世界に拒まれた青年は、静かな場所で生き直す   作:肩幅ひろし

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第11話:巫女の静かな手が、青年の心に触れる

 魔理沙が去ったあと、博麗神社には再び静けさが戻っていた。

夕暮れの光が縁側を照らし、湊は棒を抱えたまま息を整えている。

 

 霊夢は湊の様子をしばらく見つめ、ふっと微笑んだ。

 

「湊。

今日は……よく頑張ったわね」

 

 湊は顔を赤くしながら答える。

 

「い、いえ……魔理沙さんが急に来たから、必死で……」

 

 霊夢は首を横に振る。

 

「違うわ。

あなた、自分から“攻め”に行った。

あれは……あなた自身の意思よ」

 

 湊の胸が熱くなる。

 

 霊夢は縁側に座り、湊に手招きした。

 

「こっちに来て。

話したいことがあるの」

 

 湊は緊張しながら霊夢の隣に座る。

 

 

 

◆

 

 霊夢は湊の手元の棒を見つめ、静かに言った。

 

「湊。

あなたに……もっと深い修行をしてほしいの」

 

 湊は驚いて霊夢を見る。

 

「もっと……深い修行……?」

 

 霊夢は頷く。

 

「あなたはもう、ただ守られるだけの存在じゃない。

今日の動きを見て、確信したの。

あなたは……強くなれる」

 

 湊の胸が震える。

 

 霊夢は続ける。

 

「でもね、深い修行は……身体だけじゃなくて、心にも負担がかかる。

だから、無理にとは言わないわ」

 

 湊は迷わず答えた。

 

「やります。

霊夢さんの力になりたいから」

 

 霊夢は一瞬だけ目を見開き、そして静かに微笑んだ。

 

「……ありがとう。

そう言ってくれるの、嬉しいわ」

 

 

 

◆

 

 霊夢は湊の手をそっと取った。

 

 湊は驚いて固まる。

 

「れ、霊夢さん……?」

 

 霊夢は湊の手を軽く握り、目を閉じる。

 

「湊。

あなたの“気”を感じたいの。

深い修行をするには、あなたの内側を知らないといけないから」

 

 湊の心臓が跳ねる。

 

 霊夢の手は温かく、しかし不思議な静けさを持っていた。

 

 霊夢は湊の手を包み込むように握り、ゆっくりと息を吸う。

 

「……あなたの気は、すごく繊細。

でも、芯がある。

折れそうで折れない……そんな感じ」

 

 湊は照れくさくて、視線を逸らす。

 

「そ、そんな……大したものじゃ……」

 

 霊夢は首を振る。

 

「大したものよ。

あなたの気は、私が今まで見てきた外来人の中で一番“澄んでる”」

 

 湊の胸が熱くなる。

 

 

 

◆

 

 霊夢は手を離し、湊の目を見つめる。

 

「湊。

これからあなたに教えるのは――

“気配を読む”だけじゃなくて、“気を流す”修行」

 

 湊は息を呑む。

 

 霊夢は続ける。

 

「妖怪はね、気の流れを乱してくる。

だから、自分の気を整えられないと、すぐに飲まれてしまうの」

 

 湊は真剣に頷く。

 

「僕……やります。

霊夢さんの隣に立てるように」

 

 霊夢は少しだけ頬を染め、視線を逸らした。

 

「……そんなこと言われたら、期待しちゃうじゃない」

 

 湊は慌てる。

 

「えっ、あ、あの……!」

 

 霊夢は笑った。

 

「冗談よ。

でも……本当に、あなたと一緒に戦える日が来たら嬉しいわ」

 

 湊の胸が熱くなる。

 

 

 

◆

 

 その夜、湊は眠れずに縁側へ出た。

すると、霊夢が同じように外を見ていた。

 

「湊。

今日のあなた……本当に良かったわ」

 

 湊は照れながら答える。

 

「霊夢さんが……教えてくれたからです」

 

 霊夢は湊の横に座り、静かに言った。

 

「これからも……一緒に頑張りましょう」

 

 湊は深く頷いた。

 

「はい。

霊夢さんと一緒に……強くなります」

 

 霊夢は湊の肩にそっと手を置いた。

 

 その温度は、湊の心に深く染み込んだ。

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