溢れた幸せをこの手で   作:奏でる芸術文

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三日目 世に蔓延る鉄砲玉

アビドスはまるでポスト・アポカリプスのような景色が広がっている。

学校から足を伸ばしすこし歩いてみる程度なら砂漠に都市が生えたかのような様相な町並みなのだが、都市部から出ると一転、砂に飲まれたまばらなビル郡が無惨にもそこら辺に転がって、時代を感じさせる舞台装飾に成り果てている。

ちなみにアビドスは都市部と言っても三大校には叶わない。ここはそういった点では田舎、いや、郊外といった様相が一番似合う。

駅に行くのに徒歩一時間程度、コンビニも軽く運動になる距離は歩かなければいけない。だから、往復のついでにパトロールというのは、存外理にかなっているのだ。

先程ユメとのホシノとともにコンビニまで赴き、武器を揃えてパトロールを開始したのだが、

遠くから祝砲のような爆発音が連続的に耳をつんざく。うるさいふざけんな。

どうもアビドスは学校間の関わりが希薄で他校からの因縁を受けにくいため、学校などの反抗的な考えを持つ生徒、主にヘルメット団からの標的にされているらしい。

現在私達はパトロールをしながら談笑し、安全を確認した後に学校のグラウンドで射撃練習をしようと考えていたのだが、買った銃の試し打ちの準備の手間が省けたらしい。

 

ユメ

「はいはい、そこの人たち〜!おいたはだめだよ〜!」

 

ホシノ

「アビドスの近くでトラブルを起こさないでください。」

 

"おとなしく新しい武器の的になってくださ〜い。"

 

暴れてたスケバンにそれとな〜く辞めるように促すが特に辞める様子もないし、それどころかギャースカ騒ぎ出す始末。

鉄拳制裁確定、戦闘開始。

スケバンが十数人程度で迎え撃ってくるので自然に三人で戦闘態勢へと以降する。二人に前を任せて自分は後ろで新品のARを構える。

ホシノがショットガンを構えて相手に突撃を仕掛けて殲滅、ユメが盾を構えてヘイトを集めているので、自分もARで一人ひとりダウンさせていく。

順調に数を減らしていき、全員がのされるまでにそこまで時間はかからなかった。

 

ユメ

「はい!制圧かんりょ〜!」

 

ホシノ

「相変わらず、ヘルメット団は飽きないんですね。」

 

二人がもうすでに撤収作業を始めているを見て、改めて彼女たちが戦闘に慣れているのを実感する。

私はこれが初めての戦闘参加だったので、膝が笑っているし肩で息をしている。

そんな私の様子を見て心配してくれたのか、二人が駆け寄ってきてくれた。

 

ユメ

「クロナちゃん初戦闘おつかれー!大丈夫だった?」

 

腕が取れそうなくらいにこちらに手を降っている。元気。それはそれとして撤収作業はテキパキとしているのだから生徒会長としての威厳までバッチリである。

 

ホシノ

「...初戦闘お疲れ様です。なかなか戦えてたんじゃないですか?」

 

"お陰様でこっちに弾が飛んでこなかったからですよ。二人に比べたらまだまだだし..."

 

「初戦闘でこれくらい戦えたら練習の意味がなくなります。」

 

"...そうだね。これから頑張ります。"

 

そんな感じでみんなで撤収作業をしていたのだが、気になったことがあったので聞いてみた。

 

"特に戦うことに躊躇しなかったってことは、ここらへんでヘルメット団は珍しくないんですか?"

 

するとユメ先輩が困ったように教えてくれた。

 

ユメ

「うん。いつからかまではわからないけど、ここらへんにヘルメット団が来て暴れるのは初めてじゃないんだよね。」

 

ホシノ

「少なくとも1年前からヘルメット団が定期的に確認されてますし。ブラックマーケットが近いからじゃないですか?」

 

ユメ

「なんでだろうねぇ...。」

 

色々と気になることを教えてもらったが、

...とりあえず、練習の的にはなんの心配もいらないらしい。

一通り撤収作業を終えておしまいかと思ったら、周辺の住民と襲撃に関する話をしたり、被害の状況を確認して帳簿等で総額の計算とかがあり、帰路につくのは夕方くらいになってしまった。

こう考えると、全くおもしろい社会構造だと思ってしまう。

年端もいかない少女たちが銃火器を構えて襲撃事件を起こし、学校組織がそれに対抗する。鎮圧が完了したら学校側が学校の範囲の住人たちと襲撃に関する原因や襲撃犯の情報、危機に瀕させてしまったという謝罪等をする。学校に戻った後も襲撃に関わるインフラの破壊や消費した消耗品、弾丸の総数の合計金額を計算し、予算から利用できる分のお金を使って関連する企業に協力を仰ぐ。これらの突発的に発生した業務すべてを、学園に通っている女子学生が対応している。

ここアビドスになかなか住民が増えないのは、そういった側面も大きいのではないだろうか。

止まらない砂漠化も大きな問題だが、存続が危ぶまれるほどの人数しかいない治安組織に命を預けたいかといえば、誰だって嫌だろう。しかもその治安組織は学校という括りに当てはまるので、学校として生徒数を増やすことを考えると、上記の理由に加えて生徒間の関係という観点が増える。学校とは現在勉強をする場として設けられているが、どうせ行くなら青春を謳歌したいだろう。ましてや、皆が皆華のJKであるならなおさら。そんな中人数が二桁いない学校に行きたいと思う娘は、超少数派だろう。

そこに来るのがヘルメット団。彼女らの目的はわからないが、なんの意味もないわけがない。金目的ならトリニティを狙うだろうし、ヘルメット団にはゲヘナ出身が多いと聞くのでそちらに恨みがある人が多いはず。

そんなことを考えていると、気づけば学校についていた。

ユメ先輩はさっさと生徒会室に走り去っていき、ホシノさんは銃の手入れに行った。

今日はもうすることがないらしいので、本日は早上がりすることにした。

 




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