文章的に投稿するのに足りなかったのでかなり足しました。
ニュアンスが変わってる部分もあるかも...ユルシテ...ユルシテ
禪院直哉から見たオリ主
「……はっ。傑作やな、ほんま」
薄暗い和室に乾いた冷笑が響いた。
手元にあった数枚の報告書をゴミでも捨てるかのように乱暴に畳へと放り投げた。
バサリ、と音を立てて散らばった紙の束。
新しいい草の青臭い香りが漂う静寂な部屋の中で写真に写る少女の姿だけが異様に浮いている。
白髪に、水滴のような虹彩を持つオッドアイ。
特級呪物である豪奢なステッキ――『諭示裁定カーディナル』を大仰に突きつけふんぞり返る生意気な姿だ。
添えられた見出しには『特級術師・水都梨那』と、仰々しい文字が躍っていた。
「女が『神』? 笑わせよるわ。悟君の金魚のフンが、偉そうに御大層な二つ名ぶら下げて」
ギリッ、と奥歯が鳴る。
直哉の苛立ちだけが肌にまとわりつくような熱を帯びていた。
直哉にとって水都梨那という存在は不愉快の煮こごりのようなものだった。
第一に女であること。
三歩下がって男を立てることも知らんような小娘がでかい顔をして呪術界を歩いているのが我慢ならない。
第二に五条悟の腰巾着であること。
そして第三に――禪院家嫡男たる自分を差し置いて、等級(カク)が上であることだ。
(特級やて。アホらし。どうせアレやろ? 悟君がお気に入りのオモチャに箔付けさせただけとちゃうんか?)
直哉が本心から認める「強者」は、甚爾や悟のような理不尽なまでの覇気と暴力の匂いを纏う男だけだ。
あんな、お遊戯会の真似事をしているような小娘が、自分より格上?
上層部が危険分子扱いしているという評価すら彼にとっては冗談の域を出ない。
そんなもの、鼻で笑う気にもなれない。
脳裏に蘇るのは、以前、総監部の重苦しい廊下で一度だけ顔を合わせた時のことだ。
上層部の招集があったのだろう。
五条悟の隣を歩いてきた彼女は、直哉の突き刺すような――女を値踏みし、見下す――視線に気づくと、ピタリと足を止めた。
怯えるでも、目を逸らすでもない。
彼女はステッキの柄をトン、と床に突き、ふわりと帽子を直す仕草を見せた。
『やあ、随分と熱っぽい視線だね。僕のファンかな?』
鈴を転がしたような、だが底抜けに尊大で芝居がかった声が廊下に響いた。
『サインなら後で伊地知に頼みたまえ』
(……は?)
直哉の思考が、一瞬停止した。
この俺をどこの馬の骨とも知れん小娘が、あろうことか「ただのファン」扱いしたのだ。
『ぶっ……あははははっ! マジで!? 直哉、お前梨那のファンだったの!? ウケる!』
横で腹を抱えて爆笑する五条悟の姿が、直哉の神経をさらに逆撫でした。
(なんや、このアマ……ッ!)
拳を握り込み、無意識に術式を練り上げていた。
五条悟が横にいなければ、その場で『投射呪法』を発動し、その細い首をへし折っていただろう。
あの時見せた、勝ち誇ったようなオッドアイの視線が、今でも腹立たしい(被害妄想)。
当時の屈辱を思い出し直哉はギリッと畳をひっかくように爪を立てた。
「……ま、ええわ」
だが、すぐに顔を上げ、歪んだ笑みを浮かべる。
「所詮はメッキの剥がれかけた贋作や。いつかその化けの皮、俺がひん剥いだる。……泣いて許しを請うツラが楽しみやな」
恐怖で顔を歪ませ、命乞いをする彼女の姿を想像するだけで、胸の奥から暗い愉悦が湧き上がってくる。
だが、直哉は知らないのだ。
彼は知らない。 その「メッキ」の下に、本物の神座(バケモノ)が潜んでいることを。
そして何より――彼女自身が本当は極度の小心者でありながら、直哉のような手合いを前にしても、決して弱みを見せずに徹底的に「演技(マウント)」を貫き通す、狂気にも似た胆力を持っていることを。
禪院直哉と、水都梨那。
男尊女卑の権化たるエリートと、舞台の主役を演じきる特級術師。
相性は、言うまでもなく最悪である。
――禪院直哉はここ以降、登場しない者とする。
……ハズ、やった。
渋谷事変後の禪院家に関してどっちにするか迷ったので
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直哉:「僕はマグロやない特級や」ルート
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直哉:「人の心が無いんか?自分」ルート