私の術式は対象の7:3地点に強制的に弱点を作り出す。それだけです。 作:Desktop poison
原作:呪術廻戦
タグ:残酷な描写 原作キャラ生存 ハッピーエンド 主人公最強 キャラ改変 キャラ崩壊 単発ネタ 原作崩壊
解釈違いでも許して☆
───何日、いや、何時間経っただろうか。
夏の終わりを急くかのように、今日の気温は過去五年間の東京最低気温を突き抜けた。
秋の鋭い冷気が、私の焦る思考を冷やしていく。
私の名前は七海建人。今はサラリーマンとして■■社に勤務している。元呪術師だ。
私はクソみたいな世界から解放されたかった。私が呪術師として働いていた時も、サラリーマンとして働いている今も、そんなことばかり考えている。
私が呪術師を辞めてから二年が経った。就職活動には少し苦労したが、その大半は驚くほどスムーズに行われた。
私がサラリーマンとして働いて一年半が経過した。私が呪術師として祓うべきだった呪霊は、後続の誰かに祓われたのだろうか、それともまだ生き残っているだろうか。
いつも私と行動を共にしていた灰原を亡くしてなお、私は呪術師という職業に熱が持てなかった。私は、些細な幸福を感じることが出来なくなった。ただ、決して叶わない理想だけが私の心から熱を奪う。
─ある日のことだった。その日は、退職した同僚の荷物の片付けを手伝っていた。年齢が離れている割には、良く話していた社員だった。なんでも、起業をするらしいが、彼には無縁な話だった。
…ふと、荷物を持つ手が止まる。その書類には、世界地図がプリントされていた。それは大衆向け旅行サービスについての起案書だった。
七海建人に地理は分からない。それは、彼が任務だらけの学校生活を送っていたからだ。
ただ、
それでも、
彼が今まで発動して来た術式と、それによって得た直感。
それらが彼の記憶からある知識を引っ張り出した。
地球上における海と陸の面積比は7:3。
その日は最低な日だった。何人もの補助監督が殺された。
当の殺した犯人は何の罪悪感も抱いていなかった。
磯の香りがする。あるいは血の匂いか。
目の前に悠然と立つ呪霊は変態を契機として私たちとの戦力差を軽々と覆した。
禪院直毘人と禪院真希。それと私。普通は一級術師が二人も揃えば相手が特級であっても祓うことはできる筈だった。
件の呪霊…名は確か陀艮だったか、奴は私たちだけではどうしようもないほど強かった。
綺麗な砂浜とは裏腹に向けられる攻撃は必中かつ強力。
御三家は当然領域の対策となる術…簡易領域に類するものを習得しているだろうが、私は何の対策もしていない。
私がここで死ぬのは必定に思えた。
勿論、タダで死ぬつもりはないが。
眼前に迫る魚群を捌きつつ、思考を巡らせる。
思い出されるのは私の術式『十劃呪法』。
対象の7:3地点に強制的に弱点を作り出す。それだけだ。
今まではこの術式とこの身体能力だけで十分対処可能だった。
しかし、この呪霊にその理屈は通用しなかった。もし、拡張術式である『瓦落瓦落』を命中させたとして、奴を祓うことは出来ないだろう。八方塞がりである。
今、ここで自分の限界を超える必要がある。
状況を再確認する。前方30m、陀艮。十劃呪法の有効圏内にはあるが、打撃はできない。領域の風景は砂浜。打撃をする際に踏ん張りが効かない恐れがある。
──砂浜?
一度は、いや、何度だって夢想した。私はいつか安寧の海辺で生を謳歌したい。
ふと、サラリーマン時代に見た世界地図がフラッシュバックする。
世界の海と陸の面積比は7:3。そして、私の術式はそこに強制的に弱点を作り出す…
魚群を迎撃する鉈から黒い火花が飛び散る。
その瞬間、世界が広がった気がした。
かつて経験したどんな黒閃よりも鮮明に、自然に、それは私に呪術の核心を掴ませた。
私は魚群の迎撃の全てを放棄し、砂浜、いや、この仮想世界の地球全てに鉈を振りかぶった。
地球を術式対象に取り、海と陸の境界線…砂浜にこの世界の弱点を作り出す。
私はそれを叩き切った。
領域が崩壊する。陀艮が驚いたようにこちらを見るが、さすがは特級である。瞬きの間に距離を詰め、殴りかかってきた。
今なら、あのツギハギ呪霊の気持ちが少し、解る。
圧倒的な呪術に対するインスピレーション。それらを余すことなく消費する。
「領域展開」
瞬間、世界が塗り変わる。風景は先程と同じような砂浜であるが、そこに込められた術式効果は十劃呪法。その拡張。
この領域に閉じ込めた時点で七海建人の勝ちが確定する。
陀艮の腹部に、鉈をぶつける。
結果、陀艮は爆発四散する。
七海建人の領域、『破地戒平』。その効果は対象を陸と海の境界として分断する能力。この効果は必中ではなく七海建人が攻撃を命中させなければ発動しない上、一度発動した時点で領域は崩壊する。
この条件でも、術式が焼き切れた状態の陀艮相手であれば勝ちは必定だった。
特級呪術師、七海建人。彼は未来を救う───
深夜テンションで書きました。後悔はありません。