機動戦士ガンダムGQuuuuuuX SIDE AMURO ~少年が見た戦争~ 作:すずき 虎々
技術や設定寄りの内容が多めで、原作の雰囲気を尊重しつつ、独自要素(UNMなど)を含みます。
苦手な方はご注意ください。
第一話 強奪
機動戦士ガンダムGQuuuuuuX 少年が見た戦争
0079 人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。
地球のまわりの巨大な人工都市は、人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。
宇宙世紀0079
地球から最も遠い宇宙都市サイド3は、ジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。
この一か月あまりの戦いで、ジオン公国と地球連邦政府は、総人口の半分を死に至らしめた。
人々は自らの行為に恐怖した。
戦争は膠着状態に入り、八か月あまりが過ぎた。
第1話 強奪
カーテンを閉め切った仄暗い部屋、一人の少年が、散らかった学習机の上、乱雑に配置されたキーボードを操作し、暗い部屋の中の唯一の光源であるパソコンのモニター上に、ひたすら文字列を積み重ねてゆく。
子供の頃に買い与えられたAI搭載学習型ロボットのプログラムを書き換え、自分の好みに沿ってカスタマイズしてきたロボットに、更なる改修を施すのが目的だ。
ロボットにはハロという名前が付けられていた。ハロには当然市販品状態の時点では、プログラムに手を加えることなど出来ない仕様になってはいたが、ロボット工学やコンピュータープログラミングに精通した少年にとっては、そんなプロテクトなどあってないようなものだったのだ。
今も少年は、まるで日常会話を文章化して打ち込んでいるといったくらいの気軽さで、当たり前のように難解なコードを正確に入力し続けている。
しかし、モニターの光が照らす顔の表情は虚ろにも見え、ぶつぶつと独り言を言いながらキーボードをたたき続ける様は、知らない者が見たら精神疾患でも患っているのではないかと疑いそうになる程に不気味なものであった。
少年は一度夢中になると、それ以外の事にはまるで意識が向かず、良く言えば桁違いの集中力と言えなくもないが、数日間、食事もとらず、入浴もせず、眠ることすら忘れてしまうことも少なくなかった。
静寂の中、少年が叩くキーボードの音と、独り言だけが響く暗い部屋で、けたたましいサイレンの音が鳴り響く。
いつもの少年であれば、その程度の事では動じることも無く、プログラミングに集中していたはずだが、今回はそうも言ってはいられなかった。
サイレンの音が聞こえた数十秒後、爆発音とともに、凄まじい振動が伝わる。その衝撃は、回転椅子の上に胡坐をかいて座っていた少年がずり落ちるほどの衝撃だった。
それでも少年はそれほど危機感を感じることも無く。
「なんだっていうんだよ、もう。」
少年は、独り言ちて、カーテンを開いて窓の外を眺めた。
すると、そこには、これまでの当たり前の日常とはかけ離れた光景が広がっていた。
「あれは、ジオンのザクなのか。」
少年の目に映ったのは、二機のザクがマシンガンを構え、地球連邦軍の軍事施設と噂されている宇宙船ターミナルに対し、攻撃を仕掛けているという、映画のワンシーンでも見せられているかのようなものだった。
「オヤジがかかわっている連邦の新型が狙いか。それにしても、あんな目立つ色。赤い色のザクって、ただの目立ちたがりにしては度が過ぎてるんじゃないのか。」
少年は遠くに見える光景を茫然と眺める一方で、自宅の周囲には人の影が見えないことにも気がつく。
「皆避難したのか、いつもはおせっかいなくらいなのに、こんな時に限って…。」
と、少年が話す途中で、視界を遮る飛来物に気が付く。
「うわぁぁぁぁぁっ!」
思わず叫ぶ少年は、両手で頭を守りつつ、その場にうずくまる。
その直後、飛来物は少年の家を掠って裏玄関のさらに先の方に落下した。
再び凄まじい衝撃が少年を襲う。
もともと足の踏み場もないくらいの散らかりようだった少年の部屋が、倒れてきた本棚に収めていた本や、小物、おもちゃなどで、より一層散乱状態が加速する。
それでも、少年はなんとか部屋の扉にたどり着き、扉を開けて外に避難しようとするが、パソコンのケーブルにつないでスリープ状態になっていたハロが、先ほどの振動でケーブルが抜け落ち、起動状態となって騒ぎ出す。
「アムロ、連れてけ、アムロ、置いてくな。」
アムロと呼ばれた少年は、振り返ると、ロボットに向かって叫んだ。
「ハロ、こっちに来い。」
すると、丸い球を上下に分割しただけのようなロボットは、扉に向かってジャンプを繰り返しながら少年の後に続く。
少年とハロは、部屋を出てすぐの階段を降りようとした際、廊下の奥の父親の部屋に目を向けると、そこでは既に火の手が上がっていた。
「オヤジの部屋が燃えている。」
少年は、一瞬自分の父親の部屋の消火を考えるが、即座にその案を却下する。そんな事をしていたら、自分が焼け死んでしまうと感じたのだ。
「大切な資料とかなんとか言っていたけど、息子の命より大切ってことはないだろう。」
少年は誰にともなく言い訳をしながら、階段を駆け下りる。それに続いてハロも階段を下りながら「アムロ、逃げろ。アムロ、急げ。」と捲し立て、おとなしくなる様子もない。
少年は自宅の外に出ると、周囲を見渡し避難先を探すが、コロニーのシェルターは、今まさにザクの攻撃を受けている場所の下にあり、とてもじゃないが、たどり着くのは難しい。
しかし、このままここに留まっていては、何時爆発に巻き込まれるかもわからない。
そこで少年は西に数十メートル行った川沿いに、レンタエレカのターミナルがあるのを思い出いした。『あそこにたどり着きさえすればなんとかなる。』少年は直感でそう感じるのと同時に、西へと走り出す。そして、すぐさま立ち止まる。
振り返ると、これまで暮らしてきた自分の家が、父親の部屋を中心に燃え上がり、焼け落ちて行くのが目に入る。自宅の裏手にある数件の家からも火の手が上がっていた。
その中の一軒には、父親が軍属で、留守がちなのを気にして、良く世話を焼いてくれていた、キマリおばあさんの家も含まれていた。彼女は宇宙移民の第一世代で、地球で暮らしていたこともあって、よく地球の話をしてくれた。
地球には海と呼ばれる広大な湖のようなものがあって、そこの水は舐めただけで顔を顰めてしまう程に塩辛いとか、コロニー居住者が川と呼ぶものと、地球の川は別のもので、地球の川には山の上から流れてくる綺麗な水が流れているとか、ちょっとした豆知識でしかないような事でも、彼女が話してくれるのを聞いているのがとても好きだった。
世話焼きと言えば、幼なじみの少女もいるが、キマリおばあさんは、彼女と違ってガミガミとうるさいことは言わず、少年が何か間違ったことをしたとしても、優しく窘めてくれる、そんな雰囲気が心地よく、素直に言うことを聞く気持ちにさせるのだった。
キマリおばあさんが、良く作ってくれた米を煮込んだ料理が大好きで、自分のことを他の人とは違って「ア~ちゃん」と呼んでくれるのも好きだった。少年が何かほんの少しでも良い事をすると、「ア~ちゃんは良い子だね、優しい子だね。」と言って、優しく頭を撫でてくれるのが大好きだった。
もし彼女が自宅に取り残されて、動けないでいたのなら、少年は迷わず引き返し、自身が危険に晒されたとしても、助けに行っただろう。
しかし、少年には確信があった、この周囲に人は誰もいない。おそらく避難訓練か何かの日付と、ジオンの襲撃がたまたま重なったのだろう。でなければ、この辺りもパニック状態に陥っていたはずだろう。
少年は、レンタエレカターミナルに到着すると、運転席に飛び乗り、自分の小型端末をコンソールのくぼみに置く。
サイドセブンでは、個人用携帯小型端末に登録された情報を元に、地域住民であって運転技能講習を履修済みの登録がされていれば、無料でエレカを借りることが出来る。
少年は、夢中で走り、やっとの思いでターミナルに到着すると、そのままエレカに乗り込んで、宇宙船ターミナルとは逆の方に走り出そうとして、施設の方に目をやると、一機のザクが片膝立ちの状態で動きを止めているのが目に入った。
もう一機のザクは相変わらず宇宙船ターミナルに向けて侵攻し、時折構えたザクマシンガンの射撃を繰り返してはいるが、先程とは打って変って攻撃も散発的になっていた。
あらかた制圧することが出来たのか、ザクがマシンガンを構えながら、宇宙船ターミナルの方に向かって侵攻していた。
すると、突然、無防備なザクの背後から、連邦製と思われる、見たことのない白いモビルスーツが、臥していたトレーラーから立ち上がろうとしているのが見えた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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