波動砲艦隊はこれより艦隊の指揮に入る   作:前衛武装航宙艦アマテラス

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皆さんって明石をどう思いますか?

ゲームやアニメ等、いろいろな影響でそれぞれの印象があると思います。

私は二次創作の影響が強く、何かとヤバい事をやっている印象です。

まるで艦隊これくしょん版の真田さん的立ち位置。

さて、今回はどの様な事を見せてくれるのでしょうか?

それではどうぞ!





明石さんってこの世界の真田さん枠だよね

神州丸との戦闘から数日。鎮守府には、ようやく落ち着きが戻りつつあった。

響は無事に救出され、暁達は涙を流しながら互いに抱き合ったという。ガングートたちも、響の救出に安堵しているようだった。

 

しかし、今回の戦闘による被害は決して小さくなかった。陸上自衛隊では戦車をは初めとする車両が撃破されただけでなく、戦死者も発生していた。さらに、天龍たち艦娘側も深刻な損害を受けている。

 

その衝撃は大きく、鎮守府と自衛隊の双方で、今後の戦術や運用の見直しが進められることとなった。

だが、その影響によって陸軍の行動は以前より制限されることとなり、結果として峯岸たちは、これまで以上に動きやすくなるだろう。

 

そして、響の救出から数日が経った頃。峯岸は医務室を訪れていた。

 

中へ入ると、ベッドに横たわりながら本を読んでいる天龍の姿が目に入る。あれほどの損傷を受けていたにもかかわらず、数日でここまで回復しているのは、さすが艦娘といったところだろう。

 

「その様子を見る限り、もう怪我は大丈夫そうだな?」

 

「おっ、俺の見舞いにでも来てくれたのか?」

 

「まあ、そんなところだ。しかし、天龍が本を読むとは意外だな。」

 

「この怪我じゃ、これくらいしかやることがないんだよ。」

 

よほど退屈なのか、天龍は欠伸をしながら大きく背伸びをする。

ふと周囲に目を向けると、時雨をはじめ、他にも数人の艦娘たちが医務室にいた。

 

「……なんだ? どうしてこんなにいるんだ? 高速修復材があるだろう?」

 

考えてみれば、艦娘は高速修復材を使えば短時間で傷を癒すことができる。それなのに、なぜ天龍たちのような重傷者に使用しないのか――峯岸は疑問に思った。

 

「ん? そりゃ、一回の戦闘で負った怪我ごときに高速修復材を使ってたら勿体ないだろ?確かにお前たちのおかげで今は落ち着いてるが、いつまた戦況が悪化するかわからねぇ。だから今は、高速修復材を温存する方針なんだよ。」

 

「なるほどな。」

 

「ああ。一応ドックには入ったんだけどよ、まだ少し痛むから、明石に安静にしてろって言われてるんだ。早く戦線に戻りたいんだけどなぁ……」

 

「気持ちは分かるが、お前は一人しかいない。早く戦いたいなら、なおさら今はしっかり休むべきだ。それに、たまにはこうしてゆっくり過ごすのも悪くないだろう?」

 

「……確かにな。こういう時間も、たまには悪くねぇ。」

 

毎日のように海へ出て戦い続けてきた天龍にとって、こうして穏やかな時間を過ごすことも、決して無意味ではない――峯岸はそう感じていた。

 

峯岸たちの会話に気づいた時雨が、声を掛けてきた。

 

「やあ、来てたんだね。」

 

「ああ。体の方はもう大丈夫そうか?」

 

「まあね。この通り、元気だよ。」

 

「それは良かった。夕立たちは来たのか?」

 

「うん、会いに来てくれたよ。いきなり飛びついてきたから、びっくりしちゃったけどね……」

 

そう言いながら、時雨は苦笑を浮かべる。

 

「大切な仲間が重傷だったんだ。それくらい当然だろう。」

 

「……それもそうだね。」

 

しばしの沈黙の後、峯岸は時雨たちを見ながら、ぽつりと呟いた。

 

「……俺たちに、もっと力があれば良かったんだがな……」

 

遥か未来の技術を持ちながらも、天龍たちにここまでの被害を出してしまった。その事実が、峯岸にとって相当なショックだったのだろう。

 

すると時雨は、穏やかな口調のまま言葉を返した。

 

「何を言うんだい? 峯岸さんたちには十分助けてもらってるよ。今回は仕方のない戦いだったんだ。それに、峯岸さんたちのおかげでレ級を倒せたじゃないか。」

 

時雨は一度言葉を区切り、小さく目を伏せる。

 

「……それに、僕たちは人間じゃない。兵器なんだよ。人を守るためなら、この命が――」

 

その瞬間、峯岸が強い口調で遮った。

 

「違う!」

 

医務室の空気が、一瞬で張り詰める。

 

「お前たちは人間だ。兵器が泣くのか?笑うのか?食事をして、仲間を心配するのか?」

 

峯岸は拳を握り締めながら続けた。

 

「確かに兵器は、人を守るために作られる。だがな、その兵器に乗る人間や、お前たちみたいな存在が死ねば、悲しむ奴が必ずいるんだ。」

 

その声には、押し殺しきれない感情が滲んでいた。

 

「いいか。誰かを守るために命を懸けること自体は間違いじゃない。だが、お前が死ねば悲しむ奴がいる。そのことだけは、絶対に忘れるな。」

 

峯岸の言葉には怒りだけではなく、深い悲しみも混じっていた。

 

2202年――ガトランティス戦役。

物量と物量がぶつかり合う凄惨な戦争の末期には、乗員すら尽き果て、無人となった艦だけが次々と戦場へ送り出される地獄のような状況に陥った。

 

最初は、仲間の死に涙を流していた。

だが、あまりにも多くを失い続けた結果、いつしか悲しみすら感じなくなっていた。

 

だからこそ、時雨の「兵器」という言葉が、峯岸にはかつて失ってきた者たちの姿と重なって見えたのかもしれない。

 

「……そうだね。今のは失言だったよ。ごめんね。」

 

時雨は申し訳なさそうに微笑む。

 

「……いや、俺も少し熱くなりすぎた。すまない。」

 

そう言って峯岸も視線を逸らした。

 

時雨や天龍たちは、まさか峯岸が、ここまで感情を露わにするとは思っていなかったのだろう。

 

すると、天龍が口を開いた。

 

「まさかお前に、こんなこと言われるとはな。今回ばかりは、ありがたく受け取っておくよ。」

 

「ん?妙に素直じゃないか。頭でも打ったのか?」

 

「ケッ、好き勝手言ってろ。……それはそうと、誰かを探しに来たのか?ただ医務室に来たってわけじゃないんだろ?」

 

「よく分かったな。実は明石から来てほしいって連絡があってな。それでここに来たんだが、どうやらここにはいないみたいだ。」

 

どうやら峯岸は、元々、明石に用があり、そのついでに医務室へ立ち寄ったらしい。

 

「お前が来る少し前に出て行ったぜ。今頃は工廠で何かやってるんじゃねぇか?」

 

「そうか。なら、そろそろ行くとするか。待たせるのも悪いからな。」

 

「そうか。今日はありがとな。見舞いに来てくれて。」

 

「なに、感謝されるほどのことじゃないさ。じゃあ、しっかり安静にしておけよ。」

 

「ああ。」

 

そう言い残すと、峯岸は医務室を後にし、明石がいるであろう工廠へと向かっていった。

 

少しして、峯岸は工廠へと辿り着いた。

しかし、中からはほとんど物音が聞こえてこない。不審に思いながら扉を開けると、工廠の中には誰の姿もなかった。

 

「……ここにも居ないのか。」

 

そう呟き、峯岸が工廠を後にしようと扉へ手を掛けた、その時だった。

 

「ああ! 峯岸さん、来てくれたんですね! 待っていましたよ!」

 

突然、中から明石の声が響く。

 

「なんだ、居たのか。さっきまで医務室に寄って、天龍たちと話していたんだ。」

 

「そうだったんですか! それにしても天龍さん達、本当に凄いですよね。あれだけの重傷を、この短期間でここまで回復させるなんて。」

 

本来なら、あの損傷は艦娘であっても簡単に治るものではない。

だが天龍達は、驚異的な回復速度を見せていた。それに明石も驚かされているようだった。

 

「艦娘だからこそ出来る芸当なんだろうが……やはり、いつ見ても不思議な存在だな。」

 

峯岸は軽く息を吐き、それから本題を切り出す。

 

「それはそうと、呼び出した理由は何なんだ?」

 

峯岸は早朝、明石から突然呼び出されていた。理由を尋ねても「来てからのお楽しみです」としか言われず、半ば強引にここまで来たのである。

 

「その件ですが――ついに、頼まれていた艦の建造が完了しました!」

 

「そうか。建造の方はどうだった?」

 

「もう大変でしたよ!無茶な要求ばかりするんですから!しかも、もう一つの案件と並行して作業しろだなんて、本当に苦労したんですからね?」

 

峯岸は横須賀鎮守府へ着任した当初、無理を承知で明石へある艦の建造を依頼していた。しかし、十勝が現れた事によってその世界の真相を知り、再度、新たな艦を依頼していたのだが。そしてどうやら、その一部が完成したらしい。

 

「悪かったな。だが、あの設計図と技術資料や部品は渡したが、それだけで完成させるとは……本当にお前は艦娘か? 実はアケーリアス文明の技術者だったりしないか?」

 

「なんですか、その“アケーリアス文明”って!せっかく建造したのに化け物扱いですか!?そんなこと言うなら爆破してもいいんですよ!?」

 

「冗談だよ。」

 

峯岸は苦笑しながら肩を竦める。

 

「それで、どの程度まで完成したんだ?」

 

「まあまあ、そんなに焦らないでください。見てのお楽しみです!」

 

「そうか。なら、楽しみにさせてもらおう。」

 

「それでは、こちらへどうぞ。」

 

そう言うと、明石は峯岸を工廠の奥へ案内していく。

やがて一枚の壁の前で立ち止まると、明石は慣れた手つきで隠しボタンを押した。

 

直後、重々しい駆動音と共に壁がゆっくりと左右へ開いていく。

 

その先に現れたのは――地下へと続く階段だった。

 

「……やはり、いつ見ても凄いな。」

 

「そうでしょう?……と言いたいところですが、峯岸さんはもう初めてじゃありませんし、あまり驚いてませんね。」

 

「まあな。夕張に教えてもらってなかったら、今でも知らなかっただろうが……」

 

階段を降りていくと、その先には「立入禁止」と書かれた札が掛けられた重厚な扉があった。

 

「ここか?」

 

峯岸が尋ねると、明石は首を横に振った。

 

「いえ、違いますよ。ここでは、もう一つの計画の方を建造中なんです。」

 

「そういうことか。」

 

「はい。では峯岸さん、ここからはこれに乗ってもらいます。」

 

そう言って明石が指差した先には、路面電車のような乗り物が停車していた。

 

その脇には大型のレールが敷設されており、一目見ただけで重量物を運搬するための設備だと分かる。

 

「……これは?」

 

疑問に思った峯岸の表情を察したのか、明石が説明を始めた。

 

「これはですね、ここで建造した艦を少し離れた場所まで運ぶための輸送設備なんです。さすがに建造した艦を、この施設の中で発進させるわけにはいきませんからね。」

 

「なるほどな……」

 

「ほらほら、そんなに見つめていないで早く乗ってください。」

 

明石は急かすように峯岸を乗せる。

 

峯岸が車内に入ると扉が閉まり、静かな駆動音と共に車両が動き始めた。

 

「少し時間が掛かりますので、ゆっくりしていてくださいね。」

 

「ああ……」

 

そうして車両に揺られること数分。

 

やがて減速した車両は静かに停止した。

 

「峯岸さん、着きましたよ。」

 

「ん……」

 

「……もしかして寝てたんですか?」

 

「悪い。少し眠ってしまったみたいだ。」

 

どうやら日頃の疲れが溜まっていたらしい。単調な揺れに身を任せているうちに、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

 

「仕方ありませんよ。峯岸さんたちはいつも忙しいんですから。」

 

明石は苦笑しながら言う。

 

峯岸は軽く目を擦りながら立ち上がり、車両を降りた。

 

すると、目の前には巨大な扉がそびえ立っていた。

 

しかし明石は、すぐに中へ入ろうとはせず、その場で立ち止まる。

 

「どうした?入らないのか?」

 

「いえ、入るには入るんですが……その前に、峯岸さんには目隠しをしてもらいます。」

 

「……は?」

 

予想外の要求に、峯岸は思わず間の抜けた声を漏らした。

 

「その方が絶対楽しいですから!」

 

明石は満面の笑みで言い切る。

 

どうやら峯岸を驚かしたいらしい。

 

「いや、別にそこまで――」

 

「はい、却下です。」

 

「おい。」

 

峯岸の抗議など聞く耳を持たず、明石は手際よく布を取り出した。

 

そして本人の返事を待つことなく、さっさと目隠しを装着してしまう。

 

「ちょっと待て、明石――」

 

「大丈夫ですって。転ばないように手は引きますから。」

 

そう言うと、明石は峯岸の手を取り、ゆっくりと歩き始めた。

 

視界を奪われたまま、峯岸は半ば強引に導かれながら、巨大な扉の向こうへと足を踏み入れていくのだった。

 

明石に連れられて扉の中へ入ると、ほのかに磯の香りが漂ってきた。

 

(海に繋がっているのか……?)

 

そんなことを考えていると、明石が足を止めて声を掛ける。

 

「さあ、準備はいいですか?」

 

「ああ、良いぞ。」

 

「では、いきますよ!」

 

そう言うと、明石は峯岸の目隠しを外した。

 

するりと外れた布が地面へ落ちる。

 

そして峯岸が目を開くと――そこには白く塗装された、6隻の艦が停泊していた。

 

既存の艦艇とはまるで異なる、独特のシルエットを持つ艦。

 

その姿を目にした峯岸は、思わず感嘆の声を漏らした。

 

「……おお。」

 

「どうですか?感想は?」

 

「素晴らしい……。まさに要望通りだ。」

 

「でしょう?」

 

明石は得意げに胸を張る。

 

「あのD級やA級よりは小型ですが、それでもこの『あさかぜ型対潜駆逐艦』は、護衛艦やパトロール艦などの艦艇と比べるとかなり大きいですね。」

 

そう――峯岸が明石に建造を依頼していたのは、この対潜駆逐艦だった。

 

既存の宇宙艦とは異なり、波動砲は搭載していない。

 

艦砲による自衛能力を持ちながらも、主眼は対潜戦闘に置かれている。

 

そして「駆逐艦」という艦種でありながら、全長は200メートルを超える大型艦だった。

 

建造されたのは計6隻。

 

白く塗装された船体の艦首には、それぞれ艦番号と艦名が記されており1番艦から331 あさかぜ、332 みねかぜ、333 ふゆかぜ、334 はたかぜ、335 しまかぜ、336 きたかぜ、と書かれていた。

 

整然と並ぶ艦影は壮観そのものだった。

 

「それで、武装はどうなっている? 要望通りに仕上がったのか?」

 

「はい。武装構成は、Mk.12 127ミリ連装砲1基、亜空間対潜グレネードランチャー2基、艦首亜空間魚雷発射管4門、それにMk.25亜空間対潜ミサイル発射機10基となっています。」

 

「自衛能力は最低限だが、要望通りだ。明石、よくやった。」

 

「そうでしょう?もっと褒めてくれてもいいんですよ?」

 

明石は満面の笑みを浮かべる。

 

「それで、他の性能はどうなっている?」

 

「速力は現用護衛艦と同等以上ですね。航続性能はD級などに比べて高くなっています。ただし装甲は最低限ですので、防御面は波動防壁頼りになりますが...」

 

そう説明した後、明石は不思議そうな顔をした。

 

「それにしても、どうして急にこんな艦隊護衛用の艦を建造したんですか?」

 

峯岸たちが所属する第六艦隊は、波動砲艦隊構想のもとで整備された艦隊だった。

 

A級やD級をはじめ、圧倒的な火力と決戦能力を誇る艦ばかりで構成されている。

 

だが、このあさかぜ型は違う。

 

砲戦能力は限定的。

 

波動砲のような決戦兵器も持たない。

 

その代わり、潜水艦や特殊脅威への対処、そして艦隊護衛に特化した設計となっていた。

 

A級のようなオーバースペックとも言える艦が存在する中で、なぜ今さらこのような艦を必要としたのか。

 

明石には、その意図が理解できなかったようだった。

 

「ん?それは“ヤツ”のためだよ。」

 

「ヤツって……αのことですか?」

 

「なんだ、技術者たちから聞いていないのか?」

 

「いえ、詳しい話は聞いていませんが……」

 

「そうか。」

 

峯岸は停泊中のあさかぜ型を見上げながら続ける。

 

「十勝が話していただろう。ハワイ沖海戦の時、αは姿を消したかと思えば突然現れ、十勝たちを翻弄したと。」

 

「ああ、あの話ですね。」

 

「それを聞いて考えていたら、一つ思い当たるものがあったんだ。」

 

「思い当たるもの?」

 

「ああ。次元潜航艦だ。」

 

その言葉に、明石は目を丸くした。

 

「次元潜航艦……」

 

「この艦種は亜空間へ潜航し、通常空間からは探知が困難な状態で行動できる。そして一方的に攻撃を仕掛けることも可能だ。」

 

「そんな艦が存在したんですか……。ですが、それを知っているなら既存のD級やA級でも対策していたのでは?」

 

「一応な。A級には最低限の対潜装備が搭載されている。」

 

峯岸は苦い表情を浮かべる。

 

「だが、数が圧倒的に足りない。もし本格的な次元潜航艦との戦闘になれば、こちらは有効な反撃もできないまま損害を受け続けることになる。」

 

「……。」

 

「αの正体が本当に次元潜航艦かどうかは分からない。だが、十勝の世界で俺たち第六艦隊が敗北したという事実がある以上、考え得る脅威への対策はしておくべきだろう。」

 

「なるほど……。」

 

2202年当時の地球が想定していた仮想敵はガミラスだった。

 

その中でも次元潜航艦は、波動砲艦隊構想を進める上で大きな脅威と見なされていた。

 

しかし当時の地球には十分な対抗技術がなく、A級戦艦へ最低限の対潜能力を持たせるのが限界だった。

 

それが直接の原因かどうかは分からない。

 

だが、十勝の世界では第六艦隊は壊滅している。

 

ならば、その可能性を少しでも潰しておくべき――それが峯岸の考えだった。

 

そして、この世界においてもα以外の次元潜航能力を持つ敵が現れれば、それは間違いなく重大な脅威となるだろう。

 

「ただ、今回搭載した対亜空間兵装はどれも試作品ばかりだ。」

 

峯岸は腕を組む。

 

「魚雷は問題ないだろうが、グレネードランチャーや対潜ミサイルは実射試験が必要だな。」

 

「そうですね。機関部や各種システムについては技術者たちと確認済みです。正常に作動することは確認できていますから、残る課題は兵装関係だけです。」

 

「その辺りは今後の試験次第だな。」

 

だが、別の問題も存在していた。

 

それは、この艦そのものの存在である。

 

A級やD級は、既にこの世界へ来てから数か月が経過しているため、多くの者がその存在に慣れつつある。

 

しかし、そこへさらに見慣れない新型艦が突然現れたらどうなるだろうか。

 

ましてや、この世界の技術水準から見れば、宇宙艦の建造技術そのものが常識外れである。

 

疑念を抱く者が現れても不思議ではない。

 

「ですが、この艦をそのまま鎮守府へ配備するつもりなんですか?」

 

明石が真剣な表情で尋ねた。

 

「突然こんな艦が現れれば、必ず不審に思う人が出てきます。それに……」

 

明石は少し声を落とす。

 

「もしαに存在を察知されたらどうするんですか?」

 

確かに艦娘たちへの説明も必要だろう。

 

だが、最大の懸念はαだった。

 

αは地球連邦防衛軍の艦艇だ。

 

この艦の存在はいずれ知られることになる。

 

問題は、その建造経緯まで調べられた場合だ。

 

今まで居なかった艦を日本で見つけられたらαは必ず調べるだろう。

 

そしてもしこの地下工廠の存在が露見すれば、被害は工廠だけでは済まない。

 

鎮守府そのものが危険に晒される可能性すらある。

 

その指摘に、峯岸はあさかぜ型を見上げながら答える。

 

「この艦は、しばらくの間は各国の守備隊に配属するつもりだ。」

 

「守備隊にですか?」

 

「ああ。まだ俺達のことをよく知らない国からすれば、新しい艦が現れても不審に思われにくいだろう?」

 

アメリカをはじめとする各国は、第六艦隊について日本ほど詳しい情報を持っているわけではない。

 

それならば、このあさかぜ型を数週間ほど海外の守備隊へ加え、その存在を自然に認識させようという考えだった。

 

「確かに、それなら海外で建造された艦だと偽装できますし、この工廠の存在が露見する可能性も低くなりますね。」

 

「それだけじゃない。」

 

峯岸は静かに続ける。

 

「海外で建造されたということになれば、宇宙艦艇を建造する技術を他国も獲得したことになる。」

 

「なるほど……。」

 

「そうなれば、αから見ても無視できない脅威になるはずだ。」

 

単に工廠の存在を隠すだけではない。

 

海外で建造された新型艦と見せかけることで、第六艦隊の技術力が既に世界へ拡散しているかもしれない――そう思わせることができる。

 

それはαに対する牽制としても機能するだろう。

 

「なるほど!それなら一石二鳥ですね!」

 

明石は納得したように頷いた。

 

「では、その方針で決まりですね!」

 

「ああ。」

 

峯岸も頷く。

 

「早速、乗組員を招集してくる。出航は明日の夜だ。」

 

「了解です! こちらも出航準備を進めておきます!」

 

「頼んだぞ。」

 

「お任せください!」

 

そうして二人は方針を固めると、それぞれの持ち場へ向かった。

 

明石は艦の最終点検と出航準備へ。

 

そして峯岸は、新たな任務に就く乗組員たちを集めるため、その場を後にした。

 

静かな地下ドックには、出航を待つ六隻のあさかぜ型対潜駆逐艦が整然と並んでいる。

 

やがて訪れるであろう新たな戦いに備えながら――。

 

そうして翌日の夜。

 

峯岸たちは招集した乗組員たちと共に、明石のいる地下工廠へと向かっていた。

 

工廠へ到着すると、既に明石たちによる出航準備は完了していた。

 

乗組員たちは次々と各艦へ乗り込み、やがて全艦の出航準備が整う。

 

静かなドックには、六隻のあさかぜ型対潜駆逐艦が整然と並んでいた。

 

「なあ、前から思っていたんだが、どうやってここから出航させるんだ?」

 

峯岸が尋ねると、明石は得意げに説明を始めた。

 

「それがですね、この施設は海に面した山の地下に建設されているんです。」

 

「ほう。」

 

「そして、このドックの下には海へと通じる大型ゲートがあるんですよ。艦を沈降させてそのゲートまで移動させ、扉を開いて外海へ出航させる仕組みなんです。」

 

つまり、あさかぜ型が停泊しているドックの下には海へ続く巨大な水路が存在し、そこを通って秘密裏に出航できるようになっているらしい。

 

「なるほどな。だが、どうしてこんな大掛かりな施設を作ったんだ?」

 

「私が作ったわけじゃないんですが、夕張ちゃんが潜水艦用の秘密ドックとして整備していたみたいなんです。」

 

明石は苦笑しながら肩をすくめる。

 

「詳しい経緯までは聞いていませんけどね。」

 

「なるほどな。」

 

峯岸は納得したように頷いた。

 

「では、早速始めるか。」

 

「はい!」

 

そうして峯岸と明石は、あさかぜ型対潜駆逐艦の初出航を見守ることにした。

 

やがて各艦の機関が始動し、波動エンジンの音がドック内に響き渡る。

 

六隻の艦はゆっくりと前進を始めた。

 

そして艦体が徐々に下降していく。

 

やがてドック最下層へ到達すると、前方に設けられた巨大な隔壁が重々しい音を立てながら左右へ開いていった。

 

その先に広がるのは、夜の海。

 

月明かりが水面を淡く照らしている。

 

六隻のあさかぜ型は、そのまま海中水路へと進入していく。

 

誰にも気付かれることなく。

 

誰にも知られることなく。

 

こうして、あさかぜ型対潜駆逐艦六隻は極秘任務を帯び、静かな真夜中の海へと旅立っていったのだった。




今回はここまでです。今回も読んで頂き有難う御座いました!

今回出て来たあさかぜ型対潜駆逐艦の元ネタは宇宙戦艦ヤマト完結編に出て来る駆逐艦です。果たして分かったでしょうか?

次回は守備隊の話になって行くと思います。

ではこの辺で。次回もお楽しみに!それでは!

(あと、誰か今後、艦娘を出して行こうと考えているのですが希望はありますか?あれば感想欄に書いて頂けると幸いです。)
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