機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0093 Madness AXIS Breaker~ 作:にわ@タイトル単位作品作成者
報告感謝です。
ハズカチィ…。
―U.C.0093 3月某日
ネオ・ジオン軍参謀本部にて。
情報分析区画では、常時稼働する演算機の低い駆動音と、
壁一面を覆うスクリーンの冷たい光に支配されていた。
ここでは戦争は、音も血も伴わない。
あるのは数値と航路、補給量と到着予定時刻。
それらをどう解釈し、どう切り捨てるかが、
戦局そのものを左右する。
作戦参謀本部の一角。
複数の大型スクリーンには、地球圏全域における連邦軍の物資移動が
規則正しく流れていた。
弾薬、推進剤、補給艦の寄港記録。
どれも、すでに想定済みの情報ばかりだ。
「ロンド・ベル関連の補給記録です」
報告を行う若い士官の声は落ち着いていた。
だがその視線は、無意識のうちに
参謀将校の反応を追っている。
参謀将校は端末を操作し、
必要なデータだけを瞬時に抽出する。
「核弾頭の搬入……予定通りだな」
強調表示された補給記録が、すぐに解除される。
想定外ではない。
対処の必要もない。
「それと、
民間経由で調達されたモビルスーツが、一機あります」
参謀将校の視線が、再びスクリーンに戻った。
表示されたのは、簡素な輪郭線のみで構成された機体のシルエット。
全体のバランスは明らかに偏っており、
機動性や汎用性よりも、
一方向への火力集中を優先した設計であることが見て取れる。
「形式は不明。
砲撃用の火力特化型です。
砲身長から判断して、長距離射撃を前提とした仕様かと」
参謀将校は、わずかに眉を動かした。
「……この時代に、砲戦機か」
ミノフスキー粒子が戦場を覆い尽くす宇宙世紀において、
長射程を前提とした砲撃戦は、
理論上成立しても実用性に乏しい。
戦場の主役は、機動力と即応性を備えた近接戦闘機である。
「設計思想は旧式です。
推進系も最低限で、
継続的な機動戦を想定していません」
参謀将校は短く息を吐いた。
「正規軍需ではないな」
「はい。
購入名義はロンド・ベルの調達担当。
形式上は個人購入扱いです」
「……戦局に影響する類ではない」
判断は迷いなく下された。
単機運用、旧式思想、民間調達。
どれを取っても、
この戦争の流れを変える要素にはならない。
「監視レベルは?」
「現状、最低限です」
一瞬の沈黙。
「……よし。
そのまま最低限の監視を継続しろ」
それ以上の関心は示されなかった。
その後、資料の末尾で、
そのモビルスーツは
「型式不明・民間調達MS」として分類され、
他の雑多な記録と並べられる。
名前も、符号も、
特別な注釈も与えられない。
――それは、この時点では
“考慮する価値のない存在”として
処理されたことを意味していた。
作者名を見てお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、
既に全ての話を予約投稿済みとなります。
U.C.0093におけるお話につきましては、作者失踪致しませんのでご安心ください。
最後までお付き合いいただけますと、幸いです。