機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0093 Madness AXIS Breaker~   作:にわ@タイトル単位作品作成者

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お初にお目にかかります。
にわと申します。
今回初めて作品を投稿いたしました。

さて、本編ですが、しばらく前提話が続きますので、
しばしお付き合いいただけますと嬉しい限りです…。
退屈な時間となるかもしれませんが、
どうぞご理解くださいますよう、よろしくお願いします…。


File.00 胎動

―U.C.0089、4月5日

フォン・ブラウン市の某所格納庫にて。

 

照明の届かない天井付近から一本だけ、異様に長い影が正面から伸びている。

 

影の根元には、

他の機体より一回り大きい四角い塊が立っている。

人型であることは分かるが、

肩の高さも、頭の位置も、

その長い影にすべて押し潰されて判別しにくい。

 

「…やっと修復が完了したぜ。ふぃー…本当手間のかかるやつだぜこいつは。」

「…本当ここまで大変でしたね。」

「全くだ。まさかフレームの大半のパーツが代替品になるとはな。」

 

左右は明らかに釣り合っていない。

片側だけが異様に重く、

**「何かを載せたまま降ろす気がない」**形をしている。

 

「…こいつをベースにこれから作って行こうってか。」

「そうだ。だが俺たちの目指している物に近いのは事実だ。」

「ええ。コンセプトとしては非常に近いと思います。行けますよ。絶対。」

 

脚は太く、短く、

床に深く食い込むように立っていて、

動くよりも支えるために存在しているように見える。

 

「完成したらこの機体が町を守る盾になると考えると…感慨深いですね!」

「バーカ。気が早えぇんだよ。まだ直したばっかじゃねぇか。」

「だな。…でも俺たちはここから未来へ進むんだ。」

 

それは

格納庫に並ぶ他の機体と同じ“人型”のはずなのに、

砲架か、設備か、兵器の一部のようにしか見えない。

 

―― MS-010A FAZZ ――

 

そこにいた誰もが、その名を知らない。

また、誰もこの機体に名前を与えようとはしなかった。

――そう、今は、まだ。

 

 

 

 

―U.C.0093 3月某日

連邦軍施設前にて。

 

連邦軍施設の正門前は、

人の出入りがあるわりに、妙に落ち着かない空気が漂っていた。

 

書類の束を抱えた男が、

肩を落としたまま建物から出てくる。

 

背広は古く、

襟元には何度も直した痕が残っている。

 

「……はぁ」

 

思わず漏れた溜息に、

すぐ横を通りかかったカムランが足を止めた。

 

「何か、ありましたか?」

 

声をかけられ、男は一瞬だけ驚いたような顔をしたが、

すぐに苦笑して首を振った。

 

「いえ。

 倒産処理の最中でしてね。

 売れるものは、全部売らないと」

 

その言葉に、

カムランの視線が書類の束へと落ちる。

 

「……軍需、ですか」

「ええ。もっとも、今となっては“残骸”みたいなものですが」

 

男は自嘲するように肩をすくめた。

 

「正式採用されなかった試作。

 実戦投入も想定外。

 それでも――」

 

そこで一拍、間が空く。

 

「“落ちてくる物”を止めるためだけに作られた機体です」

 

カムランの表情が、わずかに変わった。

 

「迎撃、ですか」

「防衛と言うよりは……砲撃ですね」

 

荒唐無稽だ。

そう切り捨てるのは簡単だった。

 

だがカムランは、

その場で背を向けることができなかった。

 

――5thルナ。

――そして、その先。

 

「……資料、見せてもらえますか」

 

男は少しだけ目を見開き、

それから、静かにうなずいた。

 

この出会いが、

世界の行方を左右するとは――

この時、どちらも考えてはいなかった。

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