エロ漫画みてーな催眠術使えるやつが幻想入り   作:一般霊夢スキー

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短め


幻想郷に解き放たれる催眠術師

 

 ちん……ちん。小鳥の囀ずりを聴きながら心地の良い目覚めを迎える。とりあえず体を起こそうとしたとき、片腕の痺れと暑苦しさに既視感。

 

 横を見ると、ああ……やっぱり霊夢がこっちの布団に忍び込んできてる。多分、寝相とかじゃないよな? 俺よりも早くに目を覚まして、あえてこっちに潜り込んできて二度寝してるだろ。

 

 まぁ全く嫌ではないんだが、この無防備さにいつもドギマギさせられるというか。

 

「霊夢、朝だぞー……」

 

 優しく体を揺らしながら、抱きついている霊夢に声をかける。

 

「ぅんん……」

 

 霊夢はわずかに身動ぎをし、小さく唸りを上げながら、長い睫毛がゆっくりと震え、瞼が僅かに開く。しかしまだ焦点が定まらない瞳は、ぼんやりと俺の顔を見つめていた。

 

 霊夢のこんなあどけない姿を見られるのは眼福だ。

 

「もう……朝……?」

 

 霊夢の声は寝起きで少し掠れていて、布団の中で小さく丸まりながら、彼女は俺の胸に顔を埋めてきた。寝汗でほのかに湿った黒髪から甘い香りが漂う。

 

 彼女の寝巻きの襟元が大きくはだけ、白い鎖骨が覗いている。肩のラインが露わになり、袖がずり落ちかけていた。

 

 相変わらずの無防備さに内心、溜め息を吐きつつも直してあげて。

 

「ごめん……また勝手に入っちゃった……」

 

 霊夢の呟きには恥じらいが混じっていたが、それでも動こうとはしない。むしろさらに体を密着させてくる。寝起き特有の体温の高さと柔らかな重みが、全身に伝わってくる。

 

「それはまぁいいんだがなぁ……」

 

 そう言って頭を撫でると、霊夢は満足げに目を閉じる。朝日が差し込む部屋の中、彼女の無防備な姿は美しく、扇情的だった。

 

 おかげで俺の精神が削られてしまうが、大丈夫だ。まだ舞える。

 

「もう少し……このままでもいい?」

 

 掠れた声で問いかけられ、俺はそれを受け入れる。ただ彼女のぬくもりを感じながら、静かに時が過ぎていくのだった。

 

 朝食を終えて、今日は俺の要望になるけど、霊夢に幻想郷を案内してもらおうかなって思っている。

 

 やはりせっかく、幻想郷に来たからには色々見て回りたい。でも俺一人だけでは危険だ。催眠術も霊夢に効いたけど妖怪とかにも効くがどうかまだわからないしな。

 

 催眠術が問題なさそうなら、ゆくゆくは一人でも見て回りたいかなって思ってるけど、まずは安全策として霊夢に守ってもらう。男としては情けない限りではあるが、霊夢は凄く強いと思うので、致し方なし。

 

 幻想郷を見て回りたいという旨を伝えると霊夢は少し渋っていたけど、どうしてもとお願いしたら了承してくれた。

 

「あなたになにかあったら私は生きていけないわ。絶対に私のそばを離れないでね?」

 

 俺の袖を掴む手が少し震えている。どうにも霊夢の言葉には単なる心配以上のものが滲んでいるように感じる。

 

「分かった。危ないことははしないから」

 

「……本当に?」

 

 霊夢の目が一瞬だけ不安に揺れる。

 

 お、重てぇ……。催眠術によって疲労や心の傷が解消されたと思うが、なんか精神がより脆くなってないか?

 

 どうにも俺に執着しているような、己の拠り所を俺に依存しているような危うさを感じる。

 

「もちろんだ。だから安心して」

 

「……良かった」

 

 霊夢は安堵の息をつき、ようやく力を緩めた。しかしその直後、突然俺の首筋に顔を寄せてきた。

 

 彼女の熱い吐息が耳元にかかる。くすぐったさに首をすくめる俺をよそに、彼女は小さな声で言った。

 

「……それと他の子に目を向けちゃダメなんだからね」

 

 ーーがはッ……!!?

 

 俺の意識が一瞬で消し飛んでいく。い、いま一体なにが起きたというのだ。

 

 霊夢は俺から離れ、放心する俺をよそにいつもの巫女装束に着替えていく。

 

 ううむ……。霊夢のことは大切ではあるけど、なんというか妹や子に向けるようなもので、まぁどっちもいたことないけど。霊夢もてっきりそういう感じで俺のこと見ていると思っていたんだが……。

 

 よし、深く考えないでおこう。それはそれとしてさっきの囁きは非常に良かった。ASMRのことはよく知らんが、その良さみたいなものを初めて味わったような気分だ。現実逃避である。

 

「あなたも早く着替えるのよ。幻想郷見て回りたいんでしょ」

 

「あ、ああ。そうだな」

 

 服を着替え……なんか視線を感じるけど無視だ無視。幻想郷を見て回るにしても、やはりまずは人里から行くべきだろうか。服とか俺の分の日用品とか欲しいし。

 

 そもそもお金がないな。神社に住まわせてもらっておきながら、お金も出してもらうのは申し訳無さすぎるというか、最悪催眠術あればどうとでもなりそうだが、悪用するのも気が引けるよなぁ。

 

 霊夢をどうにかするために使ったとはいえ、むしろそのせいで妙に悪用することへの忌避感が芽生えつつある。いやむしろ今更なのか? 良い方に使ったと思ってるけど結果的には霊夢の心を踏みにじったことにもなっているんじゃなかろうか。あんなに俺に執着してしまってるわけで。

 

 だめだ。この問題は今は答えが出せそうにないな。どうして手に入れた力が催眠術なんだが……もっと他にあっただろうに。でもそうなると霊夢がどうしようもできないし、ぐおお……。

 

 とりあえず今は深く考えない。なんか現実逃避する癖がついてきつつあるな。

 

 着替えを済ませ、霊夢と一緒に境内に出る。相変わらず、神社から一望できる幻想郷の景色は美しい。現代日本で見ることができないような自然に溢れた世界だ。幻想郷というのは、それをこれからこの目で見て、聞いて、触れることができる。

 

 その事実に胸から溢れる高揚感を抑えられない。

 

「ワクワクするなぁ」

 

「そう? 私にはよくわからないわね」

 

 まぁ、霊夢は元から幻想郷の住民だしな。それに身を犠牲にして巫女として働き続けていたわけだし。むしろ良い印象はないかもしれない。

 

「でもあなたと一緒ならどこであっても愛おしいと思えるわね」

 

 ……不意に火力高めなこと言ってくれるなぁ。あまりの霊夢の素敵さに俺が一方的にたじたじだ。惨めなり。内心の照れを誤魔化すように咳払いをして。

 

「ん"ん……。さて、まずは里から案内お願いしてもいいか? どんな暮らしをしているのか見てみたい」

 

「わかったわ。さ、行きましょ。そういえばあなた飛べるの?」

 

 多分、飛べないと思うが、どうだろうか。案外、幻想郷だし飛べるようになったりしてるのかな。試してみるか。

 

 といってもやり方がわからない。能力を自覚したときみたいにたぶん自分の中の力みたいなのものを操作するんだろうが……。

 

 急にうんうん、唸り始めた俺を見かねたのか、霊夢が助け船を出してくれる。

 

「私の手を握って」

 

 言われた通り、霊夢の手を握る。小さくて柔らかい手に少しドキりとする。この小さな手で妖怪退治とか異変解決とかしていたのか。

 

 改めて、博麗の巫女の力の大きさを認識したような気がする。

 

 握った手からなにか温かな力が俺の手へと伝わってくるのを感じとる。これは……。

 

「これをうまく操作すれば飛べるようになるんじゃないかしら。あなたにも霊力はあるみたいだし」

 

 ほう……! ほうほう! それは良いことを聞いた。いやぁ、催眠術だけってのはどうかなぁーって思ってたんだよなぁ!

 

 つまり、七つの玉を集める作品のような気弾が撃てるってわけでしょ? あ、いや東方風に言うなら弾幕か。

 

「この温もりが霊力か。ちょっとやってみる」

 

 自分の中にもさっき霊夢から感じた力のようなものを感じることができる。実際にどんなものかさっき知ったので力を自覚するのは簡単だった。

 

 あとはこれをどう動かすかだよな。いや、ここはちょっとズルをするか。

 

 俺にはチート染みた催眠術がある。この催眠術は認識の常識改変みたいなことも当然ながらできる凶悪な代物だ。

 

 つまり、俺自身の体に霊力を自然と操れるような認識改変するわけだ。たぶんうまく行くと思う。霊力が動く感覚は霊夢に教えてもらったんだ。それを自分の体を巡っていると体に勝手に操作してもらうのだ。

 

「凄いわ。こんなに早く扱えるようになるなんて……できなかったら私が運んであげたのに……」

 

 なにか霊夢が言ってたような気がするが、あまりの感動に俺はそれどころじゃなかった。

 

 霊力が体を巡っていくと、なんというか分かりやすく力が湧き出てくるような感覚になったのだ。ちょっと跳んでみるか。

 

「うおっ!? 跳びすぎ……っ」

 

 軽くジャンプしただけなのに数メートルもの跳躍を可能とした。明らかに身体能力が上がっている。たぶん力も増しているだろう。これが運動できるやつの感覚か……。それでもこの幻想郷では力不足なのだろう。

 

 それでもうまく鍛え上げることができれば十分に幻想郷で生きていける力になってくれそうな予感がする。

 

 さて飛ぶとなると、この霊力を浮力に変換させればいいのか。お、案外簡単に浮き上がったな。しかし、移動するとなるとまた別の制御を要求されるな……これはさすがに一朝一夕ではできそうにないな。

 

「上出来よ。あとは練習すれば飛べるようになるわ。ほら手を繋いで、私が連れてってあげる」

 

 霊夢の声が弾んでいる気がする。なにか良いことでもあったのだろうか、俺は素直に霊夢の申し入れを受け入れて、霊夢の手を握る。

 

「それじゃあ行くわよ。手を離さないでね」

 

「悪いな。頼むよ」

 

 霊夢は顔を綻ばせると。俺の手を強く握り返してきて、そのまま浮き上がる。

 

 まるで重力を無視したような自然な浮遊にしばし、目を奪われる。

 

 これが『空を飛ぶ程度の能力』か。原作でも霊夢の力の源泉となる能力である。縦横無尽に迫ってくる弾幕たちの中で舞うように物理的な法則や重力の影響を無視して自由に飛ぶことができるのだ。

 

 故に霊夢は弾幕ごっこで最強なのである。その力の一端をこんな間近で見れるとは感動だな。

 

 俺は霊夢に手を引かれながら、この幻想郷を歩む最初の一歩を踏み出したのだった。まぁ、歩くんじゃなく飛んでるんだけどね。

 

 

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