改変したマスターズトーナメント ―サトシの闘い―   作:みかづき椛

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五話 セミファイナルⅡ 『幻惑』

 晴れた空、太陽が昇る昼頃のガラル地方シュートスタジアムの観客席には満遍なく客が敷き詰められていた。

 観客はピカチュウと共に立つサトシ選手とシロナ選手が向かい合うバトルフィールドに注目している。

 マスターランク8位のサトシ選手とマスターランク2位のシロナ選手によるバトルを今か今かと待ちわびていた。そんな中、ギルガルドに乗って空を飛ぶ審判――ダンペイによるルール説明が始まる。

「使用ポケモンは6体。交代は無制限。6体全てを戦闘不能にした方が勝者となる。なお、ダイマックス・Zワザ・メガシンカは、全て合わせた使用回数の合計を3までとする」

 自信満々といった表情のサトシの右手首にはダイマックスバンド、左手にはキーストーン、左手首にはZパワーリングが装着されていた。対する優しく微笑むシロナは黒いコートで腕が周りから見えなく、切り札が見えない状態だった。

「シロナさん! 勝ってダンデさんとバトルするのは俺たちです!!」

「いいえ、ダンデ君と闘うのは私よ」

 バトル直前、サトシとシロナは互いに開戦前の挨拶がかわされ、審判が選手二人に向けて呼びかける。

「それでは両者、1体目のポケモンをフィールドへ」

 審判の言葉でシロナはモンスターボールを手に持つ、一方サトシはモンスターボールを手に持つことはなかった。

「スリー! ツー! ワン! GO!!」

「ピカチュウ!! 君に決めた!!」

「震えよ魂! ミカルゲ!!」

 シロナが出したポケモンは、ひび割れた要石が重々しく地面に乗り、紫色の渦巻く顔があるポケモン――ミカルゲだった。

「バトルッッ!! スタート!!」

「ピカチュウ! 10まんボルト!」

 ピカチュウはジャンプ、赤い頬に電気を溜め、ミカルゲに電撃を浴びせる。

「さいみんじゅつ!」

 シロナの指示がバトルフィールドに響いた瞬間、ミカルゲから薄い衝撃波のようなものが流れ、ピカチュウは一瞬で意識を失い、うつ伏せに寝始める。

「ピカチュウ!?」

「ピカチュウさいみんじゅつで眠りについてしまったーー!!」

「ゆめくい」

 ミカルゲは顔をピカチュウに近付け、ピカチュウから噴き出す煙を吸い始める。

「起きろピカチュウ!!」

「連続でゆめくい」

 再びミカルゲはゆめくいでピカチュウにダメージを与える。

「頼む!! 起きてくれーー!! ピカチュウーー!!」

 3度目、ミカルゲがピカチュウに顔を近付けた瞬間、ピカチュウは目が見開き立ち上がった。

「自力で起きてすごいわ。さすがあなたの相棒ね」

「よーし! ピカチュウ! 回りながら10まんボルトだ!!」

 ピカチュウはブレイクダンスしながら10まんボルトを撃つ。電撃が派手に飛び散る。

「勝利のダンスはまだ早いわ。さいみんじゅつ!」

 ミカルゲはさいみんじゅつを発動するも、飛び散る電撃が壁となってワザが遮られた。

「シロナさん! これがシンオウ地方の冒険で俺たちが編み出したカウンターシールドです!」

「覚えているわ。シンオウリーグで見せてくれたわよね」

 そう言ってシロナは優しく微笑む。

「あの頃より俺たち、強くなりました! ピカチュウ! エレキネット!!」

「ふいうち!」

 迫るミカルゲの頭をピカチュウはかわし、クモの巣の形をした電気をミカルゲに覆わせる。

「今だ! アイアンテール!!」

 ピカチュウは白く光らせた尻尾をミカルゲに叩きつけた。

「ミカルゲお願い」

 シロナから静かに指示を受けたミカルゲは紫色で不気味なオーラをピカチュウにまとわせる。その時、ピカチュウは激しく体が震え、倒れた。そしてミカルゲも顔が消え、要石のみが残る。

「ミカルゲ! ピカチュウ! 共に戦闘不能!!」

「みちづれだーー!! サトシ選手はいきなり相棒のピカチュウを失いました! これで1000まんボルトはなくなった!」

 サトシはピカチュウを優しく抱きかかえ、自身の立ち位置の隣に優しく降ろした。力のないピカチュウは心配そうにサトシを見つめる。

「心配すんなって!」

 顔を上げ、シロナに目線を向けたサトシは一瞬だけ唇を噛みしめた。

「大丈夫……! 俺たちなら勝てる!」

 サトシとシロナはそれぞれモンスターボールを1つバトルフィールドに投げる。

「咲き誇れ! ロズレイド!」

「ブイゼル!! 君に決めた!!」

 シロナが投げたモンスターボールからクールな表情のロズレイド、サトシが投げたモンスターボールからは威風堂々と腕を組むブイゼルだった。

「行くぞブイゼル! アクアジェット!」

 ブイゼルは水をまとってロズレイドに一直線に跳び、ブイゼルは自身の頭をロズレイドの体にぶつけた。

「どくづき!!」

 ロズレイドは花の形をした手を紫色に染め、ブイゼルを殴った。顔色が悪くなったブイゼルはふらつき始める。

「なんとブイゼル! バトル開始すぐにどく状態になってしまった!!」

「頑張れブイゼル!」

 ブイゼルは毒に苦しむも、ロズレイドに鋭い視線を送り続ける。

「タネマシンガン!」

「回りながらみずてっぽう!」

 ブレイクダンスを踊りながらブイゼルは口からみずてっぽうを発射、辺りにまき散らしたタネマシンガンを全て弾く。

「やるわね……なら、リーフストーム!」

 ロズレイドは両手から尖った無数の葉っぱのブイゼルに向けて飛ばすも、また全て防ぐ。

「ブイゼルのカウンターシールド……リーフストームも弾くだなんて凄いわ」

「いいぞブイゼル! れいとうパンチ!!」

 ブイゼルは冷気をまとった右拳をロズレイドに振るうも、かわされる。

「戻れ! ロズレイド!」

 ロズレイドはシロナが手にするモンスターボールに戻っていった。

「シロナ選手ロズレイドを戻します! ブイゼルが効果バツグンのこおりタイプのワザを使ったからでしょうか……!?」

「優雅なる水の精、ミロカロス!」

 シロナから投げたモンスターボールから煌びやかな美しさを持つミロカロスが出現する。

「このまま行くぞブイゼル! アクアジェット!!」

「ハイドロポンプ!!」

 ブイゼルはアクアジェットでミロカロスに突っ込むも、ハイドロポンプで押し返される。

「チャームボイス!!」

 ミロカロスは魅惑のボイスによる音符攻撃をブイゼルに飛ばす。

「ソニックブームで撃ち返せ!!」

 ブイゼルは尻尾から刃の形をした衝撃波をいくつも飛ばし、音符攻撃を弾いていく。

「今だアクアジェット!」

 ミロカロスのチャームボイスが止んだ瞬間を狙ったサトシの指示を受けたブイゼルはアクアジェットでミロカロスに突っ込む。

「まきつく!!」

 ミロカロスはブイゼルのアクアジェットをギリギリでかわし、瞬時に長い胴体を使ってブイゼルの全身に巻きついた。

「ブイゼルっっ!!」

 ブイゼルはミロカロスの締めに悶絶し、ただもがくしか出来なかった。だんだんとブイゼルの意識が薄れていく。

「浮き袋を膨らませろ!」

 サトシの指示でブイゼルの目が見開き、全身に力を込める。浮き袋を膨らまれせたことによって腕一本分の隙間が生まれた。

「れいとうパンチ!!」

 ブイゼルはれいとうパンチでミロカロスを殴り飛ばし、まきつくから逃れた。ブイゼルはミロカロスから少し距離を置く。

「うかつに近付いたらまきつくのえじきだ……だったら……!」

 サトシはミズZを手にし、Zパワーリングにはめ込む。

「サトシ君! あなたがZワザを使って来るのなら……」

 モンスターボールを持つシロナの右手首に装着されているダイマックスバンドがあらわになる。

「なんとサトシ選手のZワザに対してシロナ選手はダイマックスでいくつもりだーー!!」

「受けて立ちます!」

 シロナはミロカロスをモンスターボールに戻し、ダイマックスバンドからのパワーをモンスターボールに送る。

「ダイマックスミロカロス!!」

 巨大化したモンスターボールが投げ込まれ、巨大なミロカロスがフィールドに降り立つ。

「こっちも行くぞブイゼル!!」

 サトシは両腕をクロスさせ、ブイゼルにパワーが送られる。

「これが俺たちの全力!!」

「ダイストリーム!!」

 巨大なミロカロスの口から超高圧水圧が一直線に放たれると、ブイゼルはダイストリームに飛び込み、流れに逆らいながら泳いだ後、円を描くように泳ぐ。

「ブイゼル! スーパーアクアトルネード!!」

 ダイストリームの水が竜巻となり、ミロカロスを巻き込む。

「ミロカロスのダイストリームを利用したスーパーアクアトルネードがミロカロスを襲うーー!!」

 ダイストリームの効果で雨が降り始める。ブイゼルは濡れた地面に着地してミロカロスを見上げる。ミロカロスは顔がこわばるも、すぐさまいつもの凛とした表情に戻る。

「耐えた……!」

「ダイアタック!!」

 ブイゼルの足元の地面が大きくひび割れ、まるで火山が噴火するように大きな衝撃がブイゼルを襲った。




バトルの流れ(左サトシ、右シロナ)

●ピカチュウ対●ミカルゲ
ブイゼル対ロズレイド
ブイゼル対ミロカロス
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