世界に拒まれた青年は、静かな場所で生き直す   作:肩幅ひろし

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第11話:巫女の静かな手が、青年の心に触れる

 魔理沙が去ったあと、博麗神社には再び静けさが戻っていた。

夕暮れの光が縁側を照らし、湊は棒を抱えたまま息を整えている。

 

 霊夢は湊の様子をしばらく見つめ、ふっと微笑んだ。

 

「湊。

今日は……よく頑張ったわね」

 

 湊は顔を赤くしながら答える。

 

「い、いえ……魔理沙さんが急に来たから、必死で……」

 

 霊夢は首を横に振る。

 

「違うわ。

あなた、自分から“攻め”に行った。

あれは……あなた自身の意思よ」

 

 湊の胸が熱くなる。

 

 霊夢は縁側に座り、湊に手招きした。

 

「こっちに来て。

話したいことがあるの」

 

 湊は緊張しながら霊夢の隣に座る。

 

 

 

 

 霊夢は湊の手元の棒を見つめ、静かに言った。

 

「湊。

あなたに……もっと深い修行をしてほしいの」

 

 湊は驚いて霊夢を見る。

 

「もっと……深い修行……?」

 

 霊夢は頷く。

 

「あなたはもう、ただ守られるだけの存在じゃない。

今日の動きを見て、確信したの。

あなたは……強くなれる」

 

 湊の胸が震える。

 

 霊夢は続ける。

 

「でもね、深い修行は……身体だけじゃなくて、心にも負担がかかる。

だから、無理にとは言わないわ」

 

 湊は迷わず答えた。

 

「やります。

霊夢さんの力になりたいから」

 

 霊夢は一瞬だけ目を見開き、そして静かに微笑んだ。

 

「……ありがとう。

そう言ってくれるの、嬉しいわ」

 

 

 

 

 霊夢は湊の手をそっと取った。

 

 湊は驚いて固まる。

 

「れ、霊夢さん……?」

 

 霊夢は湊の手を軽く握り、目を閉じる。

 

「湊。

あなたの“気”を感じたいの。

深い修行をするには、あなたの内側を知らないといけないから」

 

 湊の心臓が跳ねる。

 

 霊夢の手は温かく、しかし不思議な静けさを持っていた。

 

 霊夢は湊の手を包み込むように握り、ゆっくりと息を吸う。

 

「……あなたの気は、すごく繊細。

でも、芯がある。

折れそうで折れない……そんな感じ」

 

 湊は照れくさくて、視線を逸らす。

 

「そ、そんな……大したものじゃ……」

 

 霊夢は首を振る。

 

「大したものよ。

あなたの気は、私が今まで見てきた外来人の中で一番“澄んでる”」

 

 湊の胸が熱くなる。

 

 

 

 

 霊夢は手を離し、湊の目を見つめる。

 

「湊。

これからあなたに教えるのは――

“気配を読む”だけじゃなくて、“気を流す”修行」

 

 湊は息を呑む。

 

 霊夢は続ける。

 

「妖怪はね、気の流れを乱してくる。

だから、自分の気を整えられないと、すぐに飲まれてしまうの」

 

 湊は真剣に頷く。

 

「僕……やります。

霊夢さんの隣に立てるように」

 

 霊夢は少しだけ頬を染め、視線を逸らした。

 

「……そんなこと言われたら、期待しちゃうじゃない」

 

 湊は慌てる。

 

「えっ、あ、あの……!」

 

 霊夢は笑った。

 

「冗談よ。

でも……本当に、あなたと一緒に戦える日が来たら嬉しいわ」

 

 湊の胸が熱くなる。

 

 

 

 

 その夜、湊は眠れずに縁側へ出た。

すると、霊夢が同じように外を見ていた。

 

「湊。

今日のあなた……本当に良かったわ」

 

 湊は照れながら答える。

 

「霊夢さんが……教えてくれたからです」

 

 霊夢は湊の横に座り、静かに言った。

 

「これからも……一緒に頑張りましょう」

 

 湊は深く頷いた。

 

「はい。

霊夢さんと一緒に……強くなります」

 

 霊夢は湊の肩にそっと手を置いた。

 

 その温度は、湊の心に深く染み込んだ。

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