世界に拒まれた青年は、静かな場所で生き直す   作:肩幅ひろし

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第23話:光は深淵を裂き、青年は未来を掴む

 夜の博麗神社。

空は黒く染まり、星も月も影に喰われていた。

境内の中心には、巨大な影の最終形態――虚喰が蠢いている。

 

 その中心には、底なしの“虚”が口のように開き、

世界の光を吸い込み続けていた。

 

 霊夢は札を構え、湊の前に立つ。

 

「湊……ここが最後よ。

影はあなたの“未来への恐れ”を喰らって進化した。

だから――

あなたが未来を信じない限り、影は止まらない」

 

 湊は震える手で棒を握りしめ、影を睨む。

 

「……僕は……未来が怖い。

また失うかもしれない。

また壊れるかもしれない。

でも――」

 

 湊は霊夢の手を握り、強く言った。

 

「霊夢さんが……僕の隣にいてくれるなら……

僕は未来を信じられる!」

 

 霊夢は目を見開き、そして静かに微笑む。

 

「湊……行きましょう。

二人の光で、影を祓うわ」

 

 

 

◆

 

 虚喰が大きく口を開く。

空気が吸い込まれ、木々が揺れ、地面が震える。

 

「……光を……

すべて……喰らう……

お前の未来も……

お前の希望も……」

 

 湊は胸の光を押さえ、叫ぶ。

 

「僕の未来は……僕のものだ!

あなたには渡さない!」

 

 虚喰が触手を伸ばし、湊の胸の光を奪おうとする。

 

 霊夢が札を投げ、光の壁を作る。

 

「湊!

今こそ“光祓”を――

二人の気を合わせて!」

 

 

 

◆

 

 湊は霊夢の手を握り、深く息を吸う。

 

 霊夢の気が湊に流れ込む。

湊の光が霊夢に重なる。

 

――二人の呼吸が重なる。

――二人の心が重なる。

 

 湊の胸の光が強く輝き、霊夢の札が白く燃える。

 

 霊夢が叫ぶ。

 

「湊!

あなたの光を――私に!」

 

 湊は胸の光を両手に集め、霊夢へ流す。

 

 霊夢の札が眩い光を放ち、境内を照らす。

 

 虚喰が苦しむように揺れる。

 

「……やめろ……

その光は……

俺を……壊す……!」

 

 

 

◆

 

 霊夢は湊の手を握り、技の名を告げる。

 

「湊……これは、あなたと私の“未来を結ぶ光”。

――『光祓・結(むすび)』!」

 

 湊は棒を構え、霊夢の札と同時に振り抜く。

 

 光と光が重なり、一本の巨大な光の刃となる。

 

 光が虚喰の中心――“虚”へ突き刺さる。

 

 虚喰が絶叫する。

 

「……やめろ……

未来を……

奪わせろ……!」

 

 湊は叫ぶ。

 

「僕は未来を奪わせない!

霊夢さんと……生きる未来を!」

 

 霊夢も叫ぶ。

 

「湊!

あなたの未来は――あなたのものよ!」

 

 光が爆ぜ、虚喰の身体が崩れ始める。

 

 

 

◆

 

 虚喰の“虚”が裂け、黒い霧が吹き飛ぶ。

 

 影は湊の声で最後の言葉を呟く。

 

「……こわい……

未来が……

こわい……」

 

 湊は静かに答える。

 

「僕も怖いよ。

でも……

それでも前へ進むんだ」

 

 虚喰は光に包まれ、完全に消滅した。

 

 黒い霧が晴れ、空に星が戻る。

 

 

 

◆

 

 湊は膝をつき、霊夢に支えられる。

 

 霊夢は湊の頬に手を当て、優しく言った。

 

「湊……

本当に……よく頑張ったわ」

 

 湊は涙をこぼしながら微笑む。

 

「霊夢さん……

僕……未来を……信じられました……」

 

 霊夢は湊を抱きしめ、静かに囁く。

 

「ええ。

あなたはもう……影に飲まれたりしない。

これからは……一緒に歩きましょう」

 

 湊は霊夢の肩に顔を埋め、震える声で答える。

 

「はい……

霊夢さんと一緒に……未来へ」




 次回、最終話です。
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