波動砲艦隊はこれより艦隊の指揮に入る 作:前衛武装航宙艦アマテラス
ーーーー医務室
「どうですか?良く眠れました?」
「えぇ、数日も寝てればね。」
「それは良かったです。それにしても十勝さんを調べて行くと驚くばかりですよ。」
「そう?」
十勝を保護してから数日が経ち、以前よりは周りにも心を開いた様で良く喋る様になって来た。そしてその数日、明石は十勝についての検査を実施。検査の結果、普通の艦娘と違い驚くばかりの結果になっていた。明石と十勝が話しているとドアがノックされる。
「はーい、入って構いませんよ。」
「おっ、十勝の体調も良くなってる様だな。」
「明石さん、こんにちは。」
「あっ、峯岸さんに立石さんじゃ無いですか!峯岸さん達に聞きたい事があったので丁度良かったですよ!....それでそちらのあきつ丸さんは?」
「コイツか?中央情報局のあきつ丸だよ。何処から情報を手に入れたのかいつの間にか居たんだよ。」
「どうも、中央情報局のあきつ丸です。」
「.....」
「そんな怖い顔しないで下さいよ。ただ私は貴方を少し見たかっただけですよ。」
「どうだ?いろいろと話す様になったか?」
「はい、すっかりあの惨劇から立ち直った様で今では以前よりも話してくれるようになりましたよ。」
「お陰様でね。まだ立ち直れない部分はあるけれど...」
「そうか、焦る必要は無い。何か困った事があれば私や周りに言ってくれ。いつでも相談に乗ろう。」
「ありがとう...」
「それで峯岸さん、先程の話についてなのですがまず工廠に来て頂いて宜しいですか?」
「あぁ、構わんぞ。」
「十勝さんも来てくれますか?」
「えぇ。」
ーーーー工廠
「さっ着きましたよ!ここが工廠です。」
「ここか、殆ど横須賀の工廠と変わらんな。少しあっちの方が大きいか?」
「何ですか、文句でもありますか?」
「いやいや、そんな訳では無いんだが。」
「冗談、冗談ですよ。ちょっと資料を持って来るので待ってて下さいね。」
「あぁ。」
明石が資料を取りに行くと峯岸はふと周りを見渡す。内装は多少変わっている所があるが横須賀鎮守府とほぼ変わらない。しかし良く見てみると本当に仕事で使うのか?と言ったものが多々見られる。やはり何処の明石も似たもの同士だなと苦笑いを浮かべる。
「お待たせしました!どうかされました?」
「いや、なんでも無い。それで見せたい物とは?」
「こちらなんですが、ここに書かれているのは大和さん達の大和型戦艦の性能と十勝さんの比較が記載されています。」
「なるほど、それで?」
「まず見て欲しいのは装甲面です。大和型は側面でも最大410mm、これでも破格の装甲なのですが十勝さんは少なく見積もっても大和型の倍なんです。」
「倍?正確な数値は分からないのか?」
「それが我々と船体を覆う材質が違うのか測定不能なんですよ。」
「そうか。」
「はい、そして倍近くあるにも関わらず速力は最高40ktを出せる様なんですよ。そして武装も大和さん達よりも豊富なんです。」
「例えば何があるんだ?」
「主砲は長門さん達と同じ41cm三連装砲が前部に2基、後部に2基そして艦底部に1基の計5基、副砲には30.5cm連装砲が前部に1基、両脇に2基の計3基が備わっています。」
「なかなかの重武装だな?他には無いのか?」
「対空砲も多数装備されハリネズミ状態、大和型の倍以上あります。そして主砲に関してなのですが峯岸さんが艦娘用に開発した三式融合弾が見つかりました。」
「と言う事はやはり十勝が居た世界でも開発されてたのか。」
「えぇ、貴方が異形艦に対抗出来るようにとシーレーン奪還作戦後にも開発してたわ。」
「それはこの世界と同じだな。それで今のところ俺達に聞く要素が無いが明石は一体何を聞きたかったんだ?」
「それが今から喋る事なのですがこちらをご覧下さい。」
そう言うと横に布を被せて置いてあった物を勢いよく取る。するとそこに出て来たのは赤と黒で塗られた船体。少し見た峯岸でも通常の艦娘の船体と違うと言う事が分かる。
「一体何なんですかね?もしかして例の?」
「副長、あの時の事を思い出せ。船体にある筈の物がないじゃ無いか。」
「確かに...」
副長が言っているのは敵に現れた地球防衛軍の艦娘のこと。しかし十勝の船体を見るとそれは描かれていなかった。
「一体何を話してるの?」
「いや、なんでも無い。」
「それでこの事を聞きたかったのですが十勝さんから聞いたあのハワイで起きた海戦。話を聞いているとあの海戦では少なからず何かしらの被害を受けていたとしてもおかしい話では無いんですよ。確かに十勝さん自体は重症でしたが艦装自体は無傷。それでもしかしたら峯岸さんが知っているのでは無いかと思いまして。」
明石が言うにはあのハワイで起きたと言う海戦では少なからず何かしらの被害があったとしてもおかしく無いと言う。しかし十勝の艦装には殆ど傷が見当たらない。通常の艦娘の装甲とは違う強靭な装甲、もしかしたら峯岸が何か知っているのでは無いかと踏んだ様だ。
「山桐には聞かなかったのか?」
「あの人は現在、太平洋側の海域の奪還作戦中で居なかったので聞けなかったんですよ。」
「そうか....だが生憎この装甲は俺の知る限り見た事も無いな。地球防衛軍で開発していたとも聞いた事が無い。」
「そうですか...」
場の空気が一気に重くなる。もしかしたら本当に例の艦娘では?と....
「これは本人に聞いた方が早いな。」
するとあきつ丸が口を開く。
「十勝さん、単刀直入に聞きましょう。貴方はあの艦娘でありますか?」
「あの艦娘.....?もしかして私を疑ってるの?」
「はい、ここに居る他の方は知りませんが私はそう思っています。何せあの激闘で無傷の船体とその装甲が我々の技術とは段違いですから。」
「十勝、君を俺達は疑いたい訳じゃ無い。ただあの艦娘では無いと証明して欲しいだけなんだ。」
「..........確かにあの装甲は艦娘の物では無いわ。それに地球防衛軍の物でもね。」
「ほう?」
「あれはあの日の出来事がきっかけだったの...」
十勝はあの日の事を思い出しながら話し始める。ハワイでの海戦が起きる丁度一年前。第11戦隊が台湾海峡方面の海域奪還中、新型の異形艦と接敵。その異形艦は今までの異形艦と違いD級や護衛艦の砲撃を防ぎ辛うじてA級の砲撃が通じる程度。そして火力も今までの物と段違い。第11戦隊は波動防壁等で防いでいたが佐世保鎮守府の艦娘は次々にやられていったと言う。
「ドレットノート級の砲撃が通じないだと?アンドロメダ級でギリギリなのか?」
「それがアンドロメダ級でさえ攻撃が効かないのもいたわ。」
峯岸は唖然とする。地球防衛軍屈指の主力艦の攻撃が効かない異形艦が現れるなど夢にも思わなかっただろう。この現実から目を背けたくなると言っても無理は無い。
「そしてその敵には第11戦隊はこの世界初の波動砲を用いて撃破する事にしたの。結果、その海戦自体は勝利して異形艦の残骸を回収する事に成功したのよ。」
「そこでその装甲を手に入れ、十勝が使用して敵の攻撃を防ごうとしたのか。」
「そう言う事。そこで日本海軍は艦娘の被害を抑えるためにこの敵に対抗出来る私を建造したって訳。」
「成程、この装甲のお陰でハワイの海戦でも被害が最小限で過ぎたって訳か。」
「えぇ。」
「だが十勝以外にも装甲は与えられなかったのか?」
「そうね、異形艦が倒しにくくなり集めにくくなったのが原因ね。あと波動砲で倒すからその性で集まりにくかったのもあるね。」
「....一つお聞きしても良いですか?」
「良いわよ。」
「この一部装甲が剥がれている部分はなんですか?敵の攻撃ですか?」
見ると十勝の艦装にある装甲部の一部が綺麗に剥がれている。攻撃と言うより何かによって剥がれたと言った方が良いのかもしれない。それ程、綺麗に剥がれているのだ。
「これはその艦娘によって出来たものよ。確かに相手は強かった。でもこの装甲の前では殆ど歯が立たなかった様だけどね。」
「そうですか。」
「ガトランティス以上に強い敵が居たとは驚きだ。」
「ですね。しかも我々の攻撃が通らないとは....」
今までD級やA級で他の星間国家と対等以上に戦ってきた地球防衛軍。しかし今回の敵はそれよりも遥かに強い。さながらガミラス戦役の開戦当初の地球第一世代艦の陽電子砲時代に戻ったようだ。
「我々が思う以上にこれからの戦いは厳しくなりそうだ。」
「そうですね。その為にも十勝さんには協力してもらわないといけませんね。」
「あぁ、十勝はそれでも良いか?」
「それであの結末が回避できるなら私は全力で協力するわ!」
「そうか、では宜しくな。」
「えぇ!」
その後も峯岸はその世界の敵などについて情報を集め気づけば空が暗くなり始めていた。
「今日はこの辺で終わりにしよう。疲れただろう?」
「いえ、これで皆んなが助かるなら大した事ないわ。」
「そうか、明日はいろいろと予定が入ってるからまた来るよ。」
「えぇ、またね。」
「あぁ。」
ーーーー
そうして峯岸達は医務室を後にし横須賀鎮守府へ戻る事に。
「それにしてもまさか我々が想像以上に苦戦を強いられる相手がいるとは思いもしませんでしたよ。」
「まあな、これからの戦いはいろいろと対策をせねば。あきつ丸は帰らないのか?」
「はい、私は少し用事があるので。」
「そうか。気をつけてな。」
「えぇ、峯岸さん達もお気をつけて。」
「あぁ。」
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