波動砲艦隊はこれより艦隊の指揮に入る 作:前衛武装航宙艦アマテラス
第6艦隊ではハワイ島の守備隊を配置後、徐々に各国に対しても守備隊の派遣が始まる。それに伴って戦力減少の為、緊急時の艦娘を即時展開による対策を立案。それから試験任務を行い、実践投入を可能にする為の訓練が始まった。一方、別世界からの来訪者、十勝はあれから周りにも馴染み始め、身体、精神共に回復。その報告を受けた峯岸達は、あの海戦を生き延びる事が出来た理由であろう艦自体の性能を調査する為に大湊警備府へと足を運んでいた。
ーーーー大湊警備府
その頃、工廠では明石と十勝や大湊警備府の山崎提督が集まり、性能実験の為の準備を始めていた。十勝は明石から渡された自身の艦装を装着し、動作確認をする。
「砲塔は大丈夫そうね。対空砲も......うん、良いみたい。他の所も問題は無いみたいね。となると後は機関だけね。」
そうして十勝は主砲と対空砲等を確認し、遂に機関の動作確認へと入る。
十勝が機関を動かし始めると本当に同じ艦娘なのかと言うほどの音で機関が唸り始める。それは沢山の艦娘を治して来た明石でさえ聞いたことの無い音だ。それには明石も山崎も驚きと共に苦笑いを隠せないでいた。
「久しぶりに使った割にはよく馴染むわね。まっ、私の艦装だから当然でしょうけど。」
「本当に十勝さんは同じ艦娘なのかと疑うぐらいの機関の音ですね。流石と言うかなんと言うか....」
「なんだか照れるわね。」
「でもなんで調べさせてくれないんですか。少しぐらい良いじゃ無いですか。」
「機関は駄目よ。ここは触られたく無いの。別に良いでしょう?誰でも隠したい事はあるのだから。だから見逃して欲しいわ。」
「まあ、強制って言うわけでは無いので別に良いんですけどね。」
「そろそろ峯岸さん達が来る頃だが十勝、準備は出来たか?」
「えぇ、準備万端よ。いつでも行けるわ。」
十勝がそう言い終わると工廠の扉が開き、そこからは峯岸と立石が入って来た。
「山崎提督、ご無沙汰です。十勝も元気そうだな。」
「ええ、貴方達のお陰でね。」
「そうか、それで早速だがもう性能試験は出来そうか?」
「いつでも行けるわよ。」
「よし。明石、準備は出来ているんだろうな?」
「それは勿論!山桐艦長と協力して準備は済ませてあります!」
「では移動するか。」
そうして峯岸達は十勝を連れ、桟橋へと向かった。
ーーーー桟橋
桟橋に着くとそこには海上自衛隊の護衛艦やロシア海軍のフリゲート、そしてD級のドミニオンの前に立つ山桐が居た。
「峯岸艦長、お待ちしておりました。」
「ああ、待たせたか?」
「いえ、とんでもない。さっき来たばかりですよ。」
「そうか、それで少し気になったんだが何故ロシア海軍の艦艇が居るんだ?」
「あれですか?何やら今日誰か来ている様でさっき山崎提督と話して直ぐに横須賀鎮守府に向かった様です。お会いしませんでしたか?」
「いや、全く。すれ違ったのか?それで早速だが直ぐにでも開始出来そうか?」
「勿論です。」
「そうか、では山崎提督は我々と共に来て頂けますか?」
「ええ、分かりました。」
「それで明石は十勝に同行か?」
「そうですね。万が一の時の為に待機しておきます。」
「よし、じゃあ先に行ってるぞ。」
そう言うと峯岸達はドミニオンに乗り込み、試験海域へと向かった。と言っても鎮守府正面海域なのだが....
「さっ、我々も行きますか。」
「そうね、それと護衛艦が動いてるけどあれも同行してくれるの?」
十勝が向く先には海上自衛隊が運用する旧式艦、あぶくま型護衛艦の2隻が待機していた。
「はい、護衛艦あぶくまと護衛艦じんつうが同行して周辺警戒に当たってくれるらしいですよ?」
「そう、ありがたいわね。じゃっ、早速だけど行くわよ。」
そう言うと十勝は海へと着水する。それに続いて明石も海へと足を運ぶ。そうしてまず初めにするのは主機関のテストだ。最大速度は明石が測定した際は約40kt、しかしこれ以上の力を秘めている可能性もある。その為、しっかりと機能するかとどれ程の速力が出るかを調べようと考えた。
「十勝さん、始めて良いですよ!」
「分かったわ。じゃあくれぐれも離されない様にね?」
そうして十勝は機関を始動し始める。するとあの聞き慣れない轟音と共に進み始めた。すると物凄い加速力と共にどんどんと速力を上げ、明石を置き去りにしていった。目測でも40kt以上出ているだろうか?そして見るからにまだまだ加速を続けて行く。明石は始め、頭が真っ白になったが直ぐに十勝を追い始める。だが明石の速力では到底追いつけない。
「はっ速い!あれ本当に戦艦なの⁉︎さすが峯岸艦長が手を施しただけあるわね。ってそれよりも置いてかれちゃう!」
十勝はそんな事を気にせずに加速を続け、待機していた護衛艦も追い抜かす。護衛艦あぶくまとじんつうの両艦は十勝に合わせ速力を上げるが最大速力になっても追いつけない。その様子を見ていた峯岸達は頭が真っ白になっていた。
ーーーードミニオン
「十勝、現在の速力55ktに到達。」
オペレーターからの報告を横目に峯岸達はメインパネルに映し出される十勝に釘付けになっていた。
「どうなっているんだ....これが十勝の性能だと言うのか.....本当に戦艦か?」
「そうですね....私だって長年提督を務めて居ますがこれには驚かされました。」
そう話しているとオペレーターが驚きながら山桐を呼ぶ。
「かっ艦長、話を遮り申し訳ないのですが周辺海域より微弱な波動機関のエネルギーを感知しました。」
「何?何かの見間違いだろう。」
「そうですかね.....」
山桐はオペレーターからの報告を信じることなく受け流す。オペレーターがもう一度レーダーを見るとその微弱な反応はさっぱりと消えていた。やはり何かの見間違いだったのかも知れない。
「すいません。見間違いだったようです。」
「しっかりしてくれ....」
峯岸や山崎提督はその報告を横目に十勝の性能に終始驚きながらその映像を見ていた。やはり波動砲が効かない異形艦達に対抗するにはあれ程の能力がいるのだろうか。そうして話していると峯岸は目を疑う物を見ることになる。
「おい、オペレーター画像荒れて無いか?」
「いえ、正常そのものですがどうかされました?」
「そうか、一瞬だが艦装が消えた様に見えたのだが...山桐艦長は何も見てないのか?」
「特に...流石にラグか何かでしょう。」
「......」
峯岸はパネルに映し出される十勝の艦装が一瞬消えた様に見えた。しかし自分以外には誰も見ていないらしい。これはやはり疲れているだけなのだろうか?いや、前の横須賀鎮守府で見た十勝の幻影と共に何か意味があるのだろうか.....考え込んでいるとオペレーターから報告が上がる。
「計測完了、最終速力ごっ、59kt!」
「100キロ越えか......そうか、他に何かあるか?」
「特にありません。十勝、明石共に指定海域に到着した様です。」
「分かった。護衛艦は付近の警戒に当たるように指示。十勝はこのまま性能実験を続行せよ。」
ーーーー
「はあ、はあ、はあぁぁぁぁぁああ!!!とっ十勝さん、貴方どうなっているんですか!駆逐艦以上に速いどころじゃなくて100キロ越えですよ!」
「そんなに驚く事?至って普通よ。」
「ばっ化け物。」
「化け物とは失礼ね。それで次は何をやれば良いの?」
「もう行けるんですか....なら次は攻撃能力のテストですね。あちらを見て下さい。」
明石が指差す方には海に浮かんだ弓道の的の様な物と何かの装甲板らしき物が浮かんでいた。
「あの的は十勝さんの射撃精度を測る物です。距離はざっと3km、そしてあの分厚い装甲板は大和型の倍近い物です。要するに火力を測定する物で厚さは1200mmです。」
「成程ね。じゃああれを全て吹き飛ばせば良いわけね。簡単だわ。」
「ふっ吹き飛ばすと言うか、なんと言うか....まあ好きな様にやって下さい。」
「ええ、じゃあやらして貰うわ。少し離れて貰える?」
すると十勝は明石達に離れる様に指示を出す。そして十勝は標的を睨みつけた。
「副砲は的を照準、主砲は装甲板を照準し指示があるまで待機。」
十勝が指示を出すと主砲と副砲が一斉に動き出す。
「よし、副砲一斉射!薙ぎ払え!」
十勝の号令と共に副砲が一斉に火を吹く。発射された砲弾は寸分の狂いも無く目標に飛んで行き、見事に的を撃ち抜く。続けて残った的も素早く照準し、再度射撃をする。
「再装填、自動測距!撃てえッ!」
そうして再度撃ち出された砲弾も全ての的を吹き飛ばし全弾が命中する事となった。そして続けて主砲による攻撃を指示する。
「よし、あとはあの装甲板を撃つだけね。主砲全門撃てえッ!」
地響きと共に海面が揺れ、主砲が撃ち出された。砲弾は装甲版へと吸い込まれる様に飛んで行き〈ゴンッ〉と言う音と共に装甲板に穴を開け爆発をした。主砲弾は1発も外れる事なく全弾命中だ。
「少しズレたわね。まっ、外れなかっただけよしとしましょうか。」
「いや〜速力の時点でなんとなく分かっていましたが流石ですね。精度も高く火力もそれなりにあるんですね。」
「それなり?」
「ええ、だって装甲板は普段実弾訓練で使っていて今まで貫通を許した事が無いんですから。十勝さんだって......」
明石が見るとそこには信じられない光景が映し出されていた。装甲版の奥に海が見える。それはどう言う事か。つまり貫通しているのだ。何故?主砲は長門と同じ口径。それなのに何故貫通している?三式融合弾の実力か?いや、今回は通常弾でしている筈だ。尚更謎が深まる。
「え?貫通してる?」
「ええ、そうよ。何か問題でも?」
「いや、だって主砲弾って通常弾ですよね?」
「正真正銘の通常弾よ?ああ、長門と同じ口径なのに何故、貫通出来たかって事でしょ?」
「ええ、火力面で言ったら大和型よりも下。なのに何故貫通出来たのか疑問なんです。」
「これは主砲が従来の41cm連装砲から改良されているのが理由ね。口径はそのままに貫通力に充填を置いた改良がされたの。攻撃が当たっても貫通しなかったら意味が無いでしょ?」
「確かにそうですが、なら何故大和型やそれよりも優れた物を使わなかったんですか?そちらの方が良いでしょう?」
「それは異形艦の影響で物資が不足していたのがあるわ。あの世界は戦局打開の為に撃てれば良いだけの艦を作って出撃させて数でなんとかしようとしてたから............まるで2203年の地球みたいね....」
「えっ?今何年って言いました?」
「え?何も言ってないけれど....」
「そっそうですか?じゃあ私の聞き間違いですかね。それにしても撃てれば良いだけの艦娘の大量生産ですか.....」
「ええ、そうよ。これ以上話すのは辞めましょう。あまり思い出したくないの。」
「ああ、すいません....でっ、では気を取り直して別のテストに行きましょうか!」
そして十勝達は順調にテストを終えて行き、残すは装甲のテストのみとなった。
「装甲のテストですがこの特殊弾を使ってします。」
明石が取り出した砲弾は通常の物とは違い側面にパネルが取り付けられており数字が記載されている。「こんな事もあろうかと」と明石が開発した測定弾。数字に値を入れればその数値通りの貫通力を発揮する。なんだその真田さんが開発した様な物はトと思っても仕方が無いだろう。この特殊弾はその特性上、当初は実戦に投入が考えられた物の1発1発の価格が誰しもが絶句するほど価格な為、実戦投入には至らなかった。
「成る程ね。と言うよりもこれを作れる貴方は何者なの?」
「さあ?」
「さあって.....まあ良いわ。それよりもこの砲弾って大丈夫なの?」
「えっ?ああ!体にダメージが入らないかって事ですか?それについてはご安心を。この砲弾は命中と同時に自爆しダメージを負わない様にしてあります!」
「でもそれって絶対ダメージを喰r」
「十勝さん〜、次それ言ったら分かってますよね?」
「わっ分かったから、そんな顔しないでちょうだい。それよりも早く始めましょう。
「分かりました。では....」
明石は特殊弾に数値を入れ、その砲弾を発射用の台に装填する。記入した数字は大和型と同等の貫徹力。と言ってもあの十勝なら軽く防ぎそうな物だが....
「これでよしっと。では行きますよー!」
「ええ、いつでも。」
「それでは....えいッ!」
そう言うと明石は発射のボタンを押し十勝めがけて特殊弾を撃ち込む。発射された砲弾は他の砲弾と違いもの凄い速さで飛んでいき十勝へと命中する。砲弾が命中しは十勝からはもの凄い煙がたちのぼり直ぐには確認が出来なかったが煙が晴れてくるとそこには無傷の十勝が立っていた。
「けほっ、けほっ!何この煙の量!」
「ああ、すいません。どうしても自爆させる為にはこうするしか無くて.....」
「これをまだよるのよね?勘弁してほしいわ....」
「もう少しの辛抱ですから.....それで装甲の方は....」
明石はパネルを取り出し、砲弾から送られた測定値を見る。するとどう言う事だろうか。普段は貫徹力に応じて特定の砲弾に対する装甲値が出るはずがそこには測定不能との文字が記載されていた。
「え?」
「どうかした?」
「えっ、いや、それが十勝さんの装甲値が測定不能との文字が....今までこんな事無かったのですが....」
「あら、そうなの?でもそれで合ってるかも知れないわね。」
「合ってる?」
「ええ、だって前も話したけれど装甲は例の異形艦から剥ぎ取った物だって言ったでしょう?だってこの装甲って小型波動砲を防ぐもの。」
「たっ確かに。」
言われてみればその異形艦とは波動砲を防ぐ事が出来たと言っていたのを思い出す。それならば測定不能なのも納得だろうか?
「でっでも、もう一度測っても良いですか?」
「良いわよ。何も変わらないと思うけれどね。」
そうして2回目の測定となったが結果は変わらず測定不能の文字が表示される。
「これは正直なんと言って良いのか....これに近しいと言えば峯岸さん達のアンドロメダ級やドレットノート級が近しい物なんでしょうか....」
技術的にもこれに近しいと言えばやはり真っ先に思い浮かぶのは峯岸のアマテラスやドレットノート級。あの海戦をほぼ無傷で生き延ぶ事が出来たのもこの装甲のお陰だろう。
「よしっと、ではこれで今日の性能試験は終了となります。お疲れ様でした。また何かあれば呼びますので今日はゆっくりと休んで下さい。」
「ええ、そうさせて貰うわ。んー疲れたわね。今日はよく眠れそうだわ。」
「それなら私も今日は早く寝ようかな〜」
ーーーードミニオン
性能試験が終わり測定した値が全てパネルへと映し出され、山崎提督は信じられないと言った顔をしている横で峯岸達はまじまじと眺めていた。十勝の性能は艦娘よりも我々、地球防衛軍の艦艇と性能が近しい。やはり例の艦娘か....と思ったがそれを確証する物は無い。何より十勝の証言通り装甲に関しては地球防衛軍では見た事が無いものだった。
「攻撃力、防御力共に異次元レベル。やはりこれからの戦いは厳しいものになりそうだ.....」
「そうですね。しかしこの性能実験で得られた情報は大きいです。となればここから研究を重ねていき艦娘や我々が対策して行くべきでしょう。」
「ああ、山桐艦長の言う通りだ。ひとまずこれにて今回の性能実験は終了とする。十勝は明石及び護衛艦あぶくま、じんつうと共に帰投せよ。」
「了解しました。」
そう話しているとオペレーターより連絡が入る。
「横須賀鎮守府より峯岸艦長宛に連絡が入っております。[客人により至急、帰還する様に]です。」
「客人?」
「あっ、あれじゃ無いですか?初めに話していたロシア人では?」
「ああ、あれか。となれば早く行かなければ。少しぐらい休ませてくれ.....」
こうして、峯岸達は横須賀鎮守府へと急いで戻る事になった。その頃、遥か彼方の上空では.....
「......こちらヴェンパイア1-1よりベラトリクスへ。任務終了、これより帰投する。」
「ヴェンパイア1-2より1-1、どうです?しっかり撮れました?」
「当たり前だ。さっ、疲れた事だし早く帰るぞ。」
「ヴェンパイア1-2、了解。」
十勝達の遥か上空では見たことの無い機体が2機飛んでいた。ドミニオンのレーダーでも微かに映る程度。この機体は一体。
今回も読んで頂きありがとうございました!今回は前回のアンケートとに因み、十勝の事について書いてみました。次は例の物を書こうかと....
そして今回の地球防衛軍所属のヴァンパイアと言い、裏で動く部隊。一体何が目的なのでしょうか?では今回はこの辺で。また読みに来て下さい!
最近、謎の部隊やセリフについて
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ある程度説明が欲しい!
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要らん。種明かしの時まで待つ!