呪術廻戦in水神   作:白黒ととか

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登場しやんかったはずなんや。
ホンマやで?
でも気づいたらこんな事になってたんや。

やからウチは、ワルないで!!!

はぁ、書いてから思ったけどこんなことあるか?????????
無量空処くらった気分や.....。


第◼️幕 領域展開『無量空処』feat.ドブカス1

高専東京校、職員室。

 

午後の日差しが差し込むその部屋で、水都梨那は優雅にティーカップを傾けていた。

だが、その眉間には隠しきれない困惑のシワが刻まれている。

 

「……ねえ、バカ目隠し。僕の耳がおかしくなったのでなければ、先ほどの連絡で『禪院直哉が特級術師に認定された』と聞こえた気がするんだが?」

 

水都の向かい、椅子の背もたれにだらしなく体重を預けている五条悟が、ケラケラと笑いながら応じる。

 

「聞こえてるよ、梨那。間違いなくそう言ってた」

「理解不能だ! 彼は確か『投射呪法』だろう? 確かに速い。だが、特級の基準は『単独での国家転覆が可能か否か』だろう? 1秒を24分割して動きを作る術式で、どうやってその領域に達するというんだい? まさか……」

 

水都は大げさな仕草でカップをソーサーに戻す。

 

「地球の自転でも止めてみせるつもりかい?」

「あはは! それいいね、直哉ならやりかねないかも」

 

五条が適当な相槌を打った、その時だった。

 

 

 

バンッ!!

 

 

 

職員室の扉が勢いよく開け放たれる。

そこに立っていたのは、自信に満ち溢れた笑みを浮かべる男――禪院直哉だった。

 

「ようやく悟くんに追いついたで!! 見とったか、僕の勇姿を!」

 

その瞬間、職員室の時間が凍りついた。

水都の瞳孔が点になり、五条の六眼ですら処理落ちを起こしたかのように瞬きを繰り返す。

 

そこにいたのは、確かに禪院直哉だった。

だが、その格好は常軌を逸していた。

全身を隙間なく覆う、艶めかしいほどの光沢を放つピチピチの全身タイツのようなスーツ。

体のラインどころか筋肉の繊維一本一本まで浮き彫りになりそうなその姿は、羞恥心という概念を母の胎内に置き忘れてきたかのようだ。

そして極めつけは――頭頂部である。

彼の頭のてっぺんには、まるで避雷針かアンテナのように、鋭利な『槍の穂先』が直立不動で装着されていた。

さながら現代のストレッチマンと言ったところか。

 

「ぶっ……!!」

 

沈黙を破ったのは、最強の特級術師二人による爆笑だった。

 

「あーっははははは!! な、何それ!? ねえ直哉、それ何!? 罰ゲーム!? 傑作すぎるんだけど!!」

「く、くく……ッ! あーっ、ダメだ、これは僕の『演劇』の想定を超えている……ッ! なんだその姿は! 新手の呪霊か!? それとも禪院家の最先端ファッションのつもりかい!?」

 

腹を抱えて笑い転げる五条と、涙目になりながら机をバンバンと叩く水都。

しかし、直哉は不満げに鼻を鳴らすと、頭の上の槍を誇らしげに揺らした。

 

「失礼なやっちゃな。これが僕の『最適解』や」

 

直哉は胸を張り、その異様な姿の合理性を説き始めた。

 

「投射呪法を極めれば極めるほど、壁なんは空気抵抗と摩擦熱や。この特注スーツはな、あらゆる抵抗を無効化し、加速に耐えうる特殊繊維を呪具化したもんや。ちなみに『縛り』で一生脱げへんようにしてある」

「脱げないのかい!? 一生その格好で!?」

 

水都が悲鳴のようなツッコミを入れるが、直哉は止まらない。

 

「せや。さらに僕は気づいたんや。武器を持って走るなんざ、空気抵抗の無駄やしダサいとな。せやから『手で得物を持たん』という縛りを課した」

「で、でも攻撃手段が必要だからって……頭に槍を?」

 

五条が笑いすぎて過呼吸になりかけながら尋ねる。

 

「せや! これで僕自身が槍になればええんや! 僕の最高速度はマッハ47.08。加速に45分かかるのが玉に瑕やが、一度トップスピードに乗って都心を横切ってみ? ソニックブームだけでビル群は倒壊、ガラスは粉砕、鼓膜は破裂……通り過ぎるだけで都市一つ壊滅させられる。まさに『特級』やろがい!!」

 

直哉はビシッと親指を立てた。その頭上の槍が蛍光灯の光を反射してキラリと光る。

 

「……なるほど」

 

水都は震える手で紅茶を飲み干し、遠い目をした。

 

「確かに、マッハ47で飛び回る脱げない全身タイツの人間ミサイルが飛んできたら、国の一つも滅びるだろうね……主に社会的な意味も含めて」

「違いない」

 

五条は涙を拭いながら、目の前のシュールな特級術師に、ある種の敬意すら抱き始めていた。

ただ速さを求めた結果、人の尊厳を置き去りにした男、禪院直哉。

彼は確かに、常人には理解できない領域(特級)へと足を踏み入れていたのである。

 

水都梨那はひとしきり笑い転げた後、ふと真顔に戻ると、まるで汚物でも見るかのような冷ややかな視線を、ピチピチスーツの禪院直哉に向けた。

彼女は優雅に足を組み直し、その美しいオッドアイを細めて、劇場の批評家が駄作をこき下ろす時のような口調で語り始めます。

 

「……ハァ。笑いすぎて腹筋が痛いよ禪院特級術師。とは言えだ」

 

水都はティーカップの縁を指でなぞりながら、艶めかしい光沢を放つ直哉の全身を見回します。

 

「君のその姿……『機能美』と呼ぶにはあまりに前衛的で、『変態』と呼ぶにはあまりに直球すぎるね。加速に耐えるため? 空気抵抗を減らすため? ああ、理屈はわかるさ。だがね、そのテラテラと光る素材感……まるで脱皮に失敗した昆虫か、あるいは包装フィルムを剥がし忘れたソーセージにしか見えないよ」

「なんやと!?」

「それに何より、その『一生脱げない』という縛りだ。君は今後、冠婚葬祭も、デートも、トイレも、その恥ずかしい全身タイツで過ごすつもりかい? 想像したまえ。厳粛な御三家の会合で、一人だけ特撮ヒーローの悪役のような格好で座っている自分を。……プッ、いや、想像したらまた笑いが……!」

 

水都は口元を手で覆い、必死に笑いをこらえながらも、さらに鋭い舌鋒を突き刺します。

 

「極めつけはその頭の上の『ソレ』だ。武器を持つのがダサい? ハッ! 自分の頭を槍の柄にする方が、よっぽど美的センスが死滅しているとは思わないのかい? 君は特級術師になったというが、僕には君自身が特級の『動く猥褻物』あるいは『呪いの避雷針』に成り下がったようにしか見えないね」

 

彼女は呆れたように肩をすくめ、とどめの一撃を放ちました。

 

「マッハ47で都心を横切る? 結構だ。だが頼むから、その速度で僕の視界を横切らないでくれたまえ。その姿が残像として網膜に焼き付いたら、精神的苦痛で慰謝料を請求することになるからね。……ああ、可哀想に。速さを求めるあまり、人としての『尊厳』をソニックブームで置き去りにしてしまったんだね、君は」

「……」

 

水都の容赦ない毒舌に、さすがの直哉も反論の言葉を失い、頭の上の槍をプルプルと震わせていたが急に表情が抜け落ちたかと思うと口角がニィと上がり口をひらく。

 

「……ハァ。これやから凡人は困るわ」

 

直哉は呆れたように嘆息し、頭の上の槍をチリン、と指で弾く。

そして、流し目で水都や五条を見下しながら(物理的には槍の分だけ背が高い)、滔々と語り始めた。

 

「美的センスが死滅しているやって? 目ぇ腐っとんのとちゃうか? よう見ぃや、この無駄のないフォルム。空気抵抗係数(Cd値)は限りなくゼロや。君らが着とるそのヒラヒラした衣装に、呪術高専の制服……『空気の壁』を纏って歩いとるようなもんやで? 僕から言わせれば、遅さを自慢してるその格好の方がよっぽど『ダサい』わ」

 

彼は自身のピチピチスーツの光沢を愛おしそうに撫でます。

 

「このスーツはな、僕の『投射呪法』を極限まで活かすための最適解なんや。美しさとは機能に従うもんやろ? つまり、世界で一番速い僕が、世界で一番美しい。この理屈、わからんか?」

 

さらに彼は、かつて自分が刀を持っていたことすら棚に上げ、武器を持つスタイルを全否定した。

 

「それにや。まだ手に得物なんかもっとるん? 時代遅れも甚だしいな。武器振るう動作の分だけ、タイムロスが発生するやろ。真の強者はな、自分自身が凶器になればええんや」

 

直哉はビシッと頭頂部の槍を指差します。

 

「手ぶらでマッハ47.08。これこそが『洗練』や。君らみたいに重たい呪具をジャラジャラぶら下げて……まるで荷物持ちの飛脚やな。ご苦労なこっちゃ」

 

「ま、何を言うても負け犬の遠吠えやな。現に僕はこの姿で『特級』に認定されたんや。悟くんと同格やで? 実績が全てを証明しとる。……悔しかったら、君もマッハで走ってみ? その服じゃ摩擦熱で火だるまになって終わりやろうけどな! HAHAHA」

 

「まぁなんでもいいや実戦といこうよ。見てみない事にはわかんないこともあるでしょ」

 

五条悟の軽薄な提案により、場所は高専からほど近い山間部の演習場――ではなく、太平洋上に浮かぶ無人島へと移された。

理由は単純明快「直哉が本気を出すと東京が更地になるから」である。

 

対戦相手として用意されたのは、高専が保管していた特級呪霊の実験体。

再生能力に特化した、巨大な軟体動物のような化け物だ。

 

「ええか、よう見とけよ。これが『特級』の走りや」

 

浜辺に立つ禪院直哉は、ピチピチの特殊繊維スーツ(脱着不可)に身を包み、頭頂部の槍を海風に煌めかせていた。

その姿は、一言で言えば変質者である。

しかし、彼から発せられる呪力(見た目)は桁外れだった。

 

「じゃ、スタート!」

 

五条の合図と共に、直哉が動き出す。

だが、その動きは予想に反して緩やかだった。

 

「……ん? 遅くないかい?」

 

水都梨那が首をかしげる。

直哉は「フッ、素人が」と鼻で笑いながら、海岸線を走り始めた。

 

「投射呪法のトップスピード、マッハ47.08に達するには『助走』が必要なんや。今の僕の加速シーケンスはな、45分かけんと最高速にならんのや!」

「45分!?」

 

水都が素っ頓狂な声を上げる。

 

「カップラーメンが15個作れるじゃないか! その間、敵が待ってくれるとでも!?」

「せやから、お前らが時間稼げや! 45分後、僕は神になる!!」

 

言い捨てると、直哉は海面を蹴り、水平線の彼方へと走り去ってしまった。

残されたのは、五条と水都、そしてポカンとしている特級呪霊のみ。

 

「……どうするんだい、これ」

「ま、お茶でもして待とうか。梨那、お菓子持ってる?」

「マカロンならあるが……いや、そうじゃなくて!」

 

結局、二人は特級呪霊を適度にいなしながら(五条が無下限で遊び、水都が『サロン・ソリティア』のクラバレッタさんで小突いて)、暇を潰すことになった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

そして、45分後。

 

「そろそろだね」

 

六眼を持つ五条が、空を見上げてニヤリと笑う。

水都にはまだ何も見えないし、何も聞こえない。

 

「来るのかい? 音もしないが」

「梨那、マッハ47.08だよ? 音なんて、彼が通り過ぎて忘れた頃にやってくるさ」

 

 

直後だった。

 

 

水平線の彼方で、海が割れた。

波が立つのではない。

海面そのものが、巨大な見えざる斧で断ち切られたかのように、左右に爆ぜたのだ。

 

 

視界の端に、銀色の閃光が走ったと認識した瞬間――。

 

 

 

 

 

ズドンッ!!!!!!

 

 

 

 

音よりも速く、衝撃そのものが物理的な質量を持って叩きつけられた。

特級呪霊の巨体が、一瞬にして挽肉以下の霧となって飛散する。

 

だが、それは「攻撃」と呼ぶにはあまりに災害的すぎた。

直哉が通り抜けた余波――ソニックブームの塊が、島全体を襲う。

 

 

「うわああああああああ!!??」

 

 

水都の悲鳴は、轟音にかき消された。

暴風ごとき生易しいものではない。

大気が圧縮された衝撃波が、島の樹木を根こそぎ引っこ抜き、岩盤を粉砕し、海水を数キロメートルの高さまで巻き上げる。

 

五条が咄嗟に展開した『無下限』のバリアがなければ、水都もろともミンチになっていただろう。

 

「あーっはははは!! すごいねこれ! 台風直撃より酷い!」

 

爆笑する五条の横で、水都は髪を逆立てながら必死に地面にしがみついていた。

 

「アレはバカなのかい!? ただの通り魔じゃないか!!」

 

島の中央には、深さ数十メートルに及ぶ巨大なクレーターが穿たれていた。

その中心、抉れた大地の底に、頭の槍を地面に突き刺して逆立ち状態で停止している禪院直哉の姿があった。

 

その全身からは凄まじい摩擦熱による蒸気が立ち上り、特殊スーツは赤熱して輝いている。

 

「……見たか」

 

直哉が、地面に頭(槍)を刺したまま、器用に身体をひねってこちらに親指を立てた。

 

「これが、マッハ47.08(特級)や」

 

その直後、遅れて届いた衝撃波の残滓が、島に残っていたわずかな瓦礫を吹き飛ばした。

 

「……確かに」

 

水都は砂まみれの顔で、呆然と呟く。

 

「あの速度で突っ込んでくる『脱げない全身タイツの槍男』を止められる存在なんて、地球上にいないかもしれないね……」

「だね。ただ一つ問題があるとすれば」

 

五条が顎をしゃくる。

 

「減速にも時間がかかるから、彼、止まるために地球をあと二周くらいしてこなきゃいけなかったんじゃない?」

 

直哉の顔色が、みるみる青ざめていく。

どうやら、勢い余って地面に突き刺さることでしか、急停止できなかったらしい。

 

「……首、折れたかもしれへん」

「特級術師、禪院直哉。再起不能(リタイア)!」

 

五条の高らかな宣言が、破壊された無人島に虚しく響き渡った。

 

五条悟は、無人島を半壊させた直哉の「特級認定」について、ハンカチで涙を拭い(笑いすぎたため)ながらも、最強の術師らしい冷徹な分析眼で評価を下す。

 

「で、どうなんだいバカ目隠し。あれは本当に『特級』と呼べるのかい? 僕にはただの『制御不能なミサイル』にしか見えなかったが」

 

水都梨那の問いに対し、五条は瓦礫の山となった無人島を見下ろしながら、珍しく真面目なトーンを含ませて答えました。

 

「結論から言えば、認定自体は妥当だね」

 

彼は指を一本立てて解説を始める。

 

「特級術師の選定基準は『単独での国家転覆が可能か否か』だ。さっきのを見たでしょ? マッハ47で低空飛行されたら、ソニックブームだけでガラスは割れるし建物は倒壊する。彼が東京から大阪まで『ただ走るだけ』で、日本の都市機能は壊滅するよ。これを国家転覆と言わずして何と言う、って話」

 

五条は肩をすくめます。

 

「呪力出力が高いとか、領域展開が使えるとか、そういう次元じゃない。『災害』としてカウントできるから特級。その点において、あのピチピチスーツの槍男は合格だよ」

 

「ただ、『対人戦』や『術師同士の戦い』で強いかと聞かれれば、答えはNOだ」

 

五条は意地悪く笑いました。

 

「加速に45分かかるんでしょ? 僕ならその間にカップ麺を食べて、映画を一本見て、シャワーを浴びてからアレを殺せる。45分間、敵が待ってくれるわけないじゃん」

「確かに。今の彼は『初動が遅すぎる』という致命的な弱点を抱えているね」

「それに、一度走り出したら小回りが効かない。直線番長にも程があるよ。彼がマッハ47に達する前に潰すか、あるいは進行方向に落とし穴でも掘っておけば勝手に自滅するんじゃないかな」

 

ここで五条は再び吹き出しそうになるのを堪えました。

 

「あと、あの見た目ね! 『武器を持つのがダサい』からって自分が武器になる発想……嫌いじゃないけど、御三家の当主があれじゃあ禅院家の威厳はマイナスだね」

「全裸に見えるスーツに、頭に槍……。変質者として通報されるのがオチだ」

「でも、その『恥』を捨てて、さらに『脱げない』『手を使わない』という縛りで出力を上げている点は評価してあげてもいいかな。『速さ』という一点のみに全て(人生含む)を捧げた狂気。それは呪術師としてあるべき姿の一つだよ」

 

 

五条は最後に、地面に刺さったまま救助を待っている直哉(槍)を指差し、楽しそうに結論づけた。

「彼はね、もう『呪術師』じゃないよ『再利用可能な有人弾道ミサイル』だ」

「運用コスト(社会的尊厳の喪失)が高すぎる兵器だね……」

「ま、高専としては『敵基地攻撃能力』として保有しておく分には悪くないんじゃない? 使うときは誰も見てない深夜に限るけどね!」

 




直哉にとって「ダサい」という言葉は「進化についてこれない旧人類の戯言」として処理されてしまった。

彼は本気で自分の姿を「最速の機能美」と信じ込んでおり、むしろ「脱げない」という呪いの縛りすら「覚悟の証」として酔いしれているため、ファッションセンスを攻撃してもノーダメージ(むしろ優越感を刺激するだけ)でした。

詰みや。
チャンチャンやね。

渋谷事変後の禪院家に関してどっちにするか迷ったので

  • 直哉:「僕はマグロやない特級や」ルート
  • 直哉:「人の心が無いんか?自分」ルート
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