ありふれたクズミュージシャンと一番星   作:もちゃもちゃの玉ねぎ

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再会

昼過ぎ、目が覚める。

気怠い身体に気合を入れてベットから起き上がる。

 

「……はぁ、今日収録だったっけか」

今日のスケジュールを思い出し、ダルいなぁと思いながらも準備を始める。

洗面所で顔を洗い、髪の毛を適当にセット、そしてピアスを付ける。

 

「ピアスもいつの間にか増えたな。」

右耳に耳たぶに3つ、コンクに1つにヘリックス1つ。左耳も耳たぶに2つ、コンクに2つ、そしてインナーコンク1つ。舌ピとリップも空いてます。

 

服も適当に着て、相棒たるギターを担いで部屋の外に出る。

なんだか隣が騒がしい。あぁ、ダルいな。そこ通るんだから塞がないでくれよ。

そんなマイナスな事を考えてうるさい人間が屯している方を向く。

そこにはありえない光景が広がっていた。

 

「……は?」

そこに居たのは、最近人気になってきたB小町のアイ、中年の金髪のおじさんそして、そのアイの面影を感じる2人の幼子。

 

「……ア、イ?」

驚愕から出た疑問の気持ちは意図せず世界に発信された。

 

「?!バッカお前が変装もしてねぇからお隣さんにバレちまってるぞ?!」

金髪のおっさんが身バレしたことに焦っている。

あんたが決定的に認めたんだけどな?

 

「……キラくん?」

アイがこちらを見て驚愕している。そりゃそうだ。多分おれもそれと同じ顔してるだろうし

 

「は?!アイお前の知り合いか?!」

ちょっとあんたさっきからうるさい。

 

「…うん、ちょっと佐藤社長うるさい」

あぁ、事務所の社長だったのか。

 

「黙ってられるか!あと俺の名前は斎藤だッ!」

名前を覚えられないのは昔から変わってないんだなぁ。柄にもなく過去を思い返してしまう。

 

「…キラくん、部屋来てよ。話したいことあるし、」

少し不安そうな顔と瞳でこちらに話しかけてくる。

 

……あぁ、そんな顔を、瞳を俺に向けないでくれ。

 

「あっあぁ、わかった」

肯定を返して、アイの方へ向かおうとした矢先に、俺の部屋のドアが開く。

 

「きらく〜ん、もういっちゃうの?」

甘えた猫なで声でこちらに話しかけて来る女、そういえば昨日女抱いてたなと考えながら言葉を返す

 

「…起きたなら服きて帰れよ」

冷たく返事を返す

 

「えぇ〜つめた〜い」

うぜぇ、猫なで声も全部鼻につく。

 

「これ以上ウザくしたらもう一生合わねぇ。」

 

「!!わかったわよ!ほんとにキラくん冷たいッ」

そう言って女は扉を強く閉めた

 

「あ〜なら部屋入ります?」

なんか社長さん以外の目が冷たいものになった気がするが気にしないでおく。

二人は頷いて部屋に俺も通してくれた

 

 

 

 

「…えっと久しぶりだな?アイ」

気まづく少しの静寂の後俺はアイに声をかける

机を介して俺、目の前にアイと社長さん、少し離れたソファーに双子が座りこちらを注意深く?見ている

 

「…うん、キラくんも久しぶり、何年ぶりかな?」

昔変わらない嘘の笑顔をこちらに向ける。だけどその笑顔の裏に喜び、悲しみ、怒り?のような感情が見え隠れしている。

 

「6年ぶりだな。俺があそこから出たのが6年前だから。」

 

「…うん、そうだね。6年も会えてなかったんだ。」

感慨深そうに、6年という月日を感じるようにアイは呟く

 

「アイはアイドルとして頑張ってるみたいだな。デビューライブから応援してるよ。」

これは本当。俺が児童養護施設を出たあの日、アイとは喧嘩別れのようになってしまった。お互い携帯なんてものも持ってなくてそのまま音信不通、今日会えたのも奇跡のようなものだ。

 

「!!なら、声掛けてくれたら良かったのにッ」

アイが声を荒らげる。

……あぁ、この子はまだ俺を想ってくれるのか、俺は君を見捨てたのに、

 

……いや、ならあの双子は?!

 

「ごめん、勇気が出なくて。ダメな兄だろう?」

『兄』という単語を聞いてアイが固まる。

 

「……私、キラくんのことお兄ちゃんなんて思ったことない。キラくんも酷いよね?そんなこと分かってるのに、敢えてそう言うんだから。」

その瞳には悲しさ、怒り、虚しさが宿っている。

そんな瞳を君にさせる俺なんて、君の前から消えた方がいい。

 

「…あ、それと、さっきの女だれ??」

部屋の空気が一気に冷え込む。

 

「あ、えっと」

 

「うん、何?」

アイドルの時と同じ笑顔だというのに瞳が笑ってない。おかしい、アイの感情を読み取るのは俺の得意分野のはずなのに、何も分からない

 

「……セフレってや、つかな?」

しどろもどろになりつつも、しっかりと伝える。

 

「…は?」

アイの声から感情が消える。

 

「…ごめん、ちょっと聞こえなかったかも、もしかしてさ、セフレって言った?」

怖い、怖すぎるッ

アイってこんな子だったっけ?!

いや、こんな感じだった気がする。

 

「…いいまちた。」

恐怖で舌っ足らずになってしまう。

ここはすぐさま話題を変えなくては

 

「あっ!そいえばその双子は?アイに似てる気がするんだけど?!」

テンパって声量がでかくなってしまった。

アイの表情がニッコリしたものに変わる

 

「……うん!私の子供!可愛いでしょー!」

先程までの表情とはうってかわって幸せそうに、にっこりとアイドルの時のような笑顔でアイは言う。その表情には喜び、幸せそんなプラスな感情ばかりが映っている

 

(あぁ、良かった。君は幸せなんだな)

それはそれとして、

 

「え?!ちょ!?たんま」

動揺はするよね?、だってこの子俺の1個下だよ?つまり18歳、赤ちゃんは少なくとも1歳は超えてそう。

…ふむ、いつ出産した?!

思考がまとまらないのでアイの部屋のベランダに失礼して、煙草に火をつける。灰皿はないからペットボトルでいいや。

 

「…はぁ」

煙を吐き出す。ちょっと落ち着いた感覚がある。

 

「キラくん煙草吸ってるの?未成年だよね?」

アイがこちらを見ている。

アイの方を向いて言葉を口にする

 

「…まぁミュージシャンだから?」

 

「それ理由になっていんだけど??」

仰る通りでございます。

でも今更辞められないのだ。煙草とはそういうものである

 

吸殻をペットボトルにいれて部屋に戻る

 

「タバコくさーい」

 

「ごめんね?ちょっと処理しきれない状況でね。」

アイの頭を撫でる。

いっけねぇ、昔の癖で、こんなん旦那さんに見られたら殺される?!

 

「アイすまん、昔の癖で」

手を離しながらアイに謝る。

アイは心無しか寂しそうな顔をする

 

「あっあー少し良いか?」

先程まで完全に空気だった社長さんが声をあげる。

 

「はい、なんですか?」

 

「えっとなー君はアイのなんだ?」

確かに、2人だけで完結して説明してなかったな。

 

「俺とアイは育った児童養護施設が一緒なんですよ。幼馴染って奴です」

 

「……なるほどなぁ、君名前は?」

それも説明してなかった

 

「キラです。夜神キラ」

社長さんに名前を伝える

 

「…夜神キラ、キラ、キラってあのキラかッ?!」

やっぱり気づいてなかったんだ

 

「たぶんそのキラであってますよ。」

 

「ソロミュージシャンとして圧倒的人気を誇り最近は俳優もこなすあのキラか?!」

なんでそんな説明口調?

まあそうなんだけど

 

「にしても良かったよ、アイにも大事に思える人が出来たんだな?旦那さんは?」

部屋がシーンとなる。

 

……やっべぇ、地雷踏んだ??

 

「その、な?子供の父親の事はアイは教えてくれないんだよ」

 

「あっそーなんすね。なら俺も聞かないです」

 

「……聞かないの?興味無い?やっぱりキラくんは私に興味無い?」

アイはすぐ悪い方に思考が行くなぁ

 

「そんなことないって。ただ社長さんにも言ってないなら言いづらいのかなぁって」

頭を撫でながら答える。

ふと時計を見ると時刻は13時32分

やっべぇ、収録のこと完全に忘れてた

 

「悪い、俺用事あるから。また話そーな?」

そう言って俺はアイの部屋から出た。

 

 

 

 

「アイお前、あのキラと幼馴染だったんだな?」

 

「…うんそーだよ。私を救ってくれた人、私のことをおいて消えちゃった人、」

アイの表情は未だ落ち込んでいる。アイの子供である、2人はそんな顔を看過できなかった。

 

「ママだいじょーぶ?辛い?」

瑠美衣がアイを慰めようと近づく。

 

「あっ!ごめんねぇ、だいじょーぶだよっ!」

アイは笑顔を浮かべて瑠美衣を抱きしめる

 

「にしてもあのキラか。」

最年少紅白出場者。オリコンチャート1位を続出、俳優としても大活躍。

そして、YouTube登録者数『672万人』

 

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