模造品の2P青ケルシー概念   作:匿名のカタリナ飛行艇

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更新が遅れてすみません
簡潔に話せば、風邪ひいてダウンしてました

無駄に話が長くなっちゃったし、主人公がヘタレの屑になっちゃいました。
ゴミを見るような温かい目で見ていただけると幸いです。


第八話 最後の晩餐がイギリス料理だったら悲しいよねって話

「今日は久しぶりに夕食を共にしないか?」

 

「 ! 」*1

 

「......すまない、その表情はやめてくれないか」

 

 

**********

 

 

 

やっ!元気してる?

天災シェフのカルシちゃんだぜ

 

君たちに素晴らしいレシピを教えてやろう

まずは食パンを両耳に当ててみて

馬鹿のサンドイッチの完成です!

 

ゴードンラムゼイは私にステーキの全てを教えてくれた!

でも悲しいかな、日本に安いバターとロースは無いんだよ(ハイライトオフ)

トランス脂肪酸と和解せよ

 

そんな訳で、本日はだぶちを夕食に迎え豪華メニューとなっております。

ん?この文体だと夕飯をマクドで済ませようとしている人に聞こえるね...

 

まぁ豪華メニューとは言っても、ここは不毛の大地カズデル。

用意できる料理なんてたかが知れている。

主食はもっぱらじゃがいもオンリーで、肉といえば缶に入ったコーンビーフくらいしかない。

あれ?これダブチ食った方がマシでは?

だぶちがじゃがいも好きなのは傭兵団内でも周知の事実だが、流石に毎度ジャガイモスープだとだぶちも飽きてしまう*2だろう。

な の で

今回は奮発してスペシャルポテトメニューを作るぞ。

まずはジャガイモを半分にして中身をごろごろに崩し、刻んだ人参やコーンビーフ、溶かしたバターを混ぜ、じゃがいもに戻す。

 

 

「...?いつもと変わらないベイクドポテトじゃない」

 

「ㇷッ、これだから素人は」

 

「ん?死にたいなら最初からそういえばいいのに」

 

 

原石爆弾をチラつかせるだぶちを横目に、食料ケースから銀色のある物を取り出す。

ことっと机に銀紙に包まれた箱状の物にだぶちは怪訝そうな目を向ける。

包みを剥くと、中から黄色みがかった滑らかな表面が露出した。

 

「バター?」

 

それはさっき使っただろ。

ここで教えてやってもいいが、切って見せた方がわかりやすいだろう。

 

私は果物ナイフを取り出し、真ん中で豪快にぶった切った。

その切れ口は、仮にバターであれば乳白色か黄色の滑らかだったろうがそうはならず、いくつもの穴が月面に散りばめられたクレーターのように開いていた。

 

「ちょっと、これ...」

 

「山羊の乳を主な原料とするこの保存食は、発祥は未だ不明ながら古くは2000年以上前のリターニアの地層から最古の製造施設が見つかっており、中世ヴィクトリアの書物によればガリアの王侯貴族が舌を満たすため、大金を叩きリターニアからイベリアまでの長大な商路をものともせず取引されていたそうだ」

 

「まさか」

 

「発酵した固形の乳製品とでも言ったところか」

 

「いや普通にチーズでしょ」

 

「なんだ知っていたのか、てっきり知らないのかt」

 

ちょっと煽ったら、顔の真横を何かが高速で通り過ぎていった。

ギギギ...と横に目を向けると、木の幹にバターナイフがピーンと突き立っていた。

ええ(困惑)

だぶちってもしかして、団長とかティーパーティーの暴担当の方のタイプだったりする?

バターナイフは投げナイフじゃねぇんだぞ

ジョンウィックかお前は

 

 

「まったく、そんな美味しs...高級品を隠し持っていたなんてねぇ?」

 

「そうかじゃあだぶちはいらn「はぁ?いらないなんて誰も言ってないんだけど(半ギレ)」」

 

 

本当であればクリームチーズがベストなのだが、生憎これはハードなエメンタール“モドキ”。

しかたがないので、これを溶けやすいようにナイフで薄く剃る。

横で目をギラギラに輝かせるだぶちの口にチーズの一切れをねじ込みつつ、剃ったチーズをじゃがいもの上に振りかけていく。

 

最後に胡椒とハーブを刻んでオリーブオイルと共にかけ、火の上に設置した金網の上でチーズが溶け落ちるまでじっくりと焼く。

じゅぅ、と子気味のいい音が辺りに響き、チーズとバターの焼けるに香ばしい匂いと共に、相対する我々の食欲を掻き立てる。

 

とろけたチーズの表面に少し焦げ目がつくまで焼いたら、完成!

紅茶を動脈注射した紳士の国の料理”ジャケット・ポテト”である。

...まぁ、だぶちのご指摘の通り、ほとんどベイクドポテトなんだけどね

ああ?なんじゃまだ文句あるんか?じゃあお前チーズ抜きな

 

さっそく完成したジャケット・ポテトを、トングでだぶちの皿によそった。

 

 

「!?」

 

「どうだろうか」

 

「ん”っ......まぁ、いつものよりはマシになったんじゃない?」

 

 

美味い!!のお声はいただけなかったが、美味しそうに食べているので成功と見ていいだろう。

心の中のゴードンラムゼイも「It's fucking raw!?(生焼けじゃねぇか) You donkey!!(端的に〇ね)」と称賛の声をあげている...

なんと言ってるかは暗号みたいで分かりませんけどw(現実逃避)

 

さてと、私は炙ったチーズを肴に一杯するとしますか。

私は木箱から秘蔵のボルドーを取り出し、私にも飲ませろとせがむだぶちを軽くいなしながら、ワインをグラス__は残念ながら無いので、少々風情が無いがベコベコのステンレスコップに注ぐ。

こら!これは子供の飲み物じゃないんだよ!しっしっ

 

「ねぇ、ちょっと!私もう13なんだけど!」

 

「確かに少量のアルコールは緊張を和らげ、ストレス解消や食欲を増進させる効果があり、飲食の場では総じて好まれる傾向があることは否定できない。社交の場においてその効果は顕著であり、美味しいお酒と食事を囲むことで、人との交流がスムーズになり、コミュニケーションを円滑にするということは、そういった場に居合わせて事のない君にも理解できるだろう。

古代サルゴンにおいてアルコール飲料は日常的に消費されていたが、それは贅沢品というより比較的安全な水分供給源だった、時代が進むごとにアルコール飲料は趣向品としての側面が強くなっていき、人々はそこにより高い付加価値を見出すようになった。社交界の中心となったワインやビールは人々の心の距離を縮め、時に多くの歴史的決断における潤滑油としての効果を発揮した。酒は人類の友である、友人を見捨てることはできない。これはある有名な将軍が子に説いた言葉だが、実際にアルコール飲料が人類の歴史に深く関わってきたことは紛れもない事実だ。

さらに言えばカズデルという過酷な環境下では、人々に残酷な決断を迫られることが度々ある。そしてそれは年端もいかない子供も例外ではなく、教育機関。故に、カズデルという場所ではその風土的特性から、他の地域に比べて成人と認められる年齢が低いことは私も理解しているつもりだ。

ただ、それと像時に我々は飲酒が発達途中の身体に催す明確なリスクについても検討しなければならない。まず前提として、アルコールの主成分であるエタノールは中枢神経系抑制作用を持ち、成人においても判断力低下や運動機能障害を引き起こすが、小児の脳はまだ発達途中であり、特に前頭前野にある意思決定や衝動制御を担う領域が完成していないため、その影響は質的に異なるが単なる酔うという現象ではなく、神経回路の形成そのものに干渉する可能性があるということだろう。

さらに憂慮しなければならないことに、神経可塑性が高い時期にアルコールが作用すると、シナプス形成や神経伝達物質のバランスが乱され、具体的にはGABA系の過剰活性化とグルタミン酸系の抑制により学習能力や記憶形成に長期的な障害が残るリスクが指摘されている。加えて、身体的側面も軽視できないだろう...未成年は体格や代謝機能が未熟であり、肝臓におけるアルコール分解酵素の活性が安定していないため、成人よりも血中アルコール濃度が上昇しやすい、結果として急性アルコール中毒に陥る閾値が低く、嘔吐反射や意識障害を経て最悪の場合は呼吸抑制に至る、これは単なる可能性ではなく臨床現場で繰り返し確認されている事実に過ぎない。また、ホルモンバランスへの影響も無視できない。思春期は成長ホルモンや性ホルモンの分泌が急激に変化する時期だが、アルコールはこれらの内分泌系に干渉し、骨成長の遅延や性成熟の異常を引き起こす可能性がある、特に骨密度の形成期における影響は将来的な骨粗鬆症リスクの増加に繋がるとされている。

このように、一時の楽観的判断によって飲酒を行うことは極めてリスクの大きい事だと言わざるを得ない。」

 

「......。」*3

 

「まぁ__微量であれば問題無いだろう」

 

流石に不憫に思い、ちょっとだけ赤ワインを__ほんとに微量、チョロっとだけだぶちのコップに注いであげた。

いやもうほんと手に平クルックルワイパーですわ

わたしはぶんべつのないおとなです...

 

 

「......これだけ?」

 

自分のコップの中を見ただぶちは、私の小腹を指でズシズシ突きながら不満を漏らす。

 

「全然たりないんですけど」

 

クイッとコップを傾け、一気飲みする。

 

「子供にはまだ早いという事だ」

「」イラッ

 

 

よい子のみんなは、大人にアルコールをせがんじゃいけないよ

大人だって酔ってたら正しい判断できないんだからね、おねだりされたら子供にだってお酒をホイホイあげちゃうからね。カルシさんとの約束だぞ

まぁ、そんな私も13のガキに酒を与える屑の大人なんですが!

がははは「とやッ!!」__もがっ?!

 

「ガッ!?!?」

 

NullPointerException!!

頭に血管を浮かべただぶちが、自分に向かってまっすぐ手を伸ばしている。

何かが口の中に詰め込まれた。

 

まず最初に感じたのは、

チーズの塩味と胡椒ハーブのピリりとした刺激のハーモニー

ホクホクとしたじゃがいもの食感

ん~とれびあん♪さすが私

そして

それらを無限遠方の彼方(U=-GMm/r)に追いやる灼熱の温度

 

 

「ア”ッ!!!ッ!?!」

 

ぎゃああああああああああああああああああ(断末魔)*4*5

熱つ熱つのベイクド=ポテト!!?!

それは南極条約違反だろォ!?

 

 

「フゥーッ...フゥーッ...」

 

「wwwざまぁないわね、ネコ(フェリーン)というよりもイヌ(ワポル)ね」

 

 

あなたを傷害罪と詐欺罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたが熱つ熱つのじゃがいもで,私の舌と味覚を破壊したからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。シラクーザにも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

やけどしてヒリヒリする舌を、ベぇッとだして夜風にさらす。

うわこれ絶対やけどになるじゃんね

生前は特段猫舌という訳ではなかったのけど、こっち来てから猫舌になってしまった。

やっぱこの猫耳が生えたからなんだろうなぁ...

 

「一々オーバーねぇ」

 

「......」

 

ケラケラと笑うだぶちをキッと睨み返す。この野郎...

当の本人は一切悪びれる様子がなく、この現状を肴にするかのようにワインを__

あっ?!私のボルドーもう半分以上飲んでんじゃねぇか!?

おいこの酒カス!!それ高かったんだぞ!!

 

 

「ば、ばにたすばにたーたむ...」

 

 

虚しい虚しい全てはむなっしー*6

一瞬で消えた1か月分の給料に、虚無(ヴァニ)るのを禁じえない。

どうして...どうしてこんなひどいことするの?

きょうだいだとおもってたのに

かなしいじゃん...もうころすしかなくなっちゃったよ

 

木に刺さっていたバターナイフを引き抜き、ゆらりと立ち上がる。

 

 

「そのつの折ってやる」

 

 

私はおぼつかない足取りで、だぶちに襲い掛かった。

バターナイフを握った左腕を振り上げる。

 

「ん、非力」

 

が、間合いに入った途端手首を掴まれる。

振りほどこうとするも骨が折れる勢いで握ってきたので、思わずバターナイフを落としてしまった。

ぐぬぬ、ブルアカ生徒にも劣らぬ怪力めぇ...it's筋力足らんかったァ

 

「「...。」」

 

顔が間近な体制で固まったので、自然と目線が合った。

黒く存在感を示す瞳孔が刻まれた透き通る目が、淡い光にあてられ深い琥珀色に光っている

まだもちもちの幼い輪郭に、カッコよさがにじみ出ているという矛盾

 

「」

 

イケメン&可愛いとかいう最強だぶちの顔に目を奪われていた私。

次の瞬間、彼女はそれまで繋いでいた手をあっさりと離したかと思うと、有無を言わせぬ勢いで私の後頭部を掴んだ。

 

「え――」

 

戸惑いの声が形になるよりも早く、強い力で引き寄せられた身体はあっけなく均衡を失う。前のめりに傾いた視界の先で、熱を宿しただぶちの顔が一気に迫ってきた。

鼻先が触れそうなほどの距離。

吐息が肌をかすめ、彼女の体温が逃げ場を失ったように私を包み込む。

”ぶつかる”

そう思った瞬間、私は反射的に目を閉じた。

 

 

 

 

「んッ?!」

 

だが、予想していた衝撃は来なかった。

代わりに私は不思議な感触を味わった。

柔らかくて暖かいものが触れ、口の中に何かがある訳でもないのに仄かな甘みを錯覚させる。

先程まで激痛が走っていた舌は痛みを忘れ__

 

 

 

「...?...??」

 

それが目の前のだぶちの唇であると理解するのに、ワンテンポ遅れた。

恐る恐る目を開けると、そこには顔を赤くして目を瞑るだぶちの顔。

顔の温度がカッと跳ね上がる。

 

 

 

ん”?!*7

 

 

 

「......ッ!?」

 

 

私は急いで手を振り払い、だぶちを押し退けた。

 

 

「これはっ....いったい、何の真似だ...」

 

 

興奮冷めぬ私はなんとか冷静を取り繕い、睨み返す。

当のだぶちは澄ました顔で、手で唇を触りながら答えた。

 

 

「アンタが『舌が痛い』って言ってたから」

 

「これが治療行為だと!?」

 

なんてことだ、これが義務教育の敗北だとでも言うのか!

あいや、こいつそもそも教育受けてなかったんだったわ。

外行っても困らないように、なんとか読み書きと初等レベルの算数は叩き込んだが、そっち方面は何もしていなかった…ッ!!

 

私のミスでした。

私の情操教育、そしてそれによって招かれたこの全ての状況

結局、この結果にたどり着いて初めて、保健体育の授業を真面目に聞いていなかったことを悔いるだなんて......。

 

夢を壊して悪いけど、王子様の目覚めのキスは医療行為にカウントされないんだ。もちろん民間療法にも。

頼むから、医療行為について辞書で100回調べてから出直してきてほしい*8

 

 

「経口接触に医学的治癒効果は無いし、口内炎の治療は他人の唇を奪う理由には足りない」

 

「他人じゃないし」ボソ

 

「そもそも口づけという行為は、将来を誓い合う神聖な意味も含まれている。断じて、いたずらにしていいものではないし、自分の将来を考えた上でもっとよく考えて行為に及ぶべきだ。前々から重ねて忠告してきたことだが、君は些か後先を考えずに突っ走りやすい。それは思い切りが良いという君の優れた点であると同時に、君の人生に取り返しのつかない失敗を及ぼすかもしれないという自覚を持った方がいい。今回の件に限らず君は___おいっどこに行くつもりだ」

 

「おやすみカルシ!!」

 

「まだ話はっ.........行ってしまったか、はぁ」

 

 

今後のだぶちの為にも、もっとよくしっかり念入りに言っておかなければならないと思ったのだが、捲し立てる様にだぶちはテントに戻ってしまった。

まだ話したい事があったので追いかけたかったのだが、火から目を離す訳にもいかない。

 

 

「全く......最後まで手の掛かる」

 

 

せっかく()()()()について切り出す為にこの場を設けたというのに、結局いつも通りの二人になってしまった。

............まぁ?

色々あったけど、()()にだぶちと楽しく(?)食事できたので、幸せならハッピーです。

 

 

「フッ......一周まわって私たちらしいか......」

 

 

**********

遡ること1年前

ガリア郊外にて

 

 

ヴィクトリア軍

「ぱんじゃんぱんじゃんぱんじゃんぱんじゃんぱんじゃんぱんじゃんぱんじゃんぱんじゃん」

 

リターニア軍

「かんぷぐるっぺかんぷぐるっぺかんぷぐるっぺかんぷぐるっぺかんぷぐるっぺかんぷぐるっぺ」

 

一般ガリア軍

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”aAあĂあ”ああÄあああ”ąアあ”ⓐ”あ”あ」

 

 

 

 

 

**********

ん“ん“っ......

 

遡ること1年前

カズデル郊外にて

 

 

 

「アーツが使えなくても使える銃は、どこで買うことができる?」

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

焚火に照らされた二人の影が、ゆらゆらと浮かんでいる。

一人はバケツを頭に被り、古いマントを着けた大柄の男。

もう一人は、頭に猫の耳を生している尻尾の無いフェリーン。

 

遠くの明るいところでは、がやがやと人々が騒いでいる。

だがここに光源は勢いの落ち着いた熾火の光だけだ。

 

 

「テラにおける一般的な銃とは、原石火薬を用いた物を指す。だがそれらの銃は、使用者の技量よりも潜在的なアーツ適正がより求められる。アーツを用いた銃は、それを使える様になるまでかなりの労力と時間が掛かってしまう。これでは、扱えるようになるまで訓練が必要な剣や弓などの武器と差別化することはできない。私は、銃の利点とは『誰でも容易く扱える凶器』であるべきだと考えている。」

 

「あぁーはいはい、お客さんは随分と銃に変な拘りがあるんだな」

 

「君は商人だろう?そういった噂を、聞いたことは無いか?」

 

「この際ハッキリ言ってしまうと...無いな」

 

「そうか...」

 

 

フェリーンの表情は硬いままだったが、残念そうに肩をおとした。

バケツ頭の男はそれを見て、気まずそうに頭をかいた。

 

 

「まぁ...その、なんだ?ラテラーノにでも行けば、もしかしたら一つくらいお客さんの目に適う物もあるんじゃないか?」

 

「ラテ?」

 

「それはコーヒーの...まぁいい、ラテラーノはサンクタ達の国さ。

一度くらいは聞いたことがあるだろ?」

 

「そこにアーツを用いない銃があるのか?」

 

「それは知らんが、少なくとも世界に存在する銃の9割はあそこにある」

 

 

BSWの模造銃を除き、テラ*9で普及している銃『守護銃』は、そのほとんどがラテラーノでの製造となっている。

ラテラーノに住む種族サンクタの種族特性に『特殊な共感能力』というものがある。原理は不明だが、この能力が弾道計算とアーツ式動作機構の操作をサポートしているらしい。

そんな訳で、サンクタ以外の種族が銃の持つポテンシャルを引き出せない為ラテラーノ以外の国がアーツ銃を作るメリットが無く、銃業界は実質一強状態であった。

 

 

「まぁ、この際カズデルを出ていくってなら、丁度いいタイミングなんじゃないのか?」

 

「どういう意味だ?Mr.〇ーン」

 

「Mr.グッド・イナフだ、いやまぁ確かに配信もしているが。

カズデルで内戦があるんだろう?しかも、聞いた限りだと異族...俺たちみたいな外国人の処遇を巡って、争い合うって話じゃねぇか。俺なら、そんなのに巻き込まれるのはゴメンだな」

 

 

男はそう吐き捨てる。

火に掛けられていたボコボコのヤカンを持ち上げ、グルグルと回す。

火のついた炭が赤く光ってときおりパチッと音をならす。

バケツ頭の男は、焚火で温めていたやかんを手に取り、自分のコップに淹れた。

少し肌寒い星空の下に湯気がたちこめる。

 

 

「そうだな...私は少しカズデルに長く居すぎたのかもしれない。

それに内戦の噂も聞く。Wも外の世界を見るいい機会だと考えれば」

 

 

しばらくして、フェリーンは絞り出す様に呟いた。

その言葉に男の表情が曇る。

 

 

「それはやめておいた方がいいだろうな...お前の連れ、あのサルカズ傭兵のWだろ?」

 

「よく知ってるな、Mr.クソ・ピラフ」

 

「もういっそキャノットと呼んでくれ...

お前の連れは結構有名だぜ?

ともかくだ、ラテラーノにサルカズ人は連れて行かれないぜ」

 

 

男は語った。

サルカズ人とサンクタ人は不倶戴天の仲で、サルカズはラテラーノで拒絶されること。

感染者であるというだけでも国境の外に追いやられるこの世界で、彼女を連れて旅をすることがどれほど危険かを。

 

 

「それに、中途半端に名の知れた傭兵が群れを不用意に離れればどうなるか...賢いお客さんには分かるだろ?」

 

「私に彼女を見捨てろと?」

 

 

キッと睨みつけるフェリーンに、男は肩をすくめるだけだった。

焚火の火勢が弱まり、二人の間に再び沈黙が落ちる。

 

 

「.........Wは私の相棒だ。それにまだ13の子供だ、離れる訳には__」

 

「サルカズ傭兵に幼いも何もないさ。それに、そいつはもう一人で仕事をしてるんだろ?

現に今、お客さんは一人だ」

 

「それ...は...」

 

言葉に詰まる。

差し出されたカップを受け取り、静かに口をつける。

 

フェリーンは動揺した。

 

爆発と硝煙の中で、自分の背を追っていた小さな少女の姿が脳裏をよぎる。

無鉄砲で、頑なで、それでも私を少なからず慕い、時に支えあってきた。

いつの間にか、その少女は一人で戦えるようになっていた。

 

最初から分かっていた事だった。

Wはアークナイツの主要キャラで、ドクターとかいうソシャゲ主人公と一緒に、この世界の危機に立ち向かうことになる英雄一行の一人だ。

いつかはフェリーンの元から離れていく、そういう運命だ。

情が沸いてしまえば、後で自分が苦しくなる

だから、ただの同行者と自身に言い聞かせ、一歩引いて接していた

その時が来れば、はいサヨナラと簡単に手放せると思い込んでいた

 

故に即答できなかった自分自身に動揺した。

 

 

「私...は、」

 

 

バケツ頭の男が立ち上がり、背を向ける。

 

 

「“Ships are safe in harbor, but that’s not what ships are built for.”

 

エーギル...と言っても分からんかイベリアの古い諺だ。

とにかく俺はもう行くぞお客さん。悔いのない道を決めな」

 

 

そう言い残して深い夜に消えていった。

赤い熾火の光が、両手を握りしめるフェリーンを弱々しく照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

「ぅぅ......むにゃむにゃ...」

 

「どういう寝相だこれ」

 

 

焚き火と晩餐の後片づけを済ませ、テントに戻る。

テントのベッドには、勢いよく布団から飛び出て、すごい寝相で寝ているだぶちがいた。

あれそこ私のベッドでは?まぁいいかもう使わないし

全てを失った者は最強なのである。

明日退職の田中先生は無敵。

 

まぁ、また風邪をひいたら目も当てられないので布団くらいはかけてやる。

あと枕も整えてあげる。

ついでに、寝相も治してあげる。

慣れないアルコールの所為か、少し雑に動かしても起きることはなかった。

 

「......。」

 

カルシちゃんは優しいので、おもむろにランプを点け本棚も整理してあげるし、コレクションの銃ラックも銃身長順に並べ替えてあげる。

 

「......。」チラッ

 

よしこれが最後のチャンスだ。

やはりカルシちゃんはデリケートな女の子なので、私のベッドを不法占拠するだぶちを自分のベッドへGO BACKBしてあげます。投げで。

 

 

「......。」チラッ

 

「クカァァァァ」*10

 

「............はぁ、何をしているんだ私は。未練たらたらじゃないか。」

 

 

 

起こしてしまわなくてホッとしたような、でも最後に少し話をしたかったような、複雑な気持ちになる。明日の朝、私がいなくなっていることに気づいただぶちはどうするだろうか

やはり寂しがるだろうか?

追いかけて来はしないだろうか

案外、お小言を言う奴が居なくなって清々したと思うかも

追いかけてきたら決心が揺らぐけど、後者だったら普通に悲しい。普通に寝込む。一週間くらい。

 

まぁ、何も言わず出ていく私が全部悪いんですけどね(サークライ感)。

 

荷物を背負いテントを後にする。

愛車(ケッテンクラート)はエンジン音が爆音過ぎるので、起こしてしまわないように離れた場所まで押して行く___訳もなく、テントの真横で盛大にエンジンを噴かす。ブルォロォロォ!!!!

 

最早未練しかなく我ながら恥ずかしいが、きっとこれが一番マシな選択だ。そう思う(小並感)そうであってくれ頼む。

 

 

「元気でな、立派な周年ガチャ限定★3のまぞくになるんだぞ*11

 

『キュルルル...』*12

 

 

おいっ、感動の別れシーンだぞ!

ラミエルちょっと黙ってろ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぅ.....こんな真夜中にこそこそと何をしている?」

 

「」

 

アイエエエエ!?!?ヘドリー!?ヘドリーナンデ!?!?

ラミエル、対処を.....

*1
アリス知ってます!の顔

*2
だぶちは否定していたが

*3
ムスッとした顔

*4
悪は滅びた

*5
やったぜ

*6
むなっしぃ↓ーなっしぃ↑!!

*7
困惑しすぎて逆ギレする砂狼の図

*8
お前が言うな定期

*9
主にサンクタ人

*10
圧倒的爆睡

*11
CV:梅津秀行

*12
呆れの回転音




ifルート(好評だったらこっちが本ぺになるかも?)
大河ドラマ『どうするカルツィット』


「逃がさないデルよ」
「うわー逃げられないンゴ(棒読み)」
「一緒にバベルへ出稼ぎに行けヘド」

バベル艦内
「おっす、プリの刺客だね殺します(気さくな殺意)」
「ンアァァァイキスギィ」
「親友が2倍になってバベルは安泰テレね〜」
「おっ、そうだな。じゃあ殺します(親と子は似る)」
「私のフェーズは終わってないテレよ。ドロー、救護騎士を特殊召喚」
「そして私が生まれたって訳.....まさか、これが旧文明の力?!」

「「「知らん.....何それ、怖。」」」

こうしてプリースティスは憤死した。
ついでに色彩も降臨した。
マンフレッドはけつあな確定。
ー終ー
提供:N●K





















だぶち 「年増(ケルシー)......いや、義姉(おねえ)さん!妹さんを、私にください!!」

ケルシー「腹違いの兄弟というよりか、どちらかというとコイツが単一生殖なんだけど」
カルシ 「キモい言い方をするな遺伝子100%アレとか顔以外最悪じゃん」
言語学者「お前ら一回死ねよ」
 殿下 「友人枠のスピーチ私がしてもいいかしら?ブーケトスは絶対やるのよね?」

まだ『曇らせ』タグってついてなかったと思うんですけど、皆さんどうなんですかね?好きですか曇らせ。カルシを曇らせる予定はありませんが、曇らせたいキャラはいるんですよね。

  • 曇らせるべきではない。
  • だぶちだけが曇るべきである。
  • 最終的に晴れるならどうなっても良い。
  • 積極的に曇らせるべきである。
  • ごすずんの命令は絶対。
  • コーラルをお池にリリース。
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総合評価:1448/評価:8.36/連載:43話/更新日時:2026年05月15日(金) 10:59 小説情報

テラを巡る旅(不本意)(作者:イグノーブルガス)(原作:アークナイツ)

『私はレヴィ・クリチコ博士です。貴方がSNSにアップした鉱物に類似したものを研究しています。詳細な内容については論文が未発表のため話せませんが、世界的な発見となる予定です――』▼曽祖父の遺産である”黒い結晶”をSNSにアップした僕は、DMで誘われた研究所で世界的な実験に立ち会った。どれくらいすごいかというと、ノーベル賞を貰えるくらいの。▼問題は3つ。▼その1…


総合評価:2483/評価:8.85/連載:20話/更新日時:2026年04月30日(木) 12:10 小説情報

ティファレトだったら美少女だろうがッ!!(作者:思いつきで書き出す見切り発車の化身)(原作:ブルーアーカイブ)

鋼鉄の心臓にアンチしようとしたら逆に脳を焼かれたアホの話▼※他作品ネタのタグを追加しました


総合評価:2507/評価:8.48/短編:6話/更新日時:2026年04月28日(火) 12:12 小説情報

転生したらヘレティックだった件(作者:インなんとかさん)(原作:勝利の女神:NIKKE)

▼1:名無しのヘレティック▼ 私がニケの世界に転生してから既に90年ほど経っています。アーク近郊で何が起こらないかと彷徨っているのですが、これは私が何かいけないのでしょうか?▼※ニケに転生した前世の記憶持ちのインなんとかさんが指揮官に一目惚れして名誉カウンターズ兼専属ニンジャみたいになるお話。原作未プレイでも読めるように書いていきます。▼


総合評価:3208/評価:8.88/連載:5話/更新日時:2026年04月25日(土) 20:37 小説情報

誰か妹から逃げる方法を教えてくれ(作者:ヘルタ様万歳)(原作:崩壊:スターレイル)

姉さまへ▼お元気でいらっしゃいますか。私は変わらず研究に勤しんでおります。星々の鼓動は相変わらず静かで、確かに脈打っています。▼最近、ひとつ理解いたしました。姉さまが私の元を離れて7年。時間は十分に経過した筈なのに、私の思考は常に姉さまという一点を基準に収束しています。姉さまが私の全てである以上、宇宙の何処に居ようとも見失う事はあり得ません。だからどうか安心…


総合評価:2314/評価:8.88/連載:5話/更新日時:2026年03月29日(日) 09:42 小説情報


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