらいたい…やはり男性か? )
男性が女性として振る舞うのは、大変なことなんだろう。なんとなく、レーネの仕草に切実なものを感じる。しかしそれだと、先ほど男同士と自分から言ったことに違和感を覚える。
(自分自身の性認識について揺らいでいるということか? )
自分にはわからない大変なことがあるんだろうと、レーネを同情的な目で見る。そうなると、ともすればレーネに対し冷たい態度であしらうレインへ、軽く憤りのようなものを覚える。
(もう少し、優しくしてあげても良いだろうに… )
「レイン殿、余計なお世話かも知れないが、女性に対する扱いはもう少し丁寧なものにした方が良いと思うのだが… 」
「そうよぉ、もっと慈しみを持って愛しなさぁい 」
「離れろっ、 愛とか言うなっ、 誤解が深まる 」
レインはレーネを引き剥がし、エイリスに真剣な顔を向ける。それから、諭すように語りかけた。
「そうは見えないと思うが、レーネは共和国でもかなりの権力者だそうだ。エイリスも警戒をして置いた方がいい。痛い目を見るぞ 」
「…そうなのか? 」
「どうかしらぁ? 」
「自分で言ってただろう… 」
「フフ… 女は時としてウソをつくものなのよぉ。優しいウソをね… 」
「それは同じ女として同意しかねるな… 」
確かに、レーネの言葉を鵜呑みにするのは危険であると理解出来た。だが、それはそれとして、レインの男色家疑惑が消えたわけではない。二人の関係がタダならないものであるのは確定的に明らかだ。
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この女… やはり厄介だな…
俺自身がレーネについてあまり知らないから、なんとも説明しにくい。知っていたとして、あまり人に話せることでもないだろう。どの道詳しい説明はできない。二律背反だ。
おまけに、その情報のほとんどが、レーネ自身の口からもたらされたもの。どこまで本当か俺には判断つかない。
俺自身が掴んだ情報は、彼女が人間でないことや亜空間を使うこと、アルゴルを使役出来ることと言った、人に話せないことばかりだ。話したところで信じられないだろうし俺自身の推測も多分に混じる。
考えてみたら、そもそも、俺自身についても言えないことばかりだ。
基本的に、何も話さないのが一番なんだ… 状況的に、それがキツいと言うだけで…
他愛のないおしゃべりがしたいね。平和が一番だよ…まったく
「ところでレイン殿、レイン殿には決まったお相手はいるのかな? まあ、無理には聞かないが… 」
そんなことを考えていたら、エイリスから軽めの話題が振られる。こんなのを待っていた。いや、俺にとって軽くはないな… しかし、だいぶましではあるか…
この波に乗るしかない
「流れの狩人だ… 決まった相手などいるわけない 」
「ひどいっ! わたしはどうなるのっ? 」
「黙っていろ… どうにもならん 」
レーネがいちいち場を引っかき回してくる。だがこの程度なら問題ない。
「レイゼルトから来たと言っていたな。レイゼルトにはいないのか? 」
エイリスも無視して本題を進めてくる。ここに来てレーネの扱いを決めたようだ。学習してきている。
助かるね…
「レイゼルトには二年ぐらいしか居なかったからな… これと言った相手はいない 」
「そうなのか… しかし、気になっている相手ぐらいはいるんじゃないのか? 」
「そうだな… 何人かいるな… 」
「何人か… それは女性だろうか? 」
「? そうだが? 」
わざわざ性別を聞いてくるのは、どういうことなんだろうな? この世界には男色家が普通にいると言うことか… そんな話は聞いたことがないんだが…
帝国が近いからとか…? 進んでいるな… 注意しておかないと田舎者だと思われてしまうのかもしれない。心に留めておこう
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どうやら、女性もいけるクチのようだった。むしろ、女性の方が好きと言った口ぶりだ。男性もいけると言った方が的を射てるように思える。
それを聞いて、エイリスは何故か少しホッとしていた。しかし、別の懸念点が浮上してきた。
何人か気になる女性がいたと言っているが、もしかすると、全員と関係済みだということも有り得る。
特定の相手はいないと言うことだが、流れの狩人になる時に、関係を切ってきたということなのだろうか?
いや、旅に出てから、性に奔放になったと言う可能性も考えられた。旅は精神を開放的にするものだと聞いたことがある。
「流れになったなら、女性と知り合う機会もあまりないだろう? 旅の間は寂しかったりするのではないかな? 」
少し、踏み込み過ぎな気がしないでもない。しかしこの際だ。いろいろ聞いておこうと決めた。
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結構いろいろ聞いてくるな。こう言った話は好きなようだ。
見た目が少女で年齢が四十歳近く騎士団長であり旧家の厳しい環境の中で育ち古風なしゃべり方をすることから属性が多くて良くわからない人物だと思っていたが意外と普通の女性と変わらないということか…
しかし、旅に出てからの女性関係… 思い返してみれば、それなりにいろいろな縁があったな。女性に限った話でもないが、な。
「まだ旅に出て一月ぐらいしか経っていない。だから、別に寂しいという事もないな。ジュジュもいるしな…
旅の中で、いろいろな人達とも知り合えた。その中には、もちろん女性もいたが、特別な関係にはならなかったよ
まあ、いい感じになりそうな時もあったが、旅の身空でしかない。結局、最後は別れるものだ 」
「あらぁ… つまらない答えねぇ。ガッカリだわぁ 」
「うるさいっ… 」
大人しく聞いていたと思ったらそれかよ! 悪かったな、つまらなくて…
「でも、ホントのことを話す義理はないわよねぇ… 」
「別にウソは言っていないが? 」
「ホントかしらぁ? 」
こいつ… わかってて言っているな
狙いはエイリスか… 彼女の思考を混乱させようとしている
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レインの話を聞くに、そこまで性に奔放でもないように思えた。むしろ、話し方は抑制的に聞こえる。
しかし、レーネの言を信用するわけでもないが、それだけを根拠に判断するわけにもいかない。
実際、エイリスはレーネを男だと思っている。レインとレーネは魔境の中で致したと確信している。
そして、ここに来て更なる懸念点が浮上することになった。
(ジュジュ殿がいるから…寂しくない? まさか… )
伝説や創作上の話なら異種婚姻譚は珍しい話ではない。単なる空想、お伽話の類いだ。しかし、ここに来て可能性に思い至る。
そう言うことを好む人間がいるから、お話が作られているという可能性に…
(レイン殿がジュジュ殿と… )
確認したわけでも無いのに、一方的な評価を張り付けるのは良いことではないとエイリスもわかっている。わかってはいるのだが、一度疑念が湧いてくると、なかなか自分では止められないもの。
思考はいろいろな方向に回転していく。
そういえば、自分もジュジュに抱きつこうとしたことがある。レインとジュジュなら大きさ的にちょうど良さそ…
(なっ、なにを考えているんだ…私は…)
妙な妄想をしだした自分に対し、恥を覚えると同時に驚愕してしまう。早いところ思考を切り替えねば…と思った時、思わぬところから助け船がもたらされることになった。
「そろそろ、この話にも飽きてきたわぁ… お腹もすいたしご飯にしましょう 」
「おいっ! 飯までたかる気か? 」
こんな所まで押しかけてきて、食事を要求するレーネに呆れる気がしないでもないが、切り替えるにはちょうど良い機会だ。
日も完全に落ちて、辺りは完全に暗くなっている。夕食にはちょうど良い時間だろう。
「まあまあ… 食料は余っているんだ、一緒に食べて問題ないだろう 」
「さっすがエリちゃんっ、話がわかるわぁ。どこぞのケチ男とは大違いねぇ 」
「エリちゃん… まっまあ、いいだろう 」