波動砲艦隊はこれより艦隊の指揮に入る 作:前衛武装航宙艦アマテラス
ーーー食堂
「今回は皆んな良くやってくれた!本当に感謝する!だが今後はもっと手強い相手が出てくるだろう。しかし君達なら大丈夫だ!俺は保証する!今日ばかりは存分に楽しんでくれ!それでは勝利を祝って乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
鎮守府では勝利を喜ぶ者で溢れかえっていた。遂に念願のシーレーンの奪還に成功し世界各地との海上輸送も本格的に復活する。長年悩んできた物資不足もこれで解消されるだろう。何より異形艦に歯が立たなかった艦娘達だが今回の戦闘で十分に対抗する事が出来たのだ。これにより艦娘達の士気は最高潮に達し向かうところ敵無しと言わんばかりに盛り上がっていた。
「峯岸よ。なんだか浮かない顔をしているな?しっかり飲んでいるのか?お前達のお陰で今回の戦闘に勝てたと言っても過言じゃ無いんだぞ?」
「長門か、そう言わないでくれ。俺のせいで艦隊が奇襲される羽目になったんだ。本当にすまない。」
「ははは!なんだ、そんな事か!私は全く気にして無いぞ!誰でもそう言うミスはある。そもそもお前達が居なければあの時、我々は沈んでいたのだ。お前達には感謝するぞ。」
「そう言ってもらえると助かるよ。それにしてもよくあの砲弾をなんの迷いも無く実践投入できたな?もしかしたら爆沈してたのかも知れないんだぞ?」
「そんな事言ってたらいつまで経っても使えないままじゃないか。使わなければ宝の持ち腐れだろう?寧ろあそこで使わなければ異形艦に一矢報いる事なんて出来なかったからな。」
「まあそうだな。だがあそこまで精密に作ってた明石には感服だよ。」
「そうだろう?あそこまで出来るのは明石だけだからな。」
「この明石を呼びました?」
「うおっ!脅かすなよ。何処から湧いて出てきたんだ。」
「湧いてきたとは失礼ですね!」
「冗談だよ。明石にも感謝してるんだぞ?俺の無茶を聞いてもらってな。今回の戦闘に勝利出来たのも明石の力あってこそだからな。」
「そうでしょうそうでしょう!この明石に掛かればなんだって出来るんですから!」
「ああ、頼りにしてるぞ。それで例の件はどうなった?」
「例の件ですか。難航してますがそこそこと言った感じですね。それにしてもあんな物を頼まないで下さいよ!妖精さん達も疲労困憊になってますよ!」
「悪かったよ。ほら、お詫びにこれをやろう。」
「えっ?間宮券じゃないですか!それも20枚も⁉︎良いんですか⁉︎」
「ああ、頑張って貰ってるからな。」
「ありがとうございます!」
「峯岸よ、例の件とはなんだ?」
「いや、別にたいした事じゃない。気にしないでくれ。」
「そうか...」
ーーーーー
「お前らの機体早かったな!早すぎて置いてかれてばかりだったぞ!それもあのちょこまかと動く敵に当てるとは良くやるぜ。」
「そうですか?最初は翻弄されてましたけどね。それにしても背後に突かれてからのあの軌道で躱わすとは見事なものです。」
「はは!嬉しい事言ってくれるな!」
そう話が盛り上がっているのはベラトリクスの航空隊と赤城達の航空隊。両者はあの時の戦闘で各航空隊の腕の凄さに感服した様だ。
「でもあなた方の戦闘機を見て思っていましたがやはりこうして見ると小さいですね。」
「あっ?なんだと?今チビって言ったか?」
「あっいえ、そう言う訳では無くてですね。」
「冗談だよ!冗談。まあ俺達は妖精だからな。お前達からすれば小さいだろう。それと俺の事は松って呼んでくれ!」
「松さんですか?」
「ああ!俺達の中でのあだ名さ。此処にいる皆んながあだ名で呼び合ってるんだ。」
「そうなんですか?松さん、これからは宜しくお願いしますね?」
「こちらこそだ!それにしても・・・」
ーーーーー
「貴方が峯岸艦長?」
「そうだが君達は?」
「私?軽巡洋艦の川内よ!」
「同じく軽巡洋艦の神通です。宜しくお願いします。」
「艦隊のアイドル那珂ちゃんだよー!宜しく!」
「あっアイドル?よっ宜しくな」
「ほら、那珂!峯岸さんに引かれてるじゃん!」
「え〜そうかな?これでも一生懸命やったつもりなんだけどね。」
「ふざけてないでしっかりして下さい。峯岸さんは艦隊の指揮官でもあるお方なんですよ?」
「いやいや、そこまで畏まらなくても良いよ。」
「なんか妹の那珂がごめんね?それにしても奪還作戦の時は凄かったよ!特にあの主砲の速射力であんな火力を出せるなんてね。流石未来の代物だよね。」
「まあな、あれぐらいしないと俺達の世界じゃ通用しないからな。」
「あの、峯岸さんに聞きたい事があるのですが良いですか?」
「ああ、良いぞ。」
「長門さん達が奇襲された時に助けてくれた護衛艦が居ましたが峯岸さん達の世界では水雷戦隊と言うものは無いのですか?」
「居るには居るんだぞ?ただ殆どの戦闘ではD級とかの戦艦が主力だから滅多に出番は無いけどな。それで言えば俺達の第六艦隊が冥王星基地に所属して統合される前は守備艦隊の中に水雷戦隊があったな。」
「そうなんですか?」
「普通は水雷戦隊なんて殆ど無いんだがな。俺らが所属する前に何処ぞの護衛艦ドルフィンの艦長が水雷戦隊作りたいって拗ねて作ることになったらしい。」
「はいはい、拗ねてすいませんね?」
「うおっ!噂をしたら出て来た。あっ神通、これが護衛艦ドルフィンの艦長だ。」
「紹介にありました護衛艦ドルフィンの艦長をしています島津です。どうぞ宜しく。」
「軽巡洋艦の神通です。こちらこそ宜しくお願いします。」
「天津はこう見えても結構優秀なんだぞ?こう見えてな。ガトランティス戦役の時はその水雷戦隊で敵部隊の侵攻を1ヶ月間遅らせたんだ。」
「こう見えてって失礼ですね!」
「まっ敵大部隊の中にたった数隻で突っ込んだり中破しているのにも関わらず単艦突撃するから上から怒られてばっかだったけどな。」
「でも功績残してるから良いじゃ無いですか。」
「あの、天津さん。同じ水雷戦隊を率いる身として聞きたい事があるのですが良いですか?」
「えっ?良いですけど...」
「では少し場所を変えませんか?」
「えぇ、構いませんよ。」
「....行っちまったな。と言うより君達は水雷戦隊を率いているのか?」
「そうだね。私が第三水雷戦隊で那珂が第四水雷戦隊。そして神通が第二水雷戦隊を率いてるよ。」
「へえ、そうだったのか。」
「二水戦は当時最強の水雷戦隊って言われてて神通は鬼神なんて呼ばれてたんだよ?凄いでしょ?」
「それは凄いな。最強と言われるからには訓練も並外れた物なんだろう?」
「そりゃあね。駆逐艦達からは鬼だって言われてるぐらいだし。それと神通を怒らしたらどんな目に遭うか分かったものじゃないから気をつけた方が良いよ?」
「そうなのか...これはあまり怒らせない方が良いな。」
「まあね。怒らせない事に越した事はないからね。」
「ねえ!アイドルの那珂ちゃんの事も聞きたくない?」
「ああ、この際だし聞いt・・・」
「峯岸さん、話の途中で悪いんですがちょっと良いですか?」
「おお、これは藤井提督。どうかなされましたか?」
「あまり此処では話せないので少し場所を変えても宜しいですか?」
「えぇ、構いませんよ。那珂には悪いが少し行ってくるよ。また後で聞く事にするよ。」
「はーい!また後でちゃんと来てね〜」
ーーーー
そうして藤井に連れられ執務室へと着く。すると中には黒い軍服に身を包んだ艦娘と大淀と第11戦隊で佐世保鎮守府に配属されたはずのふじの艦長が座っていた。そのただならぬ空気に峯岸の顔は一気に険しくなる。
「峯岸さん、どうぞお座り下さい。」
「ええ....」
「それで今回、峯岸さんを呼んだ理由についてですが一昨日行われたシーレーン奪還作戦の際に出現した新たな敵の事です。」
第11戦隊が接敵した例の件かと峯岸は考えがついた。だが川内達に公表しないなら口外したく無いのだろうがなぜ黒い軍服を着た艦娘がいるのかと疑問になり様子を伺う。それに気づいたのか藤井は紹介を始める。
「ああ、気になりますか?この艦娘はあきつ丸と言って陸軍の艦娘なんですよ。今は海軍所属ですがね。まあ横須賀鎮守府にいるあきつ丸とは別人ですけどね。」
「紹介にありました通りあきつ丸と申します。所属は中央情報局です。」
「中央情報局?」
「まあ我々と違い裏で活動する組織ですね。大本営直属の部隊でもあるんですよ?」
「成程、それでその出現した敵に対して何か情報があったから居ると、」
「ええ、そう言う事です。その都合上、無理を言って佐世保鎮守府からふじの艦長であるこの方に来て貰ったわけです。」
「現在、第11戦隊はヴァンガードが臨時旗艦として行動しています。」
「そうか...」
「これから本題に入ります。そして新型の敵は以降αと呼ぶ事にします。」
そう言うと大淀がパネルを出し説明を始める。
「現在、新しく出現した敵に対しての情報は艦娘と同じ人形であり護衛艦クラスの砲撃を防ぎミサイルの飽和攻撃を撃ち落とす能力があると言う事です。」
「そこは報告にあった通りだな。」
「はい、そしてこちらが今回新しく入った情報です。」
そう言うとパネルには写真が載せられる。そこにはD級から発艦した航空機が撮ったであろう敵の写真が映し出されていた。それを見た峯岸は言葉を失う。
そこにあったのは峯岸達、地球防衛軍の軍人なら誰しもが知っているであろう武装。紛れも無い” 収束圧縮型衝撃波砲塔”だったのだ。
「これは一体どう言う事なんだ....?何かの間違いだろう?」
「いえ...峯岸艦長、紛れも無い事実です。」
「まさか、ただ武装が似ているだけで敵の新型の武装だと言う可能性だってあるじゃ無いか!」
「そう思いたいのもやまやまですがあの映像を見たら信じるしか...」
そして大淀が次の映像へと画面を切り替える。するとそこには...
「COSMO....NAVY...?」
黒く掠れて見えにくいが紛れも無い地球防衛軍のマークが船体横に刻まれていたのだ。だが艦娘なんて者は地球防衛軍には所属していない。峯岸は疑問が深まる。それと同時に同じ地球防衛軍だとしたらと考えると心の底から沸々と怒りが込み上げて来た。
「俺達と同じ地球防衛軍だって言うのか.....?」
「はい...」
「はい?だと....?なんだ?お前はアイツが同じ地球防衛軍だって言いたいのか!アイツは守るべき人々を撃ったんだぞ!地球防衛軍は人々を攻撃してくる者から守るべき組織だ!守るべき側の人間を撃つのは決してあってはいけない!それをお前はアイツが俺達と同じだって言いたいのか!」
「峯岸艦長!どう言う理由があってもこれは紛れも無い事実です!もう信じるしか無いんですよ!」
「....すまなかった。」
ふじ艦長に半ば八つ当たりのように怒りを露わにした事を反省する。だがそうなるといろいろと疑問が浮かび上がる。峯岸は椅子に深く座りその事について考え込んでいく。
「峯岸さん....貴方には申し訳ないんですが....」
峯岸達がそうしていると藤井が重々しく口を開ける。すると横からあきつ丸が出番だと言わんばかりに口を開く。
「峯岸達海艦長、貴方をスパイの容疑で大本営まで連行させて頂きます。」
「は?今なんと言いましたか?峯岸艦長を連行する?」
「はい。」
「何かの冗談でしょう?我々は貴方達と命を賭けて戦ったばっかりじゃ無いですか!それなのに疑うって言うんですか!」
「申し訳ありませんが現状が現状ですので連行させて頂きます。」
「貴様!」
「やめろ!」
峯岸は今にも飛びかかりそうになるふじ艦長を静止しする。
「ですが!」
「良いんだ。今抵抗しても部下達に迷惑が掛かるだろう?それなら素直に従って無実の罪を暴いた方が良いじゃ無いか。」
「峯岸艦長....」
「峯岸さん、本当に申し訳ありません。助けて貰っているのにこうなってしまうなんて...なんと言えばいいか....」
「いえ、ご心配には及びません。直ぐに誤解を解いて戻って来ます。」
「では、参りますよ。」
そうして峯岸はあきつ丸に連れられて大本営に向かう事になってしまった。
今回は此処までです!新たに出現した敵がまさかの同じ地球防衛軍所属。そしてスパイの容疑で大本営に連行される峯岸。今後峯岸達は一体どうなって行くのでしょうか?次回作も気長にお待ち下さい!それでは!