改変したマスターズトーナメント ―サトシの闘い―   作:みかづき椛

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バトルの流れ(左サトシ、右シロナ)

●ピカチュウ対●ミカルゲ
ブイゼル対ロズレイド
●ブイゼル対●ミロカロス
●ウオノラゴン対ガブリアス
ネギガナイト対●ロズレイド
●ネギガナイト対トゲキッス


七話 セミファイナルIV『衝撃』

 優雅に空を跳んでいるトゲキッスがいるシュートスタジアム中央付近、石像のように固まったネギガナイトがサトシの持つモンスターボールに戻る。

「ありがとう……ネギガナイト……」

 サトシは静かに礼を言うと、別のモンスターボールを手にする。

「ルカリオ!! 君に決めた!!」

 モンスターボールから出てきたルカリオは穏やかで鋭くトゲキッスを見つめ始める。その時、トゲキッスがモンスターボールに戻る。シロナの右手首に着けられているダイマックスバンドから光が弾け、その光を受けたモンスターボールが巨大化した。

「ダイマックス……トゲキッス!!」

 巨大になったトゲキッスがフィールドに現れる。トゲキッスの巨大な翼はバトルフィールドからはみ出ていた。

「トゲキッスがダイマックス……」

 サトシは左手の黒い手袋に付けられたキーストーンを見つめる。

「……今はメガシンカする時じゃない。行くぞルカリオ! バレットパンチ!!」

「ダイジェット!」

 トゲキッスは口から巨大な竜巻を放つも、大きくジャンプしてかわしたルカリオがトゲキッスの背中を両の拳による連打を与える。

「もう一度、ダイジェット!」

 トゲキッスはすばやく振り返り、ルカリオの着地を狙ってダイジェットで攻撃した。

「波動を溜めろ!」

 サトシの指示を受けたルカリオは突っ立ってダイジェットに耐えながら両手を高く挙げ、手に収まる程度の紺色の球体を形成する。そのはどうだんは徐々に大きさを増していく。

「ダイジェットッ!!」

 三度目のトゲキッスによるダイジェットを受けたルカリオはただひたすらに耐え、はどうだんを大きくしていく。

「この一撃は……!! 絶対に決める!!」

 ルカリオと同じ構えを取っているサトシからオーラを受け取り、さらにはどうだんの大きさを増していく。まるでサトシとルカリオの想いが繋がって1つの巨大なパワーを持った塊になったかのようだった。

「巨大はどうだん!!」

 巨大はどうだんがダイジェットを押し返してトゲキッスに命中、元の大きさに戻ったトゲキッスはうつ伏せに倒れた。ルカリオとサトシは両腕の力を抜いたようにだらんと動きをシンクロさせる。

「巨大はどうだんが命中したことによってトゲキッスが元に戻ってしまったー!」

 トゲキッスはすぐさま上体を起こして飛行再開する。トゲキッスの飛ぶ速さはかなりのスピードになっていた。

「トゲキッス! 連続ダイジェットの効果ですばやさがかなり上がったようです!!」

「バレットパンチ!」

 ルカリオはトゲキッスに向けて連続でパンチを繰り出すも、超高速で飛び回るトゲキッスの動きを捉えられなかった。

「ゴッドバード!!」

「かげぶんしん!」

 分身したルカリオだったが、トゲキッスのゴッドバードで次々にルカリオの分身を消していき、あっという間にルカリオの姿をしたものは1体だけとなった。

「……バレットパンチ!!」

 ゴッドバードとバレットパンチが真正面から激突し合う。結果はルカリオが勝ち、殴り飛ばされたトゲキッスは倒れ込む。

「トゲキッス戦闘不能!! ルカリオの勝ち!!」

「戻れトゲキッス!」

 トゲキッスはモンスターボールに戻る。

「本当によく闘ってくれた……ありがとう」

「戻れルカリオ! 休んでてくれ!」

 ルカリオもトゲキッス同様にモンスターボールに戻ると、シロナが別のモンスターボールを手にする。

「波涛より来たれ! トリトドン!」

 シロナが投げたモンスターボールからピンク色と茶色が特徴のトリトドン(にしのうみ)が現れる。

「……シロナさん、6体目のポケモンはトリトドンか」

 サトシは静かにモンスターボールを見つめる。何か思いにふけっているようだった。

「サトシ君、次のポケモンは誰かしら?」

 シロナは尋ね、サトシはモンスターボールを勢いよく前に突き出す。

「俺の6体目……! ゴウカザル! 君に決めた!!」

 バトルフィールドに姿を現したゴウカザルは雄叫びを挙げ、緊張感のない余裕の笑みを浮かべる。

「ゴウカザル……いつかあなたとバトルする時が訪れる……私はそう感じていた……ついに来たのね」

「はい! やっとここまで来れました!」

 ダンペイによるバトル開始のコールが発せられる。

「とける!」

「行くぞゴウカザル! マッハパンチ!」

 シロナとサトシの指示が同時に響く、トリトドンは全身の力が抜けたように体をとろけさせる。ゴウカザルはかなりのスピードで相手に迫り、右拳によるパンチでトリトドンを吹き飛ばす。

「とけるの効果で防御が上がりましたが……」

 マッハパンチで飛ばされたトリトドンは涼しい顔で地面に着地した。

「表情は全く変わらない!!」

「一気に勝負を決める……! マッハパンチ!」

「あまごい!」

 空に雨雲が出現し、バトルフィールド全体に雨が降り始める。

「みずタイプのワザが来る前に決める……! あなをほる!」

 ゴウカザルは地面を素手で掘って地面の下に潜る。数十秒間の沈黙の後、トリトドンは足元から出てきたゴウカザルの右拳に殴り飛ばされる。

「だくりゅう!」

 涼しい顔トリトドンが着地した時、濁った水がバトルフィールド全体を覆う。水かさがどんどん増していき、ゴウカザルは飲み込まれる。

「ゴウカザルーー!!」

 ゴウカザルは溺れるのみで、ただ流されていった。

「これではあなをほるも使えない……!! ゴウカザルはこのままなすすべもなく負けてしまうのかーー!?」

「どうする……! どうやったらトリトドンに攻撃を当てられる……!」

 しばらく無言で考え込むようにゴウカザルを見続けたサトシだったが、何かに閃いたようにハッと表情を変えて鋭い目つきに変わる。

「一か八か……このワザに賭ける! フレアドライブ!!」

 ゴウカザルは叫び、全身を青い炎でまとわせる。すると水蒸気が発生、水かさがみるみる低くなっていき、ゴウカザルは強く地面を踏みつけて一歩踏み出す。

「行け! マッハパンチ!」

「ストーンエッジ!!」

 バシャバシャと水しぶきを上げながら走るゴウカザルはトリトドンがワザを出す間を与えずに殴り飛ばす。

 渾身の一撃で殴り飛ばされたトリトドンは地面に倒れ込む。

「トリトドン戦闘不能! ゴウカザルの勝ち!!」

「なんとゴウカザル! あまごいで強化されただくりゅうを蒸発させて足元を安定させました……!」

「あと1つ……あと1つでシロナさんに勝てる……!」

「戻れ、トリトドン」

 トリトドンはモンスターボールに戻っていく。

「よく闘ってくれたわ……あとはガブリアスに任せて」

 シロナは別のモンスターボールを手にして掲げる。

「天空に舞え! ガブリアス!」

 出現したガブリアスは大きな音を立てて地面に着地すると、ゴウカザルに向けて吠える。

「力の全てであなたに勝つ!」

 シロナはキーストーンが埋め込まれている口紅を手に取る。色っぽく唇にひと塗りしてキーストーンが輝き出す。

「ガブリアス!! メガシンカ!!」

 ガブリアスはメガシンカし、両腕が鋭い鎌に変わる。

「マッハパンチ!!」

 ゴウカザルはガブリアスの腹部にパンチを当てるも、ガブリアスはびくともせず、表情一つ変わらなかった。

「ドラゴンクロー!」

 ガブリアスはドラゴンクローで反撃、喰らったゴウカザルは膝をつく。

「ゴウカザルのマッハパンチが効いてない……?」

「スケイルショット!」

「かわしてかえんほうしゃ!」

 スケイルショットをよけたゴウカザルのかえんほうしゃを受けたガブリアスは涼しい顔をし、表情変えず立っていた。

「……だったら、フレアドライブ!」

 ゴウカザルは全身を青い炎でまとい、ガブリアスに突撃する。だが、またガブリアスは表情は変わらず、少し後退するのみだった。

「ドラゴンクロー!」

 ゴウカザルはガブリアスのドラゴンクローによる反撃を受けて吹っ飛ばされ、地面を転がる。

「くっ……! もう一度……フレアドライブ!」

 再びフレアドライブでガブリアスに迫るも、ドラゴンクローで反撃を受ける。地面に倒れ、立ち上がろうとするゴウカザルに追い打ちをかけるようにガブリアスはドラゴンクローで吹き飛ばす。

「りゅうせいぐん!!」

 ガブリアスは開いた口からオレンジに光る弾を打ち上げる。そして弾け、無数に分かれた弾が隕石のようにバトルフィールドに降り注ぐ。

「あなをほるだ!!」

 サトシの指示が響くも、ゴウカザルはふらつき、ワザを発動する気配がなかった。そしてそのまま、ゴウカザルにりゅうせいぐんが命中する。

「ゴウカザル! これまでのダメージであなをほるを発動できず! りゅうせいぐんをまともに受けてしまったーー!!」

 りゅうせいぐんが止み、ゴウカザルは地面に倒れ込む。

「ゴウカザル!! ここで負けるお前じゃない!! 立て!! 立つんだゴウカザル!!」

 ギルガルドに乗るダンペイが近付かれたゴウカザルは両手を地面につけ、ゆっくりと立ち上がる。

「ゴウカザル立ったーー!!」

 ゴウカザルは叫び、頭の炎が激しく燃え上がる。

「これは……特性のもうかでしょうか!? 凄まじいパワーです!!」

「シロナさん! これが俺のゴウカザルのもうかです!!」

「凄まじいパワーね」

 シロナは一瞬微笑み、すぐさま気迫がこもった顔付きに戻る。

「スケイルショット!」

「かえんほうしゃ!!」

 ガブリアスは鋭く尖った無数の鱗を飛ばすも、ゴウカザルの凄まじい勢いで吐かれた炎であっという間に消し炭にし、ガブリアスに直撃させた。

「もう一度、かえんほうしゃだ!!」

 ゴウカザルは再びもうか状態でかえんほうしゃをガブリアスに当て、地面を転がせる。

「今だゴウカザル! フレアドライブ!!」

 全身に凄まじい勢いで燃える青き炎をまとうゴウカザルはガブリアスに突っ込む。

「ドラゴンクロー!」

 ガブリアスはドラゴンクローで迎え撃つも、ゴウカザルの勢いは止められず、後ろに押され続けたガブリアスは壁に激突した。

「勝ったのか……?」

 サトシがそう呟くと、ガブリアスの腹に顔をうずめているゴウカザルは仰向けに倒れ、激しい炎の揺らぎも収まった。

「ゴウカザル戦闘不能!! ガブリアスの勝ち!!」

「……戻れゴウカザル!」

 ゴウカザルはサトシが持つモンスターボールに戻る。

「ありがとう……ゴウカザル……」

 バトルフィールド外まで飛ばされたガブリアスは高く跳び、勢いよくシロナの前に着地する。

「……お前で最後だ。行け! ルカリオ!」

 ルカリオがバトルフィールドに出現し、サトシはキーストーン光る左手の手袋を前に突き出す。

「ルカリオ! これがラストバトルだ。最後の最後まで全力で行くぞ!」

 キーストーンとメガストーンが輝き、サトシは左腕を突き上げる。

「俺たちの絆……メガシンカ!!」

 ルカリオは手足と長くなった頭部の房が赤くなり、見た目に威圧感が増す。

「スケイルショット!!」

 ガブリアスは鋭く尖ったトゲをルカリオに向けて飛ばす。

「バレットパンチ!!」

 ルカリオは白く光る両拳による連続パンチでスケイルショットを破壊しつつガブリアスに接近する。

「ドラゴンクロー!」

 ガブリアスは緑のオーラをまとう腕を振るい、その腕の鎌がルカリオの体に食い込む。一瞬、ルカリオは揺らぐも連続パンチをガブリアスの腹部にぶつけて表情をゆがませる。

 ◆

 ルカリオのバレットパンチとガブリアスのドラゴンクローの応酬、息を切らしながら闘う2体のバトルに、観客も実況も固唾を飲んで見守ることしか出来ずにいた。

 

「ルカリオ!!」

 数分間の激しい闘いの中、ルカリオが片膝をつき、サトシが叫ぶ。

「今よ!!」

 ドラゴンクローの構えを取るガブリアスは倒れかけるルカリオに突っ込む。

「きしかいせい!!」

 意識が途切れるかのように虚ろだったルカリオの目に気迫が戻る。右手を強く握り、橙色のオーラをまとわせる。

 ルカリオはガブリアスのドラゴンクローをその身に受けながら一閃、ガブリアスの腹部を殴る。2体のポケモンは揺らぎ、同時に倒れる。

 数十秒間、無音の時間が流れ、ルカリオが静かに立ち上がる。一方でガブリアスはメガシンカが解ける。

「ガブリアス戦闘不能!! ルカリオの勝ち!! よって勝者サトシ選手!!」

 審判からの判定に会場は盛り上がり、サトシの側で見守っていたピカチュウは何度もジャンプし始めて喜びを爆発させる。対するサトシは勝利したという事実をまだ受け止めてなかった。

「ピカチュウ……俺たち……勝ったんだ……シロナさんに!」

 棒立ちだったサトシは笑顔に変わり、ルカリオのもとに駆け寄る。シロナもガブリアスに近付き、地べたに座るガブリアスの肩に優しく手を乗せた。

「ガブリアス……素晴らしいバトルだったわ……ありがとう」

 そして健闘を讃え合うかのようにポケモンとトレーナーが握手し合う。

「シロナさん、ありがとうございました!」

 会場がさらに盛り上がり、セミファイナルは幕を閉じた。




バトルの流れ(左サトシ、右シロナ)

●ピカチュウ対●ミカルゲ
ブイゼル対ロズレイド
●ブイゼル対●ミロカロス
●ウオノラゴン対ガブリアス
ネギガナイト対●ロズレイド
●ネギガナイト対トゲキッス
ルカリオ対●トゲキッス
ゴウカザル対●トリトドン
●ゴウカザル対ガブリアス
ルカリオ対●ガブリアス
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