改変したマスターズトーナメント ―サトシの闘い―   作:みかづき椛

8 / 10
八話 ファイナルⅠ『激流』

 晴れた空、太陽が昇る昼頃のガラル地方シュートスタジアムの観客席には満遍なく客が敷き詰められていた。

 観客はピカチュウと共に立つサトシに注目が浴びせられている。

 マスターランク8位のサトシとマスターランク1位のダンデによるバトルを今か今かと待ちわびていた。そんな中、ダンデが派手なマントを揺らしながらバトルフィールド前まで歩を進め始める。

「さぁ、サトシ選手は無敗記録を止めることができるのでしょうか……それともダンデ選手がその無敗記録をさらに更新するのか?」

 サトシとダンデは向かい合い、そしてギルガルドに乗って空を飛ぶ審判――ダンペイによるルール説明が始まる。

「使用ポケモンは6体。交代は無制限。6体全てを戦闘不能にした方が勝者となる。なお、ダイマックス・Zワザ・メガシンカは、全て合わせた使用回数の合計を3までとする」

 自信満々といった表情のサトシの右手首にはダイマックスバンド、左手にはキーストーン、左手首にはZパワーリングが装着されていた。対するサトシ同様、自信満々といった表情のダンデは右手首にダイマックスバンドを着けていた。

「スリー! ツー! ワン! ゴー!!」

「行け! エースバーン!!」

 ダンデは振り被ってモンスターボールをフィールドに投げ入れる。登場したエースバーンはステップで体を動かし続ける。

「ピカチュウ!! 君に決めた!!」

 サトシの指示を受け、相棒同様、自信満々といったピカチュウもフィールドに入る。

「なんとサトシ選手! これまでのバトル、全て最初にピカチュウを出しています!」

「戦略なんて関係なしか。叩き潰してやろうぜ!」

 気合十分といったエースバーンの返事後、ダンペイが試合開始を告げた。

「10まんボルト!」

「ねっさのだいち」

 エースバーンは回転しながら跳び上がり、地面に片足を強く打ちつけ、熱を持った砂の球体を作り出し蹴り飛ばす。

 対するピカチュウは電撃をエースバーンに放つ。

「ねっさのだいちと10まんボルト、二つのワザがクロスカウンター!」

 互いに攻撃を受ける。エースバーンは微動だにせず、ピカチュウは後退し、息が少し荒くなる。

「え……」

 サトシはワザを受けてなんともないエースバーンの振る舞いに唖然としていた。

「10まんボルトが効いていない……?」

「サトシ、特性リベロは初めてか?」

「特性リベロ……」

「こいつはな、使用した技と同じタイプになるんだ」

 ダンデの説明にサトシは豆鉄砲を食らったように表情が固まる。

「ピカチュウ戻れ!」

 ピカチュウは一瞬疑問に思うもすぐさま頷き、納得した様子で迷いなくサトシの隣に移動した。

「ルガルガン!! 君に決めた!!」

 サトシはモンスターボールを投げ、オレンジの体色が特徴であるたそがれのすがたのルガルガンがフィールドに登場する。

「サトシ選手! 2体目のポケモンはルガルガンです!」

「行くぞルガルガン! アクセルロック!!」

 ルガルガンはエースバーンに向けて素早いダッシュで駆け抜け始めた。

「アイアンヘッド!」

 頭を白銀に光らせたエースバーンはルガルガン同様にダッシュで駆け抜け、頭と頭を激突させた。2体のポケモンは衝撃で少し後退する。

「かえんボール!」

 エースバーンは燃える球体を右足で蹴り、ルガルガンに向けて飛ばした。

「ストーンエッジ!」

 指示を受けたルガルガンは勢いよく前足の裏を地面に叩きつけ、巨大な尖った岩を何度も一直線状に出現させ、かえんボールを防いだ。

「跳べ! エースバーン!」

 ダンデの指示を受けたエースバーンは出現したストーンエッジの1つを駆け上がり、高くジャンプした。

「アイアンヘッド!」

 エースバーンは白銀に光らせた頭を下にし、ミサイルのごとく一直線にルガルガンを襲い始める。

「……かわせ!!」

 ルガルガンは後ろに跳び、間一髪でアイアンヘッドをかわした。アイアンヘッドを叩きつけられた地面に大きめなヒビが入る。

「なんて威力だ……」

「とびひざげり!」

 再び跳んだエースバーンが膝をルガルガンに向けて落下し始める。

「かみくだくで受け止めろ!」

 ルガルガンは口を開けてエースバーンに向けて跳ぶも、ワザを発動する前にとびひざげりを喰らってしまった。

「アイアンヘッド!」

 地面に仰向けに倒れたルガルガンに、頭を下にしたエースバーンによるアイアンヘッドが襲う。

「起きろルガルガン!」

 ルガルガンは素早く起き上がったが、すでにエースバーンの頭が目と鼻の先にあった。

 エースバーンのアイアンヘッドがルガルガンの背中に直撃し、ルガルガンは目が見開かれ、うめき声を上げる。

「カウンターだ!!」

 サトシの指示で、鋭い目つきに変わったルガルガンは振り向きざまに頭上の前方へ突き出ている岩を白銀に光るエースバーンの頭部にぶつけて吹き飛ばす。

「ルガルガンのカウンターが決まったー!! エースバーンははがねタイプに変わっていたため、こうかはばつぐんだーー!!」

 エースバーンは一度倒れたが、すぐさま立ち上がり、余裕の表情を向ける。対するルガルガンは息が荒くなっていた。

「特性リベロ……放って置いたら厄介だ……行くぞルガルガ

ン!!」

 サトシはZパワーリングにイワZをはめ込む。

「来るか、Zワザ!」

 ダンデは目を光らせ、少年のようなワクワクといった表情に変わる。

「これが俺たちの全力!! ワールズエンドフォール!!」

 空中に跳び上がったルガルガンに吸い付くように岩が集結し、巨大な1つの岩の塊となり、エースバーンに向けて落下し始めた。

「行っけーー!!」

「アイアンヘッドだ。ぶっ飛ばしてやれ!」

 エースバーンは垂直に跳び、ワールズエンドフォールとアイアンヘッドが激しく衝突した。

「なんとエースバーン! Zワザをよけようともせず、真っ向勝負で向かって行ったーー!!」

 巨大な岩の塊にヒビが入り、砕ける。その時、エースバーンの頭がルガルガンの腹部に命中していた。

「あっ……!!」

「ナイスヘディング」

 ルガルガンは落下し、地面に激突して倒れ込む。

「ルガルガン戦闘不能!! エースバーンの勝ち!!」

「そ……そんな……」

 サトシは啞然としてピクリとも動かないルガルガンを見つめる。

「……戻れ、ルガルガン」

 ルガルガンはモンスターボールに戻っていき、サトシは歯を食いしばってうつむく。

「よく頑張ったな。ルガルガン」

 ピカチュウが元気を出せと言わんばかりにサトシに呼びかける。

「心配すんなピカチュウ。次は勝つ!」

 表情に明るさが戻ったサトシは別のモンスターボールを手にした。

「ゲンガー!! 君に決めた!!」

 モンスターボールから陽気に舌を出すゲンガーが出現。それを見たダンデはモンスターボールを手にする。

「戻れ、エースバーン」

 ダンデは別のモンスターボールを手にしてバトルフィールドに投げ入れる。

「……行け! インテレオン!!」

 モンスターボールから出てきたインテレオン、クールに表情を決める。

「ヘドロばくだん!」

 大きく開けたゲンガーの口から無数のヘドロが放たれる。その時、ダンデは不敵に笑みをこぼす。

「アクアジェット!」

 インテレオンはその場で激しく横回転して全身から水を噴射させ、ヘドロばくだんをガードした。

「これって……カウンターシールド……」

 回転する激流は地面を潜るゲンガーを巻き込み、徐々に地上へ叩き出させる。

「おにび!!」

 ゲンガーは地面に不気味な紫色の炎を激流にぶつけ、水蒸気に変わる。バトルフィールドが白に覆われ、視界が遮られる。

「戻れゲンガー!」

 モンスターボールに戻ったゲンガーは、サトシの右手首に着けられているダイマックスバンドから光が弾け、その光を受けたモンスターボールが巨大化した。

「でっかく行こうぜ! キョダイマックス!!」

 バトルフィールドに巨大化したゲンガーが大きな口を開けてフィールドに顕現する。

「キョダイゲンエイ!!」

 ポルターガイストを思わせる禍々しいオーラをまとった様々な巨大な家具がインテレオンを襲い始める。

「ねらいうち!」

 インテレオンは迫りくる家具を二丁拳銃の構えの指先から繰り出す水の射撃で防いでいく。がしかし、1つの家具に触れてしまう。

「これでインテレオンは交代できなくなったぞ!」

「ダイアシッド!」

 バトルフィールドは毒の液体で覆われる。

「フルパワーだ!」

 ダイマックスゲンガーは舌を振り回し、地面からいくつもの水柱を噴射させ、インテレオンを襲う。

「あくのはどう!」

 インテレオンは華麗にダイアシッドをよけ続け、指先から放たれた黒紫のオーラをダイマックスゲンガーの喉ちんこに撃ち込む。その瞬間、インテレオンは背中にダイアシッドを喰らい、仰け反って倒れる。

「……インテレオン!!」

 たちまちゲンガーは元の大きさに戻る。

「なんとゲンガー、急所に当たった影響で元の大きさに戻ってしまったー!」

 その時、倒れていたインテレオンが静かに立ち上がる。

「今度はこちらの番だ」

 インテレオンはモンスターボールに戻り、ダイマックスバンドから光が注がれる。

「キョダイ……マァァクスッッ!!」

 ダンデは巨大化したモンスターボールをバトルフィールドに投げ入れる。尻尾が40m程の長さのキョダイマックスインテレオンが塔のごとくバトルフィールドに登場する。

「高い……!!」

「チャンピオンタイムだ……!! キョダイソゲキ!!」

「マジカルシャイン!!」

 ゲンガーは全身からまばゆい虹色の光を放つ。しかし、ダイマックスインテレオンのライフル銃から超高水圧の一撃にワザが貫かれ、受けたゲンガーは吹き飛ぶ。

「ゲンガー!!」

 サトシの叫び虚しく、ゲンガーは倒れ込む。

「ゲンガー戦闘不能!! インテレオンの勝ち!!」

「そんな……」

 この時、サトシは王者とチャレンジャーとの差を身に染みて感じていた。




バトルの流れ(左サトシ、右ダンデ)

ピカチュウ対エースバーン
●ルガルガン対エースバーン
●ゲンガー対インテレオン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。