波動砲艦隊はこれより艦隊の指揮に入る 作:前衛武装航宙艦アマテラス
まあ、以前に投稿した中に出て来た例の艦隊の話です。
それで、ここではαなどの事を深掘りしていこうかと思っています。
それではどうぞ!
新たなる異文明
2202年――。
地球ではガトランティス戦役の真っ只中だった。
そんな中、地球から遥か遠く離れた星系を航行する一つの艦隊があった。
「ワープ終了。当該宙域に反応はありません」
そう命じたのは、地球連邦防衛軍所属・外惑星調査艦隊旗艦「ラボラトリー・アクエリアス」の艦長だった。
「艦長、これで何回目ですか?」
副長は抑えきれない苛立ちを滲ませながら続けた。
「移動しては調査し、また移動しては調査する。その繰り返しです。しかも、新たな発見がある保証すらない任務をいつまで続けなければならないのですか?」
艦長は何も言わず、副長の言葉に耳を傾けていた。
「今、地球は未曾有の危機に直面しています。もし我々が今すぐ帰還すれば、少しでも戦況を好転させられるかもしれません!」
副長の怒りには理由があった。
話は少し前に遡る。
この艦隊は2201年、アンドロメダ級が就役したのとほぼ同時期に編成された。任務は外惑星の調査と、地球に類似した惑星の探索である。
出発当初、乗組員たちはその任務に大きな誇りを抱いていた。未知の世界を開拓し、人類の未来に貢献できると信じていたからだ。
しかし、その頃地球はズォーダー大帝率いるガトランティスとの戦争へと突入する。
戦況は日を追うごとに激化していった。
伝え聞くところによれば、土星沖で起きた海戦では山南艦長率いる波動砲艦隊がガトランティス軍に大敗を喫し、辛うじて撤退したという。
それにもかかわらず、この艦隊は依然として調査任務を続けていた。
地球が危機に瀕している今もなお、である。
これまで数多くの惑星を調査してきたが、目立った成果は得られていない。未知の外惑星系に関する有益な情報もほとんど発見できていなかった。
その状況に、副長だけでなく多くの乗組員たちも不満を募らせていた。
そして今、その不満は限界に達しようとしていた。
「それは十分に分かっている。だが、よく考えてみろ。アンドロメダ級ですら数百隻が投入されているというのに、戦況は一向に好転していない。しかも、その大半は無人艦だと聞く。そんな戦場に、わずか数十隻しかいない我々が加わったところで、本当に戦局を変えられると思うか?」
「だからといって、このまま指をくわえて見ていろというのですか!」
「落ち着け。上層部からの命令は今も変わっていない。ここで勝手に帰還すれば、我々は命令違反になる。」
「ですが――!」
「副長。もし、この戦役が終わった後のことを考えたことはあるか?」
「……は?」
予想外の問いに、副長は戸惑いの声を漏らした。
「現在建造されている艦艇の多くは無人艦だ。おそらく乗る人間がもういなくなって来て居るのだろう。そんな中で、我々のような有人艦まで失えばどうなる?」
艦長は窓の向こうに広がる広大な宇宙を見つめながら続けた。
「戦争が終わった後、軍を再建しようとしても、それを担う人材がいなければ何も始まらない。艦を造ることはできても、それを運用する人間までは簡単に造れないからな。」
「……」
「もちろん、俺だって地球へ戻りたい。仲間たちと共に戦いたい気持ちは同じだ。だが、その先の未来も考えなければならない。」
艦長は副長へ視線を向けた。
「今は任務に集中しろ。それが今の俺たちにできる唯一の戦いだ」
「…………」
副長は何も答えなかった。
拳を握り締めたまま俯いている。
納得したわけではない。
だが、艦長の言葉が正論であることも理解していた。
その悔しさが、彼から言葉を奪っていた。
艦内に静寂が流れる中、オペレーターが淡々と報告した。
「艦長、ワープポイントに到達しました。」
「分かった。全艦、ワープ準備。」
艦長の号令とともに、各艦は徐々に速度を上げていく。
やがて艦隊は次々とワープへ突入し、その姿を宇宙空間から消した。
誰も知らなかった。
この先で、自分たちが信じ難い光景を目にすることになるとは。
しばらくして、調査艦隊は2度目のワープを終了した。
その直後、オペレーターが困惑した声を上げる。
「ワープ完了しました……艦長、予定していた座標との間に誤差が発生しています。」
「何だと? 座標は出発前に確認したのか?」
「はい。出発前に確認しております。入力ミスの可能性はありません。」
艦長は眉をひそめた。
「ワープに干渉する原因は周辺には無いはず....直ぐに原因を調査しろ。」
「はっ!」
その時だった。
「か、艦長!」
突然、副長が声を上げた。
「どうした?」
「あ、あれを……!」
副長は顔を強張らせたまま前方を指差している。
その様子にただならぬものを感じた艦長は、前を見る。
「……なんだ、これは」
艦隊の前方に広がっていたのは、無数の残骸だった。
数個や数十個などという規模ではない。
視界の果てまで続く宇宙空間が、残骸で埋め尽くされていたのだ。
大小様々な破片が漂い、所々では今なお微かな火花が散っている。
まるで何か戦闘でもあったかの様な。
「全艦、第1種戦闘配備! 警戒を厳とせよ!」
「了解!」
「この残骸がどこの勢力のものなのか解析しろ。」
「はっ!」
オペレーターたちが作業を開始する中、副長が口を開いた。
「艦長、この残骸……どこか我々の艦に似ていませんか?」
「似ているだと?」
「はい。この残骸などはドレッドノート級に酷似しています。それに、あの残骸も護衛艦の構造とほとんど同じです。」
「……」
艦長は黙ってスクリーンを見つめた。
確かに副長の言う通りだった。
漂う残骸の数々は、どれも地球連邦艦艇のものによく似ている。
ドレッドノート級と思われる艦首。
護衛艦のものとしか思えない艦体構造。
偶然とは思えないほど特徴が一致していた。
重苦しい空気がブリッジを包む。
やがて副長が慎重な口調で言った。
「艦長……そういえば、武蔵率いる調査艦隊とは数週間前から通信が途絶えていますよね。」
「ああ……」
艦長は短く答えた。
副長は意を決したように続ける。
「考えたくはありませんが……この残骸、武蔵艦隊のものではないでしょうか。」
「……」
艦長は答えなかった。
だが、その可能性を否定することもできなかった。
ラボラトリー・アクエリアス率いる調査艦隊とは別に、もう一つの調査艦隊が地球から派遣されていた。
旗艦はヤマト型二番艦『武蔵』
武蔵は戦艦として建造されたヤマトとは異なり、外宇宙探査を目的として大幅な改装が施されていた。
特徴的なのは巨大な観測設備を備えた艦橋である。
その姿はラボラトリー・アクエリアスにもよく似ていた。
とはいえ、武蔵は純粋な調査船ではない。
現在極秘裏に建造が進められているヤマト型三番艦とは異なり、十分な戦闘能力を保持していた。
探査能力と戦闘能力を高い次元で両立した艦。
少なくとも通常のガミラス艦隊やガトランティス艦隊程度であれば、簡単に後れを取るような艦ではなかった。
しかし、その武蔵率いる調査艦隊が数週間前から忽然と消息を絶っていた。
通信は完全に途絶。
原因も所在も不明。
単なる通信機器の故障とも考えられていたが、これほど長期間連絡が取れないのは異常だった。
そして今。
眼前に広がる無数の残骸。
もし副長の推測が正しいのだとしたら――。
この宙域で、武蔵艦隊に何かが起きたことになる。
しかも、それは艦隊そのものが壊滅するほどの何かだった。
ブリッジの誰もが、最悪の可能性を思い浮かべていた。
「艦長! レーダーに感あり! これは……」
重苦しい沈黙を破るように、オペレーターから報告が上がった。
「本艦1時方向。数1、大きすぎる.....既存の物とは桁違いです。」
「何だと?艦艇では無いのか?」
「はい。推定全長は数十キロに達します。規模から見て、要塞級の構造物と考えられます」
「要塞だと……? 仮にそうだとして、なぜこんな場所にあるんだ」
艦長が考え込んだ、その時だった。
「新たな反応を探知! 数3!急速に近づく!」
オペレーターが続けて報告する。
「何ッ⁉︎対艦戦闘用意!」
艦長が号令を掛ける。
その直後だった。
「えっ……?」
オペレーターの口から思わず驚きの声が漏れる。
「どうした?」
「そ、それが……艦艇と思われる反応なのですが……」
「何だ。はっきり報告しろ」
オペレーターは一瞬言葉を詰まらせた。
「目標の形状が……人間に酷似しています」
「何だと?メインパネルに出せ。」
直後、メインスクリーンに映像が表示された。
そして、その場にいた全員が息を呑む。
「……何だ、これは」
そこに映っていたのは、確かに人間の姿に見えた。
誰がどう見ても人間と言うだろう。それも女性の人間だ。
艦艇なのか、生物なのか、それとも全く別の何かなのか。
誰にも判断できない。
艦長はスクリーンを見つめたまま呟く。
「……本当に、ここで一体何が起きているんだ……」
今回はここまでとなります!
次回からもこの様な本編とは違ったストーリーも書いていこうと思いますので宜しくお願いします!
それでは!