レセプションルーム
『お知らせします。I・アイランドの警備システムは通常モードになりました』
「なっ!?おい、警備システムが元に戻っているぞ!!どうなっている!?」
『警備システムを掌握しているなどと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ』
怒鳴るウォルフラムが付けている通信機から聞こえてきたのは部下のものではなかった。同時にモニターの映像が切り替わる。映っているのは薄ら笑いを浮かべる
『ところでこっち見てて良いのかテロリストさんよ。お前、今際の際だぞ』
「フハハハハハハハハハハッ!!」
「!?」
拘束を逃れた伝説の超サイヤ人の一振りでウォルフラムは建物の壁を突き破って上空に放り出される。
「誰だか知らんが…………オールマイトよりも先ずお前から血祭りにあげてやる」
「ッ………!?」
ブロリーがそう宣言するとさらに気が高まる。溢れる。ウォルフラムの個性は『金属操作』で、周囲の金属を自在に操る事が出来る。だが、生憎今の彼がいるのは空中で周囲に金属は無し。1ミリも役に立たない。だが、彼が持つ個性はそれだけではない。
「調子に乗るなよ…………このクソ野郎が!!」
ウォルフラムはAFOから貰った個性『筋力増強』を発動。迫り来るブロリーの拳を掻い潜り顎に1発喰らわせる。確かな手ごたえを感じたウォルフラムはニヤリと笑う──────
「なんなんだぁ今のはぁ…………?」
─────だが、その笑みは一瞬で引きつった。ブロリーは何も効いて無さそうな様子でニヤリと笑いながら呟く。
「ば、バカな…………確実に顎に入った筈だ…………!」
動揺するウォルフラムの事なんぞいざ知らず。ウォルフラムの顔面を掴むともう片方の手で気弾を生み出す。
「プレゼントだ!はーっはっはっはっは!!」
ゼロ距離からの気弾に呑み込まれて数コンマ後、大爆発を引き起こし虫けらのようにタワーに叩きつけられるウォルフラム。ブロリーが近くに寄るとそこへオールマイトもやって来る。
「ブロリー君!あちらは全員片付いたが、ヴィランのボス…………は倒したみたいだね、うん。これ、生きてるよね?」
「安心しろ、死んではいない。…………それにしても雑魚はつまらん。やはりお前じゃなきゃ戦いは面白くないようだなァ、オールマイト。今度俺と戦おうよッ☆」
「あ、ああ…………うん………………(OFA使い果たしそうだから正直やりたくない………)」
竜崎side
「申し上げます!ヴィランが全員無力化されましたぁ!」
「「「よっしゃぁ!」」」」
報告係のならず者の言葉を受けて管制室の全員が盛り上がる。俺も漸く肩の力が抜けて深い息を吐く。
「フー君、やったね!大勝利だよ!」
「だね。メリッサさんもお疲れさん」
「何言ってるの、それは私の台詞よ。今回のMVPは2人なんだから」
「いやぁ、そんな事しかないね」
「フー君の辞書に謙虚って言葉はないの………?」
透のツッコミを受けて3人で笑っていると復活したスマホから着信が。相手はタコ科学者。
「どうした科学者?」
『楓丸様、デヴィット様はそちらにいらっしゃいますか?』
「デヴィットさん?いや、いないが何で?」
『実はヴィランにどこかに連れ去られていたんですじゃ』
「なに?…………科学者、警備システムを拝借して探せるか?」
『もうやってますじゃ。私のコンピュータが位置を弾き出しますじゃ』
管制室の画面が科学者のリモート操作で目まぐるしく変わっていく。喜んでいた皆も漸く俺達に気付いて近寄って来て飯田が代表して聞いてくる。
「竜崎君、どうかしたのか?」
「いやね、デヴィットさんがヴィランに連れ去られているって言うから探して貰っているのよ」
「もしかして、まだヴィランが………!?」
耳郎の言葉に空気がまた張り詰めるがすぐにタコ科学者が否定する。
『いえヴィランは全員無力化されております。……………ああ、見つけましたですじゃ』
画面に映し出された映像はデヴィットさんがコンソールを操作しているものだった。
「…………科学者、これどこの映像だ」
『あなた様がいらっしゃる最上階の保管庫ですじゃ』
「もしかして、ヴィランに連れ去られて何かさせられてたんじゃ…………?」
「きっとそうだよ!デク君、教えに行こう!」
「待った」
緑谷と麗日が保管室に行こうとするのを俺が止める。直観だが俺は緑谷の言っている事が正解だとは思えなかった。
「…………科学者、彼は何をしようとしているか突き止められるか」
『うわへへへwwもう特定済みですじゃ。コンピューターが弾き出したデータによりますと、デヴィット様はこの保管庫のプロテクトを解除してとあるアイテムを取り出そうとしております。このアイテムですじゃ』
科学者が目の前の画面に表示された情報を見るとその場の全員が驚愕に目を見開く。確かにこれはとんでもない代物だった。それだけのインパクトがある。
「(………………まさか、な)科学者、プロテクトを解除出来るか?不審がられないよう自然に」
『可能でございますじゃ。ですが、それを渡してあげるつもりですじゃ?』
「いいや。ただ仮説を確かめるだけだ。…………俺はちょっと行ってくるけど、メリッサさんはここに『私も行くわ』…………おすすめはしないぜ。たぶん良いものは見れないぞ」
一応そう警告してみるがメリッサさんの腹はもう決まっているようだった。
「…………私はパパの娘よ。どんな事実であれ…………受け止める覚悟は出来てる」
「…………そうか、なら俺は止めない。他の皆はどうす…………聞くまでもないか」
他の皆も行く気満々の表情だった。ここまで来たからには真相とやらを知らないと気が済まないのだろう。
「じゃあ…………行くか」
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保管庫
「コードを解除できた。1147ブロックへ」
「は、はい!」
デヴィットに言われたサムは急いで短い階段を上ってそのブロックがある区画へ。出てきたのはボックスだ。
「やりましたね博士!全て揃ってます!」
「ああ…………ついに取り戻した。この装置と研究データだけは誰にも渡させない。渡すものか………」
「プラン通りですね。ヴィランたちもうまくやっているみたいです」
「ありがとう。彼らを手配してくれた君のお陰だ、サム…………」
デヴィットがサムの持つケースに駆け寄ろうとしたその時だった。サムの隣からいきなり現れた手がケースを奪った。
「なっ……!?」
「け、ケースが!」
デヴィットが驚愕の声を、サムが悲痛な声をあげる。ケースを奪った手は彼らから距離を取る。そして、徐々に姿を現す─────。
「き、君は…………」
「トランクスルーの時間制限ギリギリだったな。さっきぶりですね、お2人とも」
その正体は楓丸。トランクスルー状態で気づかれる事無く接近・奇襲で奪ったのである。
「すぐそばで聞いていましたが興味深い話をしていましたね。ヴィランたちが上手くやっているだの、手配しただの。まるであなた方全部仕組んだみたいだ」
「…………………」
デヴィットは言葉を忘れたかのように何も言わない。
「ああ無いとは思いますが、口裏合わせを頼もうとしても無駄です。聞いていたのは俺だけじゃないので」
その言葉を合図に保管庫の入り口からメリッサらが入って来る。2人の顔がさらに驚愕に染まった。
「め、メリッサ…………!」
「お嬢さん、どうしてここに!?」
「…………パパ、手配したってなに?」
サムの問い掛けには答えずメリッサはそう尋ねる。
「……………………」
「この事件…………パパが仕組んだの?その装置を手に入れる為に…………?」
「……………………」
「そうなの、パパ!?」
「……………そうだ」
必死に問い掛けるメリッサに遂に誤魔化しきれないと悟ったのかデヴィットは肯定した。
「大方、混乱に乗じてこいつを手に入れようとしたんだろう。それで博士、概要は知ってますが改めて。これはなんです?」
楓丸は話さないのであれば装置の破壊をチラつかせようとしていたが、デヴィットの代わりにサムが答える。
「これは機械的に個性を増幅させる発明なんです!まだ試作段階ですがこの装置を使えば人体に影響を与えずに個性を増幅させる事が出来ます。ですが……………」
サムは語る。発明と研究データはスポンサーによって没収され、研究そのものが凍結。超人社会の構造変化を恐れた政府が圧力を掛けてきた事。それを取り戻すために今回の計画を立てた事。
「そんな………嘘でしょパパ…嘘だと言って!」
「嘘ではない」
「こんなのおかしいわ……………私の知ってるパパはこんなことしない!なのにどうして!どうして………………」
自分の娘が傷ついたの見て苦い表情を浮かべながらデヴィットは絞り出すように言う。
「…………オールマイトのためだ。お前たちは知らないだろうが、彼の個性は消えかかっている……………」
「「「「「「!?」」」」」」
その場の全員が驚愕の表情を浮かべる。当然だろう、平和の象徴の個性が消えかけているなど気化された驚かない筈がない。楓丸は知ってはいたがその場を空気を読んで表情を作っておく。
「だが、私の装置があれば今以上の能力を彼に与える事が出来る。平和の象徴が、再び光を取り戻すことができる!また多くの人達を助ける事が出来るんだ!!」
デヴィットはそう熱心に訴える。だが、対照的に楓丸は冷めた様子だった。
「がっかりさせやがる………………博士、天才科学者ともあろう者が何とも情けない装置に固執したものだ」
「なっ……………」
自信が長年かけて開発した発明品を情けない装置と両断されてデヴィットは言葉を失う。
「科学者は新たな技術を生み出し未来を発展させるのが使命の筈。なのに何ですか、あなたが固執する装置は所詮は現状維持の為の道具。未来を見据えていない科学者など3流もいいとこだ」
「っ………………だが!竜崎君も分かっているだろう!?オールマイトという平和の象徴がいなくなれば、ヴィランの犯罪率は確実上がる!そんな世界を君は望んでいるのか!?」
「そうさせないために他のヒーローが、
「!」
良い加減うんざりとばかりに楓丸は怒鳴る。デヴィットはハッとした表情を浮かべる。
「犯罪率はそりゃ一時的とは上昇するでしょう。それだけオールマイトという存在の大きかったことの証明になる。だが、オールマイトだって永遠じゃない。いつか幕引きは来る」
始まりがあれば終わりがある。当然の事だ。オールマイトも例外ではない。
「俺が体育祭で語ったようにヴィランを増やさない事も大事だが、それでも光ある所に影はある。ま、当面はオールマイトに代わる『次の平和の象徴』の存在が求められるでしょう」
「…………その存在に君がなると?」
「え、やですけど(即答)」
まさかの即否定。これにはデヴィットも虚を突かれたのか一瞬思考が停止する。
「かぁん違いするな。俺はオールマイトじゃない。てか誰もオールマイトにはなれない。まぁ俺はそもそも成る気も無いですけど。重すぎんですよ、平和の象徴とか。絶対ごめんだね──────俺1人でなるのは」
そう。楓丸は1人でなるのが嫌なだけ。なるなら───────。
「平和の象徴になるなら─────────皆で、だ」
楓丸は後ろを振り返る。そこにいるのは志を共にする仲間がいた。
「
「「「「おー!」」」」
楓真がそう締めくくって右手を上げると一瞬で現れたならず者も同じく拳を上げて同調。そしてすぐ退散していく。そして緑谷もその言葉に頷く。
「うん…………そうだ!竜崎君の言う通りだよ!」
「ああ、そうだな」
「だね」
「1人では無理でも、皆がいればきっと成れるよ!」
緑谷、焦凍、耳郎、葉隠の言葉に他の皆も決意に満ちた表情で頷く。そんな彼らの姿にデヴィットは一瞬若き日のオールマイトが───────ヒーローの姿が重なって見えた。デヴィットは力が抜けたようにその場に座り込む。
「………………私は恐れていたんだな。オールマイトという光を、築き上げた平和を失うのが」
「…………博士」
自嘲気味にそう呟くデヴィット。関係者でもある緑谷が複雑そうな表情を浮かべていた。
「……………君の言う通りだ、竜崎君。私の考えも、この装置も現状維持のものでしかない。未来を見据えず、希望がすぐそばにある事に気付けなかった………………私も年老いたな」
「やっと吞み込めたようだなぁ…………………博士、これはあなたのものです。どうするかはあなたが決めてください」
楓丸は床を滑らして装置をデヴィットの足元へ。デヴィットはケースを拾い上げる。
「…………サム、君にも迷惑を掛けてすまなかった。この装置は………………もう必要ない」
「博士!?」
「すまない…………私は今回の事件の全責任を取って自首する」
デヴィットの宣言に言葉を失うサム。ハッピーエンド、とは言えないが落としどころは付いたなー、と楓丸は感じた。
「いらないならその装置は僕が使わせてもらうよ」
続く…………
このまま何事も無く終わると 思 っ て い た の か ?
もうちっとだけ続くんじゃ。
Q AFOさんはウォルフラムに楓丸の事は話してなかったの?
A そもそもI・アイランドに来ないタイプだと思ってた(実際最初は来る気なかったし)。ちなみに過去のライブ配信を見た人間性からそう推察してた。情報収集も兼ねてチラチラ見てたりする。ちなみに見た際は低評価押してる。クズがァ…………。
投降頻度ですが
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毎週1話確実に投稿でいいぞぉ!
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完成次第投稿しロットォォォォ!!