作者の知識は原作、Z、超。あとは二次創作と一部ゲーム位しか無いので、映画……特にサイヤ人編前後の奴は全く分かりませんが、そこら辺はフィーリングとネット君におまかせするので、色々ご指摘頂けると、作者の身体中から気が溢れ出ながら高まります。
暗い。
ゆっくりと覚醒していく意識につれて、段々と五感が体に行き渡って行くのを感じる。
触覚から伝わる浮遊感、水の中に包まれている様な感覚。
異様な状況に困惑を隠しきれないまま、こちらへと近づいてくる物音を耳にする。
重い瞼に力を入れ、迫り来る眠気に抗いながらも、目を開けた先に広がっていたのは緑がかった視界と、いくつも連なった無機質なカプセル。そして、一人の女性の姿だった。
(……ここは?)
「あっ、ちょうど起きたみたい。おーい! コッチだよ!」
状況が掴め切れないままだが、どうやら目の前の彼女は自分に用があるらしい。
しかし、どういった訳かは分からないが、どうにも彼女を何処かで見た覚えがある気がする。
考えども考えども、説明が付かぬ既視感に戸惑う中、無常にも時は進みカプセルの向こうから一つの人影が近づいてくる。先程呼ばれていた人物だろうか、その背格好からは鍛え抜かれた男の体が見受けられる。そして、その男が近づいてくる度に俺の思考は打ち止められ、恐らく俺の顔は驚愕に染まっていっただろう。
「やっと来た、この子だよ」
「ここはどこも同じで分かりにくくていけねぇ。もうちょっと何とかならんもんかね」
(そ、孫悟空!?)
俺の前に現れたのは国民的アニメの主人公、孫悟空……の様だが、何処か違和感を覚えた。
左頬に見える痛々しい程大きな傷跡に、左耳に装着された無機質な機械。
そして何よりも、頭の中で思い描くあの能天気な笑顔はそこには無く、如何にも悪党と言った、薄い笑みを浮かべていた。
(もしかしてこいつ……バーダック!? なら、隣のこの人はギネか!)
アニメや漫画でしか存在しないはずの
彼はそのまま、左耳の機械……スカウターを操作し始めた。
「ほう、戦闘力500……大したもんじゃないか」
「だろう? あんたと私の息子だもん。きっと、強くなるよ」
(どういう事だ、益々何が起きているのか分かんねぇ……!)
息子? 不意に聞こえたギネの発言にようやく理解が追いつく。そして、一瞬湧き上がった脳は見る見る内に収まり、顔は次第に青ざめていく。
(もしかして……俺は孫悟空に転生でもしたって言うのか!?)
ま、まずい。非常に不味い。
このドラゴンボールの世界は時空にもよるが、大抵は碌な目には合わない。
まず原作のフリーザ、人造人間、セル、魔人ブウは勿論として、映画やゲーム、ifストーリーなど様々ある。そのどれもが強敵との戦いであり、無限のように続くデスゲームのようなものだ。日常物も勿論あるが、正直ギャグテイストだろうと危険人物達と相対したいという人は少ないだろう。
(原作時空だけだとしてもどれだけヤバい奴が揃ってると思ってるんだ!? ……じょ、冗談じゃない。俺は自分を殺しにくる奴に向かって、ワクワクする様な精神異常者じゃないんだぞぉ!?)
無数に襲いかかる魔の手の幻覚に襲われ、茫然として固まっていても、この二人はそんなことは露知らず、俺が入っている容器の前で会話を続けている。
「しかし、戦闘力が高いのはいいが……エリート共に直接シゴかれちまうかもしれねぇな」
「えぇ? いくらラディッツが戦闘力が高いって言っても、下級戦士の子さ。それにあいつらはあんたがエリート以上の戦闘力を持ってる事に腹立てて、いっつもネチネチ言ってくるじゃないか」
「だからさ、俺に逆立ちしたって勝てないようなエリート様が、その息子を合法的に可愛がれるってんなら……あいつらのやりそうな事だろう」
「そんな……」
……今なんて?
一旦落ち着こう、俺は日本人。向こうで何らかの要因で恐らく死に、
戦闘力が高い、コレはいい。この世界は戦闘力こそがモノを言う世界だ、高ければ高いほどいい。
エリート達にシゴかれる、コレもまぁいい。鍛錬を積まなければいくら恵まれた肉体を持っていても、何の意味もない。フリーザを見ればよく分かる。万が一、死にそうになったら流石にバーダックが助けてくれるだろうし。
……助けてくれるよな?
そして、ギネが俺を指して呼んだ名前……ラディッツ。
(俺、
衝撃の事実を知らされた俺の意識は暗転し、必死に堪えていた瞼が幕を下ろしていく。
「……あ、眠っちゃったみたい」
「くく、気張れよラディッツ。この親父を超えて見せるんだな」
〜〜〜
ある日、普通の日々を過ごしていた高校生帰宅部の俺は、怪しげな取引現場を目撃しなかった。
背後ではなく前方の黒髪の男女に謎の真実を叩き込まれた俺は、意識をうしなってしまい……
そして目が覚めた時、俺は……保育カプセルの中にいた!!!
(いや変わんねーじゃんかよこの野郎)
くだらない茶番はさておき、目が覚めた俺は今、バーダックとギネの家の中で、ちょっとちゃっちくなった保育カプセルの中で日がな一日ボーッとしている。
(なんとか気とかを操ろうとはしているが……体の中に何かエネルギーの様な物を感じるだけで、特にそれを動かせるわけでもないしな)
原作でも、気などの扱いに長けていると思われる地球人が、五十年修行してようやく習得できるものが、気を高めて一点に集中させ放つ【かめはめ波】である。
亀仙流のZ戦士達は、その何分の一もの時間で習得し、悟空に至っては一目見ただけで出すことができたが、その前段階とはいえただの一般サイヤ人の赤ん坊が、そう易々と習得できるようなものではない。
(……そう、ただの一般サイヤ人……だったらまだ良かったんだがなぁ)
ラディッツ。
悟空のただ一人の兄であり、バーダックの長男。
恵まれた設定を与えられながら、その知名度は彼自身のセリフである「戦闘力…たったの5か…ゴミめ……!」に大敗し、作中での活躍も登場時こそ圧倒的な威圧感と絶望を悟空たちと読者に感じさせ、悟空がワクワクを感じなかった数少ない人物の一人である……が、まだ子供である甥の気迫にビビり、格下と侮っていた相手に不意を取られ負け、挙げ句の果てに死後は仲間から弱虫だと蔑まれるサンドバック状態のまま、パワーインフレの贄となりその後特に触れられる事なく原作は終了した。
そんな彼の初登場時の(そして最終的な)戦闘力は1500。
同僚であるナッパは4000で二倍以上、ベジータに至っては18000で十倍以上の差であり、当時の悟空達との差以上にその戦闘力は悪い方向にかけ離れている。
因みにベジータ襲来時のクリリンの戦闘力が1800程である。
地球人一の格闘家は凄いなぁ……(白目)
(宇宙の命運を賭けて戦い続けるという最悪の状況は回避したが……結局命の危険が迫ってるのは変わりねぇんだよなぁ! なんか故郷は爆発するし、上司は鬼だし、同僚はハゲ!)
原作通りにことが進めば、自分はベジータの腰巾着になる事でなんとか生き延びる事が出来るだろうが、その後のパワーインフレにはついていけないし、何よりも……。
「ラディッツ〜、元気かい? ずーっと保育カプセルの中ってのは退屈だよなぁ」
(ママぁ! 俺を破滅の運命から救ってよママぁ!!!)
マイマザーこと、ギネさんが聖母すぎてマザコンにならざるを得ない。
いやだって、目が覚めてから二人の友人や仲間たちが次々と現れては俺の入った保育カプセルを、粗雑な扱いをしてガハガハ笑うばっかのサイヤ人の中で、元地球人から見てスッゴイ真面ないい人だ。更に、勝ち気な性格な姉御肌のいつもの姿と、たまに保育機の前にやってきては見せる女神の様な微笑みとのギャップが、俺の脳を破壊した。
(この人を見殺しにするぐらいなら……俺はバーダックと一緒にあの紫ハゲに一矢報いてやる!)
などと意気込んではみるが、原作通りに成長しても、エリート兵一人になす術もなく殺されるので足手纏いにしかならないだろうし、当然今はこの聖なるママに哀れな子羊の救済を求めることしか出来ないのである。サイヤ人として情けなくないの?
(ち、力が、力が欲しい……! 具体的には一線級では無いけど戦力としては欠かせず、物語に関わり続けるピッコロさん位の力が欲しい……!)
そんなサイヤ人の風上にも置けない事を考えていると、ラディッツとして目を覚まして以来、一度も顔を合わせなかったバーダックが家に帰ってきていた。おうネグレクト野郎、どこ行ってたんだテメー。
「よう、俺がいない間に何かあったか?」
「バーダック! おかえり。もう、ラディッツを家に戻したばっかだって言うのに、すぐに仕事に行っちゃってさ!」
「そうかっかするな、上からのお達しでな」
「はぁ……特に何もないよ。皆ラディッツと私をからかいに来てばっかだし。あぁ、隣のアオーナさんから、珍しい宇宙猪のお肉を貰ったよ。旦那さんが沢山狩ってきたからって」
「そうか……クサイハには今度礼を言っておかねぇとな」
(グギガゴギギ……!!! 俺のママが、男とォォォ……!!!)
ただの夫婦の営みなのだが、これまでママで精神の安定を保っていた俺にとってこの光景は我を忘れる程に妬ましく、許容できないものだったのだ。ママ不可侵条約、ママは絶対領域なのである。それを破る者には天罰を。おらっ、ぼうぎょ一段階ダウン!
「ほう……一丁前に睨みつけるじゃないか、ちっと目を離した隙に、随分育ったもんだ」
「あっ、ダメだよラディッツ。コレはあんたのお父さんなんだから……」
(スンッ)
ママに怒られた俺は、すぐにバーダックに向けていた怨嗟の目を外す。俺は良い子なので、ママの言うことはすぐに聞くのだ。本当の良い子は怒られるような事しない? それはそう。
「あーあ、アンタがすぐに出てっちゃうから、アンタの顔忘れちゃったんじゃない?」
「くく、ガキの癖に俺を睨みつけるたぁいい度胸だ。こいつはいい戦士になるぜ」
「そうかなぁ。この子、今まで睨みつけるなんて一度もしたことないよ。それにほら、にーっ!」
(にかーっ!)
良い子はママが笑う時に笑い、悲しむ時はそっとそばに寄り添う物。古事記にもそう書いてる。
それはそれとしてママを悲しませる奴は許さないが。絶許である、絶許。おうお前のことだぞクソ野郎。
(とりあえず、産後の妻を残して出張に行く戦闘狂は赤ん坊のアルカイックスマイルを喰らえ!)
「……あぁ? ギネに笑うたぁ、おかしな奴だな。サイヤ人は親を殺してこそだぞ」
「ちょっと! まだこんな赤ん坊だよ!?」
(赤ん坊じゃなければいいのか、ママよ)
戦闘民族サイヤ人。その名は何度も見聞きしたが、その実態を直に見ると、日本という平和な国に住んでいた身としては結構ショックだ。けどママは好き。ビッグラブ。
「まぁいい……。ラディッツの事だが、今回の任務の終わりに上の連中から、ラディッツは再来年には上級戦士候補に入れると決まったって聞いたぜ」
「そんな……本当に上級戦士に? いくらこの子がギリギリ基準を満たしてるからって……」
「出来る限り様子は見とくつもりだが……どうだろうな。俺の半分でも戦闘力が有れば、取り敢えず死にはせんだろうが」
「古参の下級戦士並の戦闘力を、赤ん坊に期待するもんじゃないよ……あぁ、ラディッツ。頑張るんだよ! エリート供の度肝を抜いてやりな!」
(いやー、それはキツいっすママ)
怒涛の展開で、ついでにブラック職場での社内いじめが確定してしまった俺は、先行きの不明さと不安に頭を悩ませながらも、まだ見ぬ強敵との戦いに気を昂らせるのであった……!
嘘、めっちゃ嘘。嫌だよおれ戦いたくねぇよ〜〜〜!
(えーっと、気の習得はこのまま続けて、カプセルから出たらトレーニングを……トレーニングって何すればいいんだ? この世界で有名なのは重力トレーニングだろうけど、そんなもん
他にもダブルサンデーとかウィークエンドとか。必殺技の習得や、クソソソさんやしやがってさんを参考にした新しい技も開発したいし……やらなきゃいけない事は山の様にある。
(まずは、ママを守るだけの力を手に入れる。原作を壊さない様にする。原作キャラに会ってみたいし、ゆっくりスローライフもしてみたい……けど、何よりも)
忘れ去られた、この未知の輝きを手にしたのならば。
(帝王だか神だか最強だか。知ったこっちゃ無いが……折角転生なんてものをしたんだ。俺は、俺の道を行く)
ま、行ける所までだけどな。
そんな事を考えながら俺は、これから始まる日々へと思いを馳せたのだった。
オリキャラ
アオーナ→青菜
クサイハ→白菜
適当過ぎるので後で変えるかもです。
因みに元ネタ被りは気にしない方向で、モロ被りは流石に変えます。
下級戦士と上級戦士の選別方法についてですが、戦闘力が1500とか言う古参の下級戦士にも劣る兄貴君は、何故か上級戦士としてベジータ達と行動しているので……。
最低限の戦闘力と、戦闘力一万を超えるバーダックの息子ということで特例として上級戦士になれた、ということにします。
まぁつまり親の七光り(ちょっと違うけど)でコネ入社したのに、使えないからってイジメられてグレたのが原作兄貴ですね(独自解釈)。
幼少期から任務に出されるサイヤ人なので、あまり家族との交流もなく、特に父親とは関係が疎遠だったろうラディッツですが、今作ではしっかりと赤ん坊の時にマザコンになっているので安心ですね(?)。
因みに主人公のドラゴンボール知識は作者と同期しています。
つまり、新しい情報が入ればラディッツ君の行動も変わるって訳。(書き置きゼロの見切り発車)
……と言うことで情報もっと頂戴プリーズ!
あ、すっっごい不定期です。
エタラないといいなぁ……
2/9 一部変更(バーダックのハチマキへの言及カット)