スタレ世界に転生!?アラスターなりきり人生満喫します 作:黒しゃぶ曜日
ここまで原作登場キャラが出てこないスタレ二次小説ってここくらいでは...?
大樹「穹桑」を訪れた私は、
これから反物質レギオンの軍団に滅ぼされる運命である豊穣の民、造翼者と交渉していた。
どうやら彼らは真空空間でも生身で活動し、時速400kmで飛行できるらしい。
何故その便利な力を侵略に使い、資源を略奪に頼って生活しているのか。
元日本人としては理解できない文化であるが、存分に利用させて貰おう。
生憎だが、歩離人の同類相手にフェアトレード精神なんて持ち出すようなお人よしではないのである。
勿論笑顔は忘れずに。
交渉において、笑顔は武器になる。
「初めまして!私はアラスター!
しがないラジオキャスターでございます!
本日は皆さまと、とても有意義な取引の為参りました!」
「塵民よ、翼が無い者はやはり頭も縮むらしい。
ノコノコと一人でここに来た時点で、自分がこれからどうなるか分からぬのか?」
完全に舐められている。
話にならないので、早速一枚目のカードを切る。
「AHA!あなた方の頭、羽皇の望みを考慮するならば、
私の言葉に耳を傾けることが最善でしょう!」
「...ほう。」
食いついた。
「そもそも何故あなた方が、
態々略奪というとても非効率的な手段に頼りきっているのか。豊穣の民であるにも関わらず、自分達で種族を支えられる資源を生めない。しかし、忌々しい天弓の神のせいで仙舟への侵略は非現実的...豊穣の名を冠しながら、常に飢えている...
これだから運命というものは面白い!」
「...」
「そこで!
私はそれらの悩みを解決する手段を提示しましょう!」
「お前如きにできるとでも?」
「YES!
まず初めに、私は仙舟の軍に伝手があります。
情報の横流し程度は容易いかと。」
「ふむ...続けろ。」
「そして仙舟には、
歳陽という仙舟に恨みを持つエネルギー生命体が大量に封印されています。
侵攻時に彼らの封印を解くことで、より戦場をかき回せることでしょう。
私はその手の術にも詳しいので、
誰にも悟らせずに工作が可能です。」
「それなりにお前が使えるのは分かった。それで、資源の方はどうするつもりだ?」
「同じく歳陽を使います。彼らは豊穣のエネルギー生命体。
彼らを利用したこの装置はこの地によく馴染むでしょう!」
そして、彼らにヴォックスを封印したエネルギー生成装置を見せる。
本編で語られていた物を、私とヴォックスが共同で改造したものだ。
どうせ絶滅大君「星嘯」に壊滅させられる種族なのだから、
ここでヴォックスにひと暴れしてもらう為の踏み台の役割を担当させようではないか。
『この✕✕✕✕✕!!(歳陽スラング)ここから出しやがれ!!』
「私が確保したこの強大な歳陽なら、
あなた方の役に立てるでしょう。」
「...」
以前の道場師範との戦いで、偶然ヴォックスが急成長したお陰でこの交渉を通せるようになった。
並みの歳陽とは比べ物にならないエネルギー生成効率。
本当は彼らを千年単位で賄うにはパワー不足なのだが、
いかにもそれっぽく仕上げた資料を渡せば満足そうに笑みを浮かべている。
ヴォックスの迫真の演技にまんまと騙され、私の発言を信用し始めたようだ。
まだこちらにはスターピースカンパニーの干渉も少ない時代、略奪を繰り返すだけの彼らに当然このような専門的知識など無いし、交渉術など皆無に等しい。
装備に至っては数十年前の歩離人の装備の流用品。
この有り様でかつては仙舟を滅ぼしかけたというのだから、
如何に彼らの飛行能力が厄介かが分かる。
「加えてそちらに仙舟の武具もお譲りします。
歩離人の装備など重くて使いづらいでしょう?
朱明で鍛造された代物の方がそちらには馴染むのでは?
回収方法ですが、武具を収めた星槎を飛ばすので襲撃してください。
乗員は殺しても構いません。」
まぁ普通の武具を渡すなど一言も言っていないのだが。
「こちらが欲するのはこの『穹桑』の枝。
そしてあなた方の頭、羽皇殿との決闘です。」
「...は?お前、自分が何を言っているのか分かっているのか?」
「
私、一度挑んでみたかったのですよ!」
「豊穣の使令とやらに!!」
ここで初めて紛うことなき本音をぶちまける。
ジャイアントキリングに挑んでこそのアラスター、
豊穣の使令「倏忽」と殺り合う為に、強大な敵との経験をそろそろ積む必要がある。
無論負ければタダでは済まないだろう。運よく死を免れても間違いなく造翼者の奴隷となる。
しかし、その程度で怯むアラスターではない。
アダムだって殺してみせよう。
「そうですねぇ...
物資をそちらに渡し、情報をある程度流した後からでも構いません。
羽皇殿に取り次いで頂けないでしょうか。
これらの条件で術を介した契約を提案しましょう!」
「...良いだろう、話を通してやる。」
数十年後、十王司にて...
「ご機嫌用、判官殿!
仕事の依頼をお持ちしました!」
「アラスターか、どうした。」
いつもの様に罪人を踏み台にのし上がろうとして逆に絡めとられたあの日、
私の共犯者となったアラスターが話しかけてきた。
「朱明の武具を羅府に輸送する際の護衛依頼です。
判官の立ち合いが必須とのこと。かなりの量だそうで、
適当に星槎で突っ立っているだけで評価されるでしょう!」
「ふむ...」
「私も同行するので、安心してください。」
「そうか、ならお前に任せ休むも良しか...」
あれから裏切られるのではないかと疑っていたが、彼はあの時の約束を破ることなく働いている。
私と部下、協力者達の活躍を積極的に放送で紹介し、大いに立ち回りやすくなった。
他の派閥からの間者の類も増えつつあるが、全て彼が追い返している。
お陰でこちらの不正は全く漏れていない。
まさに順風満帆といったところだ。そろそろ将軍との繋がりも得られる頃合いかもしれない。
「では早速仕事に向かうとしよう。」
おかしい、これまでずっと上手くやってきたはずだ。
どうしてこんな事になっている...?
星槎が燃えている。このままでは墜落してしまう。
地上は遥か下にあり、雲騎軍は間に合わないだろう。
このままでは、死ぬ。
「だ、誰か...!アラスターは...!?何をしているんだぁ!」
護衛していた星槎が妙に高い標高を維持していることに違和感を覚えた直後、造翼者の集団に襲撃された。
何故ピンポイントで大量の武具を輸送していたこの星槎が狙われた?
アラスター抜きで考えれば非常に護衛が少ないこの星槎を?
奴さえいれば容易く防げた程度の規模で、何故こうも容易く全滅しかけている?
...まさか。
「探しましたよ判官殿、随分と無様な姿ですねぇ?」
「あ、アラスター......お前...」
笑う。
「あの契約はどうした!私のことを守る約束は!?」
「ちゃんと契約は果たされていますよ?
『私のが近くにいる時に限定される』という条件で。」
悪魔が嗤う。
「な、何を...」
「簡単な術を用いた幻ですよ!
持明族には姿を消す術がありまして、それの応用に過ぎません。詳しい者が見ればアッサリ見破れるでしょうが、この星槎に他の判官はいませんからねぇ!
本物の私は今地上で茶を嗜んでいますよ!」
「ば、馬鹿な...」
こんなアッサリと終わるのか、私の人生は。
これからだというのに。まだまだ満たされてなどいなかったのに。
「さようなら、
私が
「この...裏切り者があぁぁぁぁ!!」
造翼者の刃が、無慈悲に振り下ろされた。
『なんということでしょう!
羅府へ向かっていた星槎が、突如として造翼者に襲撃されました!搭乗していた判官○○は、タレコミによると数々の汚職を繰り返していたとのこと!
多くの功績を残し、民から支持を得ていた彼ですが、
どうやら裏の顔は泥と血で汚れていたようです!』
ラジオが、仙舟に響き渡る。
全てを嘲笑いながら。
(『
ここで普通に死なれては、死後に他の派閥からの探りを入れられ私まで巻き添え。
疑いの目は向けられるが、泥船はさっさと捨ててしまうに限る。
『彼と癒着していた者達が続々と逮捕されているようです!
続報が入り次第、精力的に放送いたしましょう!』
『ではそろそろお時間ですね!
私、アラスターがお送りしました!
それでは皆様ご機嫌用!』