世界に拒まれた青年は、静かな場所で生き直す   作:肩幅ひろし

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第23話:光は深淵を裂き、青年は未来を掴む

 夜の博麗神社。

空は黒く染まり、星も月も影に喰われていた。

境内の中心には、巨大な影の最終形態――虚喰が蠢いている。

 

 その中心には、底なしの“虚”が口のように開き、

世界の光を吸い込み続けていた。

 

 霊夢は札を構え、湊の前に立つ。

 

「湊……ここが最後よ。

影はあなたの“未来への恐れ”を喰らって進化した。

だから――

あなたが未来を信じない限り、影は止まらない」

 

 湊は震える手で棒を握りしめ、影を睨む。

 

「……僕は……未来が怖い。

また失うかもしれない。

また壊れるかもしれない。

でも――」

 

 湊は霊夢の手を握り、強く言った。

 

「霊夢さんが……僕の隣にいてくれるなら……

僕は未来を信じられる!」

 

 霊夢は目を見開き、そして静かに微笑む。

 

「湊……行きましょう。

二人の光で、影を祓うわ」

 

 

 

 

 虚喰が大きく口を開く。

空気が吸い込まれ、木々が揺れ、地面が震える。

 

「……光を……

すべて……喰らう……

お前の未来も……

お前の希望も……」

 

 湊は胸の光を押さえ、叫ぶ。

 

「僕の未来は……僕のものだ!

あなたには渡さない!」

 

 虚喰が触手を伸ばし、湊の胸の光を奪おうとする。

 

 霊夢が札を投げ、光の壁を作る。

 

「湊!

今こそ“光祓”を――

二人の気を合わせて!」

 

 

 

 

 湊は霊夢の手を握り、深く息を吸う。

 

 霊夢の気が湊に流れ込む。

湊の光が霊夢に重なる。

 

――二人の呼吸が重なる。

――二人の心が重なる。

 

 湊の胸の光が強く輝き、霊夢の札が白く燃える。

 

 霊夢が叫ぶ。

 

「湊!

あなたの光を――私に!」

 

 湊は胸の光を両手に集め、霊夢へ流す。

 

 霊夢の札が眩い光を放ち、境内を照らす。

 

 虚喰が苦しむように揺れる。

 

「……やめろ……

その光は……

俺を……壊す……!」

 

 

 

 

 霊夢は湊の手を握り、技の名を告げる。

 

「湊……これは、あなたと私の“未来を結ぶ光”。

――『光祓・結(むすび)』!」

 

 湊は棒を構え、霊夢の札と同時に振り抜く。

 

 光と光が重なり、一本の巨大な光の刃となる。

 

 光が虚喰の中心――“虚”へ突き刺さる

 

 虚喰が絶叫する。

 

「……やめろ……

未来を……

奪わせろ……!」

 

 湊は叫ぶ。

 

「僕は未来を奪わせない!

霊夢さんと……生きる未来を!」

 

 霊夢も叫ぶ。

 

「湊!

あなたの未来は――あなたのものよ!」

 

 光が爆ぜ、虚喰の身体が崩れ始める。

 

 

 

 

 虚喰の“虚”が裂け、黒い霧が吹き飛ぶ。

 

 影は湊の声で最後の言葉を呟く。

 

「……こわい……

未来が……

こわい……」

 

 湊は静かに答える。

 

「僕も怖いよ。

でも……

それでも前へ進むんだ」

 

 虚喰は光に包まれ、完全に消滅した。

 

 黒い霧が晴れ、空に星が戻る。

 

 

 

 

 湊は膝をつき、霊夢に支えられる。

 

 霊夢は湊の頬に手を当て、優しく言った。

 

「湊……

本当に……よく頑張ったわ」

 

 湊は涙をこぼしながら微笑む。

 

「霊夢さん……

僕……未来を……信じられました……」

 

 霊夢は湊を抱きしめ、静かに囁く。

 

「ええ。

あなたはもう……影に飲まれたりしない。

これからは……一緒に歩きましょう」

 

 湊は霊夢の肩に顔を埋め、震える声で答える。

 

「はい……

霊夢さんと一緒に……未来へ」




 次回、最終話です。
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