不死な2人目   作:深淵歩けないアルトリウサナイ

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プロローグ

 旅の準備をしながら、朧げな前世の記憶に想いを馳せる1人の男。

 

 この世界の暮らしが悪いわけではない。

 しかし、やはり簡単に捨てる事が出来ない物は、どんなに恵まれた環境にいようと忘れられないものなのだ。

 

 とある辺境にある小さな村。

 その村の近くの森に男は捨てられていた。……古びた乳母車に乗せられた状態で。

 そこで、子宝に恵まれなかった夫婦……後の義両親に発見され、息子として大切に育てられた。

 

 男はここでの暮らしに、不満らしい不満は無かったが、満足かと言われればそうでもなかった。

 男には、所々抜け落ちてはいるが前世の記憶がある。前の世界、とあるゲームを愛していた事はよく覚えている。

 

 デモンズソウルから始まった、死にゲーと呼ばれる、とあるゲーム会社が作ったARPGのシリーズ。

 どれもこれも素晴らしく面白く、楽しかった。

 新作が出てるだろうな、また遊びたいなと……しかし、いくら男が渇望しようとそんな願いは叶う訳がなく、ただ時が流れていった。

 

 そんな男に、数年ほど前に転機が訪れた。

 

 オラリオと呼ばれる場所がある。

 そこにはダンジョンという迷宮があり、地上に降り立った神が人々に恩恵を授け、そして恩恵を受けた者は冒険者と呼ばれ、その恩恵の力を武器にダンジョンに挑んでいるらしい。

 

 オラリオの存在を知った男の道はそこで決まった。

 ゲームとは違う、しくじればそこで終わりだ。だがそんな恐怖すらも気にならないほどに、男にはそれが必要だった。

 心踊る戦いが。

 

 村にいた元冒険者だという人に稽古をつけてもらい鍛え上げた。

 男は現実でも頑張れば再現できそうな戦技や、パリィ、弾きに、狩人のステップなどを駆使して戦った時にはどこでそんな技を覚えんだと少し驚かれもした。

 とはいえ子供のごっこ遊びの延長線のような物だから大したことにはならなかったが。

 

 そして、ついに旅立ちの日が来た。

 

 

 

──じゃあ行ってくるよ。

──父さん、母さん。

 

「ああ!頑張れよ!」

「辛くなったらいつでも戻ってくるのよ!」

 

 

 

 見送る両親に対し、男は"静かな意思"で答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──おーい、誰か居ないか?

 

「はーい!……えーっと、どのようなご用件で?」

 

──ここはファミリアのホームで合ってるよな?入団したいんだが。

 

「ほ、本当ですか!?僕も昨日入団したばかりで……少し待っててください!……神様!入団希望者です!」

 

「本当かい!?……2日連続でだなんて、なんて幸運なんだ!キミ、本当にウチでいいのかい?」

 

──もちろん。

 

「やったあー!では改めて、ヘスティア・ファミリアへようこそ!」

 

──ソウルだ、よろしく頼む。

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