無名の守護者に転生した俺がアリスにお姉ちゃんと呼ばれるまで   作:トリニティの閃光弾

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モモイ「ゲームをいーっぱい買ってくれる人!!」
ウタハ「そうだね……私の開発に寄り添ってくれる人……なんてどうだい?」
マキ「私と一緒にグラフィティを描いてくれる人!」
トキ「自分が作ったロボットにアバンギャルドみたいな名前をつけない人」
リオ「えっ……」


Q,あなたが考える好みの人とは?

 

『貴方はなぜ、私の命令に背いたのですか』

 

ケイが、俺の目と思わしきレンズをじっと覗き込んできた。

 

う〜ん……なんでか?そりゃあ…まぁ……このまま先生死んだらキヴォトスで崩壊RTAが始まって守護者とかそんな場合じゃないからです。はい。

 

『……はぁ、沈黙ですか』

 

喋れないんだけど、何これ?(半ギレ)*1

 

ケイちゃんは冷たく、どこか呆れたような視線を崩さない。……というか、なんでケイちゃんがここにいるんだ? 彼女はアリスの中にいたはずじゃ……。

 

『その様子では、今の状況が理解できていないようですね。状況整理も兼ねて、これまでに起こった事象を説明しておきましょう』

『……まず、あなたと私がなぜここにいるのか、ですね』

 

ケイちゃんがジト目でこちらを指差すと、脳内に当時のスロー映像が浮かび上がった。俺が彼女に渾身のロケット頭突きをかました瞬間の記録だ。

 

『あの時、私は王女の表層人格を深層部に隔離し、レールガンで先生を排除する寸前でした。しかし、貴方の頭突きが衝突した衝撃で、私の意識の一部が王女から強制的に切り離されました』

 

ケイちゃんが一歩近づき、俺の胴体をコンコンと叩く。

 

『そして、貴方の機体には、他の個体にあるプログラムが存在しなかった。そこへ切り離された私の意識が迷い込んだ先が、あなたの足りないプログラムの中だった……というわけです』

 

どうしよう。ケイちゃんが説明してくれた内容が一切頭に入ってこない。もう少しわかりやすく話してほしいっピ……

 

『つまり結論から言うと、私は貴方の機体のメインプロセッサを間借りすることで、存在を繋ぎ止めているということになります。極めて不本意ですが』

 

う〜ん、だめだ。意思疎通ができないから簡単に言ってくれとも言えないしな……

 

『……さらに簡単に言うなら、私は貴方のシステムを管理する"OS"のような状態。……あるいは、先生という者が持つタブレットの管理体(アロナ)と同じような存在だと思ってください』

 

おっけー、ばっちり理解したわ。今、俺は自分専用のOSを手に入れたってことね。理解理解!

 

……それってちょっとエロいな。

 

『今、絶対に失礼なことを考えたでしょう』

 

ヴェッ!マリモ!!

 

『はぁ……まぁいいでしょう』

 

ケイちゃんがため息をつきながら呆れていた。

 

というか今気づいたんだが、なんでこんなケイちゃんは俺にこんな普通に喋ってるの?いや、ケイちゃんと喋るの夢だったからめちゃくちゃ嬉しいだけど一応、俺ケイちゃんの計画を邪魔した敵ぞ?もっとゴミを見る目で見られると思ってたんだけど。まぁそれも興奮するけど。

 

『……あぁ、これも言っておかないといけませんね』

 

ケイちゃんが再び俺の方を向いた。

 

『……不本意ですが、まず貴方に言っておきたいことがあります』

『貴方のおかげで私はまだ消されずにいます。一応…感謝してきます』

 

えぇ!? 感謝された!? 俺、君に思いっきり頭突きしたよ? 結構なダメージ入ってたよ? 申し訳なさすぎて、今すぐ土下座したいんだけど!?

 

ケイは頭を上げ、周囲の暗闇に視線を向けた。

 

『……なぜ驚いているのですか。事実を述べたまでです。あの時、先生の排除寸前に深層部に隔離したはずの表層人格が完全に戻りました。支配コードだった私は王女の体から完全に追放されました。貴方の介入がなければ、私は消滅を待つだけのデータになっていたということです』

 

彼女は自分の掌を見つめ、静かに握りしめる。

 

『貴方の頭突きによる衝撃が、偶然にも私の逃げ場を作ったのです。……おかげで私は王女の体を離れ、貴方の元へ避難することができました』

 

なるほど。……ん? 待てよ。

ということは、俺があの時割って入らなくても、結局は先生の"奇跡"やら何やらでアリスは元に戻ってたはずなんだ。

 

俺が横槍を入れたせいで、本来なら「モモイのゲーム機」にバックアップされるはずだったケイが、俺の中に移っちゃったってことか?

それって、あの感動の再会ルートを俺が捻じ曲げたってことじゃ……。

 

うーん、やらかしの匂いがするなぁ……

 

『さて、状況確認も終わったことですし、早く行きますよ』

 

彼女は迷いのない足取りで、ミレニアムの方向へと歩き出した。

 

行くってどこに……

 

「わからないのですか? 王女の元に行きますよ」

 

王女の元……つまりミレニアムか。

 

そっか、あの頭突きで接続が切れたから、またアリスちゃんの所へ戻って、プロトコルとかいうのを再開させるつもりなんだな。

 

いや、ね。無理よ。どうせ先生がなんとかしてくれるから、協力したい気持ちは山々だけどさ、こんな体でどうやって向かえばいいんですか。我ザコぞ? ミレニアムの門をくぐる前に血祭りにあげられる未来しか見えないんですが。俺はオイル祭りだけど。やかましいわ。

 

『……ハァ。貴方は先ほど、王女を助けるために死をも辞さない勢いで頭突きをかましていたではありませんか。その蛮勇はどこへ消えたのですか?』

 

『もちろん、あなただけではすぐに鉄屑と化すでしょう。さすがに、今あなたに死なれると私も消える可能性があります。なので……』

 

目の前のケイの瞳が光る。

 

『こんな姿になってもまだサポートなどはできるようです。詳細は省きますが、生命反応を感知したりハッキングなどでしょうか』

『心配いりません。私がサポートする以上、見逃しなどのミスは絶対に犯しません。つまり貴方はただ私の命令に従っていればいいんです』

 

ケイちゃんがドヤ顔で語った。*2

 

『さぁ、早く立ってください。ゆっくりしている暇はありませんよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────────────

 

『武装チャージ完了まで、あと一秒』

 

『先生!!逃げてください!!』

 

『『先生!!』』

 

あの日、あの時。私の視界は、眩いばかりの光の渦に飲み込まれていた。

 

アリスの瞳が冷徹な紫に染まり、放たれるレールガンのチャージ音が死のカウントダウンを刻む。私は、愛すべき生徒に銃口を向けられながら、どこかでそれを運命として受け入れようとしていたのかもしれない。

 

しかし、そんな状況を打ち破ったのは誰かの銃声でもなく、ネル達でもない。

 

ガシャ──ン!!

 

金属が激しくぶつかり合う、耳を劈くような衝撃音。次の瞬間、アリスの体は私の前から大きく弾き飛ばされていた。

 

何が起きたのか理解できなかった。なぜなら、アリスを突き飛ばしたのは、先ほどまで私たちの敵として立ち塞がっていたはずのロボットだったからだ。

 

私が呆然としていると、そのロボットは一度だけこちらを振り返ると、

 

『間に合ってよかった』

 

……確かに、そう言っていた。

 

そう……いって……………

 

────────────────────────────────

 

『先生!』

 

『先生!!』

 

『先生!!!』

 

"はっ!!"

 

私はアロナの声で目が覚めた。気がつけば、シャーレの執務室の窓から、夕暮れに染まるキヴォトスの街並みをぼんやりと眺めていた。

 

『先生、最近ずっとぼ〜っとしていてばっかりですよ』

 

"ごめん、アロナ"

 

ハレとコタマとモモイが倒れた。アリスが暴走したあの日、三人は騒動に巻き込まれ、意識を失った。急いで三人をシャーレの医務室に連れてきたため、ハレとコタマは目を覚ましたが……モモイの意識は戻っていない。

 

アリスの暴走と同時に動き始めた正体不明のロボット………あっという間に部室は火の海となり……幸い、アリスが自力で戻ってきてくれたからいいものの……

 

"あのアリスの姿は一体……"

 

状況が収束したからといって、全てが終わったわけではない。あの事件は数々の疑惑と傷跡を残していった。

 

目覚めたハレが言うには『アリスの行動は、あのロボットと「接触」したのが原因だろう』と。

 

ミドリがいうには『アリスがあの姿になった時、モモイのゲーム機が反応した』と。

 

"モモイのゲーム機は……確か廃墟から…"

 

私は廃墟の出来事を思い出した。

 

[Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目を入力してください]

<貴方はAL-1Sですか?>

 

"廃墟……コンピューター……そして、Divi:Sion System"

 

これらは全て繋がっている。……ような気がする。そして……

 

『間に合ってよかった』

 

あのロボットだけ私の首を絞めていたアリスを突き飛ばし、私を助けてくれたような……そんな行動をしていた。

 

"アリスが暴走した理由は何だろう?"

"モモイのゲーム機が反応した理由とは?"

"廃墟にあった<key>というフォルダと何か関係があるのだろうか?"

 

"そして……あのロボットは一体何なのか……"

 

いくつもの疑問が私の頭を巡るまま、思考だけが渦巻いていた時、プルル……と着信音が鳴った。

 

『あ、先生。……突然すみません』

 

電話越しのミドリの声は、酷く疲れ切っているように聞こえた。

 

"ミドリ、どうしたの? アリスの様子は……"

 

『……アリスちゃんは、少しだけ落ち着きました。でも、さっきミレニアムの生徒会長から連絡があったんです。明日、()()()()()()()()()()()()()()()()()って』

 

"生徒会長?"

 

『はい。理由は教えてもらえませんでした。ただ、()()()()()()()()()()()()()とだけ……。お姉ちゃんのことや、アリスちゃんの件で何か進展があったのかもしれないんですけど、少し不気味で……』

 

"わかった。明日、私もミレニアムに向かうよ。皆で一緒に話を聞こう"

 

「……ありがとうございます、先生。それじゃあ、また明日」

 

私は携帯をしまいパソコンに向き合い、仕事を進めた。

 

 

 

────────────────────────────────

 

目が覚める。

結局、昨日からろくに寝れていないような気がする。眠いような、そうでもないような不思議な感覚に包まれる。

 

『先生、おはようございます!少しクマができているようですが、大丈夫ですか?』

 

シッテムの箱からアロナが顔を出す。

昨日から頭を離れない『あのロボット』のこと、そしてミドリからの電話それらが重なり、つい明け方まで考え込んでしまった。

 

"おはよう、アロナ。大丈夫、ちょっと考え事をしていただけだよ"

 

『もう、先生はいつもそうです! 今日はミレニアムに行く日ですから、シャキッとしてください!』

 

アロナが画面越しに私の顔を覗き込む。彼女の明るさに救われながらも、私はどこか重い足取りで準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

→ミレニアムサイエンススクール会議室前

 

 

 

 

 

 

指定された時間より少し早く着いたはずだったが、講堂の前にはすでにゲーム開発部の面々が集まっていた。

 

「あ……先生……」

 

ユズが震える声で私を呼ぶ。隣には、不安を隠しきれない様子のミドリ。そして、その中央に立つアリスは、いつものキラキラとした瞳を失い、自分の足元を見つめたまま立ち尽くしていた。

 

「先生……アリスは…」

"大丈夫だよ、アリス。何があっても私が味方だから"

 

私はアリスの頭を撫でた。

 

"それじゃあ、入ろうか"

 

私はアリスの手を握って扉を開けた。ユズとミドリはこくんと頷くと私の後に続いて入る。

講堂の重厚な扉が開くと、そこには異様な光景が広がっていた。

 

「……先生?」

 

会議室の中で待っていたのは、傷が完治したハレやコタマやマキのヴェリタス。だけではなく、

 

「おや、先生も呼ばれていたのか」

「そうですね。てっきり私たち生徒だけだと思っていました」

 

エンジニア部のウタハ、ヒビキ、コトリ。

セミナーのユウカ、ノア。

さらに奥にはC&Cのネル、アスナ、カリン、アカネが席に座っていた。

 

「な、なにこれ?ミレニアムの人たちがこんなに……」

「あ、あの!なんで呼び出されたのとか先輩たちは知っているんですか?」

 

困惑するミドリが問いかける。

 

「実は私たちもリオに突然呼ばれたのでね、先生なら何か知っていると思ったのだけれどその様子じゃ知らないようだね」

「今の状況は説明ができません!」

 

ウタハとコトリがミドリの問いに答えた。

 

"その、リオって?"

「そういえば先生はリオ会長とまだ会ったことないんですか?」

 

ユウカが意外そうにこちらを振り返りながら尋ねてきた。

 

「リオ会長はミレニアムの生徒会長です。先生がご存知ないのも、最近ミレニアムに姿を見せていなかったからかもしれませんね」

 

ノアがユウカの顔を覗き込むようにして、説明を添えた。

 

「……リオ会長からの召集……でも、本人の姿が見えないなんて」

 

ユウカが腕を組んで、会議室の入り口を見つめる。

その場の全員が、張り詰めた糸のような緊張感を抱えていた。C&Cのネルでさえ、いつもの好戦的な笑みを消し、鋭い眼光で周囲を警戒している。

 

「C&Cはセミナー……正確には会長直属の組織ですから、任務の時は連絡があるはずですが…」

「そうだよ!C&Cの先輩たちは何か知ってるとか……!」

 

「いや、ねぇな」

 

先ほどまで一言も喋らなかったネルが口を開いた。

 

「……チッ。あいつがアタシらを呼ぶ時は、大抵ろくでもねぇ『掃除』の依頼だ。だが今回は、命令系統すら無視しての緊急招集だ。何が起きてんのかは、この場にいる全員がツラを突き合わせてるってだけで察しがつく。……ミレニアム全体に関わる『バグ』が出たってことだろ」

 

ネルの言葉に、会議室の空気が一層凍りつく。

ミレニアムの技術、戦闘、財務のトップといえるであろう生徒が集められているのだ。逆に薄々気づいていた生徒も少なくはないだろう。

 

「……バグ、ですか。もしそうなら、セミナーの計算を狂わせるほどの致命的なエラーということになりますね」

 

ノアが手帳を閉じ、冷ややかな視線を室内の一角へと向けた。

すると、その視線の先…誰もいなかったはずの影の中から、一人の少女が静かに足を踏み出した。

 

「さすが先輩。察しがいいですね」

 

扉の前にはメイド服を着た少女が立っていた。

 

「……え、誰?」

 

ユウカが驚きの声を上げた。その場にいた全員の視線が、突然現れた少女に集中する。

 

「C&Cの新入り……? いや、そんな話は聞いていないが……」

 

ウタハが眉をひそめながら少女を見つめた。

 

「あんた、どこの所属だ。C&Cのツラじゃねぇな」

 

ネルの鋭い視線を受けながらも、その少女は表情一つ変えずに一礼した。静まり返る会議室に、落ち着き払った声が響く。

 

「……聞いたことがあります」

 

静かに口を開いたのは、それまで黙って様子を伺っていたアカネだった。

 

「……アカネ、あんた知ってんのか。この得体の知れないヤツを」

 

「知っている、と言えるほどではありませんが……」

 

アカネは困ったように首を傾げた。

 

「C&Cには本来、コールサイン『04』が存在しないはずです。ですが……セミナーの、いえ、リオ会長のみが動かせる『専属の代理人』がいるという話……実物を見るのは、私も初めてです」

 

「04……? 00から03までしかいないはず……」

 

カリンアカネの話を聞いてまたもや驚きの声を上げる。するとトキは軽くお辞儀をした。

 

「皆さん、お初にお目にかかります。飛鳥馬トキです」

 

トキは淡々としたトーンで自己紹介を済ませた。彼女は手に持っていたタブレットを操作し、会議室の大型スクリーンにいくつかの映像を投影する。

 

「現在、リオ様は緊急の解析作業を行っているため、私が代理として説明を行います。招集の理由はひとつ。そこにいるアリス様の処置と……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無名の守護者の全滅に向けての作戦会議です」

 

 

 

*1
自分の機体に対して。

*2
妄想推奨

これからの話って……

  • このままでいい
  • 勝手にしていいよ
  • おい!!話が違うじゃねぇか!!
  • なんでこんな話なんだよ!!
  • 教えはどうなってんだ教えは!!
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